ほっぷ すてっぷ

精神保健福祉士、元新聞記者。福祉仕事と育児で「兼業」中。名古屋在住の転勤族。

日本の政権交代選挙

2009-08-31 21:24:24 | Private・雑感
マニフェスト選挙とか言って、有権者に聞こえのいい
政策ばかりを並べた二大政党の戦いが終わった。
どちらの政策もいまいち、と思ったとき、マスコミはどう動けただろうか。

いつだったか、中日新聞の夕刊に、海外で見る選挙公約の実態、みたいな
感じで、子ども手当の国、フランスとか、高速道路無料化のドイツとか、
年金改革を成し遂げたスウェーデンとか、記事が並んでる日があった。
これだ、と思う。
夢物語が二つ並んでいたときに、マスコミは現実世界に目を向かわせなくてはいけなかったと思う。

でもまあ、選挙が終わってひとつ思い出していることは、
知人伝手のある新聞記者の言葉。
「民主党には与党になってもらわないと、批判できない」。
「権力の監視」を掲げているらしい新聞とかテレビには、
権力を持っていなかった時代の民主党には切り込みにくかった面はあるだろう。

今日の朝日新聞も、たしか読売新聞も、社説で
「政策が間違っていたときは、勇気を持って転換しなくてはいけない」
なんてことを書いていて、やっぱり恐ろしく思っていたんだなあと苦笑した。
昨日の友は今日の敵。
マスメディアの民主党政権とのつきあい方も、楽しみに見ていたいと思います。

昨夜、帰ってベッドに入った夜3時頃。かかってきた先輩との電話で、
比例選挙の意味づけについて話した。
三重県は、民主が元々の地盤を持っている岡田克也、中川正春が
圧勝した2区、3区以外は、
1、4、5区とも民主、自民の両党から国会議員が出た。
小選挙区はそれぞれ民主、民主、自民。
負けた方は比例復活だ。

「比例制度は、結果的に田舎代表の議員を増やす効果がある」
と言われて、そうかもと思った。
彼いわく、「田舎の人は義理堅い。ずっと頑張ってきた、たとえば今回で言う自民候補に情がわいて、
簡単には民主に乗り換えられない。だから、復活し得る
僅差で、自民が負けたりする。結果、国会議員は増える」。

なるほどね~。今回は特に、マスコミが小政党を紹介しなさすぎたのもあると思う。
小選挙区だけが選挙で、比例はおまけ。実際は180議席もあるのに、
そこで勝負する政党を取り上げなかったから、比例でも自民か民主かということになった。
政策選挙が根付いてない証拠でもある。
結局候補者も、3万人と握手をするとか、情に訴えたことの効果でもある。
「政治家らしさ」は、誇り高さではなく腰の低さで現すのが日本のスタイルだから。

長くなってきましたが、最後に書かせて。
今回の選挙で気になったのは、新聞記者の性質。
論理的に、自分で考えた根拠を述べて政策を語る人が
とても少ないと思った。
50歳を越えた上司でさえ、別に論拠はないような感じで
「~に決まっとるやろ~」って感じ。
批評ばかりに飛び回って、私には格好悪く見えた。
もっと、政策を考える当事者として
社内で議論があったっていいと思うけど・・・
その結果を統一見解とするとかということでは決してなくて。

私は、実は自民党に入れました。
自民の性質は嫌い、民主の政策は嫌い。
だから、きっと負けるであろう自民党の、ラディカルな再生に期待しました。
野党としての自民党の変化に、注目してみたいと思います。

日記のこと、名古屋のこと

2009-08-30 00:27:22 | Private・雑感
なぜ、こんなにmixiがはやってるのか、前から不思議だった、
と前にも書いたかもしれない。
意外にも、最近読んでいる『カウントダウン・ヒロシマ』でその理由が
わかった気がした。

その仮説は、人間にはもともと表現欲があって、昔の人は
思っている以上に日記をつけていた。
表現欲は、抑圧されたときに高まる。
言いたいことが誰にも言えないとか、
言う人がいないとか。

昔の人より、みんな友達がいないんじゃない?とは言わないけど、
親や友達と交流できる時間も少ないし。

というのも、上の本に出てくる、アメリカ軍の将校や航空機の
パイロットたちは、けっこう日記を書いてる(ように思う。
きっと、私には読めないくらい汚い筆記体なんだろうな)。
それは、人に言えないからじゃないかなと思ったのだ。
「日本を壊滅させる」と言うその爆弾の、説明はされない。
「原子力」という単語さえ出てこない、疑問も、議論も口に出来ない
世界。
機密事項もあるし、言いたいこともあるし、でも口には出せないし。
だから書いてたのかなと思った。

今夜は、秋刀魚の丸干しの焼いたやつに、冷奴と野菜炒めと
冷凍の枝豆。
スーパーで買い物をし、グリル付きのコンロで料理をして、
ビールと一緒に夕飯を食べる。
私は基本的に、やっぱり東京に帰りたいけど、
こういう休日の生活を楽しめる、安らげる家に住んでいると、
地方生活って素敵だ。
「箱だよ」と自身で表現していたような会社の寮に住んでいた
東京の友人を思い出します。
(東京でも箱とは限らないけど。それも男子寮だったから格別だったのかもしれないけど)

ついでに書くと、負け惜しみではなく名古屋圏で素晴らしいと思えるのは
喫茶店文化だ。
大きい道路に面していないところにも、
わんさか喫茶店があって、11時くらいまで”モーニング”
(コーヒー一杯の値段で、トーストとゆで卵がついてくる)
メニューがあって、たくさんあるから
そこまで混んでない。ことが多い。
新聞、雑誌が読み放題。
暑くなってきてからは、休みの日の10時くらいからは
大体喫茶店で暑さしのぎをしてた。

2回目の「プラダを着た悪魔」を観た。
We might be able to figure something out.
主人公の彼氏が最後に言う言葉。
なんだか余韻にのこりました。

体質か政策か

2009-08-28 20:02:00 | Private・雑感
誰に、どの政党に投票するか。
投票者としてはあまり考えてなかった。

昨日、在外投票をしたという知人と話していた。
民主党の候補と党に投票したという彼は、
「情報公開をしない、自民党の体質が嫌いなんだよね」と言った。

そうなんだよね~
政策の前に、自民党の体質には躊躇する面がある。
近くの候補者を見ても、やっぱりきな臭い人が多い。

でも、政策を比べれば、民主党はばかげてる。
国の将来を真剣に考えてないんじゃないか、
必死に訴えてる候補は、本当に政策を理解しているのか?
だましてるのか?と思わずにいられない。

この二つを考えると、
あまり考えずに済む、事実認定のしやすいのが前者だ。
後者がひっかかるのは、
やっぱり学生の頭があるからだと思う。
政策に興味があるし、制度がもたらす社会への影響に頭が働く。

どうしようっかなあ。

今回ばかりは、「民主党はマニフェスト選挙なんかしないでくれればよかったのに」と思う。
そしたらこれほど迷わないのになあ・・・って前も書いたかな。

政見放送

2009-08-27 07:49:41 | Private・雑感
職場でNHKばかりつけているから、
早く政見放送の嵐が終わらないものかと思っています。
マスコミが選挙に費やしているエネルギーは、
もっと有効活用できないものでしょうか。
・・・エネルギー量的に、これ以上もこれ以下も、難しいでしょうね。

今朝6時半くらいから、三重の候補者が続々と出てきて、
脱官僚、とか、環境資本主義、とか、最低保障年金、とか
訴えてました。
「人は見た目が9割」
という言葉が頭をよぎりました。
言っていることはほとんど同じに聞こえる。
ただ、やっぱり印象は話し方、顔つき、色つや、手振りなどで全然違う。
新聞の限界を感じました。
・・・ひとまず、政党選挙、政策論争になっているようでなっていない
日本の地方選挙区では。

私のいる選挙区=三重2区は、ほぼ民主の中川正春が勝つと言われているからか、
選挙カーも来ないし、街頭演説もないし、
大物が応援に来ることもないし、たぶん集会もない。
そういう場所の人にとっては、けっこう政見放送は参考になるかも。

ただ、もう他の選挙区とか、おなかいっぱいです。
中日新聞の地方版みたいに、せめて県単位で
候補者紹介ができないのかNHK。
もしかして、比例ブロックの中で統一してるんだろうか。。。
有権者は聖徳太子じゃありません。

そんなこと考えながら、頭の中は沖縄。
9月12日から5日間、久しぶりの一人旅、かな。インド以来か?
前に行ったのは5年前、20歳のとき。
楽しみだー楽しみだ。

金沢

2009-08-24 08:26:35 | Private・雑感
金沢現代美術館でやっていたのは、
横尾忠則の展覧会「君のものは僕のもの、僕のものは僕のもの」。
現代芸術は、クラシックからルールを取ったようなもので、
より自由で、よりわかりにくい。
結果的に、伝えることより表現することに重点が置かれている気がする。
だから、展覧会もとりあえずざーっと流した。
横尾忠則って作家を知っていたわけではないからよくわからなかったけど、
まあ彼の落書き帳のようなものかな、と思った。

彼は昔の人ではなくて、今も生きている人で、
彼の日記が一緒に展示されていた。
A4サイズで、一ページに一日分、横線の入った気合いの入った日記帳のような手帳で、
文字も、絵も、その日行った美術展や映画のチケットが張ってあったりもする。
ピカソが死んだときとか、寺山修司が死んだときの新聞記事も。
そんな蓄積が、なんだかいいなと思って、
もうちょっとふらっとブログでも書こうと思った。

8月に入って仕事の担当が変わって、
何が求められてて、何をすればいいのかよくわからなかった。
回りにお手本にする人もいなかったし。
でもなんだか、まあやりたいことをどんどんやろうと踏ん切りがついてきた。
ただ、高望みをせずに、結果となる(文章となる)ところから
着実にやろう、と。
自分のペースでやり方でやろう。
人より早起きしてるんだから、人より早く帰ったっていいと思う。

というわけで、週末に初めて金沢に行った。
名古屋からは岐阜、大垣、米原、敦賀、福井、小松を通って、
3時間以上かかる。
よくわからないが、ちゃんと都市計画というか、都市戦略みたいなものが
ある都市だなという印象。
上の現代美術館がよい例で、かなり気合いが入った公的な美しい美術館。
どういう経緯であれが建ったのか調べてみよう。
熊本知事時代の細川護熙を思い出した。
観光素地がある街は、都市計画も広範囲にしっかりやるのかなとか思ったりした。
あと、ノドグロという魚は話に聞いていた以上においしかった。

さて、四日市で仕事しようっと。

借金860兆円の国の選挙

2009-08-19 11:36:05 | Public
中日新聞を読んでいても、目に留まらなかったから、
書いていなかったかもしれない、
「国の借金が最大に」。

「国の借金」、過去最大の860兆円 6月末
 財務省は10日、国債と借入金、政府短期証券を合計した「国の借金」の総額が6月末時点で860兆2557億円になったと発表した。3月末に比べて13兆7587億円増え、過去最大額を更新した。税収減や経済対策に伴う借金が膨らんだため。7月1日時点の推計人口(概算値)の1億2761万人で計算すると、1人あたりの借金は約674万円となった。

 国の借金残高は四半期ごとに財務省が公表している。増加が最も目立ったのは短期的な資金繰りのために発行する政府短期証券で、3月末に比べ約10兆6千億円増の119兆1062億円となった。景気悪化に伴う大幅な税収減に対応するための増発が響いた。

 普通国債も経済対策の財源確保のために増発した影響で、約8兆5千億円増の554兆4241億円となった。一方、独立行政法人などへの財政投融資の原資を調達する財投債は過去の投融資の償還が増えたため、約4兆円減の127兆400億円となった。(10日 23:14)

私が高校生の頃、もしくは大学入った頃に
授業で習ったのは、
777兆円だったような記憶がある。
それから100兆円近く増えてる?
四半期で13兆円も増えてるんだから、ありうる話だ。


いつのまにか「バラマキ」という単語が日常的に使われるようになったけど、
昔から抵抗があった。
基本的には、財政支出すべきところはすべきだろう、という意味で。
「バラマキ」には、支出を全般的に否定するニュアンスがあると思う。

それともうひとつ、
具体的な財源論を忘れさせる効果もあるのではないか。
http://agora-web.jp/archives/722474.html
を読んでいて思った。
「バラマキが悪い」→バラマキさえなければ大丈夫、

しかし事実は、支出しなくちゃいけないところは、しなきゃいけない。
そしてするからには、(しなくても、借金を返すためにも)
財源を確保しなくちゃいけない。

民主党は、「政治家主導の政治」を掲げて、
「主要閣僚は政治家がやる(民間からの登用はしない)」と
公言し始めたが、
政治家は4年かそこらで代わるのに、しかも今までみたいに
「一回当選すれば次も大丈夫」とはいかなくなってきて、
「結果を出さないと落とされる」
という感じになってきている中で、
短期的な政策に没頭するのではないか。
民主党では、借金はきっと増える。減らす道も出てこない。
最近は確信してきた。

政権交代前夜だというのに、なんだか世の中の空気は暗い。
昨日の紙面で、小林良彰さん(大学三年のときよく読んだ
公共選択論の先生)が言っていた
「ダメもと政権交代」という単語は言いえて妙だな、と思う。

『私という運命について』白石一文

2009-08-15 00:47:54 | Book

「私もときどき思うことがあるよ。若い頃の自分を思い出すと、
 あの頃の自分の期待に十分応えてあげることができなかったようで、
 なんだか申し訳ないなって。
 でもこれはこれで仕方ないのかなとも思うの。
 こうやって生きるのが私の運命なら、それを素直に受け入れて
 楽しく生きていくしかないものね」

 四十近い、元愛人をやっていた女性が、結婚し、子供を持って
発した言葉。主人公の亜紀もまた、総合職として入社し、十年間仕事をし、焦らずに恋愛もし、劇的に元彼と結婚した後子供を宿して、同じような言葉を口にした。
 小説は、この亜紀の29歳から40歳までの、恋愛を中心とした
人生の転換期ごとを取り上げてつないでいる。

 上のように場面を切り取ってしまうとなんとも陳腐なんだけど、
人間が日々悩んでいることは、実際はこういう「よくあること」
なんだろうなと思う。本当に久しぶりに現代小説を手にとって、
ストーリーのわかりやすさとか、身近さとかにはまってしまって
3日で読み終えた。確か、新聞で読んだ書評が興味を引いて、
買ってあった小説だった。

 「読後感」というやつにも浸った。
やっぱり、女性は結婚というより、子供を持つかもしれないという
ことが念頭にあるから、それに付随した結婚とか恋愛とか、
仕事とかということの偶然やタイミングの要素を受け入れざるを得なくて、
それをなるべく前向きに受け入れようとするから、運命と言うものを
身近に感じるのかもしれない。

「・・・だから?」とちょっと反発する気持ちもある。
確かなことは、人生の転機に「悩み方がわからない」と、
思ったりしたら、小説を手に取ることだ。
「悩み方がわからない=あまりに思慮不足で、あとで後悔するかも」
というようなことになったら、小説はけっこう、
思考を進めてくれるような気がする。

広島で夏休み

2009-08-06 17:35:29 | Private・雑感
広島は、かわいい女性が多い。
広島に日常が戻ったかのように見えた6日の午後、
街をふらついていて思った。

化粧も濃くなく、重たくない少しパーマのかかった長めの髪。
白いTシャツに、青やオレンジの鮮やかな色を合わせて、
さわやかに、ときにはエスニックに。地元っぽい女の子には、
そんな感じの子が多かった。
そして、女性はやっぱり色白の方がかわいい。
高校野球で日焼けした自分を見て、
タイとかカンボジアとかにいそうだなと思う。

「少し、神戸に降りたときに似てるな」
そう思い始めたら、3月に行った神戸でのデートが思い出されて、
まったく頭の中は平和そのものだった。


広島に来る前の晩、原爆が投下されてすぐに現地入りした
ジャーナリスト、ジョン・ハーシーの『ヒロシマ』を買ったのだけど、
昨日、平和記念資料館を見た後、戦後の描写ものは重たくて読めそうになかったので、
城山三郎の『粗にして野だが卑ではない―石田禮助の生涯』を買った。
本当は、昔友人に勧められた『カウントダウン・ヒロシマ』
http://macopine.gozaru.jp/br/6th/6.pdf
が読みたかった。
平和記念資料館で、目にしたり想像したりした惨状に心情的には動かされたけど、
広島に原爆を落とされたという結果にたどりつくような
理由、原因が、思考回路が前に進むほどには理解できなかったからだ。
悲しく、大きな結果だからこそ、ドライに「なぜ広島だったのか」を
知りたいと思った。

でも、本のタイトルが「ヒロシマ」の部分しか思い出せなかったし、
本屋でもそれらしい本棚に見あたらなかったので、
ヒロシマ漬けにするのを放棄して、上の本を取った。

まだ3分の1くらいしか読んでいないが、
「なんと商社の仕事というのは、先の先、そのまた先を読む仕事だろう」。
モノの需要、それと同時に、取引するモノそのもの、支払う貨幣、国の情勢、為替レートなど
いくつものリスクを勘案する。
いくつもの連立方程式を、経験と勘で解いていく。

それに対し、私の仕事はかなり、過去に向いている仕事だ。
この事実を、今まで考えていなかったわけではないが、
改めて感じる。
だって、未来のことは事実ではないから書けない。
書くにしたって、文章の主題にはそうなれない。
陰気くさい仕事だなあと思った・笑。
軽トラの後ろに乗って、立ったり座ったりしながら回りを見て、
何かあればすぐ飛び降りる。そんな感じ。
でもその後ろ向きの仕事がけっこう好きかもしれないと思っているのだけど、
もし商社とか、金融とか、望遠鏡で海の向こうを覗いて
判断を迫られるような仕事をしていたら、
自分は違和感を感じていただろうか。おもしろがって、実はその方が
今より面白かったりするだろうか。

こんな感じで、頭の中は学生時代の夏休みに戻ってしまった。
明日からが心配だ。
ここまで読んで「おまえ広島なんか行って、仕事なくなったのか」と思ったみなさん。
大丈夫、広島に来たのは仕事です。

広島

2009-08-05 23:56:35 | Public
白いブラウスをを着たくて、前夜に洗濯し、今朝、かばんに入れてきた。
明日は8月6日。原爆の日を前に、今、広島にいます。

初めて訪れたこの土地。
ホテルに荷物も置かずに、平和記念公園の資料館に向かった。

入館料は大人50円。音声ガイド(300円)を借りて、
展示の前に立った。

資料は、戦前の広島、戦中、アメリカが広島を標的とするまで、核兵器の今、原爆による広島の惨状
というような内容で順番になっている。

手元のノートに記したのは、
「宇品港、1889、千田貞暁」
「1942、3年間、20億ドルで20万人」
「パンプキン、四日市」
「1946 5月白血病患者、7/1 ビキニ環礁で原爆実験」

広島港の原型である宇品港は、四日市港と同じ年に完成した。
声をかけたのは当時の知事、千田貞暁。
彼が私財を投じてしまったほど、大工事になったらしいが、
ではなぜ作ったのか。
これによる広島の繁栄が軍需工場を呼び、人口も蓄えた、
それがアメリカが「原爆実験をするに値する規模の都市」と
判断した要因のひとつだとすれば、彼がなぜ作ったのかは
知りたいところだと思った。

太平洋戦争の勃発後、1942年からアメリカは「マンハッタン計画」に着手。
核兵器の開発に20億ドルを投じた。
それは、結果として広島の20万人を殺した。
そういう兵器に、アメリカはお金を使っていた…

そういう理論的な思考回路が働く場面があった一方で、
被爆して死んだ子どもたちの描写から、むせるような悲しさがあった。
「体調が良くない」といって工場に行きたくないという娘を
「お国のため」と言い聞かせ、行った先で被爆して、
その後娘の遺体とさえ対面できなかった母親を思うと、涙が出た。

それは、まぎれもなくこの平和記念公園の真上に落ちた、
原爆による悲劇なのだった。

日系2世としてアメリカで生まれ育ち、開戦、終戦、東京裁判の通訳と
人生を歩む山崎豊子の『二つの祖国』で、
主人公の恋人が、「入市(にゅうち)被爆者」として
目に見えぬ障害の進行に苦しんでいたのを思い出した。

あれを読んだのは、もう2年も前のことになるのか・・・
良くも悪くも、思考回路はあまり変わっていないみたいだ。