さあ~てと 帯しめましょか。

人生、山あり谷あり
向かうはわが身の置き場所よ。
帯締め、気を染め、往きましょか・・・  ~part 2~   

「花」の話 ☆ 1≪憑代(よりしろ)≫

2013年04月10日 23時11分30秒 | 神・仏教・民俗の話

花は、古くは観賞用のものではなかった。

予祝的な占い・・・お互いの生活の幸運を招くためのものだった。
 

≪奈良期≫
 
花を観賞する態度は中国の詩文から教えられた。

 【農占の歌】・・・花を讃えたものではなく、山の花の咲き方を見て、
           農耕の時期などをさとった歌。

   「打ちなびき春さり来らし。山の際(ま)の遠き木末(こぬれ)の
    咲きゆく見れば」
   (春が来たに違いない。山あいの遥かな梢の花が、
    だんだん咲いて行くのを見るとわかる――「万」・巻十・八六五)

  生花は、季節の霊魂迎えの式の依代(霊的なものが寄ってきて宿りこむ)
  のひとつなのである。ためにそうした季節の変わり目に、祖先の霊魂を
  迎えて果たす行事をする日をも「ハナ」という。
 

「花正月」・正月十四日
  
松や柳の木などを削り、その先端をそらして神棚に上げる日
   
「削り掛け」もハナという)

「花ノ内」・・・小正月~月末
  
「花米」=洗米(神に供える洗った米・饌米) 
        形は神に供える米であるが、やはり神の憑代であると同時に、
        奉献者の霊魂の象徴とも信じている。

  「餅花」繭玉)・・・花米と同意義ながら、後に「飾り」と考えられている呪物
            であることは、今だに縁起物になっていることからもわかる。

  「山の花」・・農作の神を、山から迎えとるもの。
           根本は農事に関係がある。

【二月十五日のハナ】 
 
 二月の第二の望(もち)の日を農事にとりかかる日とし、
  各地でハナといい、寺では涅槃の日と呼ぶ。

【四月八日のハナ】
  
耕作の神である山神迎えとして山野から折りとり迎えて、竿頭などに高く
  束ね上げ、「高花」とする。
  この日は女も山に早処女(しょうとめ)になる
ために登るのである。つまり、
  卯月八日前後の「花祭」は村の女の山入りの日で、古代には山ごもりをして、
  聖なる資格を得るための成女戒をうけたオトメ(早処女)として、山の花
  (ツツジ・藤・コブシ・百合など)をそのしるしとしてかざして村に戻る。

【花祭り行事】
岐阜県北設群東栄町地域  
     ホームページは→こちら  『花祭』は→こちら    
     国指定指定重要民族文化財「花祭り」はオニスター君が
       アニメーションと写真で解説してくれるそうです。
               
     東栄町地域では、昔は春のとり越し祭りとして初春の「花祭」
     霜月に行われた。 来年の村内生活はこの通りだということを、
     山の神人・山の神が演じて見せてくれる。
     その折、山苞(〈やまづと〉山の土産物)を持って来てくれる。

     「花育て」という行事が演芸種目の一中心となっている。
      竹を裂いてその先をいくつにも分けてその先へ花をつけた「花の杖」
    
をついて、花祭りを行う場所(舞屋という家の土間――舞処〈まいと〉)
       を廻る。
その土地の精霊がそれに観応して、五穀の花を立派に
       実らせるという信仰。

         中央の釜には湯がたぎっている(湯立〈ゆだて〉という)、その周辺を
             廻るのだが、その人々の中心に山伏姿の「※ミョウド」というものが
             おって、「花の壮厳(唱事・
唱文の意)」という文句を唱える。
  
    ※ミョウド・・・山人で、山から群行してきて杖をついて来て、山へ去る
            時にその杖を地面に刺して帰る。その杖から根が生える
            と「花の壮厳」の効果が生じて村の農業生活が豊かに
            なるとし、生じないと効力がないと信じた。

  この杖は普通、根のある杖をついて来る。桑などは根が無くてもよく根付く。
  杖は梢を下にさかさまについて来る。こうする杖を又杖(マタブリ)という。
  つまり、花育ての花杖であり、「杖」をもって祝福の効果があるかどうをを
  試みる。杖の先に花が咲くとしているのである。
  
効果が現れる事・・・「ホ」が現れる、「ウラ」が現れるともいう。
「花枝」・・・今年の穂の花を予め祝福するためのもの
「花祭」・・・「花」は穂の花の象徴

≪平安期≫

【ヤスラエ花(鎮花祭)の神事】
  奈良県大神(おおみわ)神社HPは→ こちら
   
 参考ブログ「やすらへ、花や」~山の手事情社の道成寺~) 
   
 陰暦3月の落花の時期に行われる。桜の花が散ると疫神がそれに乗じて
   病を流行させ、稲の実りも未熟に終わると信じた。
 それで、花よ散るな―
「やすらへ花や」と囃子詞を繰り返すのである。

このような「予祝い行事」は平安期には盛んに各社で行われていた。
・元は、桜町中納言が泰山府君(たいざんぶくん)―人の命を司る中国山東省
 泰山の神―に、桜の寿命延長祈願をした(「源氏盛衰記」・巻二)ことの本義。

名古屋市熱田神宮の花の撓(とう)神事
      
熱田神宮正式HPは→こちら、踏歌神事は→こちら
       成人したての者が花を献じる頭人の行事(滋賀県村落で現行)
       などと同様の稲がよく稔れとの豊作呪術なのである。
            春の花のもちのよいことで、稲の花の稔りの多いことを示すもの
          として予
祝いする。

 ≪池坊の「立花」の起こり≫
  「江家次第」の追儺の条に「七夕祭りにある」とある。

「盆花」・・・七月十一日
   
家ごとに山へ出かけて「盆花」をとってくる。
   それに乗って祖霊である精霊は家に来り臨む。つまり、
   家いえの神・精霊を迎えとるものが花なのであり、ひいては精霊・
   神の憑代(よりしろ)の信仰を保ち得ているものを、「ハナ」と呼んでいる。
  

 

 

  『日本民族語大辞典』文学博士石上堅:著(桜楓社)参照

 

 ≪参考リンク集≫

「民族行事」様より→ 4月「春祭り」「鏡の餅搗き歌」など 

参考youtube→ 播磨暮らし探訪30 頭人行事(八朔祭)

「信州の伝承文化 長野県無形民族文化財」様HP
        →武水別神社の頭人行事(国選択無形民俗文化財)

 

 

 

 

 

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