むじな@金沢よろず批評ブログ

台湾、国際情勢、アニメなどについて批評

台湾のメディアはここ数日日本の震災一色!日本人賞賛論広がる

2011-03-16 02:24:40 | 台湾その他の話題
東北・関東大震災が起こってから、台湾のテレビ(ニュースチャンネル)と新聞は、この話題一色で、まるで我が事のように心配し、注目している状況だ。
CNNやBBCもほとんどこの話題一色なので、それだけ台湾、アジア、いや世界全体にとって、日本の存在というものがいかに大きいかということを示すものである。
日本人はバブルを基準にして、また中国にGDPを抜かれたので「小さく貧乏になった」などと思い込んでいるが、中国のGDPを稼いでいるのが日本企業であり、日本の生産ラインストップが世界経済にどれほどの影響を与えているかを考えれば、日本はやはり米国に次ぐ巨人である。
しかもイランやパレスチナのハマースやベネズエラあたりまで「偉大な日本人への連帯と支援」をすぐさま表明したことに見られるように、日本のようにあまり敵を作らない平和的多角外交は、とかく敵が多い米国や中国と比べて、「いざというときの友情」が多いことを示している。もちろん人道支援には国境は関係ないとはいえ、米国で災害があればイランやハマースはここまで友好的ではないだろうし、中国が被災すれば台湾人やベトナム人など多くのアジア小国民は消極的になる。

そういう点で、日本の存在感の大きさを一番示しているのが、台湾である。
台湾のテレビニュースチャンネルは24時間ほとんどずっとこの話題一色である。
これは今回の震災被害があまりにも大きいというだけでも、台湾人が日本に多く滞在し旅行し通商しているというだけでもなく、最近とみに強まっている親日ムードが大きく作用していると思われる。「日本は他人事ではない」のだ。

さらに今回の各局の報道姿勢を見ていると、どうも今回の震災が台湾の文化、心理にとって大きな転換期になるような感じがする。

それは「明日はわが身」という問題意識である。
10年前なら日本で何が起こっても、こういう問題意識は起こらなかった。
反日教育を受けた世代は米国に大きな関心を寄せるが、日本には若干冷ややかだった。そもそもインフラやシステムが整っている日本はどこか遠い国の話だった。
ところが、今回、日本の災害を見ても、以前なら見向きもしなかったような

・日本の防災システム、訓練、啓発がいかに進んでいるかという言及
・日本人が災害にあっても決して騒いだり慌てたり暴動や略奪に走らず、整然と列をつくっている姿は、「日本精神」「文明」だという賞賛
・そして台湾自身のシステムや文化的不備への反省

がメディアの上で起こっていることだ。

ある意味で面映く、かつ気持ち悪いのは、TVBSのような香港系で外省人系で中国寄りだと見られているテレビチャンネルまでが、たとえば14日夜の2つの討論番組で「日本精神」を誉めそやし、台湾の不備を反省する趣旨だったことである。これは李登輝の靖国神社参拝やほんの3年前の尖閣問題での挑発の時には、ほとんど考えられなかった変化というか、進歩である。
(ただ、中天だけは、中国的な観点だが。まあ一局くらいそういうのがあってもいい)
これは、おそらく新幹線ができて、さらにMRTも台北と高雄で増えているといった、近代的・先進的交通システムが整いつつある関係で、日本のシステムやライフラインの問題が、それだけ「身にしみる話」になりつつあるのだろう。

そして、これらの報道や議論を見ていると、日本人自身には当たり前のことになっていることが、実はすごいことだったことが気がつかされる。

これを機に、台湾のメディアが青緑対立を超えて、社会的責任を痛感して、事実に立脚して公平に時の政権を批判する真の媒体に脱皮することを願いたい。

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