むじな@金沢よろず批評ブログ

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SAPIOインタビューこそ李登輝氏の対中傾斜を証明するもの

2007-03-29 17:36:57 | 台湾政治
李登輝氏の親中派への転向は、SAPIOインタビューを読めば明らかなのだが、むしろ読んでもそれに気がつかない人が意外に多くて驚いている。

李登輝氏とともに親中への傾斜の気配が出てきている日本右翼系「台湾の声」
でも

>>2007/03/26-22:24 8400 「台湾の声」:李登輝氏は転向していない!ー黄昭堂・台独聯盟主席

>『SAPIO』(二月二十八日号)を読もう。李登輝氏の「転向」など、根も葉もないことであることがわかるはずだ。
>(永山英樹記)

それから本ブログに対するコメントでも

>Unknown (通りすがり)
>2007-03-27 19:55:35
>李登輝は転向したのだろうか?
>少なくとも、SAPIOを読む限りではそう思えないが。

何を寝ぼけたことをいっているのだろう?
壱週刊やTVBSはともかく、SAPIOを読めば、李登輝氏への対中傾斜は明らかだというのに、李登輝信者は李登輝崇拝のあまり目が曇りすぎて、正常な判断力もないようだ。

まさに、SAPIOを読めば転向は明らかである。

大体李登輝氏は「三通どころか、メディアも宗教も文化も含めて四通も五通のやればいい」と主張しているではないか?
この主張は、台湾主体性意識と反中感情がどんどん高まっている台湾においては「統一派の手先」と認定されるような暴言である。
ほかならぬ台湾の独立派の間では、この部分に対する違和感と反発が多いのである。
それとも、李登輝氏を「転向していない」などとする信者たちは、台湾も日本も中国からの観光客や資本や宗教や文化もどんどん受け入れてもいいとでも主張するのだろうか?
それこそ中国の膨張と覇権に手を貸す無謀な企てであることも分からないのか?

SAPIOの話に戻すと、李登輝氏は世界中が中国を非難した衛星破壊実験についても「それは中国が世界に誇る、威張るための手段の一つ」などとして弁護しているような口ぶりだし、ほかでも井沢が一所懸命中国批判の水を向けているのに、ぜんぜん乗ってこないどころか、今ひとつ歯切れが悪い。
以前なら井沢氏が水を向けなくても、率先して中国批判を展開していたはずである。

また、呉淑珍については、下半身不随で健康状態も良くないことはよく知られていることなのに、わざと仮病を言い立てて、法廷に出てこないかのような言い方をしている。
これは身障者を侮辱した言い草。キリスト者として信仰があるというのは聞いてあきれる。人間としても失格。
しかも呉氏が下半身不随になったのは、李登輝自身が副総統だった時代の出来事だというのに。
李登輝は総統時代に白色テロ事件の解明をしてきたのか?

しかも自分はキリスト者だから、信仰のない陳水扁よりマシだと自画自賛の主張を行っているが、新約聖書のいたるところに、聖書や信仰を持ち出しておごり高ぶってはならない、と指摘されている。
李登輝は聖書もまともに読んでいないらしい。キリスト者として失格。信仰は他人を攻撃するためにあるものではない。自らの修養と鍛錬のためのもの。信仰があるからといって他人の無信仰や異なる信仰を非難するのは、十字軍と同じ野蛮な発想だ。

それにもかかわらず、李登輝信者には、李登輝氏の明らかな転向発言、人格的にも問題がある部分にも、気がつかない。
「国家の正常化と正名、制憲を主張されているから、お変わりがない」などと強弁するが、だったら聞きたいが、李登輝氏が正名や制憲を主張しているというが、だったらどうして民進党政府が最近進めている正名を「選挙目的」などとして非難する発言をしたのか?(しかも今の時期は選挙とは最も関係がない)
しかも李登輝氏は正名や制憲も具体的なタイムテーブルや方法を提示していない。
具体論、戦略論がなければ、正名や制憲に関する李登輝氏の主張は単なる空論、空言に過ぎない。
口先だけ正名や制憲といったところで、一方では「台湾独立は意味がない」といっているのだから、うがった見方をすれば李登輝氏のいう正名とは「台湾」ではなく「大中華」、制憲は台湾国憲法ではなくて、「中華連邦憲法」のことかも知れないのだ。
台湾独立という目標を示さない「正名・制憲」は、中国からみれば忌避すべき話ではない。

これでは「口先だけでは独立よりのことをまだ言って信者をたぶらかしておいて、具体論では孔子の道訪問や中国観光客や資本の台湾誘致を主張し、中国に媚を売っている」と言われても反論できないだろう。

こうした李登輝信者の催眠状態、「李登輝先生がおっしゃることはすべて正しい」という心境は、まるでハンメルンの笛吹きが象徴している少年十字軍と同じ盲目、盲従である。

まあ、結果はどうせ今年中には分かるだろう。
李登輝が訪中するか、あるいは馬英九応援に立つか、いずれか、いずれもの現実に直面して、信者たちはどう釈明するのだろうか?

すでに「台湾の声」では、李登輝が訪中しても何も問題がないことのように「孔子諸国周遊の道と奥の細道は同じこと」と弁護しはじめているし、馬英九についてもこのブログで指摘したように、「台湾の声」ではすでに馬英九を「李登輝の台湾路線に最も近い人物」などと事実を歪曲して馬英九を賞賛するような記事も載せられている。

要するに、李登輝氏とその信者集団は、面子をつぶされてパニック状態となって、台湾の民意からますます遠ざかっているのである。
つまり、第二の許信良、あるいは古い譬えをすれば第二の馬璧というべきである。

また、一部国民党シンパの日本人は、「李登輝氏が馬英九氏に近づいているのは、台湾の民意が国民党優位、統一志向になっているからだ」などと主張しているが、それは台湾の最近の民意の趨勢をまったくわかっていないだけだろう。

台湾では若者を中心に、台湾の国名は中華民国ではなく台湾、台湾人は中国人とは違い、統一は将来的にも拒否、新憲法を制定すべきだという台湾主体意識がどんどん強まっているのである。

しかも馬英九氏と国民党の気勢は2月の汚職容疑での起訴をきっかけに大きく低迷しはじめている。国民党内部は王金平派と馬英九派の対立と矛盾が激しく、まとまらないだろう。
世論も国民党が最近の蒋介石擁護など古臭い思想に固執しているのを見て、国民党にあきれ返っている。
さらに、これは後で別項にしたいが、国民党統一派支持で香港・中国資本のTVBSがこのほど「独自ダネ」として放映した「ヤクザの脅迫」場面が、実は自社クルーが自作自演をしていたことが明らかになって大問題になっている。国民党や統一派の勢いは失速する一方だ。

それに対して、民進党は陳水扁総統のレームダック化は確定だが、2008年に向けた新たなリーダーが台頭してきて、先週土曜日24日には予備選挙候補者の公開弁論会も実施され、党勢は再び上向きになっている。

台湾世論の台湾独立傾斜、国民党の内部抗争と独裁時代賛美、統一派メディアの自爆などを見れば、2008年も民進党で間違いないといえるだろう。
そういえば、広告で見たところSAPIOはいまだに馬英九が本命だとにらんでいるようだが、SAPIOは李登輝信者と同じで、状況を的確に判断できないのだろう。

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