『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』韓国ソウル清渓川復元工事を視察して**<2004.11. Vol.32>

2006年01月12日 | 川西自然教室

韓国ソウル清渓川(チョンゲチョン)復元工事を視察して

川西自然教室 井上千栄子

 毎月一回環境学習をしている仲間の呼びかけで韓国ソウル市の清渓川復元事業の視察という貴重な体験をさせていただいた。その感動を少しでもお知らせしたく書いてみました。

 清渓川道路は幅50~80m、長さ約6km、1984年に公式路線に、清渓高架道路は1967~1976年の間に建設された幅16m、長さ5.8km往復4車線の自動車専用道路で、撤去前の2002年度に清渓川道路と清渓高速道路を利用した車は一日平均16万8556台であり、清渓川道路が6万5810台清渓高架道路が10万2746台であった。この大きな二つの道路が2003年7月1日清渓高架道路の撤去を手始めに本格的な清渓川復元事業が始まり、2003年8月に清渓高架道路の撤去が完了し、清渓川道路についても2004年末までに撤去を完了する予定です。その現場を見ることが出来た私は、一瞬目を疑いました。

 日本では公共事業と称して、大切な税金でだいじな自然をこわし不必要な高速道路を建設しています。韓国では道路を撤去して川の復元工事をしているのです! ソウル市の職員の方と話し合う機会にも恵まれ、何故、復元事業にこれほど力をいれておられるか聞いてみると、四つの理由を話してくれました。

その第一の理由  ソウルを人間中心の環境都市へと変貌させる。

第二の理由  ソウル600年の歴史性の回復と文化スペースの創出が必要である。

第三の理由  市民の安全が脅かされていた。清渓川に蓋をした道路と、その上の清渓高架道路は作られてから40年も経ち、一時しのぎ式の、補修工事だけで耐えるには限界がある。

第四の理由  立ち遅れた都心の開発を活性化させ、地域の均衡発展を計るべきである。

という理由でしたが、その実現には様々な対策、話し合いがなされたようで、いただいた資料からも、交通対策や周辺商人に対する対策として、公聴会や事業説明会を着工までに4000回を超える会合を通じて商人側から様々な意見を聞いています。又、撤去工事に伴う公害(騒音、粉塵)についても最新の工法で作業を行っているそうです。そして工事で発生する撤去残渣は約68万トン、その内、鉄類は全部リサイクルで、コンクリート、アスファルトは95%にあたる64万トンがリサイクルされているそうです。環境にもやさしく配慮しているソウル市に、日本の遅れを感じてしまいました。

 もう一つ感心したのは、清渓川の復元によって道路が北と南に断絶しないよう清渓川全体に合計22の橋が架けられることです。そのひとつひとつが周辺の状況と復元された清渓川によく調和できるようにするため、上流は“歴史と過去”のイメージを、中流は“文化と都市的”なイメージを、下流は“自然で未来指向的”イメージを盛り込んで周辺との調和だけでなく、全体的にも連続性や統一性、一体感を持つように計画されているということです。なんと「夢と希望」の街づくりです。ステキな橋の模型や完成図を見るとうっとりしてしまいました。

 職員の方の「車中心の社会ではなく、人を中心にした社会を目指す!」この言葉に韓国の方をぐっと身近に感じました。日本ももっともっと行政、市民が一緒になってやらなければと思いました。

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