・・・年末の忙しい時期に、なんでわざわざ京都まで出向いたかというと・・・川端道喜の「御菱葩」(おんひしはなびら)をいただくためです!
その昔、宮中では、丸い薄いお餅と紅色の菱形のお餅を重ねたものを並べ、栗や鮎などのせて飾る習わしがあったのだそう。時代が移るうちに、鮎はごぼうにかわり、白みそがのせられ、そして、正月の天皇からの賜りものとなりました。
室町時代から宮中の御用のつとめ、毎年このお餅を納めていた川端道喜が、明治遷都の後、裏千家の初釜のために創作したのが、この「御菱葩」。新春のお菓子として、全国の和菓子やさんに並ぶ「花びら餅」は、道喜の「御菱葩」がもとになっているのだそう。・・・正真正銘の元祖ですね。
今も道喜では家元の初釜用にこのお菓子を納めており、1月はその作業で寝る間もないくらい忙しく、一般の販売はされていないのですが、一般のわたしたちも、年末の数日だけ、おわけいただくことができるのです。1月の本番に備えての試作品、「試餅・こころみのもち」。年末の4日間だけ、注文による販売です。
1つづつ、箱に納められた「御菱葩」。うっすらと紅色のおもちが透けてみえます。凛とした姿・・・代々、宮中の御用を勤めてきた風格を感じます。
中を切ってみると・・・
この色合いにはっとします。
お餅の中は白みそ。とろりと流れだしてきちゃうくらいゆるいので、食べるときはちょっぴり注意。 お餅と白みその甘み、そしてゴボウの風味。
甘味というより・・・新年を迎える喜びを味わうお菓子というのでしょうか。
26日にお電話をして・・・27、28、29日ならご準備できますよ、とのことでしたので、仕事納めのあとの29日にお伺いすることにしました。これが、今回の上洛の最大の目的! 急に思い立ち、直前にお電話したのに、ほんとにラッキー! 手元にある本には、27~30日のみの販売、とありますので、きっと30日は注文が集中するのかもしれませんね。
1つ¥1575と、少し勇気がいるお値段ではありますが(2つ買って、田舎に持ち帰ったのですが、姉にはお値段はナイショです・・・)、 はるか昔の宮中正月のなごりを、こんなカタチでいただけるなんてありがたいことです。・・・それに、日本文化の継承に協力しているような気持ちですね。
川端道喜、店構えは控えめというか・・・「え?どこ?」と通りすぎてしまうくらい地味なんですよ。16代が早くに亡くなられて、お母さまと奥さまたちががんばって支えていらしているようでしたが・・・この日は、20歳ぐらいのウエンツ風のお兄さんが対応してくれました。・・・もしかして、次期17代・・・なのかな? 大河ドラマ並みの歴史をもつ老舗のれんを守るのは大変でしょうが・・・がんばってくださいね!応援してるよ!と帰り路、ココロの中でエールを送りました
川端道喜
京都市左京区下鴨南野々神町2-12 075-781-8117 9:00-17:00 休:水
※菊花餅もすばらしかったです!