ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

四日市公害を考える視点

2010-12-27 22:58:39 | Private・雑感
四日市公害を、四日市の人にどうやって関心を持ってもらうか。
公害が発生し始めた頃からすでに50年。
何をいまさら、という感じだろうが、来年の切実な問題なりそう。
というのは、四日市公害裁判の判決から40周年を目標に、
資料館の創設を市が考えているが、このままでは
関心の薄さから、作って終わり、誰も利用せず関わらず、人のこない
資料館になる恐れがあるからだ。

市民団体の人たちの意見交換会を覗いてみた。
原発の反対運動には、近くの都市でも若い人がいたりするのに、
四日市公害はなぜ高齢化、少数化(もともと?)してしまっているのか。
改めてそんな話になった。

原発との大きな違いは、今目の前にあると考えられるかどうか、
ということだと思う。
エネルギーは誰もが毎日、毎時間使っているものだし、
それを火力でやるべきか、原子力でやるべきか、学説や
国によって違う。
三重県では終わっても(10年前、中部電力による芦原原発の
建設を阻止した)、瀬戸内海とか、他の場所では今も建設反対運動が
あり、建設された場所でも、いくつも問題が発生している。

これを踏まえて、四日市公害も、今の問題と関連付ければ
若い人も関心を持って勉強するのではないか。
例えば、今もアジアや急速な開発の進む国で、大気汚染による
公害は発生しているのではないか。経緯や原因には共通項があるはず、
とか。
つまり、開発経済学の一ページとしてとらえられないか、みたいな
イメージ。と、軽はずみにも発言してしまった。
「技術は五年で追いつく。50年前の公害の構造は、今の中国にはない」
と返された。

そうかもしれない。ただ、「今の問題にリンクさせ、問題提起すること」
は、一番必要とされているのではないか。
どんな論文でも、例えば歴史検証系の論文でも、
なぜ今、このテーマに意義があるのかを書くところが、一番重要で
一番大変だったりする。
資料館を作るのなら、導入部分にこの問題提起部分がないと、
興味を持って中に入ってもらえないはずだ。

ゆっくりゆっくりと進む意見交換会の中で、そんなことを思った。
彼らは1年かけて勉強会をしながら、歴史を再確認するという。
たぶん、私は1、2ヶ月くらいで目星をつけて、
仕事にかからなくてはいけないだろう。

国の来年度予算案報道

2010-12-26 21:03:50 | Private・雑感
国の来年度、一般会計予算案が公表された。
朝日新聞「92.4兆円予算案決定 首相、消費増税年明けに道筋」
日経新聞「未来かすむ「改革なき予算」 来年度予算案を決定」
読売新聞「借金頼み限界予算 一般会計92丁4116億円」
・・・
と、各新聞でそろって、批判的。
特に、税収見込み40.9兆円に対し、これを上回る国債44.3兆円を
を発行してまかなう歳入面を嘆いた論調ばかり。
「消費増税の議論は先送り」と、そろって「早く消費増税を!」という流れ。
日経新聞を含めて消費増税に、メディアが足並みそろっているのは
ここ数年ではなかった土壌で、消費増税をやった方が支持率も上がりそうな中、
歳入の改革なく、歳出のやりくりを、自民党と、ではなく自身のマニフェストと
戦いながら作った感じだ。

各社、第1面と見開き2ページ、+1ページに社説、ぐらいの大展開にもかかわらず、
「じゃあどうすればよかったの?」という考えを載せているところはほとんどない。
それこそ、新聞社の論説委員なり、学者先生たちに語らせるなりで行数を割いてほしいところだ。
毎日新聞の社説には、イギリスの例が載っていた。
http://mainichi.jp/select/opinion/editorial/news/20101225k0000m070124000c.html
同じように世界的金融危機の対応策として財政出動し、財政赤字を抱えた連立政権は、
各省庁に、それぞれ歳出を25%削減バージョンと、40%削減バージョンを4年間続けたら
どうなるかを、シュミレーションしたそうである。結局、平均各省庁で19%、歳出規模を削減した。
付加価値税も上げた。
昨晩同僚とも話していたが、「要はカラーを打ち出し、これでやっていこうよ皆さん、と
呼びかけるような予算が必要。それが政治の役目だ」ということ。
おそらく、そのカラーは、社会保障以外の部分は厳しい緊縮財政とし、
「もう日本は、緊急経済対策なんかに頼らず、出口戦略を採りますよ」と
PRするものでなくてはいけなかったのでは、と。

自分の住む自治体を見ていても、政治家というのは、カラーを出すことだけが
仕事のように思える。
長期的に正解のない問題が多い中で、納税者である住民がなるべく
納得するような方向を作り出すには、「こうするときっと良くなるから、そうしましょう」と
いうカラーを作ること。
嘘八百じゃ困るから、その方向の確からしさは、メディアや学識者が意見しなくてはいけない。

先日、「はやぶさカプセル」が展示されている博物館の入り口で、小学6年生に声をかけた。
「宇宙ってどう?」と聞いていくうちに、
「宇宙にかけるお金って減らされるらしいよ」とか、
「国のお金がないからだって」「日本はホントは消費税が21%くらいないとだめなんだって
テレビで見たよ」
と話すではないか。
「財政が厳しい、消費税の議論を」なんて、小学生でもできる話。
もっと建設的な方向を、新聞で展開してほしい。

映画「レオニー」

2010-12-06 00:10:12 | Movie
映画「レオニー」
日本・アメリカ(2010)/監督 松井久子

寒くなってきたのもあってか、最近は家に帰るのが一段と遅くなっている。
次の日も夜勤だーと思うと居ても立っても居られなくなり?
1日の映画の日にレイトショーを見に行った。

彫刻家、ノグチ・イサムの母が、レオニー。
ニューヨークで彼の父である詩人のノグチ・ヨネと恋に落ち、
結婚し、子どもを産むが、ヨネは日本に帰ってしまう。
ヨネに呼ばれて4歳になったイサムと日本に渡るも、
妾のように扱われ、嫌気がさして他の地を求め、
外国人の存在が珍しかった戦前の日本で生きる。
戦争勃発後、アメリカへ。
世界に通じるのは芸術よ、とイサムの才能を育てる。

というお話。彼女は、おませさんというか、活発で勉強家で、
独立した女性を目指していた。そのはずが、ヨネや時代や
子どもの存在で、ヨネや回りの人に頼らざるを得なくなっていく。
自分を見失いながらも、子どもへの責任感がどうにか日本での
生活を成り立たせる。

彼女が、子どもを妊娠し、ヨネが日本に行ってしまったときに、
友人が彼女に言った。
「私を退屈させないで。私をがっかりさせないでね」。
これは、彼女自身がその友人に学生時代に言った言葉だ。
「平凡な人と話していると退屈なの」と。
退屈な人間になりたくない、という気持ち、
なんかわかるなーと思ってそれだけよく覚えている。

映画自体は、映像はきれいだったけど、5年後には誰も覚えていないだろうな、
という感じ。