『みちしるべ』 by 阪神間道路問題ネットワーク

1999年9月創刊。≪阪神道路問題ネット≫交流誌のブログ版。『目次』のカテゴリーからの検索が便利。お知らせなども掲載。

『みちしるべ』横断車道(30)**<2004.7. Vol.30>

2006年01月11日 | 横断車道

横断歩道は良く知られているが、「横断車道」とは何か? 創刊号でその説明をしたのだが、現読者のうちでは知らない方が多いのではないか▼現代車社会では、歩道は車道によって無数に分断され、その一部にゼブラ状にペイントして、歩行者の横断に些細な融通をしている。歩行者優先とはお題目で、実際には、年寄り子供はクラクションで蹴散らされている▼欧米とは違って、馬車の歴史が無い日本。戦前までは車より、鉄道が重視された。道路が貧弱なところへ、戦後のGHQの強力な命令で、とりあえず車の為だけの道路整備を急いだ。それも産業優先により、住宅街もお構い無しに産業道路を通した▼戦前の道路は歩行者のみの道路であった為に、道路沿いは商売も繁盛したものである。しかし、戦後の産業道路沿いは、急速にさびれる事になってしまった。公害と若年層の流出、過疎と高齢化で商業の衰退、犯罪だけが繁盛した▼歩行者も犠牲にされ、60年代には交通戦争と呼ばれた。そんな中、高速道路ほどでは無いが、次第に歩道は整備され、事故死者は減ってきた。が、年間1万数千人(事故後1ヶ月以内)の死者数は、数十年間も続いているのである▼世間では車の利便性は語られるが、負の側面については蓋をされたままである。車産業は強大であり、彼らの利益誘導のために、利便性がテレビ・ラジオ・新聞等のメディアに載って、溢れ返っている。一方、少くない交通弱者の意見は、発表の場すらおぼつかない▼世間の認識を変えるためには、PRと説得が用いられるが、効果の程は頼りない。従って、その効果をあげる方法として、強制的手法が用いられる事も多い。セクハラを無くすために、企業が懲罰処分を行うのもそれである▼道路交通においても、ハンプ(路面に凸部分を設ける)やクランク(部分的に植栽を配置し道路を曲げる)は、車速を強制制限する方法だ。歩行者優先はドライバーの大半が無視する。ならば横断歩道を歩道の高さで結び、車はそれを乗り越えなければならなくする。そうすることにより、車は強制的に横断歩道で減速する。それが「横断車道」だ▼セクハラは言い過ぎとする男性は多い。「横断車道」にも反対は多いと思う▼小泉首相の公団民営化は、税金を投入してまでも不要な高速道路を、計画どおりに全部造る結末になった。しかし、道路公団が返済不能な大赤字である事を、国民に納得させた功績は大きい▼我々道路団体は、70年代半ばには、道路公団や公社の赤字問題を提起していた。ところが、小泉改革(?)が始まるまでは、それを信じない国民が圧倒的であった。それを考えると「横断車道」も先進的提案である事は間違いない。(コラムX)

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