バロックワークスを倒し、全てが終わった後に残されたは友の遺体だけであった。
巨人のブロギーは大泣きした。その声の巨大さは小さなルフィ達の耳をつんざき、涙の量は滝の如しであった。
次の瞬間、その場にいた者全員の目玉が飛び出す程の驚いた。死んだはずのドリーが、むっくりと起き上がってきたのである。
100年続いた巨人同士の戦いに、さすがのエルパフの武器もつきあいきれず、刃先がボロボロに欠けていた為に、ドリーは致命傷とならずに気絶していたのだった。ブロギーは人目も憚らず、親友ドリーに抱き着いて泣いた・・・と思ったら、もうケンカしていた。
ルフィ達は、このケンカする程仲のいい二人が、楽しくてたまらなかった。
ドリーとブロギーとルフィ達はしばしの安息の中、賑やかに「せんべいパーティ」に興じていた。
だが一人ビビだけは沈みがちだった。「元はといえば自分のせい・・・」
そんなビビのほっぺを、ナミはギュッとつねって「そういう事は言わないの!!」とたしなめた。ビビは、決して責めもせず、何事もなかったのかように明るく振舞う一味の優しさに感謝した。
しかし、問題はある。次の島へのログを取るのに1年かかるということ。これでは、いつアラバスタ王国へ戻れるかも見当がつかない。一刻も早く、出来るなら寄り道なしで今すぐにでも駆けつけたい思いが足止めされ、空回りした。
そこへ、今回活躍一切なしのサンジがひょっこり現れ、巨人達の大きさと、服が燃えて下着姿となったナミに度肝を抜かれた。
活躍なしだと思われたサンジは、実は大変な働きをしていたことを、ビビ達は知る。
あの黒幕Mr.0と直接電話で話し、ルフィ達を死んだ事として追手を排除し、アラバスタ王国への『永久指針・エターナルポーズ』を入手していたのだ!!歓喜に沸く一味は、巨人達への挨拶もそこそこに大急ぎで出発の準備に取りかかった。
国の為とあっては引き留めることもできない。巨人の二人は、ルフィ達とここで別れることとした。
一味が出航する前に、ゾロとサンジがどちらの狩った獲物がデカイかの「狩り勝負」の話をしているのを聞いて、ドリーとブロギーも自分達の「狩り勝負」を思い出した。
ルフィ達が船に向かって走り去った後、二人は同じ事を考えていた。
自らの命を掛けて、我ら2人しいてはエルパフの”誇り”を守り抜いてくれた友が、礼の一つも受け取らずに帰ろうとしている。
ブロギーは大斧を取って立ち上がった。「友の船出だ」
ドリーも、大刀を取って立ち上がった。「ああ・・放ってはおけん。東の海には魔物がいる」
互いに、100年以上も毎日使い続けてきた大斧と、大刀に未練がないと言っては嘘になる。しかし、「あいつらのためならば、惜しくはない!!!」
二人の巨人は、ルフィ達の船より先回りして、東の海の岬に立ち、外海へ向かおうとするルフィ達に大きな声で呼びかけた。
「この島に来たチビ人間達が、次の島へたどり付けぬ最大の理由が、この先にある。お前らは、我らの誇りを守ってくれた。ならば我らとて・・・いかなる敵があろうとも、友の海賊旗は決して折らせぬ・・!!!我らを信じてまっすぐ進め!!!たとえ何が起ころうとも、まっすぐにだ!!!・・・・いつかまた会おう。必ず。」
ルフィは二人のただならぬ意気込みを感じて「わかった!!!まっすぐ進むっ!!!!」と答えた。
ルフィ達は、その直後に巨人の言葉の意味を知る。
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