ワポルの事を知っているというウソップとビビの話に、ドルトンは驚いた。
ワポル達が海賊となって、「ドラム島」に帰ろうとして近くの海を彷徨っていること、そして、ビビがポロリと言った「私、子供の頃に父に連れられて行った『王達の会議』で、一度彼と会っているもの」とのセリフにも驚いた。
ドルトンは、ビビの顔をどこかで見たことがある気がしていた。
ビビが、国が滅んだのに国王が健在で、海賊になっている事が理解できないと言うので、ドルトンは記憶の中の悔しさを噛み殺して、説明を続けた。
「5人の海賊が襲ってきた・・・あの時・・海賊の強さを知ったとたん、国王の軍勢は戦おうともせず、あっさり国を捨て・・・!!!誰よりも早く、国王は海へ逃げ出したのだ!!!」
あれには国中が失望した・・・とのドルトンの言葉を、ビビの激怒がかき消した。
「それが一国の王のやることなの!!?」
国王の娘として父王の姿を見てきたビビは、そんな国民を無視した国王の在り方に我慢ならなかったのだ。
ドルトンは穏やかに、そして力強く言った。
「だが、とにかくワポルの悪政は終わった。この島は残った国民達のもので、今は団結して新しい国を作ろうとしている。この島に新しく平和な国を築くために・・・、ワポルの帰還、王政の復古だけは避けなければならん!!」
国王の政治を悪政と呼び、国が滅び、国民の手で新しい国が出来ていく話しを、ビビは何を思って聞いただろうか。
その時、村の人が「ドクターくれは」が隣村に降りてきている事を知らせてくれた。これには3人はショックを受けた。重病のナミを連れて山を登る必要がなかったのだ!!!
隣町「ココアウィード」では、子供の泣き声を聞きつけた「マスターオブ医者Dr.くれは」が愛犬ならぬ愛トナカイの「トニー・トニー・チョッパー」を連れて殴りこんできた。
くれはは、子供相手に麻酔なしの切開手術とトナカイの角の注射という強制的で手荒い治療を終えると、ラム酒と食糧をありったけ、そして父親の経営する店の財産の50%を報酬として要求した。
居合わせた人々は、医者の地位をかさにきたぼったくりだと憤ったが、悔しいほど医術の腕は確かだった。命と財産をてんびんにかけられず、子どもの父親は財産を差し出した。
その頃、海では海賊となったワポル達が「ドラム島」を見つけて帰還に向っていることを、まだ、誰も知らない。
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