日本人は、何と権威に弱いんだろう。
銀座に、世界のブランド店が軒を並べているのを見ても分かる。その価値を分かってか分からなくともか知らないが、まだ若い女の子までが、不相応とも思えるブランド品をこれ見よがしに身につけている。
フランス人をはじめヨーロッパ人は、それ相応の年齢や立場になったときに、それらラブランド品、高級品を身につけるし、そうでない人は、あえてそれら高級ブランド品を身につけようとは思わない。自分には他に充分相応しいものがあるのだと思っているし、ブランドに頼らなくとも自分らしさは磨かれるとも思っているから。そういう年齢や身分・立場になったら、つけてみようかと思うものなのだ。
しかし、日本人はそのブランド品に自分が相応しいか、それ相応の収入や身分であるかなどは頓着しないようだ。
そんな姿を蔑んで見ていたが、僕だってやはりブランドには弱いようだ。
その名は、ストラディバリウス。
制作者の名にちなんだ名で、イタリアのクレモアで作られたヴァイオリンである。最高の音色を出すということで、今では世界一高い楽器となっている。
制作年代が17~18世紀だから、あれこれ250~300年も前のものということになるが、骨董的価値ではなく、ばりばりの現役なのである。値段はまちまちだが、概ね億単位で、数億円はするという。
現存するのは約600丁といわれているが、日本にもかなりの数があり、わが国は有数な名器保有国なのだ。この世界でも、日本はブランド保有を誇っているのだ。
演奏家による個人保有というより、企業や団体が保有しているのが圧倒的に多い。資産価値目当てに買いあさったのではなく、才能ある演奏家に貸与するシステムなのだ。
例えば、どの人が持って(使用して)いるのかといえば、自宅を売却して購入資金に充てたという辻久子さんをはじめ、諏訪内晶子、千住真理子、五嶋龍、神尾真由子さんなどの有名アーチスト(他にもいる)が、自己保有もしくは貸与で使っている。
そのストラディバリウスが、やってきたというので、見に、聴きに行った。ヴァイオリン教室での先生の川口祐貴さんからの案内だった。
8月28日、調布市文化会くすのきホールで行われた「アンサンブルNIZIコンサート」(川井裕子総合指導)で、特別にストラディバリウスによる演奏会が行われたのだ。
会場に入ると、壇上に二つのストラディバリウスが並べてあった。長野にある(株)日本ヴァイオリン保有のもので、それらはライトを浴び、胸を張っているようであった。
ストラディバリウスには、各々ニックネームが付いているらしく、一つは1681年製の「ナポレオンⅢ世」で、もう一つは1731年製の「ロマノフ」ということだった。
それを、ヴァイオリニストの川口祐貴、川口尭史の姉弟が、別々に弾いた。
ワインのテイスティング、試飲会というのは経験あるが、ヴァイオリンの試弾会が行われて、それを聴くというのは初めてだ。ヴァイオリンを買うときに、いくつか弾いて音色を比べるというのはあるが。
まず川口祐貴さんが「ナポレオンⅢ世」を弾きはじめると、会場の聴衆は、どんな音かとじっと耳を傾ける。
素人の僕が咄嗟に感じたのは、意外と粗く太く強い音だという印象だった。ワインでいえば、タンニンの強いボルドーである。
試弾のあと、係の人に材質などを質問しながら、ストラディバリウスのカーブのところをそっと触らせてもらった。やはり、僕はミーハーだ。
ルーブルでアングルの「オダリスク」のお尻を触ったのを思い出した。
試弾のあとは、ストラディバリウスによるアンサンブルによる演奏が行われた。
まず、川口祐貴さんによるベートーベェン「ロマンス ヘ長調」。次に、川口尭史さんによるサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」。
演奏は素晴らしかったが、素人の僕にはストラディバリウスの音の違いが分からない。さすが、ストラディバリウスだと言いたかったのだが。
まだワインの方が分かるだろう。
演奏会が終わったあと、実際に弾いた川口さんにストラディバリウスについて訊いてみた。
「最初弾いたときは跳ね返りが強かった。だからといって弱く弾くと聞こえないぐらい低すぎるし、ちょうどいい部分にあたるととてもいい音が出るのですが。暴れ馬のようで、調教するのが難しいが、時間をかけるとやりがいもあるといった感じです」と語ってくれた。
名器はそう簡単にはなびいてはくれないのだ。
実は、何を隠そう、僕の持っているヴァイオリンもストラディバリウスなのだ。
このことは、「ストラディバリウスの夢」(2007.8.27)の、ブログで書いているので、そちらをどうぞ。
http://blog.goo.ne.jp/ocadeau3/e/c405e5a35d880903db6f7b9677b8dc6a
銀座に、世界のブランド店が軒を並べているのを見ても分かる。その価値を分かってか分からなくともか知らないが、まだ若い女の子までが、不相応とも思えるブランド品をこれ見よがしに身につけている。
フランス人をはじめヨーロッパ人は、それ相応の年齢や立場になったときに、それらラブランド品、高級品を身につけるし、そうでない人は、あえてそれら高級ブランド品を身につけようとは思わない。自分には他に充分相応しいものがあるのだと思っているし、ブランドに頼らなくとも自分らしさは磨かれるとも思っているから。そういう年齢や身分・立場になったら、つけてみようかと思うものなのだ。
しかし、日本人はそのブランド品に自分が相応しいか、それ相応の収入や身分であるかなどは頓着しないようだ。
そんな姿を蔑んで見ていたが、僕だってやはりブランドには弱いようだ。
その名は、ストラディバリウス。
制作者の名にちなんだ名で、イタリアのクレモアで作られたヴァイオリンである。最高の音色を出すということで、今では世界一高い楽器となっている。
制作年代が17~18世紀だから、あれこれ250~300年も前のものということになるが、骨董的価値ではなく、ばりばりの現役なのである。値段はまちまちだが、概ね億単位で、数億円はするという。
現存するのは約600丁といわれているが、日本にもかなりの数があり、わが国は有数な名器保有国なのだ。この世界でも、日本はブランド保有を誇っているのだ。
演奏家による個人保有というより、企業や団体が保有しているのが圧倒的に多い。資産価値目当てに買いあさったのではなく、才能ある演奏家に貸与するシステムなのだ。
例えば、どの人が持って(使用して)いるのかといえば、自宅を売却して購入資金に充てたという辻久子さんをはじめ、諏訪内晶子、千住真理子、五嶋龍、神尾真由子さんなどの有名アーチスト(他にもいる)が、自己保有もしくは貸与で使っている。
そのストラディバリウスが、やってきたというので、見に、聴きに行った。ヴァイオリン教室での先生の川口祐貴さんからの案内だった。
8月28日、調布市文化会くすのきホールで行われた「アンサンブルNIZIコンサート」(川井裕子総合指導)で、特別にストラディバリウスによる演奏会が行われたのだ。
会場に入ると、壇上に二つのストラディバリウスが並べてあった。長野にある(株)日本ヴァイオリン保有のもので、それらはライトを浴び、胸を張っているようであった。
ストラディバリウスには、各々ニックネームが付いているらしく、一つは1681年製の「ナポレオンⅢ世」で、もう一つは1731年製の「ロマノフ」ということだった。
それを、ヴァイオリニストの川口祐貴、川口尭史の姉弟が、別々に弾いた。
ワインのテイスティング、試飲会というのは経験あるが、ヴァイオリンの試弾会が行われて、それを聴くというのは初めてだ。ヴァイオリンを買うときに、いくつか弾いて音色を比べるというのはあるが。
まず川口祐貴さんが「ナポレオンⅢ世」を弾きはじめると、会場の聴衆は、どんな音かとじっと耳を傾ける。
素人の僕が咄嗟に感じたのは、意外と粗く太く強い音だという印象だった。ワインでいえば、タンニンの強いボルドーである。
試弾のあと、係の人に材質などを質問しながら、ストラディバリウスのカーブのところをそっと触らせてもらった。やはり、僕はミーハーだ。
ルーブルでアングルの「オダリスク」のお尻を触ったのを思い出した。
試弾のあとは、ストラディバリウスによるアンサンブルによる演奏が行われた。
まず、川口祐貴さんによるベートーベェン「ロマンス ヘ長調」。次に、川口尭史さんによるサラサーテの「ツィゴイネルワイゼン」。
演奏は素晴らしかったが、素人の僕にはストラディバリウスの音の違いが分からない。さすが、ストラディバリウスだと言いたかったのだが。
まだワインの方が分かるだろう。
演奏会が終わったあと、実際に弾いた川口さんにストラディバリウスについて訊いてみた。
「最初弾いたときは跳ね返りが強かった。だからといって弱く弾くと聞こえないぐらい低すぎるし、ちょうどいい部分にあたるととてもいい音が出るのですが。暴れ馬のようで、調教するのが難しいが、時間をかけるとやりがいもあるといった感じです」と語ってくれた。
名器はそう簡単にはなびいてはくれないのだ。
実は、何を隠そう、僕の持っているヴァイオリンもストラディバリウスなのだ。
このことは、「ストラディバリウスの夢」(2007.8.27)の、ブログで書いているので、そちらをどうぞ。
http://blog.goo.ne.jp/ocadeau3/e/c405e5a35d880903db6f7b9677b8dc6a