2日連続で頭痛に悩まされ、なんか変な病気なんじゃないかと心配になりましたが、ロキソニンのみまくってきょうようやく回復しました。
さて、とうとう手に入れました、日本で最初に軌道エレベーターを紹介した記事のコピー! 早川書房のSFマガジン1961年2月号に掲載されたもので、その前年の7月31日に、これまで何度も紹介している、静止軌道エレベーター構想の草分けの1人、ユーリ・アルツターノフが『プラウダ』に寄稿した軌道エレベーター構想の翻訳です。コピーの入手自体は別に難しいものではありませんが、いずれ入手しなければならない必須資料と思っていながら、つい先延ばしにしてきてたんですよね。
日本では、SF雑誌『SFマガジン』(早川書房)がこの記事の重要性に注目し、(略)袋一平氏の訳で翻訳掲載した。日本は、恐らく軌道エレベーターという概念が世界でもっとも広く、一般的に行き渡った国ではないかと思われる。(略)その土壌はかくも早い時期からSFファンのコミュニティ内で醸成されていたわけである。(『軌道エレベーター』63頁)
件の記事を若干紹介します。
電車で宇宙へ
今日のロケットは宇宙旅行の準備に余念もない。たしかにそれは人間が地球のそとへふみ出す第一歩である。将来はどうか?(略)宇宙旅行の方法は、それだけが唯一のものだろうか?(略)地球と直接つながるステーションの設計ということも考えられはしないか? この設計は、今日の郊外電車にちょっと手を加えるくらいの工夫で、具体化されるはずである。(略)
もちろん、これは遠い将来の事業である。それまでにはいろいろな障害を克服しなければならない。(略)しかし科学と技術は急テンポで進んでいくから、おそらく今世紀末頃には、大空の索道工事がはじまるにちがいない。
残念ながら、文中にあるように20世紀中の建造開始とはなりませんでしたが、アルツターノフの記事は全長を5~6万kmと想定し、素材開発やテーパーの必要性にも触れながら一通りの基本原理を説明しています。また地球外天体に軌道エレベーターを建設するアイデアにも言及しており、発想の大きさをうかがわせます。
軌道エレベーター構想の端緒は、さらにツィオルコオフスキーまで遡りますが、アルツターノフの構想は静止軌道から吊り下げるというモデルであり、ここで軌道エレベーターの基礎が完成を見たと言っていいでしょう。そして、そのアイデアにいち早く着目し、半世紀も前からオービタっていたんですぞ、我ら日本人は!
21世紀の現在においても、宇宙エレベーター協会(JSEA)の活動に代表される、軌道エレベーターに関係した活動がもっとも活発なのは、やはり日本でしょう(まあ大半は「宇宙」派なんだけれども)。一般への浸透はまだまだではありますが、この進取の精神は誇るべきかな、と思わずにはいられません。
ちなみに、わが軌道エレベーター派では、アルツターノフの記事がプラウダに掲載された7月31日を「軌道エレベーターの日」として宣言に加え、普及に努めております。皆さんどうぞ広めてください。あくまで「軌道」でね。
さて、とうとう手に入れました、日本で最初に軌道エレベーターを紹介した記事のコピー! 早川書房のSFマガジン1961年2月号に掲載されたもので、その前年の7月31日に、これまで何度も紹介している、静止軌道エレベーター構想の草分けの1人、ユーリ・アルツターノフが『プラウダ』に寄稿した軌道エレベーター構想の翻訳です。コピーの入手自体は別に難しいものではありませんが、いずれ入手しなければならない必須資料と思っていながら、つい先延ばしにしてきてたんですよね。
日本では、SF雑誌『SFマガジン』(早川書房)がこの記事の重要性に注目し、(略)袋一平氏の訳で翻訳掲載した。日本は、恐らく軌道エレベーターという概念が世界でもっとも広く、一般的に行き渡った国ではないかと思われる。(略)その土壌はかくも早い時期からSFファンのコミュニティ内で醸成されていたわけである。(『軌道エレベーター』63頁)
件の記事を若干紹介します。
電車で宇宙へ
今日のロケットは宇宙旅行の準備に余念もない。たしかにそれは人間が地球のそとへふみ出す第一歩である。将来はどうか?(略)宇宙旅行の方法は、それだけが唯一のものだろうか?(略)地球と直接つながるステーションの設計ということも考えられはしないか? この設計は、今日の郊外電車にちょっと手を加えるくらいの工夫で、具体化されるはずである。(略)
もちろん、これは遠い将来の事業である。それまでにはいろいろな障害を克服しなければならない。(略)しかし科学と技術は急テンポで進んでいくから、おそらく今世紀末頃には、大空の索道工事がはじまるにちがいない。
残念ながら、文中にあるように20世紀中の建造開始とはなりませんでしたが、アルツターノフの記事は全長を5~6万kmと想定し、素材開発やテーパーの必要性にも触れながら一通りの基本原理を説明しています。また地球外天体に軌道エレベーターを建設するアイデアにも言及しており、発想の大きさをうかがわせます。
軌道エレベーター構想の端緒は、さらにツィオルコオフスキーまで遡りますが、アルツターノフの構想は静止軌道から吊り下げるというモデルであり、ここで軌道エレベーターの基礎が完成を見たと言っていいでしょう。そして、そのアイデアにいち早く着目し、半世紀も前からオービタっていたんですぞ、我ら日本人は!
21世紀の現在においても、宇宙エレベーター協会(JSEA)の活動に代表される、軌道エレベーターに関係した活動がもっとも活発なのは、やはり日本でしょう(まあ大半は「宇宙」派なんだけれども)。一般への浸透はまだまだではありますが、この進取の精神は誇るべきかな、と思わずにはいられません。
ちなみに、わが軌道エレベーター派では、アルツターノフの記事がプラウダに掲載された7月31日を「軌道エレベーターの日」として宣言に加え、普及に努めております。皆さんどうぞ広めてください。あくまで「軌道」でね。