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善通寺五重塔【香川県善通寺市】

2016年07月19日 22時49分13秒 | 建物
 善通寺東院境内に建っている五重塔は、幕末に着工し明治35年[1902]に完成しています。明治後半の建物なので、比較的新しい建物のような気がしますが、それでも香川県内にて現存する五重塔の中では一番古い五重塔です。善通寺以外に現存する五重塔は、志度寺・法然寺・本山寺だったと思います。


 三間四方で高さ46mの五重塔は、江戸時代の技法による塔婆建築の到達点を示す建物として、
平成24年[2012]に国の重要文化財に指定されています。様式としては和様を基調としたもので、総ケヤキ造りとなっています。
 江戸時代の技法というのは何かというと、心柱が浮いている構造のことなのだと思います。五重塔は法隆寺の五重塔のように心柱を地中に埋めた掘っ立て式から始まっています。しかし掘っ立て式だと根元が腐ってしまうから、礎石の上に柱を立てる工法へと移行していきました。っで善通寺五重塔でも採用されている懸垂式の心柱構造は、江戸末期から明治期にかけて、日本の木造多層塔建築で多く採用されています。現存する最古のものは、日光東照宮五重塔で寛政3年[1818]に完成しています。他にも、山形県鶴岡市の善宝寺五重塔、千葉県市川市の法華経寺五重塔などで採用されているようです。
 五重塔は、構造的には建物外周部の柱が鉛直荷重を支えていて、心柱は鉛直荷重に大きく担うようにはなっていません。なので、心柱を浮かすことができるのですが、浮かすことによって、地震時に振子のような動きををすることから、免震作用が働くことがわかってきています。東京のスカイツリーもこのシステムを応用した構造を採用しています。
 そういった意味でも、善通寺五重塔はなかなか貴重な建物でもあります。参拝に行った際にはじっくりと見学してみて下さい。