のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

『北欧モダン』展

2007-10-09 | 展覧会
『北欧モダン デザイン&クラフト 』京都市美術館 へ行ってまいりました。

いや、たいへん面白うございましたねえ。
京都市美術館で実用的な家具調度の展示というのは、なかなかに異例の企画でございます。
いったいあの空間に、モダンデザインの椅子や食器がどんなぐあいで並べられるのかしらん?と
いぶかりながらも大いに期待しておりました。
で、実際行ってみましたらこれがまあ、あつらえたように似合っておりました。
解説パネルや展示台なども、いつにもましてデザイン性に富んでおり
美術館、キュレーターの意気込みが伝わって来る展示でございました。
会場内の様子は↑のリンク先で見られます。やたらと大きい画像ではございますが。

展示品は椅子、食器、花器が多うございましたが、その他にも
おもちゃ、ポスター、文具、オーディオ機器、照明、トーベ・ヤンソンの原画からレバーハンドルにいたるまで
いろいろなものを見ることができます。
そのどれもが(北欧デザインについて語る際に必ず使われる言葉ではございますが)
シンプルでやさしく、実に温かみのあるデザインなんでございます。
とりわけ椅子たちのデザインは、人体を包み込むようなフォルムでありつつも、のびのびと外界へ広がって行き
内へと向うベクトルと外へと向うベクトルが不思議なバランスを保っているようで、印象深いものでございました。



こうして実際の「もの」を目の前にしますと、解説パネルの
「モダン・デザインの究極的な使命は”便利さ・清潔感=豊かさ”の観点で
 あらゆる人々の生活を改善することだったのに対し、
 北欧モダンは”優しさ・安らぎ=豊かさ”の観点がその底流にある」
という主旨の一文が、いっそうの説得力を持って響きます。

ひとつ困ったのは、展示品に触りたくなってしまうという事。
椅子にせよ食器にせよ、その素材感が、曲線が、量感が「触ってください、さあさあ」と呼びかけて来るんでございますよ。
最後のコーナーで、黒クマのようなかたちの椅子にお目にかかった時なんぞは
監視員さんの足下に身を投げ出して懇願しとうございましたとも。
どうかお願いです、ちょっとでいいからナデナデさせてくださいまし、と。

のろはあんまり物欲が強い方ではない(と思う)のでございますが
本展ではむやみに「これ欲しいなあ」と心中でつぶやいておりました。
だもんですから、ショップで散財してしまうやも、と危ぶみましたが、幸いそうはなりませんでした。
グッズのほとんどがTシャツで、あとはムーミンものがちらほら、というぐらいのものでございましたから。
スナフキンのフローティングペンには正直、心魅かれましたけれども
「スナフキングッズを所持するのはスナフキンの精神に反している」という日頃の信条を思い出し、踏みとどまりました。

ともあれ。
普段はあまり美術館に行かないという方にも楽しめる内容でございましたし
京都市美術館に行きつけの方には、いつもと違う顔が見られていっそう楽しめることでしょう。
会期は今月の21日まで。
ぜひともお運びくださいませ。



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