バラの棘に助けられる

夕方、家が揺れるのをリビングにいた家族3人が皆感じた。台風の風が急に強くなったようだ。
それから1時間くらい後に、少し風が収まったかなと、恐る恐る玄関のドアを開けてみた。すると、玄関先に停めてあった自転車が、玄関の階段にかろうじて支えられる様に倒れていた。そして、すっぽりと掛けてあった雨よけのカバーが完全に自転車から外れている。しかし、強風をまともに受けて激しくなびいているカバーは、自転車の横に留まっている。
雨はほとんどやんでいた。
私は玄関から外に出て、自転車を起こし、カバーを拾い上げようとした。
しかし、カバーが何かに引っかかって動かせないのである。見ると、そばに置いてあった鉢植えのバラの棘に引っかかって、強風に揺らされながらも、かろうじて飛ばされないで留まっているのだ。

そのバラの鉢は、3年前に娘が大学入学した時に、市から頂いていたものである。
小さなバラの棘が、しっかりと大きな自転車カバーを掴んで飛ばされない様に頑張ってくれていたのだ。

あんな小さな棘なのにすごいグリップ力だ！
ありがとう。バラの棘にお礼を言いたい。
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