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アフリカ・プロモーター、ンボテ★飯村がお送りする100%アフリカ仏族ぶらぶらトーク!

フランス・アフリカサミット(3)~Gendarmerie de l'Afrique?(アフリカの憲兵部隊?)'

2013-12-12 07:30:55 | アフリカ情勢
12/6-7まで開催されたアフリカ・フランスサミット(「エリゼサミット」)。ンボテ・ブログでも第一話 サミット全容第二話 新植民地主義?のタイトルでお送りしてきた。

今日は第三話。フランス・アフリカサミットに際して、ンボテがみる第二のポイントを、'Gendarmerie de l'Afrique?(アフリカの憲兵部隊?)'のタイトルでお送りしたい。

(ズバリこんな本も出ている。ンボテ既読。)



9日、ヨハネスブルクで行われたマンデラ氏追悼式典参加の帰路、オランド大統領は中央アフリカ、バンギを電撃訪問した。時折しも、サンガリ作戦開始からわずか数日、前日に2名の仏兵士が殉死した直後だった。

オランド大統領は今年の2月2日、渦中のマリ北部、トンブクトゥを電撃訪問している。成果はともあれ、このフットワークとアピールは圧巻である。


フランスは歴史的にアフリカとの間で、支配と影響力行使を基礎とした関係(paternalisme)を築いてきた。繰り返し述べてきたように、Françafriqueと呼ばれる特別な関係を持ち、また仏軍がアフリカ諸国の秩序と体制を維持する体制は、'Gendarmerie de l'Afrique(アフリカの憲兵部隊')と揶揄されることもあった。

フランスがアフリカの不幸の歴史シナリオを作り、塗りかえてきた。アフリカ人はフランスの前に翻弄されてきた。一面、もっともな批判だ。ではフランスは招かざる客か?


12月4日の仏紙ル・モンドには、今回のサミットに際して、マリのイブラヒマ・ブバカル・ケイタ大統領のインタビューが掲載されている。この中のやりとり。

(ル・モンド)大統領、エリゼサミット出席のために訪仏されているが、これはフランスの新植民地主義(néocolonialisme)の権化とは思わないか?

(ケイタ大統領)もしそう考えるなら私はここに来ていないし、30年来の関係であるオランド大統領にそのような意図があるとは思わない。アフリカに国際社会が懸念する重大な治安上の問題が生じた際、フランスは使命として行動をとっている。旧態依然とした家父長主義(paternalisme)や新植民地主義を掲げる余地は、今日もはやない。


2000年代、2度にわたってチャドのンジャメナが陥落しそうになった時。2000年代を通じたコートジボワール危機。2012年に中央アフリカのボジゼ大統領が包囲された時。2013年のマリへのサーバル作戦。最後にアフリカの権力者がすがろうとしたのは、あるいは無秩序の中で物理的に事態を収拾したのは、他ならぬ、フランスだ。


ンボテのお世話になっている人に、とある国際機関の長をつとめた方がいる(仮にマダムと言っておこう )。先日、サヘル情勢に関する状況説明をした際、こうおっしゃられた。

「紛争に際してはいろんな国や国際機関が、いろんなことを言います。しかし自らの判断で、単独でも実力を行使できるのは、アメリカ以外にはフランスしかいないのよ。」

「日本人はアメリカと国連が万能だと思っているけれど、アメリカは知らないのよ。アフリカを。特に西アフリカは。いま、フランスの動きはどうなっていますか?」

実に現地情勢のポイントを捉えたマダムのコメントだった。


現実にマリや中央アフリカのように、フランスが引きたくても引けない現場がある。国際社会と連帯しようにも、孤独な戦いを強いられる地域もある。砂漠の果てや、闇の奥で戦う術を知っているのは、唯一フランスだけなのだ。


そして我々日本とフランスの大きな違い。影響力の凋落だの、国力の弱体化だの言われても、アメリカにタテをつき、独自の主張をし、単独でも実力を行使する。フランスは未だ世界の超大国(Grande Puissance)なのである。




編集後記:
ちなみにンボテはフランスが好きでも嫌いでもない。正確に言うと、ンボテのキャラクター・コンセプトは、フランスが嫌いだけど憧れてしまうアフリカ人(→こちらの記事)。仏語圏に身を置くと、フランスの大きな存在を認めずにはいられない。

(おわり)

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