アラバスタを発とうとする麦わらの一味あてに電電虫が入った。相手は「ボンちゃん」
海の上で友情を確かめ合い、アラバスタでは敵としてサンジと死闘を繰り広げた、あの白鳥のおかま、Mr.2ことボン・クレーであった。
用件はゴーイング・メリー号をサンドラ河上流で預かっている、とのことだった。船を取られてるい以上、行かねばならない。旅発ちの準備をする麦わらの一味に、ビビが声をかけた。
「・・・ねぇみんな・・・私、どうしたらいい・・・・?」
ナミはビビに12時間の猶予を与えた。
「今夜王宮を発って、サンドラ河で船を奪い返したら、明日の昼12時ちょうどに「東の港」に1度だけ船をよせる。その一瞬だけが船に乗るチャンス。その時は歓迎するわ、海賊だけどね!!」
みんな、ビビと一緒に旅を続けたい気持ちはやまやまだが、なにせビビは一国の王女。これが、一味に出来る精一杯の勧誘だった。
静まり返った大部屋で、ビビはカルーと二人で横になっていた。
「静かね・・・カルー。ここには冷蔵庫荒らしと格闘するコックさんも、夜な夜なトレーニングする剣士も、寝ぼけて枕を投げてくる航海士も・・・誰もいない。自分が海賊になるなんて・・・考えたこともなかった・・・そんな人生の選択なんて、この機を逃したらもう一生あり得ない。王女をつまらないと思ったこともないし、国はまだ大変な時期・・・ねぇカルー・・あなたはどうしたい?」
ビビが悩んでいる頃、超カルガモ隊にサンドラ河まで送ってもらっていたナミも悩み、落ち込んでいた。
男達は、ナミとビビの友情を思い、そっとナミを励ますしかなかった。
暫くしてナミは諦めがついたように顔をあげた。「私・・・諦める・・・ビビの為だもんね・・・10億ベリー」
ナミが諦めきれなかったのは、10億ベリーであって、ビビの思いはナミはよくわかっていた。
夜のうちにルフィ達は、サンドラ河上流のゴーイング・メリー号に到着した。電電虫で言っていた通り、メリー号はボン・クレーが確保していた。ボンちゃんは、海軍がメリー号を奪うのを阻止し、守ってくれていたと言う。
「なぜ!!」と尋ねる麦わらの一味に、ボンちゃんは「なぜなら!!!友達だから!!!」と答えた。
この感動的な言葉を聞いたルフィ、ウソップ、チョッパーは再びボンちゃんと熱い友情を確かめ合った。
冷静なゾロ、サンジ、ナミは、ボン・クレーが海軍の海岸包囲網によって島を出れずに困り、味方を増やそうとしている事を見抜いていた。
アラバスタの港町ナノハナでは、「黒檻のヒナ大佐」が海軍によるアラバスタの全港の封鎖を指揮していた。
そこには、ヒナ大佐の命で、たった二人で敵艦陥落の仕事をおえた「海軍本部三等兵・寝返りのジャンゴ」と「海軍本部三等兵・両鉄拳のフルボディ」もいた。
ジャンゴは、ウソップの故郷を襲った黒ネコ海賊団の一員としてルフィと戦って負けており、フルボディは、サンジの働いていたレストランの客として一味にやられた経験がある。
扉絵でしか見ないうちに二人はすっかり意気投合し、海軍兵士となってその実力をメキメキと挙げていた。
二人は、"麦わら"の名を聞くと、闘志が沸き立つのを覚えた。
これより、麦わら海賊団とボン・クレー率いるスワン船は、ヒナ大佐率いる海軍本部と激突する。
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