院長のへんちき論(豊橋の心療内科より)

毎日、話題が跳びます。テーマは哲学から女性アイドルまで拡散します。たまにはキツいことを言うかもしれません。

技能教育は若年から始めるほどよい

2011-06-05 08:09:24 | Weblog
 「高校生レストラン」というTVドラマに人気があるらしい。私はドラマは好まないので、あまり熱心な視聴者ではないが、モデルになった高校が実際に存在することは随分前から知っていた。

 番組でも紹介されているように、この高校は三重県に実在する。「調理科」だったか「食物科」だったか名称は忘れたけれども、とにかく調理を教える科である。高校にこの科が発足したことは東海三県の住人ならほとんどの人が知っている。

 私はこの科ができたとき、コロンブスの卵みたいだなと思った。あって当然の科なのに、思いつかなかった。

 高校生役の出演者は、男子も女子もみな白い帽子が可愛らしい。ひたむきに調理の勉強をしている。

 ある板前から聞いたことがある。ちゃんとした職人になるためには、中学を出てすぐに修行をしなければならない。技術もそうだが、味覚の修練が高校を卒業してからでは遅いのだそうである。

 鉄は熱いうちに打てという。自動車教習所の職員から聞いたことだが、ストレートで教習所を卒業する(つまり、一回も落ちない)人は、19歳までで20歳以上では皆無だという。

 だから、本物の職人になるためには、あの板前が言ったように高校を出てからでは遅いのだ。

 考えてみれば、我が国には工業高校、商業高校、農業高校などがある。これらの高校でも、元は若いうちに人材を育てようと創立されたものだろう。ところが現在では建学の精神が忘れられて、まるで普通科に行けない子たちが行く高校のようにさえ一部で思われている。そのような事態は誰の得にもならない。

 これまたTVドラマだが「アスコーマーチ」という工業高校を舞台にした番組が人気である。工業高校で行う実習風景をドラマで初めて見た。この齢から旋盤やフライス盤を練習すれば、将来かなり腕のいい職人になれるだろう。(この就職難の中でも、旋盤などの技術をもっている患者さんは、すぐに就職できる。)

 アメリカでは医学部に入るのに、まず普通の大学を出なくてはならない。医者たるもの、あらかじめ社会的能力を身につけ、一定の教養がなくてはならないと言うけれども、屁理屈である。医者は教養がどうのと言う前に、まずもって優れた職人でなくてはならない。

 そのためには、アメリカは医学教育のスタートが遅すぎるのだ。さぞかしアメリカの医者は手術が下手だろう。医学知識も日本の医者に及ばないだろう。

 極論すれば、高校に医学科を作ってもよいくらいだ。技能は若いうちから修行するのが良い。看護科という科がある高校があった。そこに3年間行くと、高卒後さらに3年間行かなければならない看護学校が2年間ですむという制度だった。

 ドラマを好まないなぞと言いながら、TVドラマから影響を受けた記述が少なくなく恐縮である。

 アメリカの医学教育については、2006-10-08 のこのブログの記事ですでに批判しておいた。

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