のろや

善男善女の皆様方、美術館へ行こうではありませんか。

今年の一冊

2005-12-31 | 
昨夜は2005年の映画見納めをして参りました。
大阪
ナナゲイ
『ノミ・ソング』
また。
ええ。
馬鹿です。
ほっといてくださいまし。

さておき。
本日はサー・アンソニー・ホプキンスのお誕生日です。(1937年)
アンソニー・ホプキンスといえば、そう、レクター博士ですね。
しかし『日の名残り』で演じた執事スティーヴンスもそれはそれは素晴らしく
もし『羊たちの沈黙』がなかったならば、こちらが彼の代表作となっていたことでしょう。
スティーヴンスは英国の由緒あるお屋敷に滅私奉公する、たいへん有能な執事ですが
原作者カズオ・イシグロはこのキャラクターを創造する際に
P.G.ウッドハウスの筆による「ジーヴズ」シリーズを参考にしたといいます。
「神のごとき従僕」ジーヴズと、(いちおう)主人である超お人好しぼんぼん、バーティ君が繰り広げる・・・
というよりも
バーティ君が繰り広げてしまったトラブルに、ジーヴズが周到かつ鮮やかな手並みで収拾をつける
というお話です。たまにジーヴズ本人がトラブルの下手人であったりもしますが。
ジーヴズは英語圏では有名人らしく、オックスフォード英語辞典にもちゃんと名前が載っています。
「jeeveslike」、即ち ジーヴズっぽい という言い回しさえあるそうな。
『日の名残り』は格調高い中にもユーモアの漂う傑作ですが、「ジーヴズ』は格調もへったくれもなく大笑いできる作品です。もちろん読む人によりけりでしょうが、のろは もーお腹をかかえて大爆笑 でした。
本を読んでこんなに笑ったのは、内田百鬼園先生の随筆以来でした。
のろにこの本を教えてくだすった知人に多いに感謝する次第です。
というわけで
のろの「今年の一冊」は
『ジーヴズの事件簿』なのでありました。


ティトゥスといえば

2005-12-30 | 展覧会
本日は第10代ローマ皇帝ティトゥスさんのお誕生日だそうで。(西暦41年)
ティトゥスさんがどんなお人であったかは
http://www.geocities.jp/yumeututuyakata/

↑こちらのサイトさんの「ローマ皇帝変人史」を御参照あれ。
それにしても素敵なタイトルですね。変人史。
ああやはり 奇人変人を愛する人は世の中にいるのだなあと思うと
なんだか勇気がわいてきます。
さておき。
ティトゥスといえば
やはりレンブラントですね。
彼は成人した唯一の息子、ティトゥスの肖像を沢山描いています。
成長記録を残すかのように慈しみをこめて。
その一枚が今、神戸に来ています。
兵庫県立美術館にて1/15まで開催中の、『アムステルダム国立美術館展』です。
ひたすらフェルメールで売っている感がありますが、全体的に素晴らしい展覧会でした。
展示されている日用品からも、絵画作品からも、また絵画に描かれたものものからも、
まさに黄金時代のオランダの誇りと輝きが感じられました。
また全ての展示品につけられている解説文(図版からの抜粋)は、鑑賞ガイドともなり、当時の風俗を理解する手助けにもなり、大変結構でした。
で ティトゥスです。
数年前に京都で開催された『大レンブラント展』にも数枚来ていましたが
ティトゥスの絵はどれも 何か 他の作品とは異なる、独特の雰囲気を放っておりました。
展示室に入って全体をざっと見渡した時、「おや、あそこに何か違う絵があるぞ」という感じで心にひっかかって来るのです。
この度はティトゥス像が来ているとは知らなかったのですが
振り向いた瞬間に「修道士の扮装をした息子ティトゥス」が目に飛び込んできて、のろはまさしく固まってしまいました。
内心叫びました。「おお、こんな所であなたに出会おうとは!!」
フェルメールは素晴らしかった、フランス・ハルスもすごかった。
しかし思いかけぬティトゥス像との出会いの前に、何もかもふっとんでしまいました。

兵庫県立美術館、1/4から開いています。
美術好きもそうでない方も、ぜひ足を運ばれたし。



ノミ話1

2005-12-29 | KLAUS NOMI
昨夜は大阪のミニシアター第七藝術劇場へ遠征して『ノミ・ソング』を観て参りました。
前に一回観たけれども。
DVDも持っているけれども。
のろの嫌いなレイトショーだけれども。
普段はレイトショーと聞くだけで行く気の失せるのろですが、ノミさんとあらば話は別です。

『ノミ・ソング』はクラウス・ノミというアーティストの伝記ドキュメンタリー映画です。
ノミさんがいかにスバラシイかを ふたこと みこと で語るのはとうてい不可能であります。
その姿をひと目に見たならば
ある人はコワイよと言い、またある人はキモイよと言い、またある人は絶句いたします。
友人には「奇人中の奇人」と評され
フランスでは堂々「今年度の火星人」の称号を賜り
写真家をして「両性具有性に魅かれた。男か女かというより、人間かどうかという点に」と言わしめるお方です。
のろはといえばそのお姿を見た瞬間、あまりのかわいらしさに打ちのめされた次第。
しかしその奇妙キテレツな仮面の下には
いい知れぬ真摯さと必死さと深い孤独があるのです。
とりあえず この場で多くは語りますまい。
危篤にもノミさんに興味を持たれた方は以下を御参照あれ。

http://www.thenomisong.com/
http://www.elephant-picture.jp/nomi/
http://perso.wanadoo.fr/klaus.nomi/
http://www.unosunosyunosceros.com/tRibuTO/Nomi.swf

一番下のはflashです。かわいいです。あちこちクリックしてあげて下さい。


映画の誕生日

2005-12-28 | 映画
本日は映画の誕生日です。
時は1895年
所はパリのグラン・カフェ
写真関係機材屋さんのリュミエール兄弟が
自作の映写機で、工場の出口を行き来する人々の映像をスクリーンに映し出したのが、世界初の映画上映というわけです。
もちろん、こうした技術がそれまで皆無だったというわけではなく、観客を集めてお金を取り、大スクリーンでの映像を饗するという、現在の映画上映と同じスタイルがこのとき初めて採られたことから、この日をもって映画生誕の日とされているのだそうです。

ともあれ
リュミエール兄弟は「映画の父」と呼ばれておりますが、この称号を戴く人というのがもう2人ばかりおりまして、1人は言わずと知れたトーマスくん。いやエジソン。もう一人はD・W・グリフィス。
リュミエールさんやエジソンさんが技術面でのお父さんだとすると、グリフィスさんは表現面でのお父さんなのであって、映画の創世記に様々な映画技法や長編大作を生み出しうんぬんかんぬん
ということは置いといて、この人について知りたい方はとりあえず彼の作品『イントレランス(不寛容)』を観ましょう。すごいですよ。面白いですよ。
白黒無声映画なんて嫌じゃという方は『グッドモーニング・バビロン!」を観ましょう。
これは、バビロンに派遣されたマシンガントークのDJの話 ではありません、決して。
『イントレランス』製作の裏話といった趣の、映画愛に満ちあふれた作品です。
グリフィスを演じるのはチャールズ・ダンスという英国の俳優さんです。(どこぞで見かけたグリフィスの伝記漫画、グリフィスの顔が、どう見てもチャールズ・ダンスなのが笑えました)『ゴールデン・チャイルド』での悪魔か『エイリアン3』の医師役が有名でしょうか。TVシリーズでオペラ座の怪人を演じたこともあります。かと思えばデニス・ホッパー主演の低予算バカSF『スペース・トラッカー』では、もう超アホアホな役をやっております。素敵です。
若い頃のグレタ・スカッキも出ています。きれいです。『推定無罪』ではファム・ファタル的な美貌を見せた彼女、今年公開された『ビヨンドTHEシー』ではもうすっかりおばちゃんになっておりまして、わたくしはファンでもないのに軽くショックでした。

ともあれ
映画の誕生日です。
110歳おめでとう。
わたくしもうれしいよ。