超進化アンチテーゼ

悲しい夜の向こう側へ

THE NOVEMBERS「Moire.2」@Mt.RAINIER HALL SHIBUYA PLEASURE PLEASURE 12.6.15

2012-06-17 15:01:46 | ライブレポ





一昨日の夜、THE NOVEMBERSの企画ライブを観に渋谷まで行って来ました。





今年から始まった「Moire.」シリーズの第二弾です。
前回に続いて今回もほぼMCなし&棒立ち観のバンドを招いて敢行、と
その徹底された世界観の保ち方にも驚きつつ(笑)、
今回のノベンバも・・・非常に良いノベンバでした。またもや衝撃を受けてしまいました。
音楽って単なる娯楽と思われがちですけど、実際思想や行動にも微影響があったりして
最後の「holy」をじっくりと聴いてたら、
いつの間にか失っていた素直な気持ちや純粋さが蘇って来た様な気がして・・・
有り体に言えば、救われましたね。何かちょっとハコから出た瞬間自分の意識が変わったような気がしました。
ありがとうTHE NOVEMBERS、初見のLillies and Remainsも独特の雰囲気で格好良かったです。
どこら辺が独特だったかというと、全く「抑揚」って概念を無視したサウンドや
ひたすらクールに徹してる佇まいでそれが異様でもあり、入り口は狭いなとも感じましたが
それでも存在感は確かにあって、格好の良いバンドだったと思います。惜しむらくは一曲も知らないので
微妙にどこでのればいいのかが最後まで分からずじまいだったことですかね。
最近は予習をする時間すらないので
次また見る機会があればしっかり予習していきたいところです。






今回も前回のライブと同じ全11曲、実は対バンとほぼ同じ曲数だと思うので
自主企画でありながら結構ガチな時間設定ではあるんですけど
それでも全然満足出来るっていうか
最終的には大きなカタルシスを得る事が出来るのがノベンバのライブの良さでもあって・・・
勿論セトリが違っていると言うのもありますけど、最終的な要因は
本当に聴き手に作用する気持ちでやってるというか
同じ曲でも感触がまるで違かったりするので。

例えば「小声は此岸に響いて」の場合だったら、AXの時は半分ポストロック的な気持ち良さがあったんですけど
今回はそういうロック的な感触っていうよりも、温かい毛布のような包容感に満ちていて
「二ールの灰に」なんかはもうガチで叫び始めてて、
「永遠の複製」もいつも以上に・・・いつも以上にって形容は割かしよく使ってるんですけど
でもいつも以上にって言葉よりも、もう一種の進化ってくらい汚く叫び散らかしたボーカルが刺激的で。
「笑顔の天使が×描いてる」の部分ですね。まるで獣のような咆哮でした(笑)。
実際そうやって微妙にマイナーチェンジを試みてるのかは未知数ですけど
定番の曲でも聴く度に表情を変えてるから
よっぽど常日頃研鑽に明け暮れてるんだなあ・・・とかその努力が伝わって来る音で
逆にヒーリング的な感触があった「Keep me keep me keep me」がポストロックっぽいアプローチ、
バラッドなのにアンサンブルは若干の軽快さを感じる事が出来たりと
思った以上に静かに盛り上がる感触で
そこも如実に数年前より進化していて嬉しかったパートの一つ、ですね。
この1ヶ月の間に3度ほど観てるんですが、全くと言っていいほどに同じようなライブがなくて・・・

この日の趣向を考えてみるに、
dipのカバーから始まってミディアム/バラッドの後にどんどんアップナンバーが来るって流れだったので
最初はか細かった生命が徐々に徐々に光を取り戻していくような、そういう
「宿っていく感覚」を体験出来たのが何より面白い
ノベンバのライブは何度も観てますけど、
ここまで極端な流れは珍しかったのでその意味でも実に新鮮でした。
洗練された印象の「小声~」「keep me~」で場の空気をイノセントに染め上げた後に
「永遠の複製」「二―ルの灰に」で思いっきり神聖な空気を野蛮な咆哮でぐしゃっと汚してみせる
正に美しさと醜さの表裏一体っていう本質的な人間らしさを体感する事が出来て
その意味でも嬉しかった公演、
最後の「終わらない境界」はまるで蛍の群れのように繊細な情感を力強く奏でる面々
一見静かなように思えて実は芯の強いアンサンブルの求心力は凄まじいフィナーレ感を演出していて
この曲ははっきりとAXの時よりも如実に進化してるなあ・・・と感じる事が出来て大きな収穫の一つでしたね。
聴いてみれば、この曲もまた終わりの曲には相応しく、また自ら面白い場所を作るっていう
そういう企画コンセプトにも合ってる詞になっていて、そこも素敵だと思えて。
静かな曲でも普通に魅せれるって言うのは大きな成長だと思いますね。


ただ、「彼岸で散る青」も感情の放射が素晴らしく凄まじくイントロもアウトロの張り詰めた感触も
何もかも良いって言える程度のハイライトな熱演であった事は間違いないんですけど
一番良かったのはやっぱり「holy」でした。
一番最初に下北沢で聴いた時からこの曲を聴いて感動しなかった夜は、ありません。
だけど、この夜の「holy」は他の夜とはまた違う、全く違った感触と言ってもいいくらいに違くて
それは演奏云々よりも聴いてる自分のテンションによるものだとも思うんですけど・・・。

アンコールの最後に演奏されるって事でいつもよりも気合を入れて聴いてたら
本当にバンドの信条そのもののような曲に思えたんです。
嫌いな言葉を繰り返し聴く。
素敵な言葉を繰り返し聴く。
美の裏にある醜、醜の裏にある美、
要するに醜い、自分にとって嫌いな言葉があるから、美しい言葉にも反応出来るって詞だと思ってるんですけど
それを会場で聴いて改めて理解した時目から鱗みたいな気持ちになったんですよね。
「選ぶか選ばないかだけ」、本当にその通りだよなって。
その演奏を聴いた後に会場を出てみると・・・
やっぱり気持ちの向き方や純度って全然違ってるように思えたんですよね。
如実に感情に作用する一種の音楽体験ってやつだとは感じつつ、それが何よりも嬉しくて
意識の中に水を撒いてくれたような感覚で、真面目にこの公演に行って良かったと真剣に思えて。

ある意味大げさな文章だとは思いますけど、
本音なんだから仕方がない。
誰の為でもなく、自分の為に、自分が書きたいが為に残している文章ですけど
それでも誰か一人でもいいからこの感動が届くといいな、と思いつつ。
間違いなく過去最高の「holy」でした。ありがとう。






1.human flow
2.Misstopia
3.小声は此岸に響いて
4.keep me keep me keep me
5.はじまりの教会
6.永遠の複製
7.ニールの灰に
8.dysphoria
9.彼岸で散る青
10.終わらない境界
encore
11.holy





正直、リリーズを観ていた時はどこで盛り上がればいいのか、って
やや戸惑ってたんですけど
その後ノベンバのライブを観てたらその戸惑いも完全に解消されて個人的に名演だったと
渾身の一夜だと思ってた前回のモアレに匹敵するくらいの好ライブに仕上がってて
前のバンドの曲を全く知らずに見方にも戸惑ってるって流れから
完全に自分達の世界を純度たっぷりに染め上げることの出来る、完全に確立された「ノベンバ感」、
その凄みを体験出来たような深い深い一夜でした。

これもまた正直な話、前回が凄く良かったし来月はワンマンなので
恐らく箸休め的な公演かなあって思ったりもしたんですが
観終えてみると、これまた彼らの歴史に残っていくような素晴らしいライブに仕上がっていて(笑)。
特に何度も書いてる様に最後の「holy」は本当に大切なワンアクトして記憶に残っていくかと。
恐れ入りました。最高に楽しかったです!


来月は遂に8ヶ月ぶりのワンマン!って事でそちらも否応なく楽しみ。新曲聴けると嬉しいな。





最新の画像もっと見る

コメントを投稿