むじな@金沢よろず批評ブログ

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蒋渭水めぐって両党総統候補がディベート

2007-07-12 00:22:14 | 台湾政治
7月9日、台北市で日本統治時代の抵抗運動家・蒋渭水の評価をめぐって、民進党の謝長廷総統候補、国民党の馬英九総統候補がディベートを行った。
テレビの中継で見たが、パソコン打ってのながらで注意して聞いていなかったのだが、最初に馬氏が話し、後で謝氏が話し、その後観衆から質疑応答となったようだが、こうしたディベートでは話術が巧みな謝氏が終始馬氏を圧倒していた。

大体、馬英九は話が下手すぎw。いっていることが試験勉強の一夜漬けみたいに暗記したような年代の叙述が主で、そんなもの総統候補のあんたがわざわざ言うことじゃないでしょと思い、退屈だった。

一方の謝氏は、わりと大雑把で哲学好きのところが反映されてか、主に台湾史全体の脈絡の中でとらえるという大局的な観点から切り込んだ。蒋渭水が国民党の秘密党員にもなって日本に抵抗したのは、日本という外来政権に対する台湾人の主体意識の現われであること、台湾民衆党の綱領では中国に対する共鳴よりもむしろ民本主義など近代精神が表れていること、さらに蒋渭水の子孫や同志の台湾民衆党関係者が国民党時代になってから粛清されたことからも、反外来政権という本質が示されていることを指摘した。

これに対する馬氏の主張と反論は、台湾史を根本的に理解していないようで、蒋渭水が国民党に共鳴していたことを強調したり、戦後の国民党の統治を外来支配とは認めなかったり、往生際や歯切れの悪さが目立った。

馬氏は台湾本土派から「蒋渭水の子孫が国民党に殺されていることから見ると、もし蒋渭水が戦後も生きていたら、国民党に抵抗していたのではないか」との質疑に対して、「歴史に仮定はない。蒋渭水は1931年になくなっている」と逃げをうち、子孫がみんな国民党に抵抗した問題については触れなかった。
そういえば、蒋渭水の長男だか、とにかく息子の一人は、数年前に台湾独立左派・史明の集会に出席していたことがある。だから、蒋渭水が生きていれば確実に国民党に抵抗して虐殺されていたはずで、これを単なる「仮定」だとして退ける馬英九はさすが盗人猛々しい国民党外来独裁政権の一員というべきだろう。こんな人間がぬけぬけと台湾総統候補に出てくるとは、本当に厚かましいというべきだろう。

また、謝氏に対しては、左派統一派の学者から「国民党と日本がいずれも同じ外来政権というのはおかしい、日本は異民族である」といういまどきトンチンカンな質問が出たが、謝氏は「国民党が外来政権だというのは、台湾に対してアイデンティファイせず、逆に台湾アイデンティティを台湾独立、労働者農民の立場に立つことを白色テロに迫害したことだ」と指摘、批判的な左派統一派の精神をくすぐりながら、統一派の謬論を制した。


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