ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

NHKスペシャル「聞いてほしい 心の叫びを ~バス放火事件 被害者の34年~」

2014-02-28 22:52:15 | Private・雑感
1980年、6人が死亡し、14人が重軽傷を負った新宿バス放火事件。被害者の1人で、体の80%に火傷を負い、植皮を繰り返した69歳の女性を追ったNHKのドキュメンタリーを観た。無差別殺傷事件のハシリとも言われるらしいこの事件、私も知りませんでした。

番組の中で、確か「この10年で、無差別の人を襲う事件で被害にあった人は130人」と言っていた。秋葉原や土浦の事件。先日の名古屋の事件。

全く理由が見つかるはずもない不幸な出来事は、非常に少ない人が遭遇するというより、どちらかというと誰もが降りかかるものと考えた方が近いのかもしれない。相手の交通ルール違反による自動車の事故だってそうだ。それが故意ではなく、過失であれば、被害者は乗り越えられるだろうか。もしその事故で子どもが死んだり、重度の頭痛を抱えたり、手足が不自由になったりしたとしてもーー。もちろん、バスの放火•爆発と同じようなものだ、とは言えないが。でも、交通事故の被害と、バス放火事件との一番大きな違いは、過失と故意、というところではなく、世間の注目の大きさではないか。それが、もしかすると苦しみの重さを左右する大きな要素なのではないか。

番組で話していたこの女性は、繰り返した治療の中で輸血され、これによって肝臓がんを発症し、余命が短いという。人生を変えた大きな不幸をどう受け止めるのか。彼女の姿は、意外と「人ごと」ではなく、多くの人が重なるものがあるのではないかと思った。

山口一男・樋口美雄「論争ワークライフバランス」

2014-02-28 13:16:43 | Book
先月は、必要に駆られて「ワークライフバランス」の単語に関連する本をいくつか読んでいた。図書館の返却期限も過ぎているので、その時に読んだ本についてのメモを少し。

山口一男・樋口美雄「論争ワークライフバランス」
2007年に、ワークライフバランスをテーマに公開討論会を行い、それをまとめた本。この中で、権丈英子先生がスピーカーを務めたところで紹介された、オランダの例がとても興味深かった。(本題とは少し違ったけれど)
オランダでは、日本と同じで保育所に預けることへの抵抗がある人が多かった。なので、夫が週4日、妻が週3日、などと勤務日数を短縮することで、保育所には週2、3日だけ預ける、というようなスタイルを作って行った。また、このような「フルタイム・短縮日数勤務」の背景には、元々短時間勤務(1日6時間×5)を求めていた女性主体の労働組合が、通勤時間を含めて考えると「毎日通勤」よりも通勤日数を減らした方が時間を有効に使えることに気づき、要求を変えて行ったために実現してきたという。

「育児休暇の功罪」については、本の後ろのほうで、パク・スックチャさんが指摘している。大手企業で、子育て支援の一環で「育休3年」などと掲げているところがあるが、女性が3年も家庭にいたら、家庭内の性別分業が定着し過ぎてしまって、夫の給料はその間も上がって行くわけで、妻はますます仕事に力を入れるインセンティブがなくなってしまうよ、と。これは最近つくづく感じていること。

この二つの気づきについて言えるのは、「労働者・働く女性が主体的に、キャリアと生活について考えて、主張する場面がない、ということだ。「当事者」でない、専業主婦を持つ財界の男性陣や、年齢の高い経済学者や、ワークライフバランスなど思いもよらない環境で働く官僚たちばかりで、働く女性・男性のカップルが不在のように感じてしまう。オランダの例などを見ると、やっぱり労働組合って大事だよなあ、本当は・・・と残念な気持ちになってしまう。

吉田穂波「「時間がない」から、なんでもできる!」

2014-02-27 10:32:36 | Book
Kindleは便利。授乳しながらでも読める・・・ということで、朝、自己啓発系?の本を読んでみました。女性×医者・キャリア×ワークライフバランス、の文脈で、最近ときどき登場する吉田穂波さんの本。子ども3人を抱えて、夫とともにハーバードに留学した女医さんが、どのように留学準備を進めたか。1時間で読めるので、こういう本は時々読むと、1000円の元は取れる、モチベーションになります。

本書の中心にはないけど、「やっぱり子どもが生後2ヶ月くらいでも、仕事復帰しちゃってるものだよね」というところに興味を持った。確かに、今私が住んでいる岐阜県羽島市でも、保育所の受け入れは生後3ヶ月くらいから可能のようだし、「育休は1年」という常識?はあまりとらわれなくてもよいと思う。そして、吉田さんは今や5人の娘の母親とか。「1人生むと1年は休まなくてはいけないし」なんて思わなくていい、というのが(くどいようですが)私の実感でもあります。

自分ごととしては、今の資格勉強のモチベーションが上がった。ゆくゆくは、労働問題の専門家・実務家として身を立てたい。経験を積んだら、留学もいつかしたい。
それと、タイムマネジメント次第では「もっといろいろできる!」と思いました。ありがたいことに娘はとってもよく寝る良い子なので、もっと連れ出して(私が気分転換できるように)、切り替えつつ試験勉強以外もやっていこう。その一つは読書とブログ(読書録)。労働・日本史・世界史の本を読んで、教養を深めたい。今、家にある大量の本を、さばいていく感じでもよいので、読み漁って行こうと誓いました。そんな2月末。娘は4ヶ月に突入しようというところ。最近は夜も一度も起きずに寝続けることも多く、今もリビングのベビーベッドですやすや寝ています。

東浩紀・宮台真司「父として考える」

2014-02-23 11:35:19 | Book
日本の社会学者の書く本をまともに読んだのは初めてかもしれない。社会学を基本的には学問とみなさない、という教授の下で勉強してきたので、手に取らなかったということが大きいと思う。社会学者は、まあ現代思想家のようなイメージの人たちなんですね。社会現象にとりあえずラベルを貼ろうとする。「パラサイト・シングル」とか「妊活」とか、そういうのが良い例なのでは。

社会学者の2人が、親になってみて考えていることを語り合う、トークイベントをそのまま本にした感じの本書。夫に勧められたんですけどね。で、忘れないうちに、印象に残ったことを1つだけ書いておきます。

・結婚にも、子供をもつことにも必然性はない
最近の晩婚、晩産の背景に、若者の「必然性症候群」(と本の中で名付けていたかどうかは忘れたが)みたいなものがあって、「運命の人」、すなわち、「私はこの人と結婚しなくてはいけない!」というような直感を求めていて、それがないことを理由に結婚や子供を持つことを先延ばししている、という指摘。「子どもを持つことに必然性はなどないんだよ」と宮台真司が言っていたのが印象的でした。そう、必然性などないのだよ!と、もし私の友人がブログを読んでいたら言いたい。だから、そんなもの求めていないで、結婚してみたらいいんじゃないの、と。

これに私なりに加えると、結婚や子育ては、「人生に深入り」することなんだよ、と。味わい深さ、みたいなことであって、まあ経済学では「子育ては投資から消費になった」とか言って子育ての機能面を特徴付けているけど、感覚的には「人生を味わい深くする」というようなもの。味わって見ないとわからないから、味わえるうち味わってみよう!というノリが大事だと思う。

ついでに女性陣に対して言っておきたいのは、必然性、運命よりも、女性のキャリアについての理解とか、ワークライフバランスを大事にする人かどうかとか、子育てを、ちゃんと「分担」してくれる(手伝ってくれる、ということではなくて担当してくれるということ)かどうかの方が非常に大事だよ、ということですね。

写真管理

2014-02-23 11:24:41 | Private・雑感
自分用のメモ。
社労士の通信講座の講義をiPhoneに入れて行ったら、iPhoneの容量が足りなくなり、子供が生まれて以来たくさん撮っていた写メを思い切って削除した。
といっても、残したい写真は、Google driveに入れてあるし、パソコンにも一部保管した。このパソコンへの保管が面倒に思い、Google driveも、無料クラウド管理部に対して100%は信頼できない。写真管理をどうしようかと思ってしばらくググってました。そしてこの人のブログで進めているやり方にしようと決めました、決めましたよ。

・1年に1度、残したい写真を選んでシャッフルプリント(自宅プリンターで)→A4で保管
・育児記録を写真サイズの紙に月に1枚書く
・シャッフルプリントを選ぶ際に、どうしても大きくしたい写真を数枚と一緒にアルバム保管

できれば、A4サイズが入る袋と、写真をサイズを並べられる袋が一体化しているうすーいアルバムがあるといいんだけど。というわけで、写真保管プロジェクトは、今度無印良品にでも行って、アルバムに目星が着いたら第一段階完了ということにします。

垣谷美雨「もう子育ては卒業します」

2014-02-20 11:46:35 | Book
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時々、ゆるーい小説、それも「女性の人生」がテーマと思われる小説を読みたくなる。おそらく、働き始めてからだったと思う。結婚を意識したり、出産、子育て、仕事・・・というようないくつかの柱ができて、「ようわからん!」と思ったりすることがあったからかな。

日経新聞の夕刊で、ちらっと紹介されていたのがこの本。著者と同じ1959年生まれの女性3人が、大学を出て(出たのに)専業主婦になり、悶々としながら子育てをして、その時々を語り合う。

決して面白い本でも、うまく書かれた本でもないと思う。ただ、1959年生まれで、1977年に東京の私立大に入学、1981年ごろに就職活動をした、団塊の世代よりもひと回り若い女性の生き方を勉強するには、良い気づきをもたらしてくれる。

求人票「自宅通い」が条件
地方から出てきた彼女たち。当時は女性の大学進学が当たり前というほどにはなっていなかった。文学部系で、それなりーに、遊びながら、バイトしながら、教職は取らずに4年生を迎え、いざ就職しようと求人票を見ると、「自宅通い」が条件となっている。実際、東京に地元のある女性の先輩たちは、有名企業に(お茶汲みスタッフとして)就職が決まったが、彼女たちは苦戦し、電気店の販売スタッフなどに収まる。「地方から来た女の子はどんだけ遊んでるかわからん」「男性従業員と社内結婚する相手なら、都内の方が何かとよいのでは」みたいな理由で「自宅通い」が条件になっているのでは・・・と彼女たちは話していた。こんな就職活動があったということを知らなかったので、興味深く読んだ。

・彼女たちの母親は、自営業で働き者→彼女たちの罪悪感に
専業主婦になるのが当たり前の時代。四大を出ていながらも、結婚を機に退職、妊娠・出産・子育てで、家に収まっていく。それを、「当たり前」と思えない、もどかしく思う気持ちもあったのだ。それは、自分の母親たちは、牧場で牛の世話を休むことなくしていたり、町の乾物店の店番を毎日していたり、と、働く姿を見て育ったから。「専業主婦モデル」が今でも話題になることもあり、経済学の分析でもよく出てくるが、彼女たちのリアルは、「働いた方がいいのでは」「働かなくてよいのかな」という葛藤があった、ある人の方が多かった、と思い至った。これも新しい気づきをだった。

基本的に、彼女たちは家に収まって子育てや家計のやりくり、姑との付き合いなどばかりに費やしてきた時間に、「これでよいのだろうか」と悩みながら過ごしている。それをどうにか、自己肯定しながら、「子育てを卒業」する50代までを生きる。あまり羨ましくないし、今の時代に生きていたら「働けばいいじゃん」とツッコミを入れてしまうだろう。でもまあ、よい社会勉強になりました。

堀江貴文「ゼロ-なにもない自分に小さなイチを足していく」

2014-02-19 23:40:50 | Book

 堀江さんの本は初めて読んだ。オンライン・メディアについていろいろ発言しているので興味を持ち、有料メルマガを購読していて、ついこの本を読んでみたくなった。

 第一の感想は、「文章うまいな」ということだ。美文ではなく、ハキハキとしていて読みやすい。リズムがある。特別うまいのか、と言われればそうでもないが、文章を書くのが本職ではない人でも、やっぱりこれくらいのレベルの文章は書けるんだよな、と再認識した。こんな感想は、記者の仕事をしている人じゃないと持たないかもしれないけど。

 文章の話を抜きにしても、そこそこ刺激的でおもしろい本だった。一番気に入ったのは、堀江さんが読者に対し、「成功」や「働きがい」のようなものを手に入れるのに必要なものとして「ノリのよさ」を訴えていたこと。「そうそう、そうなんだよね」とうなずく自分がいた。私自身は理屈っぽい性格で、何事も硬派にとらえたがる傾向がある。だから、もっとノリよく行きたいなーというのは最近考えていたことだった。

 振り返れば、私が最初に就職活動をしていた2005年頃、まさにライブドアの球団買収などが話題になり、村上ファンドも登場して「会社とは」みたいなことが世間でもよく議論された時期だった。就職面接でも聞かれたことがある。私自身は、いろんな動きを醒めた目で見つつ、村上ファンドのようにお金を転がしているだけの会社より、インターネットとテレビを融合させてコンテンツビジネスを変えていこうとしているように見えたライブドアの方が理解できるな、と思っていた。

 時々買うKindle本。こういう新書っぽい本は親和性がある。だけど、新書でもKindleで最初から売り出している本ってけっこう少ない。Amazonよ、読者の期待に応えて頑張ってくれ。何なら、読者の要望ツイッターのようなものを用意して、データにしてくれてもいいのに。それと、今度は撤退しないでね、さっそく申し込んだAmazonクレジットカードをよろしく。