[新聞資料]
中海干拓を全面中止・吉野川可動堰も見直し 自民方針
自民党は25日、1988年以降、工事が中断されたままになっている島根県の国営中海干拓事業・本庄工区について、全面中止に踏み切る方針を固め、事業主体の農水省に伝えた。同事業をめぐっては今年4月に農水書の検討委員会が3案併記の報告書をまとめただけで、政治決断が遅れていた。コメ増産という当初の事業目的を喪失したにもかかわらず、行政のメンツで生き残っていた中海干拓は、着工から38年目にして大きな転換期を迎えた。また自民党は、「無駄な公共事業」として同じく批判を受けていた徳島県・吉野川の第十堰(せき)可動堰化計画についても、計画の白紙撤回も含めてけんとうにはいることにした。
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自民党の亀井静香政調会長は25日、記者団に対し、「時がたてば必要でなくなる公共事業というものがある。大きなプロジェクトに、将来においても税金をつぎ込むことが適当なのか。」と指摘したうえで「例えば中海や吉野川。政治の目ですべて検討し直し、切るべきものは切る」と述べた。
これを受けた同党は、2001年度予算編成で公共事業費の配分を抜本的に見直す政調会長直属の検討チームを設置し、見直し作業を進めることにした。
中海干拓事業は1963年からコメ増産を目的に始まったが、減反政策と同時に見直しを余儀なくされ、88年以降は事実上、中断していた。国による米償還金の利子補給措置が今年度中に切れるため、年内に事業継続の可否について判断しなければならなくなっている。中止が決まっだ場合は、完成している堤防の買い上げ費用など総額200億〜300億円の清算費用がかかると見込まれている。
自民党政策担当幹部は25日、「12年かけても動かない事業をこれから先も抱え込むわけにはいかない」と述べ、政治決断の時期が来たとの認識を示した。
自民党の検討チームは谷津義夫政調会長代理を座長とし、尾身幸次幹事長代理や建設、運輸、農林など公共事業関連分野の政策担当者ら計8人。近く初会合を開き、各省庁が8月下旬にまとめる概算要求の内容に反映させる方針だ。
【ことば】
国営中海干拓事業・本庄工区
島根・鳥取県境の汽水湖、中海のほぼ4分の1に当たる1689㌶を干拓、新農地造成をめざす事業。食糧増産が急務だった1963年に着手、既に外枠となる堤防は完成したが、その後の減反政策や環境保全意識の高まりで88年から中断されたままになっている。
吉野川第十堰可動堰化計画
江戸時代中期に造られた固定堰である第十堰は洪水時などに危険として撤去し、可動堰に改築しようとする建設省の計画。総費用は道路併用で1030億円。これに反対する市民団体が住民投票を求める運動を展開、今年1月23日に徳島市で計画の是非を問う住民投票が業施され、有権者の49.57%に当たる約10万人が「反対」票を投じた。
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