釜石の日々

「COVID-19に対して米国は世界に何を負う可能性があるのか?」

今日のビルトッテン氏訳、「What Might the US Owe the World for COVID-19?(COVID-19に対して米国は世界に何を負う可能性があるのか?)」。米国Common Dreamsに16日に掲載されたコロンビア大学地球研究所長を務め、国連ミレニアムプロジェクトのディレクターも兼務するジェフリー・サックスJeffrey Sachs教授執筆の同名記事より。

米国が資金提供したラボ(研究所)を起源とするCOVID-19(新型コロナ)は、まちがいなく歴史上最も重大な政府の怠慢という事件になるだろう。重要な疑問に対する透明性と、事実に基づいた答えが世界の人々に提供されるべきである。

米国政府は、コロナパンデミックを引き起こしたウイルスであるSARS-CoV-2の作成と偶発的なラボでの放出をもたらした可能性のある、危険なラボでのリサーチプログラムに資金を提供し、支援した。アウトブレイクの後、米国政府はその役割を隠すために嘘をついた。米国政府は嘘を正し、事実を明らかにし、世界に償いをするべきである。

ジャーナリスト、科学者、内部告発者といった勇敢な真実追求者たちが、SARS-CoV-2がラボ由来である可能性を示す膨大な情報を発見した。最も重要なのは、『インターセプト』とUSRTK(US Right to Know)で、特にUSRTKの調査記者エミリー・コップの精悍な仕事である。

この調査活動に基づき、共和党主導の下院監視・説明責任委員会は現在、コロナウイルス・パンデミックに関する特別小委員会で重要な調査を行っている。上院では、SARS-Cov-2の起源を調査する上で、透明性、誠実さ、理性を求める代表的な発言をしているのは共和党のランド・ポール上院議員である。

ラボで作られた可能性があるという証拠は、米国と中国の科学者が関与した米国主導の複数年にわたる研究プログラムを中心に展開されている。この研究は米国の科学者によって計画され、主に米国立衛生研究所(NIH)と国防総省から資金提供され、米国の組織であるエコヘルス・アライアンス(EHA)によって運営され、研究の多くは武漢ウイルス研究所(WIV)で行われた。

米国は真実をすべて明らかにし、最終的に明らかになる事実によってはおそらく十分な金銭的補償をする義務がある。

以下は、現在までにわかっている事実である。

まず、国立衛生研究所(NIH)は2001年から生物防衛研究の拠点となった。言い換えると、NIHは軍や情報機関の研究部門となったのである。国防総省予算からの生物防衛資金は、アンソニー・ファウチ博士の部門である国立アレルギー・感染症研究所(NIAID)で使われた。

第2に、NIAIDと国防総省のDARPA(国防高等研究計画局) は、生物兵器と生物防衛のための潜在的病原体に関する広範な研究を支援し、また、生物兵器や天然あるいは操作された病原体の、ラボでの偶発的な放出から身を守るためのワクチンの設計も支援した。この研究の一部はNIHのロッキー・マウンテン研究所で行われ、研究所内のコウモリのコロニーを使ってウイルスの操作とテストが行われた。

第3に、NIAIDは機能獲得研究に大規模な資金を提供した。機能獲得研究とは、病原体を遺伝的に変化させ、感染しやすく、あるいは感染者を死に至らしめる可能性の高いウイルスなど、病原性をさらに高めるための実験である。この種の研究は、より危険な病原体を作り出すことを目的としており、またそのような新しい病原体が、偶発的あるいは意図的に(例えば生物兵器やテロ行為として)ラボから逃げ出す可能性があるため、本質的に非常に危険である。

第4に、米国の一流の科学者の多くが機能獲得研究に反対していた。政府内で反対した代表的な人物の一人が、後にパンデミック開始時に疾病対策センター(CDC)所長を務めることになる陸軍ウイルス学者のロバート・レッドフィールド博士である。レッドフィールドは当初からパンデミックの原因がNIHの支援する研究にあることを疑っていたが、ファウチによって脇に追いやられたと言う。

第5に、米国政府は、機能獲得研究に関連するリスクが非常に高いことから、2017年にバイオセーフティ規制を追加した。機能獲得研究は、バイオセーフティレベル3(BSL-3)またはバイオセーフティレベル4(BSL-4)といった高度に安全なラボで実施されなければならなくなった。BSL-3またはBSL-4施設での研究は、施設からの病原体の脱出に対する管理が追加されるため、BSL-2施設での研究よりも費用と時間がかかる。

第6に、NIHが支援する研究グループの1つであるエコヘルス・アライアンス(EHA)は、機能獲得研究の一部を中国の武漢ウイルス研究所(WIV)に移すことを提案した。2017年、EHAは米国政府の国防高等研究計画(DARPA)にWIVでの機能獲得研究の提案を提出した。DEFUSEと名付けられたこの提案は、ラボでSARS-CoV-2のようなウイルスを作るためのまさに「手順書」であった。DEFUSEの計画は、WIVが収集したベータコロナウイルスの180以上の未報告株を調査し、機能獲得技術を用いてこれらのウイルスをより危険なものにするというものだった。具体的には、フリン切断部位(FCS)のようなプロテアーゼ部位を天然ウイルスに付加し、ウイルスの感染性と伝播性を高めるというものだ。

第7に、EHA所長は提案書の草案の中で、「SARSr-CoVのBSL2での研究という性質上、我々のシステムは他のコウモリ・ウイルス・システムに比べて非常に費用対効果が高い」と自慢し、EHA提案書の主任科学者は、BSL2施設でのWIVでの機能獲得研究に対する米国政府の支援を知ったら、米国の科学者は「パニックになるだろう」とコメントしている。

第8に、国防総省は2018年にDEFUSE提案を却下したが、EHAに対するNIAIDの資金援助はDEFUSEプロジェクトの主要科学者も対象になっていた。。したがってEHAはDEFUSE研究プログラムを実施するための継続的なNIH資金を得ていたのである。

第9に、2019年末から2020年1月にかけて武漢で初めて感染拡大が起きたとき、NIHに関連する米国の主要なウイルス学者たちは、SARS-CoV-2は機能獲得研究から出現した可能性が高いと考え、2020年2月1日のファウチとの電話会談でそのように伝えた。これらの科学者にとって最も顕著な手がかりは、SARS-CoV-2にFCSが存在することであり、まさにFCSはDEFUSEプログラムで提案されたウイルス内の位置(S1/S2接合部)に出現していたのである。

第10に、フランシス・コリンズNIH所長やファウチNIAID所長を含むNIH幹部は、NIHが支援した機能獲得研究を隠そうとして、2020年3月にウイルスの自然起源を宣言する科学論文(”The Proximal Origin of SARS-CoV-2″)を出版した。この論文はDEFUSEの提案を完全に無視していた。

第11に、一部の米国政府関係者はラボ流出の原因を武漢ウイルス研究所に求める一方、NIHが資金を提供し、EHAが主導した研究プログラムがウイルスをもたらした可能性があることを隠し始めた。

第12に、上記の事実が明るみになったのは、勇敢な調査報道、内部告発者、そしてDEFUSE提案のリークを含む米国政府内部からのリークの結果である。保健福祉省の監察官は2023年、NIHがEHA補助金を適切に監督していなかったと判断した。

第13に、調査官たちは、ロッキー・マウンテン研究所の研究者がEHAに関連する主要な科学者とともに、DEFUSEで提案された実験と密接に関連した実験でSARSに似たウイルスをRMLエジプトフルーツバットに感染させていたこともまた明らかにした。

第14に、FBIとエネルギー省は、SARS-CoV-2のラボから出たものであるというのが最も可能性が高いとみていると報告した。

第15に、CIA内部の内部告発者が最近告発したところによれば、感染拡大の捜査していたCIAチームは、SARS-CoV-2はラボから発生した可能性が高いと結論づけたが、CIAの高官がウイルスは自然起源だと報告するようにチームを買収したという。

これらの証拠を総合すると、また自然起源を示す信頼できる証拠がないことから、米国が危険な機能獲得研究プログラムに資金を提供し、実施した結果、SARS-CoV-2が誕生し、世界的大流行へとつながった可能性がある。数理生物学者アレックス・ウォッシュバーンによる最近の強力な評価は、「SARS-CoV-2がラボから発生したことは合理的な疑いを越えている…」という結論に達している。彼はまたラボ由来であることを隠すために、共同研究者たちが「合法的に偽情報キャンペーンと呼べるものを展開した」とも指摘している。

米国が資金提供したラボを起源とするCOVID-19は世界史上最も重大な政府の重大な過失による事件であることは間違いない。さらに米国政府は現在も、生物防衛プログラムの一環として、危険な機能獲得研究に資金を提供し続けている可能性が高い。米国は、最終的に明らかになる事実にもよるが、完全な真相を明らかにし、おそらくは十分な金銭的補償を世界に対して行う義務がある。

私たちには3つの緊急行動が必要だ。第一は、米国と中国のEHA研究プログラムに関与したすべての研究所が、独立した調査員に帳簿と記録を完全に公開する独立した科学的調査である。第二は、独立した世界的な科学機関がバイオセーフティに関する基本ルールを定めるまで機能獲得研究を世界的に停止すること。第三は、国連総会が、世界の健康と安全を脅かす危険な研究活動を通じて国際的な安全規範に違反する政府に対して、厳格な法的・財政的説明責任を確立することである。

キセキレイ
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