奥 山 豊 和 (おくやま とよかず)公式ブログ

培った経験と人脈を活かし、生まれ育った故郷を元気に。
対話重視、市民が主役の市政運営を取り戻します。

9年目の被災地に学ぶ、災害時の心構えと情報発信。

2020-04-22 23:57:34 | 日記

「非常事態宣言」が全都道府県へと拡大したことを受け、秋田県においても具体的な「休業要請+協力金の支給」について示されました。

また、国では急転直下、「1人10万円の給付」が決定。

感染者数は比較的少ないとされている秋田県ですが、「非常事態」に命を守る行動を第一に心掛けていきたいものです。


3月26日(木)~27日(金)、宮城県石巻市を初訪問。全国若手市議会議員の会東北ブロック研修会が行われました。

1ヵ月近く前の出来事になりますが、当時はまだ県外への移動自粛要請が出されておらず、当該地域においてコロナ感染者が確認されていませんでしたし、内輪の小規模な集まりだったことから、安全対策を万全に予定通りの開催となりました。

今、世の中が非常事態にありますが、災害時における心構えと情報発信のあり方について、やはり被災自治体から学ぶことは大きいなと実感しています。

石巻市といえば、9年前の東日本大震災において被害が甚大だった自治体の一つです。

これまでの災害想定をはるかに超えた津波が押し寄せ市中心部は100%浸水し、海抜0メートルエリアが多いことから、ポンプアップをしなければ水が引かなかったそうです。

「想定外という言葉は2度と使ってはならない」

当事者の重い言葉だと思います。

水がひくのに3日かかり、その間身動きがとれず本庁舎は孤立状態で、沿岸部の総合支所2つが壊滅。最大259か所開設された避難所の様子を見に行くことさえできず、ライフラインが全て途絶えたため、どれだけの被害が出ているのか把握することも困難な状況にありました。

通信不能が起きてしまったことにより、
「被害の状況が掴めない」ということは、災害対応に遅れが生じます。
「関係機関との連絡がとれない」ということは、救援・救助要請ができないということです。
「市民へ災害情報を伝えることができない」ということは、市民への支援ができませんし、
「避難所の状況が分からない」ということは、避難者への的確な支援ができないということです。

通信不能は初動の遅れに繋がり、救える命も救えないことになってしまいます。この致命的な問題に対し石巻市がとった手段は、「情報伝達の多層化」です。

一方的な発信では自己満足に過ぎず、一人ひとりに情報が届き行動に繋げてもらうためにはどのような発信をするべきか…特定の媒体に偏らずに、使えるものは全て使うという明確な意思を感じました。

「防災行政無線のデジタル化」はmustですし、LINEの活用も始めているようです。

こうした様々な分析は「所詮、生き残った人たちの声」と言いますすから、何だか言葉になりません。

過去の想定にとらわれすぎた防災対策、これまでの空振りの津波警報によって、いつのまにか住民の感情のどこかに「今回も大丈夫だろう」という意識が働いてしまったことを、「自らの命を守る能力が低下」しているという分析をしているようです。

「自らの命を、経験による感覚に委ねていませんか?」

という問いかけは、今に通じるような気がしています。

市役所の組織体制も強化していて、石巻市では東日本大震災以降、防災担当を2課29名体制に手厚くしていることからも、「市民の命を守る災害に強いまちづくり」に取り組む覚悟を感じます。

まさに、「自助、共助、公助」のあるべき姿について考えさせられる側面です。

自分で直接経験をしなければ行動が変わらないのであれば、災害の時代に失った命の尊さ、積み重ねてきた教訓が活かされていません。最優先にすべきは、「市民の生命と財産を守る」ことに尽きます。

この度の新型コロナウイルスは、私たちの価値観を大きく変え得る出来事ですが、「想定外」は許されなくなり、災害は他人事ではなく常に自分に降り注ぐことを前提に、ありとあらゆる備えを怠ってはならないことを学んだ東日本大震災もまた、考えと行動を改める大きな出来事だったはずです。

あの時肝に銘じた事、どこか疎かになってはいませんか?自分自身にも問いかけています…

9年という時間は、確かに復旧が進んでいるように見えます。三陸道のアクセスも良くなり、ずいぶんと近くなった印象を受けました。

復興の道半ば、先行きの見えない「自粛」。

私たち「全国若手市議会議員の会」の活動も全て自粛です。今月は山口県、来月は東京での研修が予定されていましたが、全てキャンセルとなりました。

東北ブロックとしては、いつになるかは分かりませんが、被災地を歩く活動を今後も続けていきたいと思っています。


明日への希望を信じ、「Stay Home」、まずは家に留まる生活を共に続けて参りましょう。