東京新聞ウェブ版2018年4月26日
朝刊二〇一七年に全国の公証人が作成した「公正証書遺言」の件数が十一万百九十一件に上り、〇七年の一・五倍に増えたことが分かった。家庭裁判所が記載内容を確認した一七年の「自筆証書遺言」の件数も一・三倍に増加した。「終活」への関心の高まりや自分の死後のトラブルを避けるため、遺産の相続先などを書き残す人が増えているとみられる。
日本公証人連合会(東京)によると、一七年に作成された公正証書遺言は前々年の十一万七百七十八件に次ぎ、統計を取り始めた一九八九年以降で二番目に多かった。八九年は年間四万件ほどだったが、一四年に初めて十万件を超え、以後は高水準で推移している。
全国の家裁による一七年の自筆証書遺言の検認件数は、最高裁の速報値で一万七千三百九十四件。〇七年は一万三千三百九件だった。一件当たり数万円かかる公正証書遺言に対し、紙と筆記具があれば無料で作れるため、作成者が年々増えて一九八五年以降で最多になった。
ただ、民法は自筆証書遺言について全文を本人が自筆するよう定めており、要件を満たさなければ内容が無効になる。病床の高齢者への負担などから「厳しすぎる」との指摘があり、政府は相続財産の目録に限ってパソコンでの印字を認める改正法案を開会中の国会に提出している。厚生労働省の推計では、一七年の年間死者数は前年を約三万六千人上回る百三十四万四千人になる見込み。