釜石の日々

戦前に回帰しつつある日本

台風の影響が出る前に、昨日、息子が大阪から釜石へやって来た。大型台風はすでに数人の犠牲者を出した。例年、釜石へ近づく頃には弱まって低気圧に変わることが多い。今日の釜石は朝から雨で、どうやら梅雨前線の影響のようだ。気温は24度まで上がり、湿度も高い。相変わらず、職場の隣りの薬師公園からは近くの復興工事の音に混じって、ウグイスの声が聴こえて来る。 日本の憲法9条では、すべての武力行使、そのための実力の装備、戦力は禁止している。しかし、これまでの政府は日本が直接武力攻撃を受けた場合は、憲法前文の平和的生存権や13条の生命、自由、幸福追求権を最大限の尊重を上げて、日本への直接の武力攻撃に対しては、ほかに手段がない限り、必要最小限度でこれに反撃をする、そのための実力装備を持つことは許されるとして、法律的な自衛隊の存立根拠として来た。すなわち、日本が直接攻撃された場合は自衛権があり、そのための軍隊の保有は憲法に反しないとして来た。従って、日本が直接攻撃を受けるわけではない集団的自衛権については憲法上許されない、と言うのがこれまでの政府の立場であった。具体的には、そのように解釈して来たのは「法の番人」と言われ、内閣の下で法案や法制についての審査・調査等を行う内閣法制局である。しかし、集団的自衛権行使を実現しようとする安倍首相は、その内閣法制局の長官を更迭することで、憲法解釈を変更することにした。昨年8月それまで従来通り集団的自衛権は憲法に抵触するとして来た山本庸幸内閣法制局長官を退任させ、替わりに外務省から小松一郎氏を長官に据え、憲法解釈の変更を押し切った。従来、内閣法制局長官は主に法務、財務、総務、経済産業の4省出身者が、憲法解釈を担当する第1部長から次長を経て長官に就任して来た。小松氏はその過程を経ずにいきなり長官として任官した。その意味でも極めて異例である。更迭させられ内閣法制局長官を退任した山本庸幸氏は最高裁判所裁判官に就任したが、就任時の記者会見で、「「集団的自衛権の行使は、従来の憲法解釈では容認は難しい。実現するには憲法改正が適切だろうが、それは国民と国会の判断だ」と発言している。これに対して、菅義偉内閣官房長官は「最高裁判事が公の場で憲法改正の必要性まで言及したことについて、非常に違和感がある」とあえてこれまた異例の発言を行なっている。一方で、政府の友軍であるはずの公明党の山口那津男代表は山本庸幸最高裁判事の発言を「ぎりぎり許される」と支持表明している。内閣法制局として憲法解釈を変更し、今月1日、集団的自衛権行使容認を閣議決定した安倍政権は、それに伴い安保関連法案を見直し、一括審議する意向を6日には表明している。日程的には来年の通常国会にずれ込み、4月の統一地方選後になるもと思われている。しかし、安保関連法案は15本前後もあり、これを一括審議すること自体がまた異例であり、しかも1本1本が重要な法案である。それを十分な審議も出来ない状態で改訂しようとしている。ここでも国会の本来の機能を軽視する姿勢が明らかである。昨年8月末、麻生太郎副首相は都内の会合で、「ナチス政権下のドイツでは、憲法は、ある日気づいたら、ワイマール憲法が変わってナチス憲法に変わっていたんですよ。誰も気づかないで変わった。あの手口、学んだらどうかね」と発言し、物議をかもしたが、実際にも安倍首相はまさにナチスの手口通り、憲法を骨抜きにし、国会機能を軽視している。法が無視された時に軍国の道を進んだ歴史はドイツにも日本にもある。安倍首相はまさにその時代の「日本を取り戻し」つつあるのだ。昨年12月6日に成立した特定秘密保護法も戦前の1937年の改正軍機保護法や1939年の軍用資源秘密保護法、1941年の国防保安法に繋がるもので、現在の日本は極めて危険な道を歩んでいる。そして、その危険を知らせるべきメディアがその本来の機能を失っていることが最も脅威である。
庭で咲く花たち 黒ユリと言われた深真紅のユリとキスゲ、アジサイ

コメント一覧

管理人
夕焼けさんへ
近年は地震や豪雨による土砂災害などの自然現象の変化や社会の危うい動きなど、ほんとうに将来が心配されます。特に若い世代が大変な世の中を迎えるのではないかと危惧されます。少しでも若い世代に希望が持てることを祈るばかりです。いつも貴重なコメントありがとうございます。
夕焼け
将来
の日本が、戦争などない、幸せな国であるように祈ります。なぜ今?と、思う中、子どもの将来も心配になります。友達と地震の話をしていた翌日に先日茨城おきで震度5の揺れがあり、最近の地震の揺れが増えただけに気になっています。穏やかに平和に過ごす時間に感謝していたいと思います。
名前:
コメント:

※文字化け等の原因になりますので顔文字の投稿はお控えください。

コメント利用規約に同意の上コメント投稿を行ってください。

 

  • Xでシェアする
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

最新の画像もっと見る

最近の「社会」カテゴリーもっと見る

最近の記事
バックナンバー
人気記事