王様の耳はロバの耳

たったひとりの叫びでも、そのうち風にのって広がれば・・・

東京五輪:紆余曲折の果て、エンブレム再公募

2015-10-07 21:00:23 | 東京五輪2020
●TOPページからのエントリーがやや重くなっています。ご了承ください。

久しく遠ざかっていた話題。
また『東京五輪エンブレム』が動き出した。

さて、数日前、まずはこんなニュースがあった。

「五輪エンブレム担当局長退任 事実上更迭か」(NHK 10月2日)

>2020年東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムが白紙撤回された問題で、エンブレム選定の中心となった組織委員会の担当局長が退任することになりました。一連の問題を受けての事実上の更迭と見られます。

>9月1日に白紙撤回されたエンブレムを巡っては、組織委員会のマーケティング局が中心となって審査委員の選定や公募条件の決定などを進めてきました。
>しかし、一連の問題を受けて行われた組織委員会の内部調査の結果、槙英俊マーケティング局長の判断で、公募発表の前にアートディレクターの佐野研二郎氏を含む8人のデザイナーに参加要請の文書を発送していたことや、ことし8月の組織委員会の会見で使用された写真が、個人のブログから無断で転用されていた問題についても槙局長が作成していたことが明らかになりました。
>槙局長は、一連の問題の責任を取って9月28日に戒告処分を受けましたが、組織委員会は2日付で槇局長の退任を発表しました。槙局長は、大手広告代理店から組織委員会に出向していましたが、出向が解除されたことから事実上の更迭とみられます。


「五輪エンブレム担当局長らが退任 事実上更迭、電通出向解除」(共同通信 10月2日)

>2020年東京五輪・パラリンピックのシンボルマークとなる公式エンブレムが白紙撤回となった問題で、大会組織委員会は2日、作成を担当した槙英俊マーケティング局長と、選考で審査委員を務めた企画財務局クリエイティブディレクターの高崎卓馬氏の退任を発表した。両名ともマーケティング活動を担う専任代理店の電通出身で、組織委は電通からの出向を解除、事実上の更迭となった。


左:槙英俊氏 右:高崎卓馬氏

人を食ったような横柄な槙氏、そして小細工を重ねながら暗躍していた高崎氏。
噂されていた「出来レース」は決して憶測ではなく、事実そのものだった。こうして、“やはり”どうして胡散臭い輩達なのであった。

ついては「リテラ」が詳しく記事にしている。

「東京五輪公式エンブレム問題はやはり電通主導だった! 社員2名“更迭”だけで、電通の責任は追及されないのか?」(リテラ 10月3日)

>槙氏は、公式エンブレムの公募開始前に佐野研二郎氏をふくむ8名のデザイナーに応募を要請していたことや、画像の無断転用に関与していたことが、先日明らかになり、戒告処分が発表されたばかりだった。そして、エンブレムの審査委員も務めていた高崎卓馬氏は槙氏とともに、当初審査委員会が選んだ佐野氏の原案について、ほかの審査委員の同意を得ずに、2度の修正を主導していたこともわかった。

>とはいえ、おそらく組織委員会もメディアも、槙氏と高崎氏のシッポ切りで騒動の幕引きをはかるつもりだろう。しかし、この2人が仮に「佐野氏ありきのデキレース選考」を主導していたとするなら、それは2人の個人的事情などではなく、バックに巨大広告代理店である電通の意志があることは明らかだ。

>「エンブレムの公募と審査のスキームをつくったのも高崎さんです。審査委員には、佐野さんと深い関係のある委員が4人もいることがわかっていますが、このメンバーも高崎さんが中心になって決めた。また、委員長の永井さんといっしょに、間口の狭い応募条件を決めたのも高崎さんのようです」(関係者)

>「彼は、審査委員としてではなく、五輪組織委員会の人間として、エンブレムの修正に携わっていたのです。修正案のデザインをほかの審査委員に報告する役目を負っていたのも高崎氏です」

>「佐野さんも博報堂出身でありながら、最近は電通の仕事がすごく多くなっていましたからね。佐野さんというスターをつくりだし、一方で、森さんをなだめながら、いろんなものを電通に都合のいいように決めていく。高崎さんは会社からそういう役割を命じられていたのかもしれません」(広告関係者)



しかしこれもまさに「トカゲの尻尾切り」だ。相も変らず五輪組織委員会の責任はあやふやのまま。これもまた世の常である。

一方、これとほぼ同時に『週刊新潮 10月8日号』(10/1発売)が「「五輪エンブレム」七転八倒 「新委員会」船出の前に片付けたい「インチキ選考」仰天の真実」と題して佐野研二郎氏の原案並びにエンブレムコンペの2位、3位の作品をスクープし、公開した。


umegrafixさんのツイッターより




これを受けてNetの書き込みは・・・

「2位3位はパクリ佐野よりはるかに酷い出来だな」
「佐野のをまともに見せようとさせる工作か? なんだよ2位と3位のやる気の無さは」
「これはひどい なんで今まで公表できなかったのか理解できたわwww」
「この4つで必ず決めるなら俺も佐野ちゃんにいれちゃうわwww」
「これよりひどいのが100点以上あったってことなんだぜ 信じられるか?」
「そうとは限らん いいのを隠したのかもしれん 佐野を選ぶ為に」
「これがほんとなら、佐野を選ぶように仕組まれた出来レースってことだよね。」

・・・等々。

ここにも「出来レース」の「出来レース」たるカラクリがあるようである。確かに、仮に次点の2位や3位が選ばれていたとしても、それはそれで不評は必至だっただろうか。


そして、結果的に“利用された”かもしれない当の佐野研二郎氏といえば、その後、例の群馬県太田市の「おおたBITO」ロゴの使用中止や「フランク・ゲーリー展」のグラフィックの撤回などの憂き目をみている。

「佐野研二郎氏のロゴを断念  群馬・太田市の「おおたBITO」その理由は?」(The Huffington Post 10月03日)

>アートディレクターの佐野研二郎氏がデザインした、群馬県太田市の文化施設「おおたBITO 太田市美術館・図書館」のロゴの使用が断念されることになった。市民からの意見公募で反対意見が多数を占めたことから、清水聖義市長は10月2日、「市民の意見を重く受け止める」として、佐野氏のロゴの使用を断念する方針を固めた。NHKニュースが報じた。

>毎日新聞によると、太田市は9月20〜30日に市民から意見を募集、計217通が寄せられた。うち6割が「改めて公募し直す」、2割が「その他」で、使用継続への賛意は2割だったという。

>太田市公式サイトの「おおたBITO」の紹介ページには、佐野研二郎氏が手がけたロゴが掲載されていたが、10月3日現在は削除されている。





「佐野研二郎氏のグラフィック撤回 フランク・ゲーリー展」(スポニチ 9月10日)

>10月から東京都内で開催される建築家フランク・ゲーリーの展覧会で、主催者が、アートディレクター佐野研二郎氏制作の展覧会グラフィックの撤回を決めたことが、10日、分かった。理由は「主催者側の都合」としている。




ここ一連の騒動から、デザイナーと呼ぶにはあまりにもお粗末な失態の数々が明らかになった佐野研二郎氏であるが、ある点からすれば、電通に乗せられた「被害者」と見るのか、「電通一味」の「加害者」と見るのか、ついてはまた様々な見解があるだろう。
だが何れにせよ、彼は充分に「社会的制裁」を受けたのではないだろうか。

 * * * * *

さて、心機一転、先頃「東京五輪エンブレム」の公募要項案が新たに発表となった。

「エンブレム再公募、親子・職場仲間も可能に 五輪組織委」(朝日新聞 10月7日)

>2020年東京五輪・パラリンピックの新しいエンブレムを選び直す組織委員会のエンブレム委員会(委員長=宮田亮平・東京芸大学長)は6日、東京都内で第2回会合を開き、再公募する際の応募要項案をまとめた。親子の参加を認めるなど、多くの国民が参加できる形となっている。

>応募要項案は、デザインコンクールなどの受賞歴は問わず、個人参加なら日本国籍を持つ18歳以上の誰もが応募でき、国内在住の外国人にも門戸を開く。18歳以上の代表者を置けば10人以内のグループでの応募も可能で、小さな子と親や職場の仲間での参加もできるというもの。旧エンブレムへの応募が実績あるデザイナーに限られ、選考過程も閉鎖的だったことを踏まえた。

>また、エンブレムのコンセプトは「多様性、自由度を重視する」として定めず、応募者に委ねる。今月中旬に公募を始め、締め切りは12月7日正午。宮田委員長は「大勢の人に参加してもらいたい」と話している。



「五輪エンブレム、制作者氏名非公表も可能に 締め切りは12月7日正午」(デイリースポーツ 10月6日)

>20年東京五輪・パラリンピック組織委委員会は6日、都内で佐野研二郎氏のデザインが白紙撤回となった大会エンブレムを選び直すエンブレム委員会の第2回会合を開催し、募集要項案をまとめた。正式な応募要項は今月中旬に公表されるが、制作者の準備期間を確保するため、同案は近日中に組織委員会ホームページにアップされる。作品の締め切りは12月7日正午に決定した。

>「出来レース」と批判された前回の反省を生かし、応募資格では応募者の受賞歴などは問わず。18歳以上で日本国籍及び日本在住の外国籍を持つ人とした。ただ、個人だけではなく、グループでの応募も認め、年齢・国籍の条件は代表者のみがクリアしていればOK。グループ(1グループ10人以内)ならば子供や外国人の参加も可能とした。制作要件についてはIOC、IPCの規定を踏まえ、規定が設定された。

>一方で、前回の佐野研二郎氏が“盗用疑惑”をもたれて誹謗中傷にさらされたことを受けて、当選者の氏名公表、タイミングについては、「本人との相談の上対応します」とした上で、非公表でも可能とした。委員長を務めた東京芸大の宮田亮平学長は「これにより人格を保障する」と、説明した。

>賞金については前回と同じ100万円になるという。



もちろん、佐野研二郎氏がこれに再応募することも可能だ。(笑)

こちらはテレ朝 ANNニュースより。

子ども含めたグループ応募可能に 五輪新エンブレム(15/10/07)



これが当たり前と言えば当たり前。
ぜひ多くの人が納得し支持を得られるデザインに決まって欲しいと願うが、一方で、また根掘り葉掘りとNet民による「厳しい審査」が待ち受けていることだろう。その意味では決して楽観はできない。


《関連記事》
「エンブレム、撤回したはいいけれど」
「エンブレム顛末記」
「【速報】東京五輪エンブレム使用中止!!」
「JOCの無能と佐野研二郎氏の終焉」
「呪われたエンブレム・JOCの姦計」
「ますます疑惑のエンブレム」
「問題山積で泥沼化は必至」
「錯綜する情報」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:エンブレム、撤回したはいいけれど

2015-09-05 18:09:28 | 東京五輪2020
こうなると、全てが疑心暗鬼に思えてくる。
何が真実なのか、何が真相なのか。
やめるにやめられない、引くに引けない東京五輪。今後の成り行きは・・・。

・・・いや、思い切って全てをやめてしまえばいい。そう思うのだが。

クローズアップ現代「2020東京オリンピックエンブレム白紙撤回」佐野研二郎


ここで、永井一正氏は、エンブレム修正の経緯は知らなかったと語っている。
嘘か誠か、もし氏の言うとおりであるならば、密室で一体何が行なわれていたのだろう。まるで「国家的重大機密」扱いである。
こうしたことひとつ捉えても、オリンピックが、果たしてスポーツの祭典、国民的行事と言えるのかどうか。今に始まったことではないけれど、知らぬ間に好き勝手に進められる計画の数々。結局は国と大企業の、国と大企業による、国と大企業のためのイヴェントでしかなく、常に国民は出汁に使われるという、それに尽きるような気がする。


「五輪エンブレム:再公募、デザイナーに戸惑い」(毎日新聞 9月4日)

>2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレム撤回を受け、大会組織委員会は受賞歴などの応募要件を緩和し、開かれた公募のあり方を検討している。だが、デザイナーの受け止め方は複雑だ。前回の公募は参加者には不満が残るものだった上に、制作者の佐野研二郎氏(43)はネット上で厳しい批判にさらされた。デザイナーからは「こちらも生活がある。とても応募できない」と深刻な声も聞こえてくる。

>前回応募したあるデザイナーは「組織委は素人だった」と憤りを隠さない。求める作品の構図など基本的な条件が何度も変わったほか、締め切りの1週間前には提示された資料のパラリンピックのアルファベットのつづりが間違っていたことが伝えられたという。このデザイナーも今回は応募を見送る考えだ。

>佐野氏の作品を選出した理由を組織委は「展開力」と説明した。しかし、デザイン監修をするクリエーティブディレクター(CD)の安原和夫氏(67)は「どのような五輪にするのか。前提をはっきりさせないから審査委もきれいな作品を選んでしまう。あの『T』を見て、東京が思い浮かびますか」と疑問視する。今回の大会コンセプトは「全員が自己ベスト」「多様性と調和」「未来への継承」と抽象的だった。

>安原氏が好例とするのは招致段階で使用した「桜」のリースをモチーフにしたロゴ。11年に発表され、その年の東日本大震災からの復興の思いも込められた。1964年東京五輪の赤い丸も「敗戦から復興を遂げた日本の象徴そのもの」と語る。安原氏は「理念を打ち立て、審査の基準をはっきりさせなければ、単に応募の間口を広げても結果は同じになる」と提言した。



前の拙記事に私はこう書いた。
「とは言っても、また新しいロゴにもNetの厳しい「監視の目」が及ぶだろうし、参加者はそうしたNet検閲の洗礼を覚悟での応募にはなりそうだ。
一方、例えば、桜の「招致ロゴ」は評判が良かったりもして、案外大多数の人が納得する落としどころとも言えるのではないだろうか。パラリンピックのエンブレムに関しては、それこそプロのデザイナーがアレンジを加え、その結果の数点を公表して絞り込むのが妥当というふうにも考えられなくはない。」

だが、どうやらその桜の「招致ロゴ」さえ使うことができないらしい。

「「招致の桜」エンブレム、継続使用はダメ なぜ?【東京オリンピック】」(The Huffington Post 9月3日)

>佐野研二郎氏デザインのエンブレムの使用中止を受け、東京オリンピック大会組織委員会は9月1日、公式サイトなどから佐野エンブレムを削除し、招致活動で使用していた桜のエンブレムに差し替えた。新しいエンブレムが決まるまでの暫定措置だ。しかし、桜エンブレムは、本大会用には使用できないという。

>スポニチによると、国際オリンピック委員会(IOC)の指針で「大会エンブレムは招致ロゴに取って代わるもので、発表まで機密事項として管理すること」などと定められていることが理由。組織委は「これらの要件を満たすため、招致ロゴを継続して使用することはできない」と説明した。

>オリンピック大会のエンブレムはライセンス商品として管理されており、その利用権を販売することで、大会の運営資金などを得る仕組みとなっている。

>毎日新聞によると、例えば1社あたり150億円の巨額の契約費を支払って国内最上位のスポンサー「ゴールドパートナー」になると、エンブレムを独占使用できる。

>しかし、招致活動に使われた桜のエンブレムは無償で多く配布されていることもあり、組織委の布村幸彦副事務総長は、「有償で(権利ビジネスの)ライセンス展開するのは難しい」と話した。



また、産経新聞の記事でも、
「桜のリースの招致ロゴ使用の待望論も 組織委、IOCなどの規定で「使えない」」(産経新聞 9月3日)

>組織委によると、エンブレムについては国際オリンピック委員会(IOC)の規定で、(1)招致ロゴに代わるもの(2)発表まで機密事項として管理する(3)パラリンピック版と補完的でありながら区別できるもの-と定められており、「すでに発表されたデザインをそのまま使うことはできない」という。

>また、招致ロゴの使用は無償で、すでにピンバッジなどの関連グッズも多く、グッズ作成やCMへの起用にライセンス料を課す公式エンブレムに転用することは「スポンサーの理解を得られない」(組織委)としている。

>招致ロゴを修正して使用する可能性については、組織委の武藤敏郎事務総長が1日の会見で「われわれ(組織委)が修正することで皆さんが納得するのかどうか。そういうアイデアがあれば(コンペに)応募していただければいい」との見解を示している。


・・・としている。
一方で、この際、1964年の東京オリンピックエンブレムを復活すれば良い、という話もある。
「まるく治める」のに、これも良い手立てだと思うが、それもまた難しいという。

「1964年東京五輪のエンブレムが新五輪エンブレムとして使えない理由」(YAHOOニュース 9月5日)

>この案は現実的には困難だと思います。
>第一に、五輪憲章には、オリンピックエンブレムは他のオリンピックエンブレムと明確に区別できなければならないと明記されています。
>4.2 The IOC may approve the design of an Olympic emblem provided that it considers that such emblem is distinct from other Olympic emblems.
>(栗原訳)IOCは他のオリンピックエンブレムと区別できる判断した場合にはオリンピックエンブレムのデザインを承認できる。

>もうひとつの問題点として商標登録の問題があります。日の丸マークとTOKYO 2020の文字を組み合わせて商標登録することは可能です。TOKYO 2020の部分が識別力ありとされるからです。そもそも、TOKYO 2020単独の文字商標は既に組織委を権利者として登録されています(通常は「地名+年号」の商標は識別力なしということで登録されませんが、これについては組織委がオリンピック関連で使用すれば識別力を発揮するだろうという理由で登録されています)。

>しかし、日の丸マーク単独で商標登録することは、あまりにもシンプルな図形であるため困難です。そして、仮に全商品・全役務で登録されたとすると他の日の丸マークが商標として使えなくなってしまうという問題が生じます。結果的に、五輪のマークもTOKYO 2020もつけず日の丸マークだけを付けた「脱法」非公式グッズの販売は防げません。加えて既存の合法的に使われている商標(たとえば、日の丸交通のタクシー)と区別しにくいという問題もあります。こういう状況をスポンサーが許容するかという点が最大の問題です。

>1964年の五輪はアマチュアリズムの祭典でした。エンブレムを商標登録してスポンサーにライセンスして収益化するという今日の五輪の世界とは全然環境が違っていたので、当時のエンブレムをそのまま使うというのはそもそも無理筋なのです。



とは言え、日本オリンピック組織委員会が毅然とした態度で何か方策を考えれば、桜の「招致ロゴ」にしろ「1964年東京五輪のエンブレム」にしろ、可能性が無いと言い切れない気はしないでもないが、「異例」ついでにやればいいのでは無いだろうか。新たな公募で、また新たな問題が発生するより余程無難である。

 * * * * *

さて一方、「佐野エンブレム」を撤回したことによる金銭的な損失は如何ほどのものだろう。

「組織委経費は5700万円=エンブレムの白紙撤回で-東京五輪」(時事ドットコム 9月4日)

>2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムが白紙撤回となった問題で、大会組織委員会は4日、エンブレムの選考や商標登録に支出した経費が約5700万円に上ることを明らかにした。
>組織委によると、国際オリンピック委員会(IOC)などと共同で進めた商標の調査や登録費用に約4700万円を支出。応募用のホームページ作成や審査会場のレンタル費、ポスター作成費などに約1000万円がかかった。
>これとは別に、7月24日に東京都庁都民広場で行ったエンブレム発表イベントに約6900万円がかかった。この費用の負担割合は組織委と東京都が協議中で、まだ決まっていない。



「東京都の損害1億円超 五輪エンブレム撤回で無駄金」(日刊スポーツ 9月3日)

>2020年東京五輪・パラリンピック公式エンブレムの撤回を受け、東京都が受ける損害が、最大で1億円を超える可能性があることが2日、分かった。

>7月24日に都庁で行ったエンブレム発表イベント費用も、都は7000万円を上限に負担することになっており、最大で1億1000万円以上が無駄になる恐れがある。





更に、スポンサー企業等の動き。

「五輪エンブレム問題受け 経済界が会合」(NHK 9月4日)

>経団連や日本商工会議所などで作る協議会はエンブレムが白紙撤回されたことを受けて、4日に東京都内で臨時の会合を開き、企業のトップらおよそ100人が出席しました。
>この中で、大会の組織委員会の佐藤広副事務総長が白紙撤回の経緯を説明したうえで、「お騒がせして申し訳ない」と陳謝しました。
>これに対して企業からは、スポンサーの契約はエンブレムの活用が前提となっており、早く国民に支持されるものを作ってほしいといった要望や、組織委員会は意志決定のプロセスを明確にし、より説明責任を果たすべきだといった意見が出されました。そのうえで今後、協議会として大会組織委員会との意思疎通を活発にし、協力関係を一層強化していくことを確認しました。

アサヒビール「新エンブレムを早く」
>アサヒグループホールディングスの荻田伍相談役は「組織委員会から、きちっと説明を受けたし、これから一緒になって大会を盛り上げていこうという話だった。新しいエンブレムを早く作ってもらって利用していきたい」と話しました。
>また、傘下のアサヒビールが組織委員会との間にスポンサーとして最高位の「ゴールドパートナー」として契約を結んでいますが、組織委員会に対し賠償を求める考えがあるかとの質問に、「全然ありません」と答えました。

JAL「大会成功を」
>組織委員会と「オフィシャルパートナー」としてスポンサー契約を結んでいる日本航空の大西賢会長は会議のあと、「組織委員会からは経緯の説明をしてもらい、今後のエンブレムについて、どのようなかたちでやっていきたいかという説明を受けた。財界としては2020年の大会が成功してくれるのが、いちばんうれしい」と話しました。
>また、組織委員会に対するスポンサー企業からの賠償請求について、「それは先の話で、きょうは全く出ていない。今後、賠償について組織委員会と話し合いの場を持つかどうかも個別の判断になるのではないか」と話しました。

組織委「早急に取りかかる」
>組織委員会の中村英正企画財務局長は「エンブレムの撤回の経緯を説明したうえで、おわび申し上げた。会議ではスポンサー企業から、今回の問題を受けての賠償の話は一切出なかった。今後、いいエンブレムを作ってほしいという話だったので早急に取りかかりたい」と話しました。



取り敢えず事件直後なだけに、即ち「損害賠償」という生々しい話に及ばないまでも、何れは避けて通れない問題にもなってくるだろう。

さて、この東京五輪エンブレムの白紙撤回騒動の原因、その元凶は「佐野エンブレム」にあった。
これがようやく白紙撤回となって、多くの国民は大方これに納得し、胸を撫で下ろした。
結果、エンブレムをデザインした佐野研二郎氏の姿勢が問われるところではあるが、その責任の所在ということになれば、まずこのデザインを選んだ選考委員にあると言え、それよりも、これを取り仕切った日本オリンピック組織委員会(JOC)に最大の瑕疵があると言える。更に管轄の文科省、ひいては政府の管理、監督責任は重大だ。

それぞれがどのような形で責任を取るのか、またその責任をどう補って今後どう対処するのか。それは未だ曖昧である。
何にでも言えることだが、このままうやむやにすること、そのことが次の事件、次の被害や損害を生むことになり兼ねない。それこそ国会でしっかりと追及、究明することが望まれる。

「国民が、世界のアスリート達が歓迎する大会にしたい」
言うのは簡単だが、キレイゴトでは済まされない。


《関連記事》
「エンブレム顛末記」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:エンブレム顛末記

2015-09-02 19:08:16 | 東京五輪2020
東京五輪エンブレム問題で組織委員会が会見(THE PAGE 2015/09/01)


一言で言えば、遅きに失した。

ついては、責任の所在を明らかにしない言い逃れ、詭弁、誤魔化し、佐野氏や選考委員の擁護や弁護等々、様々な意見や感想があるだろう。
もちろん、それを踏まえ、私はそれでもある意味で実に無難な、そしてある意味で大人の対応会見だったように思う。
言い換えれば、そもそも彼らに切実な対応を望むのは土台無理な話である。それは予め承知の上だ。

ともあれ、武藤敏郎事務総長の右隣に座る、横柄で高慢な槙英俊マーケティング局長に喋らせるよりは、まだ百倍ましだった。その点は事務総長の威厳であり、その肩書きを持つだけのことはある。

「デモは否定しない。国民の政治活動として尊重されるのは当然。政治家も国民の政治的意思として十分耳を傾けなければならない。ただしデモで国家の意思が決定されるのは絶対にダメだ。しかも今回の国会前の安保反対のデモ。たったあれだけの人数で国家の意思が決まるなんて民主主義の否定だ。」

唐突だが、これは「戦争法案反対」の国会前10万人行動のその日、8月30日にかの橋下徹がTwitterでつぶやいたものだ。
日本オリンピック組織委員会の発想も、基本的には同じである。
つまり、国民の意見には耳を貸すふりをするが、それに流され「盗用・模倣」を認めたのではJOCの沽券に関わる、権威失墜だとするものだ。

まったく何様だと言いたくなるが、それが官僚主義である。
何にせよ、決まったものは淡々と、粛々と機械的に進める。彼らにとってそこから先は「仕事」以上でも、それ以下でもない。ただ決定事項に従い、慣例に従いそれを確実に履行するだけだ。
それにおける弊害は考えようとせず、そこに融通性などは無い。つい先頃、個人情報の流出で大問題になった「日本年金機構」とその図式は全く同じであり、今回もまた、そうした官僚主義の暗部が炙り出されたと言えよう。

とは言え、内情はおそらく、相当数に上る市民からのクレーム殺到に危機感を抱き頭を抱えていたのも確かだろう。そうした世論の高まりを認識しつつ、だが、確たる証拠の無い「疑惑」だけでは決め手に欠けた。
そのようなグレーな状態では決定には至らず、また、単に「盗っ人を登用していた」ではあまりに情けない話で、もとより佐野氏の一連の「盗用・盗作問題」と「五輪エンブレム」は直接の関連は無い。JOCとしてはそうした感情論のみでの解決は避けたかった。そのことから充分「大儀」になるような理由を探していたのもまた事実なのではないだろうか。

そうしたどっちつかずの状態から、ついては、むしろ「疑惑」を払拭せんがため公表した「佐野エンブレム」の「原案」であったが、思惑に反し、とんだ墓穴を掘る羽目になってしまった。
だがこれが一転、次いで「展示例」の写真の無断使用が良い材料となった。客観的に見て、これなら明確で誰にも解り易いからである。さしずめ踏ん切りがつき、観念せざるを得ない状況において、結果的に怪我の功名だったとしての「佐野エンブレム」撤回である。これなら「大義名分」が立つという寸法だ。

会見において、責任問題については巧みにはぐらかし、言わば誰も「悪人」にしなかった武藤事務総長であるが、「佐野氏は模倣ではないと断言している」と擁護はしつつ、その実、佐野研二郎氏をスケープゴートにした可能性はある。
佐野氏本人が「取り下げ」を申し出たとするのだが、果たしてその具体的なやり取りに関しては不明瞭である。あるいは佐野氏の申し出を「渡りに船」とする演出があったのかどうかも含め、それもまた定かではない。

武藤事務総長は、「佐野エンブレム」の使用中止、取り下げ撤回の理由について、「国民の意見」と「佐野氏の申し出」によるものとした。しかしこの事件についての本質はそこではない。


次いで昨晩、予告通りに佐野氏の「MR_DESIGN」のホームページに「釈明文」が掲載された。
それは相変わらずテキストではなく、「画像」だ。



しかし、これを読んで思うが、まず、「このような結果に及び、迷惑をかけて申し訳ない」と、何故最初にそう言えないのかと思う。見苦しい言い訳より先に、そしてついての反省を述べるべきなのではないのか。「エンブレム」の盗作云々より、根本として問われているのはデザイナー、アートディレクターとしての佐野氏の姿勢だ。未練がましく、同情を誘うような、あるいは私怨ともとれる言い回しも決して潔いとは言えない。そうしてここで自らの心情やプライバシーを語る必要性も無いだろう。

こうしてみれば、常識が無いというか無自覚というか、なるほど、佐野氏は世間擦れしていない未熟な大人なのかもしれない。よくこれで大学の教鞭がとれるものだと感心する。

確かに、全てを認めれば自分自身の存在否定にも繋がる。最後の砦を守りたい気持も解らないでもない。「疑わしきは罰せず」の理念に基づき、放免してもらいたいとする思いもわかる。
しかし、サントリーのトートバッグデザインを取り下げたことに端を発し、それは既成事実化され、即ちそれを以って「盗用」を認めたことになる。それはまた、必然的に一連の作品に波及し、その後の経緯を辿れば、この場合、一事が万事たる所以だ。その結果を素直に受け止めるべきだろう。

確かに天狗になっていた。もしやオリンピックエンブレムデザインは佐野氏のデザイン能力からすれば荷が勝ちすぎていたのかもしれない。

いずれにせよこれで充分に社会的制裁は受けただろう。今後しばらくは、“あの”佐野研二郎という定冠詞が付くのは止むを得ないだろうが、これを教訓に二度と軽はずみな行為は働かないことだ。
そして、嫌疑が及んでいる事案には誠意を持ってこれを清算し、一から出直して身の丈に合った仕事、暮らしをすればいい。世の中、捨てる神あれば拾う神あり。真面目に実直に取り組めば困ることはないはずだ。やがて騒動は徐々に鎮静化するだろう。


さて、話はJOC・武藤敏郎事務総長の会見に戻るが、話の中で、永井一正氏がデザインというものについて「一般の人には理解しがたい」などと言っていたことを引用し、それに乗じて事務総長も、コンセプト(成り立ち)が違うから「佐野エンブレム」は「リエージュ劇場のロゴ」とも「ヤン・チヒョルト展のロゴ」とも違うのだということを盛んに強調していた。

例えば「●(丸・円)」について、これは太陽の●であり、地球の●ではないからと、いくらそう言ったところで、しかし●は●であり、精々色が違えば違うと言えるにしても、客観的には●は●である。ここで「違う」というのは単なる屁理屈でしかなく、その正体はつまり「裸の王様」だ。この理屈が通用するのは、けだしあくまでもデザイナー同士の話なのである。

いわゆるデザイナーというのはとかく理屈っぽく、端から「一般人には理解できないだろう」とする独り善がりな優越意識を持っていたりする。時に偏屈で高慢で、画家や彫刻家たちとはまた違う、一種独特な世界観を持ち、そして常にその多くは排他的だ。むしろそうでなければ勤まらない職業だと言えるのかもしれない。何故ならば、自分の「自信」だけが頼りだったりする側面があるからでもある。

そのことからもデザイナーは派閥を形成しやすい。それは例えば、中世ヨーロッパの都市で発達した商工業者の独占的、排他的な同業者組合「ギルド」に似ている。
気が合い、それぞれが許容できる人間だけが集まり、互いに絶賛し合う。有力者にコネがあれば伸し上がり、加えてそれに媚びる連中が出てくる。そうして業界は成り立っている。
それを上手く利用し、支えているのが電通、博報堂であり、大日本印刷もまた“同族デザイナー”をのさばらせる温床になっている。


一方、そうした中から産まれてくる「デザイン」。それには、「プロ受けするデザイン」と、「一般受けするデザイン」とがあって、総じて「一般受けするデザイン」は保守的であり、斬新なもの、言い換えれば「奇異なもの」は好まれない。
そこで、奇抜なものを良しとする場合、デザイナーは「専門家」を笠に着て、とくとくと、それがいかに良いものなのかの説明をする。
「専門家が言うならそうなのか」と妙に納得してしまうのもまた人情というもので、これはデザイナーの名が通っているほどにその効果がある。その意味で、デザイナーはいわゆるペテン師でもあるのだ。

7月24日、公に発表となった「佐野エンブレム」。
大して良いとも思わず、「は~、そんなものか」と思った人は多いのではないだろうか。それは「有名デザイナーの作品」であることによって取り敢えず是認された。

さて、それから一週間もしない内、ベルギーの「リエージュ劇場」のロゴとの類似問題が浮上する。
なぁなぁのデザイナー、アートディレクター、プロデューサー、広告代理店にとっては思わぬ誤算である。
それを切っ掛けに、その後「佐野エンブレム」に限っても、様々な憶測を呼ぶに至った。まさにデザイナーの“生態系”が揺らぐ一大事である。「佐野エンブレム」の価値は一気に下落した。
「なんだ大したことない」。“デザイナーマジック”はいとも容易く解け、その反動で造形的にも不評を買い、批判の矛先は佐野氏に向けられた。
そもそもそこに歪な構造があったわけだが、そんな中で癒着、談合、出来レースが取り沙汰されることにもなり、安泰と見られたデザイン業界が震撼させられる事態となった。

これらを鑑みれば、当然、佐野氏を担ぎ擁護した永井氏始め、浅葉氏や取り巻き連中の責任は重い。


その後の顛末はご承知の通りだが、「佐野エンブレム」が白紙撤回になり、興味を持って見ていた人の9割以上がこれを歓迎したのではないだろうか。

JOC(日本オリンピック組織委員会)は改めて仕切り直しをするという。
また公募から行なうとしても、公募の方法、選考の方法、応募資格の刷新をしなければ世論は納得しないだろう。
当然、選考委員も総入れ替えしなければならず、更にその審査員は仮に門外漢でも中立性を保てる人選が望まれることにもなる。

とは言っても、また新しいロゴにもNetの厳しい「監視の目」が及ぶだろうし、参加者はそうしたNet検閲の洗礼を覚悟での応募にはなりそうだ。
一方、例えば、桜の「招致ロゴ」は評判が良かったりもして、案外大多数の人が納得する落としどころとも言えるのではないだろうか。パラリンピックのエンブレムに関しては、それこそプロのデザイナーがアレンジを加え、その結果の数点を公表して絞り込むのが妥当というふうにも考えられなくはない。

いずれにせよ、デザイン業界の浄化に及ぶかどうかまではわからないが、JOCが今後どれだけ公正を保ち、善処するのか、そのJOC、そして政府、東京都の動きに注目だ。




大損害!東京五輪エンブレム白紙…ポスター、CMぜ~んぶパー サンスポ 9月2日

 またも撤回! 2020年東京五輪の公式エンブレムの使用中止が1日、正式に決定した。盗作疑惑が指摘された制作者の佐野研二郎氏(43)が撤回を申し入れ、大会組織委員会が了承した。新国立競技場の建設計画見直しに続く、前代未聞の大失態。五輪スポンサー企業がHPからエンブレムを削除するなど早くも“損害”が出ており、海外メディアが厳しい論調で報じるなど国際的信用への悪影響は避けられない。

 2013年9月8日(日本時間)に東京での五輪開催が決まって約2年。7月24日に公式エンブレムが発表になって、40日目。エンブレムの見直しという五輪史上極めて異例の事態となった。

 エンブレムがベルギーの劇場ロゴに似ていると指摘され、佐野氏の他の作品でも“盗作疑惑”が渦巻く中、大会組織委員会が1日午後の臨時調整会議でエンブレムの撤回を決めた。7月17日にメーンスタジアムとなる新国立競技場の建設計画の見直しが決まったが、これに続く白紙撤回だ。

 組織委の武藤敏郎事務総長が午後6時から会見。同日午前に佐野氏らと協議した際、佐野氏から「自分や家族への誹謗中傷がなされている」などと説明があり、取り下げを希望したという。

 武藤氏は「国民に申し訳ない」と謝罪。「直ちに新しいエンブレムの選考に入りたい。公募を大前提にしたい」との考えを示した。佐野氏に対する賞金100万円については「支払わないことにしたい」と明言した。

 東京都の舛添要一知事は調整会議前、「裏切られたという感じ。エンブレム自体のイメージは非常に低下した」と厳しく批判した。

 影響は早くも各方面に及んだ。五輪スポンサーの日本企業21社のうち、1日朝の時点で15社がCMやHPなどにエンブレムを使用。三井不動産と日本航空(JAL)、NECなどはHPから削除した。JX日鉱日石エネルギーや日本生命保険なども、エンブレムを使用しているテレビCMを修正する方針を示した。

 HPへの掲載に比べCMは制作費などの負担も大きいが、JXは影響額について「今の時点ではいくらになるか分からない」。各企業は白紙撤回に伴う損失への対応を明かしていないが、ゴールドパートナーの各企業は6年間で150億円を拠出。ある企業の関係者は「ブランドイメージを上げるためのスポンサーなのに、騒動で逆にイメージダウンになるのではと不安だ」とこぼした。

 協賛社には「なぜああいうエンブレムを使う五輪を応援するのか」との苦情も寄せられているといい、今後は関係当局への損害賠償を検討する動きが出る可能性もある。

 東京都は、7月24日にエンブレムを発表したイベントの費用に最大7000万円を支出。さらにのぼり旗やポスターなど約4600万円分を発注しており、これら経費の負担についても今後議論される見通しだ。

 海外もさっそく反応をみせ、英BBC放送(電子版)はこの騒動について「ぶざま(awkward)」と報じた。経済問題の専門家はサンケイスポーツの取材に「国際的信用も考えれば、損害は計り知れない。大きなマイナスになる」と指摘。迷走は、いつまで続くのか…。

会見せずHPで謝罪
 佐野氏は1日夜、事務所のHPで「(エンブレムについては)模倣や盗作は断じてしていないが、それ以外の私の仕事において不手際があった」とコメント。

 取り下げた理由については、プライバシー侵害など異常な状態が今も続き「もうこれ以上は、人間として耐えられない限界状況だと思うに至りました」としたうえで「批判やバッシングから家族やスタッフを守るためにも、もうこれ以上今の状況を続けることは難しいと判断した」と説明。「ご迷惑をおかけしてしまった多くの方々に、深くおわび申し上げる」と謝罪した。

選考過程
 8人の審査委員が行った。審査委員代表を務めた永井一正氏によると、選考はデザイナー名が分からないように進められ、104点の応募作品から投票で4点に。佐野氏の応募時の原案は、その後の商標調査で類似性があるものが見つかり佐野氏が修正したが、躍動感がなくなったとしてさらに手直し。2度の修正を経て現在の形に。審査委員の1人は「選んだ原案と違う」と反発したが、他の7人は了承して公式エンブレムに。


無駄が無駄を呼ぶ連鎖。世界から嘲笑されても仕方がない。これが是が非でも東京でオリンピックを開催したいと、その執着心を醜いほどに露わにしている連中の体質であり本性だ。


《関連記事》
「【速報】東京五輪エンブレム使用中止!!」
「JOCの無能と佐野研二郎氏の終焉」
「呪われたエンブレム・JOCの姦計」
「ますます疑惑のエンブレム」
「問題山積で泥沼化は必至」
「錯綜する情報」
「「EXPO'70」に見るロゴの変更事例」
「地に堕ちた有名デザイナー」
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:【速報】東京五輪エンブレム使用中止!!

2015-09-01 16:51:30 | 東京五輪2020
佐野研二郎氏デザインの五輪エンブレム、使用中止へ(ANN 15/09/01)


東京五輪エンブレム 使用中止の方針固める NHK 9月1日 12時43分

2020年東京オリンピックのエンブレムについて、大会の組織委員会は佐野研二郎氏のデザインしたエンブレムの使用を中止する方針を固めました。このあと臨時の会議を開いて、最終決定することにしています。

東京大会のエンブレムを巡っては、アートディレクターの佐野氏がデザインしたエンブレムが、ベルギーのグラフィックデザイナーが2年前に作った劇場のロゴマークに似ているとして、IOC=国際オリンピック委員会に対しエンブレムの使用差し止めを求める訴えを先月、ベルギーの裁判所に起こしたほか、佐野氏が組織委員会に提出した空港や街中での展開例の画像がインターネット上から無断で転用されているのではないかという指摘が出ていました。
これを受けて組織委員会は1日午前、佐野氏本人に事情を聞いたうえで協議し、東京オリンピックとパラリンピックの2つのエンブレムの使用を中止する方針を固めました。
組織委員会はこのあと臨時の会議を開いて最終決定し、新たなエンブレムをどうやって決めるのかなど今後の対応を検討することにしています。

裏切られたという思いだ
2020年東京オリンピックのエンブレムについて、大会の組織委員会が佐野研二郎氏のデザインしたエンブレムの使用を中止する方針を固めたことを受けて、東京都の舛添知事は「私が見ても似ていると思うし信用の問題になっている。デザイナーの佐野さんにはまずしっかりと説明してもらいたい。裏切られたという思いだ」と述べました。
そのうえで、「エンブレムのイメージ低下は否めず、佐野さんの責任はあると思うのできょうの会議でしっかり議論したい。こうした問題は一刻も早く片付けてすばらしい大会にしたい」と述べました。

佐野氏事務所 きょう中にコメントしたい
これについて、佐野研二郎氏の事務所はNHKの取材に対し、「使用中止の方針が決まったことについて、把握しているかどうかを含めて佐野氏と広報担当者が不在のため、コメントできない」と話したうえで、「きょう中に会社のホームページでコメントしたい」としています。


佐野氏デザインの五輪エンブレム、使用中止へ 組織委が方針固める サンスポ 9月1日 13:30

 2020年東京五輪の公式エンブレムが、ベルギーの劇場ロゴに似ているとの指摘を受けるなど批判が高まっている問題で、大会組織委員会が佐野研二郎氏(43)デザインのエンブレム使用を中止する方針を固めたことが分かった。関係者が1日、明らかにした。

 同日午後、組織委や東京都など開催準備に関わる組織や団体の代表者で構成する臨時の調整会議が開催され、今後の対応を緊急協議する。終了後、組織委は記者会見する予定。

 決定した五輪公式エンブレムの見直しが決まれば極めて異例の事態となる。メーンスタジアムとなる新国立競技場(東京都新宿区)に続いて、大会のシンボルが見直される。既に組織委スポンサーはエンブレムをテレビCMなどに使用しており、影響も予想される。

 会議には組織委の森喜朗会長、遠藤利明五輪相、東京都の舛添要一知事、日本オリンピック委員会(JOC)の竹田恒和会長らが出席する見通し。(共同通信)


佐野氏 使用例の画像 無断転用認める NHK 9月1日 13時50分

2020年東京オリンピックのエンブレムを巡り、アートディレクターの佐野研二郎氏が、審査の応募資料として提出した空港や街中でのエンブレムの使用例の画像について、佐野氏が大会の組織委員会の調査に対してインターネット上に掲載されていた画像を無断で転用していたことを認めたことが分かりました。

組織委員会によりますと、去年11月、エンブレムの審査の際に佐野氏からの応募資料でエンブレムの使用例として提出された2つの画像について、インターネット上に似た画像があることから無断で転用しているのではないかと、外部から指摘があったということです。
指摘されているのは、羽田空港のロビーにエンブレムの描かれたポスターなどが掲示されている画像と、渋谷駅前のスクランブル交差点で周辺のビルの壁などにエンブレムが掲載されている画像の2点です。
指摘を受けて組織委員会は、佐野氏本人に事実関係を確認した結果、佐野氏が無断での転用を認めたことが分かりました。
組織委員会は、ベルギーのグラフィックデザイナーがIOC=国際オリンピック委員会に対し、エンブレムの使用差し止めを求める訴えを起こしたことを受けて先月28日に会見した際、これらの画像を公開していました。
東京大会のエンブレムを巡って大会の組織委員会は、佐野氏のデザインしたエンブレムの使用を中止する方針を固め、このあと臨時の会議を開いて、最終決定することにしています。そして、午後6時から記者会見を開いて、詳しい経緯を明らかにすることにしています。

無断で複製なら著作権法違反に当たる
写真の無断複製について、文化庁の著作権課は、著作物に当たる写真には自然に著作権が発生するので、それを無断で複製すれば原則として著作権法違反に当たるとしています。
著作権の侵害により、損害賠償の責任を問えるかは故意もしくは過失の有無によって判断されますが、中には「著作権フリーの素材だと思い込んでいた」などとトラブルになるケースもあるため、最近では一般の人の中にも自分の著作権であることを表記するケースもあるということです。
今回、イメージ画像のもとになったと指摘されている羽田空港の写真の撮影者も著作権が自分にあることを写真に記していました。
文化庁では「一般的には著作権者が記されているにもかかわらず、無断で写真を複製したのであれば、悪質な侵害の部類に入り著作権法に抵触するおそれがある」と話しています。


これは大朗報である!!

ついに日本オリンピック組織委員会も民意には逆らえず、重い腰を上げた。

しかし、今更ながら、なぜもっと迅速な対応ができなかったのか。取り繕い、誤魔化し、ただ保身に回るだけのJOCの姿勢が問われる。
これだけの声が上がって、やっとこさの対応はむしろ問題を拡大させた。その責任は免れない。


「五輪エンブレム:使用中止 類似騒動受け組織委が会議招集」(毎日新聞 9月1日 14時44分)

>安倍晋三首相は1日午後、記者団に、五輪エンブレムの問題に関して「組織委員会で状況を判断したのだろう。いずれにせよ、祝福されるオリンピックにしなければならない」と語った。

安倍は「点数稼ぎ」に乗り遅れたか、それ以前に「エンブレム」に関してはどうやら他人事のようでもある。

いずれ、この見直しでまた数百億円の無駄金が飛ぶのだろうし、もとより「佐野エンブレム」に執着し、これを固持し、推進したJOC、大臣、そして佐野氏を始め、その選考委員の責任は極めて重い。責任のなすり合いなどの見苦しい茶番をこれ以上演じさせないよう、是非国会でも追及し、国民が納得できるようなかたちに収めてもらいたいものだ。

悪事は糾弾されて然るべきもの。政府、JOCはこれを教訓に真摯に向き合い、しっかりと善処すると共に、今後はより国民の声に耳を傾けるよう努力すべきだろう。決して国民を甘く見てはいけない。

それにしても、取り敢えず喜ばしいことである。更に、今後の政府、JOCの対応、動きに注目だ。


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:JOCの無能と佐野研二郎氏の終焉

2015-08-31 18:54:46 | 東京五輪2020
あらら・・・、まんまやん・・・。

開いた口が塞がらないとはこういうことを言うのだろう。
あまりにもダイレクト過ぎて、阿呆らしさを通り越して、ただ唖然とするばかりだ。




銀座で行なわれた展示会、『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』のグラフィックス


東京五輪エンブレム・佐野氏の原案

Net上は、もうこの話題で持ちきりなので、今更説明するのには及ばないところであるが、詰まるところ、「佐野エンブレム」の「原案」は、2013年の11月に開かれた『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』のロゴの、明らかなる盗用だったというオチだ。

もうこれを疑う余地は全く無い。何故なら、佐野研二郎氏はこの展覧会に実際に足を運び、それを目にし、しかも絶賛までしているというからだ。その証拠が確かに過去のTwitterのログに残っているのである(探し出したNet民も大したお手柄だが)。



佐野氏は「いまのgggのヤンチヒョルトもやばい。」とコメントしている。

ヤン・チヒョルト(Jan Tschichold, 1902年4月2日~1974年8月11日)
ドイツのタイポグラファー・カリグラファーである。看板屋の長男としてライプツィヒに生まれた。新しいタイポグラフィの創生に努めたが、ナチスの弾圧を避けてスイスへ移住した後は、伝統的なタイポグラフィを擁護する立場をとる。同国のロカルノで没した。
なお、もとの姓名は Johannes Tzschichhold である。Iwan Tschichold と名のっていたこともある。(Wikipediaより)


ヤン・チヒョルト氏制作によるタイポグラフィー


で、この『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』は、「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」というところで開催されていて、このギャラリーは業界でも有名どころ。
そして、この展示会のデザイン監修をしたのは白井敬尚氏。制作は白井敬尚形成事務所である。

白井 敬尚(しらい よしひさ )
日本のグラフィックデザイナー。1961年愛知県生まれ。株式会社グレイス(宮崎利一チーム)、株式会社正方形(清原悦志主宰)、正方形グラフィックスを経て、98年白井敬尚形成事務所を設立。 タイポグラフィを中心としたデザインに従事し、主に雑誌や書籍のブックデザインなどを手がけている。武蔵野美術大学視覚伝達デザイン学科教授。京都造形芸術大学、東洋美術学校非常勤講師。朗文堂新宿私塾講師。ミームデザイン学校講師。(Wikipediaより)

展示会のグラフィックスはご覧の通り、上のヤン・チヒョルト氏自身のタイポグラフィーをモチーフに制作されたもので、ロゴはそのタイポグラフィーから取って、そのままヤン・チヒョルト氏のイニシャルである「J.T.」としたものだ。ついては何ら問題は無い。
なので、ここで白井敬尚氏が云々という話にはならない。

そこでまず、「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」の運営母体について。
これは「公益財団法人DNP文化振興財団」というところで、
「グラフィックデザインやグラフィックアート等の芸術性や文化性を現世及び後世に伝えるためのアーカイブ事業、国内外の優れた作品を一般に公開する展示事業、セミナーやインターネット、図書などを通じて行う教育・普及事業、国籍や民族を超えて多様な価値観の相互理解と共有を促進するための国際交流事業等を充実拡充して行うことに加え、優れた芸術文化活動の顕彰や助成を行う研究助成事業や国内外機関、個人との共同研究等を行うことにより、広く社会・公共の利益に資し、芸術文化活動支援の恒久化と一層の充実を図り、以って、国境や民族を超えた文化の向上、発展に寄与し、不特定多数の公益の充実を期す(HPより)」ためとして天下の大日本印刷(DNP)が設立したものである。

その役員理事には永井一正氏の名前がある。また、評議員として浅葉克己氏の名前もある。



また、当然のように「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」では永井氏も浅葉も、そして佐野氏も展示会を開いている。
これはいったいどういうことなのか。

『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』が開かれてまだ2年も経っていない。記憶には新しいと言える。
永井氏も浅葉氏も、タイポグラフィーの世界で有名なヤン・チヒョルト氏の存在を知らないわけはなく、まして「ギンザ・グラフィック・ギャラリー(ggg)」で開かれた『Jan Tschichold ヤン・チヒョルト展』を役員でありながら承知していないということはまずあり得ないだろう。
従って、この期に及んで「知らなかった」では済まされないということである。

エンブレム選考の流れは、『ヤン・チヒョルト展』のロゴを、ほぼそのまま踏襲したようなデザインを、佐野氏は「東京五輪エンブレムデザイン」として応募し、永井氏も浅葉氏もこれを選び、「何かに似ている」――具体例は示されていない―― としながら選外にはせず佐野案を固持。何とか“似ないように”修正を加えて決定した。

どう考えてもこの流れは不自然に過ぎると言わざるを得ない。ここが一番の問題である。納得できる説明があるなら是非聞いてみたいものである。

それにしても何と稚拙で杜撰で間抜けなことか。盗用したにしても、佐野エンブレムの原案は子供の図画工作の宿題にも劣る出来栄えとセンスである。こうなると、才能の点でも実に疑わしい。

また更に、“似ないように”修正した結果、今度は「リエージュ劇場」のロゴに似てしまったのだから世話がない。挙句、訴えられればもう始末に負えず、しかも相手が著作権問題を最も得意とする欧州屈指の敏腕弁護士と来れば、どう足掻いても逃げ場はないだろう。そもそもこれは裁判の勝ち負けではなく、訴訟に至ったこと自体が拭い難い汚点だということだ。JOCはそうしたことすらも解ってはいない。

余談だが、ちなみに同じ造形要素であっても、『ヤン・チヒョルト展』のロゴなり、あるいは「リエージュ劇場」のロゴなりは、何か繊細さがあって神経が行き届いている気がする。それはパーツ同士の絶妙な“隙間”であったり、個々の大きさや位置、全体バランスの問題なのだろう。些細なことだがこの点は極めて重要だ。その意味では「リエージュ劇場」のロゴも熟考が重ねられた結果のデザインであろうし、その観点から言えば、はっきり言って、盗んで作って元のものより良くなるものはない、ということだ。


一方で、「東京五輪エンブレム」のプレゼンパネルの「使用例・展示例」の写真画像が無断転用だとする話もある。
ただこれについては、むしろデザイン、制作側はプレゼンの段階で「スイトリ」とも言って、いわゆるアリモノを「パクる」ことは多い。もちろんそれはイメージを説明するための内々のプレゼンテーションの場においてであって、それを商品にそのまま移行することはない。決まればきっちりとオリジナルで撮り直すのが当たり前なのだが、果たしてこの場合はどうなのか、ついては微妙なのかもしれない。
もっとも、世界に向けて発表するロゴマーク(エンブレム)である。例えプレゼンでも、流用するなら許可を取り、あるいは全て段取りを組んでオリジナルで行なうのが正攻法だと言える。


上が元画像。下が流用され、加工した画像

それにしても、そうしたことが可愛く思えてくるほど、本体の「エンブレム」はあまりにお粗末過ぎて最早お手上げだ。

真相はわからないが、佐野氏は有名デザイナーの名を欲しいままにちやほやされて舞い上がっていたのか、プロとしての自覚が既に欠如してしまっているのだろう。他人の権利を侵しても気にしない、あるいはそうした意識すらない無神経さが常態化していたとしか思えない。更に、周囲も周囲で同じような状態だったのか、「まぁいっかぁ」のなぁなぁな談合、出来レース体質が後々とんでもない事態を招くのを考えてもいない。

グズグズに腐りきったグラフィックデザイン業界と広告業界。いずれにせよ、世界に対してはとんだ恥晒しである。加えてとんだ墓穴を掘ってしまったJOCだが、その言い草や対応も、もう異常としか言えない。ただ無能さをひたすら露呈しているだけである。

 * * * * *

一方、新国立競技場の件では、やはり1,550億でも充分に高いとして、しんぶん赤旗に次の記事が上がった。

新国立1550億円(上限)決定 巨大事業変わらず しんぶん赤旗 8月29日

 政府は28日、東京五輪・パラリンピックの主会場となる新国立競技場に関する関係閣僚会議を開き、総工費の上限を1550億円とするなど新たな整備計画を決定しました。旧計画の2520億円より縮小したものの、当初案の1300億円を上回りました。

 総工費の内訳は、施設本体が1350億円、周辺整備が200億円。これとは別に設計・管理費が40億円。

 このほか、支出済み・支出予定の関連経費として解体工事費55億円、日本青年館・日本スポーツ振興センター(JSC)本部移転費174億円など283億円にのぼります。

 新計画では、旧計画にあった開閉式屋根を設けず、観客席上部に屋根を設置。用途は原則としてスポーツに限定。観客席の冷暖房設備も見送りました。

 収容人数は6万8000人とするものの、サッカーのワールドカップ招致を理由に、客席増設で8万人に対応できるようにすることを盛り込みました。

 一方で、住民立ち退きなどを招くと批判されている周辺整備計画や関連経費については旧計画のままです。

 財源については「東京都など関係者と協議」として国が負うべき負担を押し付ける姿勢を明示しました。

 工期に関しては、9月1日に設計・施行一括で企画案を公募し、年内に事業者を選定。2020年4月末までの完成を目指します。

適正欠く総工費
 宮本岳志衆院議員(党スポーツ委員会責任者)の話 発表された整備計画の総工費は上限を1550億円として、当初案よりは縮小していますが、北京大会の430億円の3倍強、ロンドン大会の650億円の2倍強という巨額に上っており、適正さという点で国民が納得できるものではありません。

 計画は、基本理念でアスリート第一、ユニバーサルデザイン、周辺環境等との調和を掲げていますが、その際にも、工事費等の膨張を許さず、大幅な縮減に努めるべきです。

 同施設は、大会後には民間事業への移行をはかるとしていますが、国民の貴重な財産となることから、その管理・運営のあり方にはさらなる検討が必要です。

矛盾避けられず
 政府が28日決定した新国立競技場の整備計画は、国民やスポーツ関係者の願いにこたえた抜本見直しには極めて不十分です。

 安倍晋三首相は「大幅なコスト抑制を達成できた」と自画自賛していますが、当初案の1300億円を上回りました。当初案は、開閉式屋根の設置などを盛り込んだ豪華で巨大な施設であり、これさえ上回るものです。

 今回の整備計画と同規模の横浜国際総合競技場でも600億円、ロンドン大会主会場の650億円と比べても、ケタ違いに高額です。

 整備計画の白紙撤回を受けて建築家の槇文彦氏らのグループは、「1300億円でも十分すぎ、これを超える理由はどこにもない」と指摘していました。国民が納得できる見直しとはいえません。

 しかも、解体工事費や日本青年館・JSC(日本スポーツ振興センター)本部移転費など関連経費283億円は別途計上され、実質的な総工費を小さく見せかけています。

 基本理念に「周辺環境等との調和」を掲げながら、住民の立ち退きなどが問題となっている周辺整備計画も含めてまったく見直しされていません。さらに工期が短縮されれば、工費の高騰も避けられず、問題点が露呈することは必至です。

 抜本的見直しが不十分なものになるのは、安倍内閣が「日本全体を活性化する好機とする」(日本再興戦略)として、五輪に乗じて「国土強靭(きょうじん)化」の名で巨大開発や大企業支援を進めるねらいがあるからです。

 今回の見直しで首相は「国民の皆さまの声に耳を傾ける」と表明しました。しかし、民意にこたえない政治を続けるなら、国民との矛盾は避けられません。(深山直人)

もっとも至極な話である。

能無しな日本オリンピック組織委員会(JOC)とこれまた無能な大臣達。こんな茶番をいつまで続けるつもりなのだろうか。


《関連記事》
「呪われたエンブレム・JOCの姦計」
「ますます疑惑のエンブレム」
「問題山積で泥沼化は必至」
「錯綜する情報」
「「EXPO'70」に見るロゴの変更事例」
「地に堕ちた有名デザイナー」
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」
(更新:09/01 01:40/最終更新:09/01 03:50)

※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:呪われたエンブレム・JOCの姦計

2015-08-29 14:25:12 | 東京五輪2020
●TOPページからのエントリーがやや重くなっています。ご了承ください。

思わず吹いた!

あれは一体何だ? 子供のお絵描きかパズルか? それが第一印象であり、私の素直な感想だった。

そう、「佐野エンブレム」の「原案」と呼ばれるそれである。


フジテレビ・FNNニュースより

前拙記事からほどなく、昨日の内にJOC(日本オリンピック委員会)の会見が開かれ、ついに「佐野エンブレム」の原案と“されるもの”が発表された。

「五輪エンブレム問題 組織委、原案公表 あらためて盗作疑惑否定」(FNNニュース 8月29日)



>28日、2020年の東京オリンピックをめぐる動きが、2つあった。
>メーン会場となる新国立競技場について、政府は、総工費の上限を1,550億円に決めた。
>そして、もう1つ、エンブレムがベルギーの劇場のロゴに似ているとして、提訴された問題で、大会組織委員会は、エンブレムの原案を公表し、あらためて盗作疑惑を否定した。
>オリンピック組織委員会・武藤事務総長は、「まずこちらが、審査委員会で1位に選んでいただいた、佐野 研二郎さんの作品でございます」と話した。
>明らかにされたのは、公式エンブレムのデザインの原案、そして修正案。
>オリンピック組織委員会は28日、公式エンブレムが生まれるまでの変遷を公表するという、異例の会見を行った。
>これは、ベルギー人のオリビエ・ドビ氏が、自身のデザインしたロゴに似ているとして、IOC(国際オリンピック委員会)に対し、使用差し止めの裁判を起こしたことを受けてのもの。
>オリンピック組織委員会・武藤事務総長は、「原案は、リエージュ劇場のロゴとは、全く別物ということが、おわかりいただけると思います」と説明した。

>異例の原案公表で、オリジナルを強調したオリンピック組織委員会。
>一方のドビ氏は、どう感じたのか。
>FNNの取材に対し、ドビ氏は「最初のロゴは、似ているとは言えません」と、原案については、似ていないことを認めた。
>しかし、修正案について、ドビ氏は「これは、リエージュ劇場のロゴに似始めています」と語り、そして、最終案については、「誰が見ても似ている」と、あらためて主張した。
>ドビ氏は「問題は、作品のプロセスではなく結果です。わたしのロゴに似ないよう、変更を求めます」と語った。



「五輪エンブレム:専門家「説明もっとはやく」…対応批判」(毎日新聞 8月28日)

>2020年東京五輪の公式エンブレムを巡る騒動で、7月24日の発表から1カ月以上がたった28日、大会組織委員会が選考過程を明らかにした。「もっと早く丁寧に説明していれば、混乱は避けられたのではないか」。デザイン関係者からは組織委の対応を疑問視する声が上がった。

>デザイン評論家で武蔵野美術大教授の柏木博さんは「エンブレムと(類似が指摘された)ベルギーの劇場ロゴはデザインの根本的な考え方が全く異なる。原案が公開され、一層明快になった」と話す。

>一方、大会組織委員会による原案修正の依頼について、デザイン関連の知的財産管理を手がける弁理士の日高一樹さんは「五輪は今や多数の企業が関わるビジネスの場でもある。トラブルを避けるため少しでも似ていれば、変更を加えるのは当然のことだ」と話す。

>大会組織委員会はデザインの原案段階からの独自性を強調し、沈静化を図りたい構え。だが、日高さんは「修正の過程で他のデザインを参照した疑いを完全に払拭(ふっしょく)するものではない」と指摘する。

>東京都の舛添要一知事は28日の定例記者会見でエンブレムについて「残念ながら(エンブレムの)イメージも悪化している」と語った。同日開かれた東京都議会の五輪に向けた特別委員会でも、エンブレムを巡って都議から懸念や注文の声が相次いだ。選考過程の議事録の有無をただした都議は、都幹部の「ないと聞いている」との答弁を受け、「客観的資料さえないのか」と指摘した。



早速Netでは様々な憶測が飛び交っている。
「8月5日の佐野氏の会見での説明(全体が円のイメージ)と矛盾する」、「永井一正氏の言っていたことと違う(●の位置など)」、「後付けではないのか」などである。
それに、今更というか、どうやらJOCの連中は、「原案」を以って「リエージュ劇場」のロゴとは違う、模倣ではないということの証明を試みたようだが、現状はもうそのことよりも、むしろ数々の「パクリデザイン」で評判を落とした佐野氏の、その彼がデザインしたエンブレムを使用すべきかどうかに論点が移ってきている。「デザイナー失格」の烙印を押された佐野氏のデザインが、果たして国民感情的に受け入れられるのかどうかということである。
その意味では、この期に及んでのJOCの説明は、酷くズレているようで、言わば素っ頓狂であり、滑稽にさえ感じる。しかもあの子供じみた「図(原案)」を前にしてである。

>「もっと早く丁寧に説明していれば、混乱は避けられたのではないか」

いや、この様子なら遅かれ早かれではないだろうか。それは根本的に佐野氏のデザインの完成度が極めて低いことに由来する。「一層明快になった」のはむしろその点だ。

とにかく、「原案」は実に幼稚な印象で、デザイン以前に「工夫」といったものが一切見られず、「精錬された」というには程遠い。故に、それが何故選ばれたのか、まずは不可解この上ないというところである。これはもう「佐野ありき」と疑われても仕方がないことだろう。
また、わざわざ会見を開き、「原案」を示すなら、同時に他2点の入選作品も公開して、何故「佐野作品」が選ばれたのかその理由について、そこまでを説明して然るべきではないだろうか。
何か人を食っているというか、国民を舐めているというか、からかってさえいるような感じで腹立たしくもあるが、言い換えれば、おそらく彼らはそうしたことに気付きもせず、客観的にものを見ることさえできない、創造力が欠如した哀れで気の毒な連中ということなのだろう。

果たして結果、これでまた燃え盛る炎に更に油を注ぐことになってしまったようである。

とにかく、「佐野エンブレム」が盗作かどうかは詰まるところ佐野氏自身しか知る由がない。だが、いくらJOCが「盗作・盗用ではない」と主張したところで、ドビ氏の言うとおり、現実問題として、今の「佐野エンブレム」は結果的に「リエージュ劇場」のロゴマークに似てしまっている。要は、盗作・盗用か否かはさておき、その焦点は著作権の侵害の嫌疑にある。

「元に戻せば何も求めない。」
ドビ氏の言うことは至極まっとうで、しかし一方、その「原案」がまた別の作品に似ているとなれば、いずれにせよ「佐野エンブレム」は八方塞。そうして行き場を失えばもう撤回しかない、ということになる。


一方、ここに、東京オリンピックエンブレムのデザイン選考の過程について、更に詳しく述べた記事がある。
ただし、この『宣伝会議』は昔からデザイナー、クリエイターのご用達専門誌である。その点はご承知を。

東京2020エンブレムを一般公募にしなかった理由
マスナビ2016 株式会社宣伝会議グループ(2015年08月28日 掲載)

東京2020五輪のエンブレムのデザインについて、さまざまな見解、議論が交わされている。エンブレムはどのような手順をふみ、どのような審査によって選ばれたのか。ブレーン編集部では、会見時に明らかにされていなかった審査プロセスについて、東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会(以下 東京2020組織委員会)に取材を行った。
9月1日発売「ブレーン」10月号の東京2020五輪のエンブレムのデザインについての特集から、その一部を紹介する。

東京2020五輪エンブレム審査は2014年11月17日、18日の2日間にわたり行われた。

最終応募は104名、104作品(うちイギリス・シンガポール・中国・香港から4名が参加)。通常の広告・デザイン賞の審査同様、応募作品はすべてナンバーで管理。最初の投票から、決定に至るまで、制作者名を伏せた状態で作品を審査している。

会場にはロゴと展開例があわせて並べられ、各委員は両方を見た上で、それぞれの視点で残すべき作品、議論すべき作品の上に手持ちのチップを置く方法で投票。

1日目の審査で104作品を37作品に、その後37作品を14作品まで絞りこんだ。

2日目に、あらためて14作品を審査し、再度投票。その結果、4作品が最終選考に残り、そこから新たに議論を交わしたという。それを経て再度投票し、3作品の入選(佐野氏ほか、葛西薫氏、原研哉氏)を決定した。その時点で佐野案の投票数が一番高かったが、そこで決定せず、さらなる議論を続けた。

議論の中心になったのは、展開力と拡張性。

街中に掲出されたとき、テレビ、Webではどう見えるのか。2020年に、このエンブレムはどうあるべきかなど、多岐にわたり、それぞれの専門性、見地、価値観から意見をぶつけあった。8名全員がこれで行こうと納得をするまで、議論を尽くし決定した。

永井一正審査員代表は「審査で最も力を入れたことは、オリンピックとパラリンピックは兄弟の関係、つまり一対であるという点です。単独で見たとき、それぞれの個性を発揮しながらも、イメージは統一させなければならない。さらに、モノクロで表現したときにも違いが分かる必要もある。そういった条件をもとに、差の付け方やバランスも審査のポイントになりました。それから、2020年という少し先に展開する"未来の象徴"となるものであることも意識しました」と話す。

エンブレム候補として佐野案に決定後、事前商標調査を実施。その結果をうけて、委員会はデザインの微修正を佐野氏に依頼した(当初より、Tと円はデザインに組み込まれていた)。

近年、各国のオリンピックエンブレムが複雑化しているのは、商標が影響している。ほかと重ならないデザインを求めれば求めるほど、シンプルなデザインでは通用しなくなっている。64年開催時にはそのような調査はなく、「亀倉雄策さんの東京五輪の際の日の丸のデザインも、いまは通らない可能性もある」という声も聞かれる。

国内での調査通過後、国際オリンピック委員会、国際パラリンピック協会、組織委員会共同で、国際商標調査を実施。数か月にわたる調査を経て、7月24日の発表に至った。

「審査は利権などとは一切無縁、かつ一点の曇りもない状態で、きわめて公正に実施した」と、同委員会は断言している。

今回のコンペを、一般公募にしなかったのは、次のような理由による。

オリンピック・パラリンピックの理念をエンブレムに落とし込んだデザインであることは、デザインを選定する上で第一義にある。

しかし、マーチャンダイジングや多様なメディアへの展開を考えたとき、そこに対応できるデザイン力があること。制作物のクオリティも担保できることは必須だ。

さらには国際商標をもクリアにしたデザインでなくてはならない。ここには相当な知見とスキルが求められる。そのためロンドンやリオでは個人ではなく、デザイン・ブランドコンサルティング会社がこれらを請けおっている。

国内外のデザイン賞を複数回受賞しているデザイナー個人を応募有資格者としたのは、クオリティの高さと展開力を求めたことが大きい。

知的財産権やデザインマネジメントを専門とする日高一樹弁理士は、今回の件について次のような見解を示す。

「欧米のデザイナーは企業・個人問わず主張が強く、リエージュ劇場のシンボルマークのデザイナーの対応は、デザインやブランドに対する考え方の違いを感じます。欧米の企業にとってブランドを構築するのは戦いであり、自分の権利を侵すものとは徹底的に戦います。個人のデザイナーも抜きん出た独自性こそ自分の価値だと考えるため、権利意識が強くなります。 グローバル市場でデザインをしていくには、この価値観を前提にプロとして仕事をすべきです。ネットでコピー&ペーストが簡単にできる現代において、アマチュアとプロのデザイナーを分けるのは、高度な知財の理解と知財マネジメントを組み込み仕事に臨めるかどうかです」。

(ブレーン 編集部/宣伝会議 AdverTimes)


まぁ外聞も憚らず、ものは言いようという気がしないでもないが(笑)、これはあくまでも、宣伝会議ブレーン編集部が大会組織委員会に取材した、その結果を記事にしたもので、その真相はどうなのかまではわからない。

さて、ここで尚気になるのが、佐野氏以外に入選したというお2人、葛西薫氏と原研哉氏の作品であるが、残念ながらこの二点はまだ公表に至ってはいない。

葛西薫氏
日本のアートディレクター。(株)サン・アド取締役副社長。北海道札幌市生まれ、室蘭市育ち。
高校卒業後、文華印刷(株)に入社。(株)大谷印刷勤務を経て、1973年(株)サン・アドに入社、現在に至る。

原研哉氏
岡山県出身のグラフィックデザイナー。武蔵野美術大学造形学部基礎デザイン学科教授、株式会社日本デザインセンター代表取締役。
1998年長野冬季オリンピックの開会式・閉会式プログラムを手がける。同年山口県の梅田病院などのデサイン計画に関わる。2000年RE DESIGN展で世界インダストリアルデザインビエンナーレ大賞を受賞。以降、世界各国を巡回していく。
2001年松屋銀座のリニューアル計画、深澤直人と共に無印良品のボードメンバーに参加。2004年HAPTIC展、FILING展開催。またこの年より教鞭をとる武蔵野美術大学の卒業年次の学生と共にEx-formationという共同研究を開始する。2005年の愛知万博のプロモーションを担当する。2007年SENSEWARE展開催。ほかに商品のデザイン、世界各地で企画展示・個展などを多数開催している。
Wikipediaより

なお、「サン・アド」はサントリー出資の広告制作会社である。また、「日本デザインセンター」の最高顧問は永井一正氏である。


またこちら。佐野氏の報酬や「エンブレム」の権利などについて。

「【高論卓説】五輪エンブレム問題 責任逃れに終始し泥沼化 論外の組織委対応」(SankeiBiz 8月28日)

>東京五輪・パラリンピックの公式ロゴが大きな社会問題になっている。このロゴとロゴの作者である佐野研二郎氏に関する多くの疑惑が持ち上がると同時に、誹謗(ひぼう)中傷ともいえる情報がインターネットで拡散されている。オリンピック開催国である日本にとって望ましい事態ではなく、開催都市・東京の信用を低下させるものだ。この問題はさまざまな要素を含み、解決するには問題を分解して考える必要がある。

>五輪ロゴの著作権は、既に東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会が保有していると思われる。今回のようなコンペでは、募集時に著作権とその権利関係が明示され、コンペに参加する際に契約書を交わす形になっている。

>組織委が提示した条件は、大賞100万円、入賞10万円で、入賞時に著作権を組織委に譲渡するという内容。つまり買い取り契約であり、入賞して公式ロゴに決まった時点で、著作権は佐野氏の手から組織委に移っている。賞金以外にロイヤルティーを受け取る権利は佐野氏にはない。

>また、ロゴを使用するかどうかの判断は、著作者ではなく著作権を保有する組織委に委ねられている。

>模倣疑惑発生後の組織委の対応はリスクマネジメントとして論外であり、ある意味、お役所仕事を絵に描いたようなものだった。ロゴが模倣であるかどうかは別問題として、類似のロゴが存在し、類似ロゴの所有者から抗議を受け、著作権の専門家の意見として係争に負ける可能性が指摘された時点で取り消すべきだった。そうすれば、その後の国際訴訟などの係争も防げ、佐野氏や組織委ひいては日本の名誉も傷がつかずに済んだと思われる。

>「問題は逃げると追いかけてくる」。これはリスクマネジメントの一番の鉄則なのだ。



今やこれだけ佐野氏の「模倣デザイン問題」が取り沙汰され、そうした一連の中にある「佐野エンブレム」は尚更に忌み嫌われ、国民の、取り下げを求める気運は一層高まっている。JOCもそれは充分に承知のはずだ。問い合わせのメールや電話が日々絶え間なく殺到していることであろう。

ちなみに、『グッドマンの法則』というのがある。これは何かというと、「(商品などに)不満を感じた人のうち、いったいどのくらいの人が実際に苦情を申し立てるかという」その割合を示す法則のことだそうだ。

「苦情とはなにか?」(顧客ロイヤルティ協会【Mail Magazine】第17号 2011年8月17日)

この記事によると、
>この調査の集計の結果として、4%から20%という数値が上がっています。
>4%というのは、100人不満を感じたら実際に企業に苦情をいう人は、たったの4人しかいないということです。


例えば日々、Netの書き込みなどで「佐野エンブレム」に対し、批判や禁忌を述べるつぶやきはどのくらいの数に上るだろうか。
仮に“行動派”がその内の1%だったとしよう。しかしそう考えても、JOCをはじめ、政府や東京都、ポンサー企業などに寄せられるクレームはそれでも相当な数になるはずだ。

にもかかわらず、「佐野エンブレム」に固執し続け、使用を強行するなら、それは民意無視以外のなにものでもないということになる。彼らは国民の金を使ってオリンピックを私物化していることにほかならず、まさにJOCは権謀術数をめぐらし悪計を弄す邪悪な組織ということになるだろう。


さて、一方の新国立競技場の1,550億円。
まだまだ高いのではないだろうか。1,000億あれば充分な気がするがいかがだろう。
とにかく、造るなら、区切り区切りでその工程と、掛かった金額を透明・明瞭にして逐次国民に向けて公表すべきだ。最後に「実は・・・」はもう通用せず、決して許されるものではない。

波乱含み、前途多難、先の見えない東京五輪。さて、一体どうなることやら。
(最終更新:8月30日 1:40)


《関連記事》
「ますます疑惑のエンブレム」
「問題山積で泥沼化は必至」
「錯綜する情報」
「「EXPO'70」に見るロゴの変更事例」
「地に堕ちた有名デザイナー」
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:ますます疑惑のエンブレム

2015-08-28 08:33:10 | 東京五輪2020
何故このタイミングなのか。満を持しての大御所の登場というところだが、もはや今更感が満載だ。

五輪エンブレム当初案「劇場ロゴと似てない」 審査委員」 朝日新聞 8月26日

 2020年東京五輪のエンブレムがベルギーの劇場ロゴに似ていると指摘されている問題で、アートディレクター佐野研二郎さんの案を選んだ審査委員の代表、永井一正さん(86)が、現在公表されているものは応募案を一部修正したものだと明かした。騒動後、永井さんが取材に応じるのは初めてで、「ベルギーの劇場ロゴとは似ていなかった」と述べた。

 永井さんは日本を代表するグラフィックデザイナーの一人で札幌冬季五輪のシンボルマークを手がけた。

 審査委員は、ほかにグラフィックデザイナーの浅葉克己さんら7人。永井さんによると、応募104案は作者名を伏せた状態で番号だけで審査し、3案に絞った後、議論の結果、佐野さんの案が選ばれた。他の2案は原研哉さんと葛西薫さんによるものだった。

 審査では「五輪とパラリンピックのエンブレムが互いに関連しつつ区別がつくかどうかや、メディアやグッズ、会場で使われる際の展開可能性も検討された」という。

 その後、大会組織委員会が佐野さんの案を商標登録するために、世界中の商標を確認。永井さんは「(原案と)似たようなものがほかにあったようだ。そのため佐野さんの案は、元のイメージを崩さない範囲でパーツを一部動かすなど、組織委の依頼で何度か微修正された」とした上で、「最初の案は(類似性が指摘されている)ベルギーの劇場ロゴとは似ていなかった。盗作ではない」と話した。

 組織委によると、ベルギーの劇場ロゴは商標登録されていなかった。修正されたものを各審査委員も確認し、発表されたという。

 永井さんは「個人的には、ほかの応募案や審査の過程も公表した方がいいと思う。これまで組織委からはコメントしないように言われていたが、これ以上勘ぐられるのはよくないということで、『もう話してもらっていい』と言われていた。このエンブレムがCMなど色々な形で使われてゆけば、よさが伝わると思う」と語った。

■永井一正さん「シンプルな形、似やすい」

 2020年東京五輪のエンブレム問題で、審査委員代表を務めたグラフィックデザイナーの永井一正さん(86)が、アートディレクター、佐野研二郎さんのエンブレムは一部修正したもので、応募段階の当初作はベルギーの劇場ロゴマークと似ていなかったことを明かした。


五輪エンブレム問題 ベルギー人デザイナー「修正前に戻せば解決」 FNNニュース 8月27日



ベルギーの劇場のロゴにそっくりとの指摘があった、2020年東京オリンピックの公式エンブレム。ところが、このデザインは修正されたもので、当初、佐野 研二郎氏が提案したデザインは、全く似ていなかったことが、審査委員代表への単独インタビューで明らかになった。

五輪公式エンブレムの審査委員代表を務めた永井一正氏(86)は「(五輪エンブレムと劇場のロゴは全く違ったデザイン?)はい、全く違ったデザインですね」と語った。
五輪エンブレムの盗用疑惑が、いまだくすぶり続ける中、あらためてその疑惑を否定した。

永井氏がその根拠としたのは、佐野氏の応募当初のデザイン。
永井氏は「最初の審査した時は、下の方のLみたいなのは、なかったわけで。パーツは同じなんですけれども。ですから、全く似てなかったわけで」と話した。
選考に提出された当初の案には、右下の部分はなく、劇場のロゴとは似ていないデザインだったという。

ではなぜ、その当初案から、現在の形になったのか。
永井氏は「国際審査上、やっぱり『T』っていうのが、(ほかの商標に)どこか似ているんじゃないかというようなことが起こって。商標っていうのは、デザイン家内の類似よりも、もっと厳しい目で見ますから。そういうことで、少しそのままであれば、国際審査上、引っかかるというようなことで」と話した。
「T」を前面に押し出すと、商標の国際審査で引っかかってしまうという懸念から、佐野氏に微修正を依頼、現在の形になったという。
永井氏は「『T』と字が、Tのこれが、ちょっとこういうふうになっても、違う書体として、完全に、それぞれ著作権があり、認められているんです。ところが、素人が見ると、TはTじゃないのっていうことになっちゃうわけですね」と話した。

当初のデザイン案と劇場のロゴは似ていないとの見解を示した永井氏について、佐野氏は「永井様のコメントに間違いはありませんが、エンブレムに関しては、組織委員会の広報の方で取材対応されていますので、そちらにお問い合わせいただければと思います」とコメントした。

また、ベルギーにある劇場ロゴをデザインしたデザイナーは、FNNの取材に応じ、修正前に戻せば解決すると主張した。
ベルギー人デザイナーのオリビエ・ドビ氏は「もともとのロゴが、今とは違い、修正を加えたのであれば、修正前に戻せば、問題は解決します」と話した。

現在、五輪エンブレム以外にも、多くの盗用疑惑が噴出している佐野氏。
永井氏は、今回のインタビューの中で「これは(オリンピックエンブレム)は独立で、非常にいいものだと思いますし、ぜひ、これでやりたいと思うし。だけれども、ああいうトートバッグのようなものは、もっと目配りをよくしていってほしいっていうことは、いえますよね」と話した。


加えて、大会組織委員会は、「現段階で当初の案を公表する予定はない」としている。

しかし、ここでまた新たな疑問が生じる。

【1】何故今このタイミングで永井一正氏の証言を報じるのか。

ベルギーの劇場のロゴと酷似しているとの騒ぎが持ち上がった時点で、速やかにこれらを公表していたなら、また状況は違っていたかもしれない。
しかし、穿った見方をすれば、「やっぱり『T』っていうのが、(ほかの商標に)どこか似ているんじゃないかというようなことが起こって。」とするあたり、既に原案自体に他の作品への類似性があり、原案を公開すればこれはこれで「盗作問題」に発展し、騒動を招く懸念が大いにあったからなのだろう。

その点からすれば、去る8月5日に行なわれた佐野氏の記者会見は入念にシナリオを練った上での、言わばパフォーマンスであったこともわかる。
アイデアスケッチやデザイン行程そのものを説明すればよかったものを、それが出来ないことによる俄か作りと思わせるアルファベットや数字を用いてのプレゼンテーションは、まるで要領が掴めず何の意味も説得力も持たなかった。
あるいは佐野氏の身になれば、JOCから“言わされていた”し、余計なことも言えなかった。そう考えるのはまた至極妥当で、実に歯切れが悪かったのもこれで頷けるというものだ。

あの時点で永井一正氏の今回のような証言を持ち出すのは、何かと都合が悪かったのではないのだろうか。
以来、箝口令(かんこうれい)が敷かれ、関係者にメディアが幾度となく取材を申し込んでも、頑として口を開かなかったことが窺える。


【2】他の商標との類似がわかっても「佐野案」を選外とせず、何故それほど「佐野案」にこだわったのか。

商標権の侵害がわかれば、通常は授賞を取り消し、次点の作品が繰り上がる。これは一般的基本要件だ。そのことから、最初から佐野氏案で行くという了解のもとでの出来レースであったことが充分に疑われる。
そもそも今回の五輪エンブレムのデザインコンペティションには厳しい参加資格が設けられていた。
東京ADC賞など国内外の7つのデザインコンペのうち、2つ以上を受賞していることが応募条件である。その意味では入り口から篩いにかける事実上の指名コンペだった。
それでも佐野氏を含む104点の応募があったわけだが、一般公募で何千と集まるより、その程度であれば余程捌きやすい。そう考えれば、他の作品は、あくまでもコンペという体裁を保つために“捨て石”として利用されただけだったというふうにも思える。もしかしたら、本当に優れた作品が他103点の中にあったのかもしれない。

また例えば、永井一正氏 ⇒ 息子・佐野氏と多摩美の教授仲間 ⇒ 高崎卓馬・佐野氏と懇意 ⇒ 佐野氏の兄・経産省のキャリアという図式に見られるように、むしろここに何の手心も加わらないというほうが考えにくい。


   


【3】何故原案も佐野氏以外の作品も公表しないのか。

端的に言って、騒動や混乱が拡大するのを危惧してのことだろうが、せめてその一部でも公開すべきではないだろうか。

アイデアスケッチなり、あるならばコンセプトシートなり、それが示せないなら、例えば、小保方さんの「実験ノート」が実は酷く稚拙なものであったように、あるいは佐村河内氏の家に楽器が無かったように、そうしたことまで勘繰ってしまいがちだ。
この期に及んで今更公開しても却って捏造が疑われるだけ(例のアルファベットのように)かもしれないが、永井一正氏が言うように、当初右下の「⊿」が無かったならば、せめて、佐野氏の言うところの「ブラッシュアップ」、つまり、加筆・修正・改変の行程は具体的に説明すべきではないかと思う。


いずれにせよ、今の段階では永井一正氏の証言を以って、「佐野エンブレム」の「盗作疑惑」の疑いが晴れたというわけではない。更に却って疑念を抱かせただけである。

JOCが頑なに「佐野エンブレム」を堅持する中、ベルギー側が提訴した。一方で一連のデザイン盗作・盗用問題で佐野研二郎氏の評判は地に堕ちた。その佐野氏のエンブレムを“それとは別問題”だとして今後も使い続けるのかどうか。
もはや「佐野エンブレム」が盗作か否かということを超え、むしろ道義的な問題として国民の反発は高まってきている。半端ない投資をしたスポンサーにも疑心暗鬼から不安が広がっている。

単純なところ、素直に撤回し、「やり直す」と言えば対外的には済む問題で、それこそ余程民意に沿っていると言える。これ以上こじらせて一体誰に何の得があるのだろう。
確かに「損害賠償」という言葉に代表されるように、仕掛けた側の癒着・利権がこれを阻んでいるのだろう。痛み分けさえ潔しとせず、ただただ既得権益にしがみつき、「責任問題」に兢々としている。主催者側は文字通り全体がお役所仕事で、取り仕切る人間が不在で交通整理もままならない。そうして内部の誰もが逃げ腰、及び腰だ。それこそ、また安倍の「鶴の一声」でも待っているのだろうか。


「「五輪エンブレム問題」スポンサー大困惑 1社150億円超で使用権も「使いづらい…」」(夕刊フジ 8月25日)

>エンブレムは既にテレビCMや広告に使われている。組織委のスポンサーは国内最高位の「ゴールドパートナー」の場合、1社150億円以上と言われる協賛金を出し、エンブレムを使用する権利などを得る。ある最高位の企業からは「(盗作と)言われるのはよくない。使いづらい」との声が漏れる。

>組織委によると、選考は昨年11月17日と18日に行い、審査委員が先入観を持たないように制作者名を伏せて実施。104の応募作品を対象に、委員8人が4回の投票の末に四つに絞った。最後は委員が協議し、動画などで多彩な活用が期待できることが決め手となって佐野氏の作品を選んだ。

>国際的な登録商標の調査では、同様に「T」をモチーフとした商標が多数あったため、デザインを微修正してことし4月に最終形を固めた。その後本格的な商標調査を1500万円かけて実施し、発表にこぎつけた。



「東京五輪エンブレムを使用スポンサー企業9割に」(日刊スポーツ 8月26日)

>2020年東京五輪の公式エンブレムがベルギーの劇場ロゴに似ていると指摘された問題に関し、五輪スポンサーの日本企業21社のうち、13社がホームページやテレビCMなどでエンブレムを使っていることが26日、分かった。5社も今後使う予定で、スポンサー企業の9割近くが、積極的に利用する姿勢を示した。

>ただ劇場側がエンブレムの使用差し止めを求めて提訴したほか、エンブレムを制作した佐野研二郎氏側がキャンペーン賞品の一部で他の作品を模倣していた問題なども浮上。デザインが「(盗作と言われ)使いづらい」(スポンサー企業関係者)との指摘もあり、早期の問題解決を求める声が高まっている。

>21社に確認したところ、アサヒビールなど13社がホームページやCM、新聞広告などで使用していると回答した。トヨタ自動車など5社も「現時点では使用していないが、今後使う予定」と答え「使用の予定はない」とした企業はゼロだった。

>使用するかどうか未定なのはブリヂストンとパナソニック、日本郵政。ブリヂストンとパナソニックは世界最高位のスポンサーで、東京五輪だけでなく国際オリンピック委員会(IOC)のロゴを使えることも背景にあるとみられる。日本郵政は「20日にスポンサー契約を結んだばかりだから」と説明している。



国民置き去りの東京五輪。今後このまま更に問題が拡大して、本当に取り返しがつかなくなり後に退けなくなる前に善処すべきだ。


一方、ここ最近、デザイナーなりアートディレクターなりが自らのブログやコラムなどでこの騒動について所感を述べているのをちらほらと見かける。
そんな中からいくつか。

「五輪エンブレム、梅野隆児氏が選考方法に問題提起」(日刊スポーツ 8月24日)

>今回のエンブレム選考には参加資格があった。東京ADC賞など国内外の7つのデザインコンペのうち、2つ以上を受賞していることが条件だった。梅野氏は、「フルオープンのコンペではなく、事実上の指名コンペみたいなものだったのです」と指摘した。五輪招致ロゴのデザイナーの島峰藍さんでさえ、参加資格がなく、招待参加もなかった。梅野氏は、「選手だってフェアに戦って下から選ばれてくるもの。なのに、エンブレムは門前払いがある。五輪は参加することに意義があると言われているのに」と、思いを口にした。

>また、梅野氏は「参加資格に含まれる賞は広告系のものが多く、産業系のデザイナーが置き去りにされている」と、別の問題点も指摘する。デザイナーには広告系のほかにも、プロダクトデザインや、建築・環境デザイン、フォントデザインなどの産業系のデザイナーがおり、無名でも日本のプロダクトなどを支える優秀な人材がそろっているという。梅野氏は、「産業デザインを支えたり、暮らしの中で人が美しく便利に暮らせるように頑張っているデザイナーも大勢おり、彼らも優れたロゴデザインができることを忘れないでほしかった」と話した。



「佐野研二郎(30)」(Hatena Blog「eg-hato’s blog」 8月25日)

>隠れてたって事は収まらないんだけどね。どんだけだんまりを続けたとしたって、もう例のロゴにはネガティブイメージしかない。公式に使うのはもう無理。ロゴを諦めるしかないけれど、どいつもこいつも責任を取ろうとしないからしばらくの間は動きないだろうね。佐野研二郎だけでなく、各関係者同等に問題があると思う。国民不在で事を進めようとする役人、乗っかる広告代理店、乗せられるデザイナー(審査員も含め)。この人達にバカにされていることに気がついたらそりゃ怒るわ。佐野研二郎は人をバカにしてる自覚はないだろうけどね。その分、余計たち悪いけど。安藤忠雄は計算だけど、佐野研二郎は天然。


「しくじり佐野研二郎氏に足りない「リスペクト」と「許される力」」(ダイヤモンド・オンライン 8月25日)

>いまだに騒ぎが収まりそうにない今回の騒動の本質は、パクリではなく、佐野研二郎というクリエイターの本質と、日本社会の伝統的な美意識の「対立」なのではないかということである。つまり、多くの人が考える「日本人のクリエイティビティに対する感覚」というものに対して、「佐野氏のクリエイターとしての感覚」が真っ向対立しているところに、今回の騒動の根本的原因があると思われるのだ。こんな人間が日本を代表するクリエイターだと評価させていいのか――。執拗に佐野作品の疑惑を追及する人たちの本当に怒りはそこにあると思う。

>もしかしたら佐野氏は、事ここに至っても自分がなぜここまで批判されているのか理解できていないのかもしれない。サントリーのトートバックで問題になったのは、まさにレディメイドなものをポンポンと配置しただけのような作品なのだが、それがクリエイティブだと思っている人間にとって、「それは盗作だ」と言われても理解は難しいだろう。

>東京五輪のエンブレムという国を代表するデザインにおいても、ジャパン・オリジナルな表現を求められて当然なのだが、そのような「日本人のクリエイティビティに対する感覚」と「佐野氏のクリエイティビティに対する感覚」はどこかで根本的に違っているのだろう。そこが今回の騒動の最大の原因だと思う。

>クリエイターとして一番大事な「まず自分がどのような思いでこの作品を作ったのか」、そこがまったく伝わってこないのだ。だからこそ、騒動の発端となった五輪エンブレムについても、日本の歴史や文化に対するリスペクトが感じられない。このような国家的、歴史的イベントの象徴となるものには、その国の過去、現在、未来という時間軸的なフレームのなかでデザインすべきだと思うが、あのデザインにはそれがない。前回の東京五輪のときの、亀倉雄策氏デザインと比べてみれば一目瞭然である。それはやはり、自分の作品に対してさえリスペクトがないからではないのか――。



「すべては模倣から始まるのだが。」(goo blog 「HAKATA PARIS NEWYORK」 8月19日)

 * * * * *

さて、本日あたり、新国立競技場の新たな整備計画について、関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪相)を開催し、最終決定する予定のようだ。

「新国立競技場 総工費は1550億円に」(NHK 8月27日)

>政府は、新しい国立競技場の整備計画で焦点となっている、総工費の上限について、1550億円とする方針を固め、28日、関係閣僚会議を開いて決定することにしています。


だが、今度はまたザハ・ハディド氏が、「撤回を見直すべき」と蒸し返しを図っている様子だ。

「新国立競技場見直し ザハ氏「撤回見直すべき」と動画提出へ」(FNNニュース 8月26日)



>新国立競技場の建設見直し問題で、撤回されたデザインを提案したザハ・ハディド氏が、「撤回を見直すべき」と主張する動画を作成し、近く日本側に提出することがわかった。
>動画の中で、ザハ氏は「最初の国際的な展示が実現できたのは日本でした。30年前のことです」、「重要なことは、これはオリンピックの先を大きく見据えた仕事で、長くレガシーのために使われます」と語った。
>23分間の動画では、図形などを用いて、新しい建設計画の問題点と、ザハ氏のデザインの利点を検証している。
>具体的には、建設費の高騰は、競争が限られている日本の市場が問題だと指摘したほか、ザハ氏のデザインは、オリンピック後の収益を見据えたものと主張している。
>さらに、座席の空調や併設する施設の建設をやめることで、コスト削減が可能だとする一方、座席数の大幅な削減や入札方法の変更がなければ、建設費を大きく減らすことは難しいとしている。
>ザハ氏の事務所は、今後、この動画と資料を日本側に送って、デザインの白紙撤回を見直すよう求める方針。



いやはや、とにかく東京五輪は波乱含みのぐっちゃぐちゃで前途多難だ。
いっそ全て撤回、辞退!! その方がこれ以上無駄金を使わずに済む。その分、福祉や被災者救済などに回せばどれだけの人が救われるのだろうか。本当にそう思う。


《関連記事》
「問題山積で泥沼化は必至」
「地に堕ちた有名デザイナー」
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:問題山積で泥沼化は必至

2015-08-24 15:02:23 | 東京五輪2020
まずは時の人、佐野研二郎氏の件から。

「佐野氏の“ロゴ”また・・・米デザイナー「法的措置も」」(ANNニュース 8月22日)



>東京オリンピックのエンブレムを制作した佐野研二郎氏が手掛けた群馬県太田市の施設のロゴについて、アメリカ在住のデザイナーが「自分の作品と似ている」として法的措置の検討を始めました。

>米在住のデザイナー、ジョシュ・ディバイン氏:「盗用されているかどうか分からない。しかし、デザインを盗用するのは大問題だ。弁護士と相談しているが、法的手段を取るか最終的な決断はしていない」
>ANNの取材に対して、ディバイン氏は「佐野氏のデザインが自らの作品をヒントにしたかもしれない」という見方を示し、法的措置の検討を始めたことを明らかにしました。ディバイン氏の作品は、直線と円を組み合わせて文字を表現しています。一方、佐野氏の手掛けた太田市で建設が進む公共施設のロゴも同じく直線や円などを組み合わせたデザインになっています。



「デザイナーの佐野 研二郎氏、ロゴ問題で反論」(FNNニュース 8月22日)



>佐野 研二郎氏が手がけたロゴが、自分のデザインに似ているとして、アメリカ人デザイナーが提訴を検討している問題で、佐野氏は、FNNの取材に文書で回答し、「一定の要件を満たすデザインはたくさんある」と反論した。
>今回、文書で回答した佐野氏は、群馬・太田市の公共施設のロゴをめぐる問題で、黒い丸と直線で形成したようなデザインについて、「その要件を満たすデザインは、今、名乗りを上げておられるアメリカのデザイナー以外にも、制作されている方は、世の中にたくさんいらっしゃると思います」としている。
>そのうえで、「それが、誰か特定の人のアイデアとして認められ、ほかの人が使えないということであれば、デザインの世界では、できないことがほとんどになってしまうと思いますし、わたしはそうではなく、ほかの誰が使っても、問題のないものだと思います」と反論した。
>一方、東京オリンピックのエンブレムについては、「わたしから、使用しないよう、お願いすることは考えておりません」とし、さまざまな意見や批判に対しては、「誤解もあるようですので、丁寧な説明を今後もしていきたい」とコメントしている。



「その要件を満たすデザインは、今、名乗りを上げておられるアメリカのデザイナー以外にも、制作されている方は、世の中にたくさんいらっしゃると思います」
ごもっとも、おそらくは言う通りだろう。

「それが、誰か特定の人のアイデアとして認められ、ほかの人が使えないということであれば、デザインの世界では、できないことがほとんどになってしまうと思いますし、わたしはそうではなく、ほかの誰が使っても、問題のないものだと思います」
しかしこれ、「人のをパクって何が悪い」、というふうにも聞こえる。
こと関して、サントリーのトートバッグで、事実上盗用を認めてしまった佐野氏であるならばこそ、尚更開き直りのように思える。更に穿った見方をすれば、「“当然”参考にした」と言わんばかりだ。
最早、氏が何を言ってももうことごとく裏目に出ると言っていい。

そして、五輪エンブレムは「わたしから、使用しないよう、お願いすることは考えておりません」とはこれ如何に。たまげたものである。
事の重大さ、世情がどうであるかをまるで意に介していないというか、理解さえしていないようで、「丁寧な説明を今後もしていきたい」とするのもまた、どこかの国の総理大臣とそっくりだ。

おそらくは今まで順風満帆、仲間内で煽て合う狭い世界しか知らず、ちやほやされて過ごしてきたからにほかならないからだろう。
これだけバッシングされているにも関わらず、思うほど身に染みていないとなれば恐れ入る。

まともな神経ならば、いい加減に自ら五輪エンブレムの取り下げを表明して然るべきだろう。デザインの盗用の有無はさておき、ここまでの騒動になった以上、それがスジだ。大多数の人がもう佐野氏を信用してはおらず、「佐野エンブレム」は見るのもうんざりという意見は多く、もはや誰も歓迎してはいない。


最近、カマキリに見えてくるのは私だけ?(笑)


そして、昨日もまた新たな疑惑が出てきた。

「佐野研二郎またも盗用疑惑浮上 「カメラグランプリ」のマークは素材から流用? 利用規約違反まで」(ゴゴ通信 8月23日)

>その疑惑のデザインは「カメラグランプリ」のマークが素材集の丸写しで無いかと言われている。このマークは2011年に作られた物で、「ニッポンのカメラの賞であることがひと目でわかるような、インパクトのあるもの」を目指し作成されましたとしている。

>しかしこのロゴの元となるデザインが発覚。素材サイトの『イラスト無料ネット』というウェブサイトの「シンプルなカメラ」という素材に酷似している。

>このフリー素材サイトを使うのははたしてNGなのだろうか? 実はサイトの利用規約を見てみると「商標、ロゴマークとしての利用は禁止です」とハッキリ書かれている。




もうこうなると、本当に救いようがない。いよいよ「常習犯」のレッテルを貼られても仕方がないだろう。

 * * * * *

「新国立、総工費1700億円程度 政府調整、28日にも決定」(共同通信 8月23日)

>政府は新国立競技場(東京都新宿区)の新たな整備計画に盛り込む総工費の上限を1600億~1700億円程度とする方向で調整に入った。政府関係者が22日、明らかにした。コスト膨張で撤回した計画の2520億円から大幅に圧縮する一方、2012年当初の見込みだった1300億円に抑えるのは建築資材や人件費の高騰で困難との判断に傾いた。関係閣僚会議(議長・遠藤利明五輪相)を28日か31日にも開催し、最終決定する。

>旧計画が14年の基本設計段階で1625億円だったのを踏まえた額だが、当初見込みよりは約300億~400億円高く、国民理解につながるかは見通せない。



結局、2520億円の半分にもならない1700億円とはこれ如何に。
それにしても、高々3年程度で300~400億円も値上がりするものなのだろうか。俄かには信じがたい。
むしろこの場合、例えば1000億なり、まず予算を確定してその範囲で考えるべきである。既存のスタジアムを見れば、700、800億円で充分に立派なものが造られているではないか。どうしてそうなったのか、これも改めて担当大臣の国会での説明義務があるだろう。
国民理解につながるか? なかなか納得しがたいものがある。


「新国立で公開討論会 “五輪後考え簡素な施設で”」(しんぶん赤旗 8月22日)

>2020年東京五輪の主会場となる新国立競技場の今後をテーマにした公開討論会が20日、都内で開かれ、建築家や研究者らが意見をかわしました。

>16年東京五輪招致推進担当課長で順天堂大学客員教授の鈴木知幸さんは▽五輪後のスポーツ施設として考えることを優先させる▽サブトラックは移転した秩父宮ラグビー場に常設する―ことなどを提案しました。また、五輪後の民間委託については、「多様な方法があり、十分議論すべき。簡単にいわないでほしい」と批判しました。

>12年ロンドン五輪馬術会場の設計監理者を務めた建築家の山崎一也さんは、同五輪の施設を「簡素だが洗練」と表現。鉄パイプを組んだだけの仮設の馬術会場を例に挙げ、建物より古い街並みをよりアピールする工夫をしていたと報告しました。

>建築エコノミストの森山高至さんは「利害関係者の意見を全て聞いていたら、なかなかスタートできない」として、機能は後から付け加えられるようにして最小限の施設にすればよいと話しました。

>建設費が膨れ上がって計画の見直しが決まった同競技場は、今月中に新しい整備計画が決まる予定です。



一般誌はこれを報じていないが、こうした討論の内容はどこまで実際に反映されるのか。結局、癒着、利権の域を出ないのではないだろうか。悪習を改善するのは容易なことではない。

 * * * * *

「東京パラ五輪 秋にずらして 体温調節機能 失った選手切実」(東京新聞 8月23日)

>東京パラリンピックは五年後の八月二十五日に開幕する。厳しい残暑も予想されるが、車いすを使う選手の中には首の骨の中の神経、頸(けい)髄の損傷などで体温調節機能を失い、発汗のできない人が少なくない。選手らは「開催日程を遅らせられないか」「屋外競技は命懸けになる」と切実。同様の障害のある観客のケアも必要で、根本的な暑さ対策を望む声が強い。

>日本パラリンピック委員会医・科学・情報サポート事業のスタッフとして、岸さんらをサポートする首都大学東京健康福祉学部助教で理学療法士の信太(しだ)奈美さん(41)は「体温調節ができないのは頸髄損傷のほか上部胸髄損傷の人も含まれ、陸上やテニスなどの選手もいる」と指摘。「外国から訪れた人には日本特有の湿気、蒸し暑さも心配だ」と懸念する。

>五輪は、国際オリンピック委員会が「七月十五日~八月三十一日」の期間内の開催を求め、パラリンピックも「五輪閉幕に引き続き、約二週間以内に開催」とされている。他の時期だと、サッカーやアメリカンフットボールなどプロスポーツのシーズンと重なり、テレビの放映権に影響が出るためだ。

>東京大会の場合、パラ五輪は五輪の十六日後の八月二十五日から九月六日まで。立候補ファイルでは「五輪から連続した六十日間のひとつの祭典として実施することが基本的なコンセプト」とされている。



これも極めて重要かつ深刻な問題である。
仮に強行して死亡者でも出たらどうするつもりなのだろう。
何にせよ、「決まったことだから」と、何の融通性もなく、誰も責任をとろうとしない体質。これこそが何に優先して改善されなければならないことではないのか。

 * * * * *

話しを戻せば、先日、次の記事が上がり、またNet上を賑わせた。

「佐野研二郎氏の五輪エンブレム“盗作問題”「損害賠償」を恐れる利権構造の闇」(日刊サイゾー 8月19日)

>五輪エンブレム盗作問題への批判が拡大する中、これに関わった広告代理店周辺の関係者からは「損害賠償」というNGワード4文字がささやかれ始めているという。

>「もしこのデザインが使われなくなったら、数十億単位の損失が出る。一体それを誰が払うことになるのか、“損害賠償”という4文字を恐れるような話がチラホラ聞かれ始めてます」

>「新国立競技場の問題はよくある箱モノ行政の典型だったけど、こっちは世間に知られていない利権の巣窟があって、必死にそれを守ろうとする動きがあります。この利権の中では“損害賠償”という4文字がNGワード。絶対に回避したいものです。いま各方面が必死の火消しに走っている感じ。大会組織委員会が白紙撤回できないのもそれが理由でしょう」

>実際、2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムの盗作問題については、これだけ世間から「変更しろ」との声が出ていても、組織委は使用の姿勢を堅持。ベルギーの劇場側から著作権侵害で使用差し止めを訴えられていることにも、劇場のロゴが商標登録されていない「法律論」を盾に「このような劇場側の態度は公共団体の振る舞いとしては受け入れがたい」と異例の非難声明を出した。

>「この必死の抵抗は、損害賠償と利権構造にメスが入ることを怖れているんですよ。エンブレムの選定はもともと広告代理店の仕組んだ出来レースみたいなもんで、応募要項からして八百長。応募資格に組織委が指定した過去の7つのデザインコンペのうち2つの受賞者に限っており、多くの有力デザイナーを排除している。これは、内輪で商標の著作権ビジネスを展開するためで、審査員も佐野と親しい身内ばかりなのは、そのせい。そもそも佐野がアートディレクターなんていう肩書きを名乗っているのも、デザインより著作権での金儲けに特化したチーム運営に走ったからで、これに欠かせないのが大手企業とメディア。両者をつなぐ広告代理店を軸に利権の構図があって、関係者はみんなこれを守ろうと徹底抗戦です」



その「損害賠償額」がいかほどのものかはわからないが、この場合、最も損害を被るのは広告代理店や制作側である。
今の段階なら大手は、例えば「損切り」程度で済むとしても、死活問題になるのは下請け、二次請けの代理店や制作会社である。それをある程度補える代替の仕事がなければ丸損である。誰も補償はしてくれない。

一方、これらの件に関して実のところ、「プロデューサー」や「ディレクター」という名のブローカーの暗躍が見逃せない。
JOC等の官公庁 ⇔ 広告代理店 ⇔ 企業 ⇔ デザイナー、デザイン会社あるいは音楽家やイヴェント会社 ⇔ 製作会社・製造業者、これらの橋渡しをし、セッティングするのがプロデューサー。管理、監督するのがディレクターの役目である。
プロデューサーなりディレクターはまた、広告代理店所属の場合と、フリーランスの場合とがある。
実行部隊での取り仕切りを任され、現場での実権を握るのが彼らだ。従って、場合によって「悪の根源」とも成り得るのである。

ここでその名前が上がるのが、高崎卓馬という人物である。
実は「東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム紹介」ムービーのプロデュースは高崎氏。
そこで使われた楽曲の「盗用元」ではないかと囁かれているのが、オーストラリアのミュージシャン、ジョナサン・ボーレット2010年リリースの「Youre A Animal」であることは既に紹介した。
「今度は音楽・拡大する盗作疑惑」

で、このジョナサン・ボーレットの「Youre A Animal」は、これも高崎氏がディレクターを務めた「TOYOTA GAZOO Racing」のCMで使われている。

TOYOTA gazoo Racing CM一気見~♪


以下、念のため再度。

Jonathan Boulet - Youre A Animal(2010/12/07)


東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム紹介 (2分20秒版)



ご存知、高崎氏は東京オリンピック公式エンブレムの選考審査員を務め、サントリーのトートバッグキャンペーンで佐野研二郎氏をサントリーに斡旋している。佐野氏とは「仲良し」とされている。





以上は全て、既に公表されている事実である。

さて、これはこれで何となく見えてきたような気がする。


全てが明らかになれば、グダグダ、ズブズブが一層はっきりと見えてくる。いずれ、様々な利権や思惑にまみれ、東京五輪は今もって前途多難というところだ。
また誰か、女性アスリートが会見で涙でも流したら少しは先に進むのだろうか。
そう言うのは果たして不謹慎?
だったらいっそ中止にしてしまえ! そういう声が上がるのも頷ける。全て撤回、全て辞退。私もそう思う。


《関連記事》
「地に堕ちた有名デザイナー」
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。


東京五輪:錯綜する情報

2015-08-19 22:54:00 | 東京五輪2020
数々の盗作・盗用疑惑について、そして「五輪エンブレム」の行方について、佐野研二郎氏本人は依然として口をつぐんだままだ。
それぞれの事案に関してはNet上において方々で炎上、ついには一般メディアもこれを取り上げ、今や世間の中心話題となっている。

そうした中、昨日は一旦公の場(京都の講演会)に姿を現した佐野氏であるが、何も語らず、おそらく心労を重ねているだろうことだけは想像できる。
それに対し、内助の功とはよく言ったもので、佐野氏側は専ら「広報担当者」とする佐野氏の奥さん、恵子氏が対応にあたり彼を支えているようだ。だがそれもなかなか要領を得ない。
そのことから却って憶測が憶測を呼び、果たして何が事実なのか、いささか混迷の模様である。

ここでいくつか、「広報担当者」恵子氏のコメントから。

●「佐野氏は責任感じている? もちろんです。申し訳ないと思っている。我々もミスがあったことに動揺している」と謝罪。

●佐野氏の過去の作品については“検証”を行ったことを明かし「それ(サントリービールのトートバッグ)以外は、何一つ問題はないと考えています。ここで次に、また(問題が)出てしまったら、謝っても通用しないですから」と述べた。

●サントリーの問題が発生したことで「(東京五輪公式)エンブレムは辞退するべきでは?」との質問に対し、「我々の立場としては応募者。辞退できるのかも分からないし、決定権もない」。更に、語気を強めて「1個ミスしたらすべてダメになるんですか? エンブレムの制作過程に何か問題があるのですか?」

●名古屋市の東山動植物園のシンボルマークが、コスタリカの国立博物館のマークに酷似しているとの指摘があり、同園がマークを提案した企業に事実関係の調査を依頼したことが判明したことに対し、「“代理店的な”立場のところから問い合わせがありました」と調査が入ったことは認めた上で、「コスタリカの原作者の方からは連絡をいただいてませんし、模倣した認識は全くなく、全く問題はないと考えていると回答しました」と反論。

●現在、ネット上で過去の佐野氏の作品と、他作品の比較が盛んに行われていることに「似てる似てないについては、議論が終わらないのでコメントはありませんが、(類似が指摘されている他作品の)当事者の方々からは、何の問い合わせもいただいておりません」と繰り返した。

●「ザ・ローリング・ストーンズ」のTシャツに関しては、自ら話題にし「Tシャツはうちでデザインしたものですが、指摘されている背中の部分はノータッチです。ぜひ報じてください」と、Tシャツの裏側に仏ミュージシャンのジャケット写真に似た図柄があしらわれている問題とは無関係と反論した。

「佐野氏広報担当が「サントリー」問題を謝罪 それ以外の疑惑は「何一つない」」(スポーツ報知 8月18日)
「佐野氏の妻 新たな疑惑噴出に猛反論」(デイリースポーツ 8月18日)


また、ここ数日Net上では、佐野氏が一連の作品の、いわゆる“パクリ元”として「Pinterest(ピンタレスト)」を見ていたか見ていなかったかに話題が集中している。

Pinterest
ピンボード風の写真共有ウェブサイトでユーザーはイベント、興味のあること、趣味などテーマ別の画像コレクションを作成し管理することができる。また、他のピンボードを閲覧して自身のコレクションか「好み」の写真として画像を「リピン」することもできる。アイオワ州ウェストデモインのベン・シルバーマン、ポール・シャッラ、エバン・シャープが創設し、インベンターと投資家の小規模集団が出資したCold Brew Labsが管理している。(Wikipediaより)

「【速報】佐野研二郎が「デザインの仕入元」と囁かれるPinterestを使っていることが判明→速攻でアカウント削除」(Netgeek 8月17日)

>法廷闘争にまで発展することが決まったデザイナー佐野研二郎氏のパクリ疑惑について、デザインの仕入元ではないかと囁かれていたPinterestを佐野研二郎氏が利用していることが判明。そして同時にアカウントを消したことが明らかになった。
>ベルギーのデザイナーは「Pinterestにロゴをアップしていたので、彼はそこから盗んだのではないか」と発言していた。
>その後「BEACH」の赤い看板や泳ぐ女性、ベルギーのリエージュ劇場のロゴについてもPinterestに投稿があったことが分かった。
>その点について記者が佐野研二郎氏に「Pinterestは見たことがありますか?」と質問したところ、佐野氏は「見ておりません」と回答。
>試しに公開されている佐野研二郎氏のメールアドレスを入力してみると、なんと「すでに使用中」と出た。
>やはりPinterestを見たことはあったのだ。正直に話せばいいのに一体何を隠しているのか。


これについて、
「佐野研二郎氏の「ピンタレスト削除」騒動 真相はどうだったのか事務所にすべて聞いてみた」(J-CASTニュース 8月19日)

>18日夜、佐野氏の事務所「MR_DESIGN」の広報担当者はJ-CASTニュースの取材に応じ、ネット上で指摘されているメールアドレスで佐野氏がアカウント登録をしていたことは事実だと認めた。アカウントを取得したのは2014年11月13日。佐野氏個人が使用するために登録したそうだ。

>ただ、日常的に利用していたわけではないという。

>「(佐野氏が)自分の作品であるTAMABIの広告シリーズを画像検索する目的で、アカウントを開設しましたので、それ以外の目的のためにピンタレストを使用したことはありません」

>なお、会見での「見ていない」という発言については、

>「会見でピンタレストのことをご質問いただきました際は、エンブレムについての会見でしたので、エンブレムを作る際には、ピンタレストを見たということはないという意味で『見ていない』と回答させていただきました」と説明した。

> 実は広報担当者の言うとおり、佐野氏は会見で「ピンタレストを見たことがない」と主張していたわけではなかった。会見の動画を確認すると、記者は「見たことがあるか」とは聞いてはおらず「ピンタレストというサイトを今回見たかどうか改めてお聞かせください」と質問している。

>これに佐野氏は「見ておりません」と答え、続けて「今回は今までの自分の経験を全部つぎ込んでやりたいと思い、何日も徹夜して作った。もちろん、そういうものを参考にすることはありません」と話していた。

>つまりこのやりとりでは「五輪エンブレムを作るにあたりピンタレストを見た事実はない」と説明しているに過ぎず、「ピンタレストを見たことがない」という話は、スポニチ記事が招いた誤解だった可能性が強い。



さて、果たして真実は・・・。

しかし、それにしても「サントリービールのトートバッグ以外は、何一つ問題はない」とするのもおかしなもので、嫌疑を認めて撤去したことにおいて、まずサントリービールに対して失礼極まりない行ないをしたということである。そして、もとよりサントリーの仕事は「手抜き」だったと告白したというわけで、これだけでもう既に由々しき問題ではないだろうか。更に、サントリー以外には問い合わせも苦情も受けてないから良しとする理屈もまた頷けるものではない。

「サントリー:賞品トート取り下げ「お客様の安心が一番」」(毎日新聞 8月19日)

>サントリーホールディングスの新浪剛史社長は19日、2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムを制作したアートディレクター、佐野研二郎氏の事務所がデザインした同社のキャンペーン賞品の一部を取り下げた判断について「皆様にご迷惑をおかけしていますが、お客様に安心してキャンペーンに参加していただくことが一番重要」と説明した。東京都内で、新国立競技場の整備計画作成に向けた遠藤利明・五輪担当相との意見交換会に出席後、報道陣の取材に応じた。

「安心」とはまた含みのある妙な言い回しだが、サントリーも核心は語らず、空々しく社交辞令的にかわしただけだ。

Tシャツの件に関しては、当初、「誤報では?」という情報も無いことはなかった。
確かにエンブレムについては、佐野氏の一存でどうこうできるものでもないだろう。
また、「Pinterest(ピンタレスト)」については、「ものは言いよう」という気がしないでもない。
いずれにせよ、憶測が憶測を呼び、この先またあらぬ方向に話が飛躍しないとも限らない。火の無いところに煙は立たずと言うが、「坊主憎けりゃ袈裟まで憎い」的な情報の独り歩きには改めて注意したいところだろうか。一旦整理することも必要だ。

 * * * * *

一方、ベルギーの劇場とデザイナーから訴えを起こされたことに対し、「我々の詳細な説明に耳を傾けようともせず、提訴の道を選んだ。このような態度は公共団体の振る舞いとしては受け入れがたい」と“逆切れ”したオリンピック委員会だが、毎日新聞の記事によると、国際オリンピック委員会(IOC)は17日、「訴訟が始まる前なので、現時点ではコメントのしようがない」との声明を明らかにしたとのこと。

また一方、一昨日の拙記事で、「東京五輪エンブレム:スポンサーは早期決着要望」(沖縄タイムス/共同通信 8月15日)の記事を受け、私は、

>スタートしてしまった以上、そのように段取りを組み、既に決して少なくはないだろう金銭も発生してしまっている。
今更変更してほしくないのはスポンサーの本音だ。もうエンブレムのデザインの良し悪しなどは関係がない。そこにあるのは「決まったことはやる」という姿勢だけである。


と書いた。

そこで次の記事。
「パナソニックなど東京五輪パートナー企業が次々に佐野氏デザインのエンブレムを自社サイトから撤去」(ネタとぴ 8月19日)

>オリンピックのパートナーと呼ばれるスポンサー企業が次々に佐野研二郎さんデザインの公式エンブレムをホームページから撤去し別デザインに差し替えています。

>佐野研二郎さんデザインの公式エンブレムを外して別デザインに差し替えたスポンサー企業は、ワールドワイドオリンピックパートナーのパナソニックはじめ、東京2020ゴールドパートナーのエネオス、東京海上日動、パナソニック、ブリジストン、みずほ銀行など。

>公式スポンサーでも、オリンピックのエンブレムやマークをまだ使用していない企業も多く、8月19日現在、佐野研二郎さんデザインのエンブレムをサイトに掲示しているパートナー企業はNTTと三井不動産のみとなっています。

>東京オリンピックの大会組織委員会はエンブレムを変更するつもりはないようですが、公式パートナーも外さざるを得ないと判断するエンブレムに、エンブレムとしての存在価値があるのか、という疑問の声も上がっています。



依然、三井不動産、NTT、日本航空(JAL)は「佐野エンブレム」をHP、CMなどで使い続けてはいるが、どうやらここに来てスポンサー企業は慎重な構えを見せるようになってきたようである。
世の動向を見、“傷が浅い内に”と考えるのは賢明で、かつ、「商売人」ならそう思って当然かもしれない。
実際に各社のHPを見れば、最早ほとんどそこに「佐野エンブレム」を見つけることはできない。オリンピックの方はJOC(日本オリンピック委員会)のロゴマークに、パラリンピックの方は日本の国旗に入れ替えられている。

NTTの例


ENEOSの例



一連の問題に一区切りつけるには、何はともあれ「東京五輪エンブレム」をまず白紙撤回すること。もうそれしか今の状況を収拾する道は残されていないだろう。




《関連記事》
「「EXPO'70」に見るロゴの変更事例」
「地に堕ちた有名デザイナー」
「今度は音楽・拡大する盗作疑惑」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。

東京五輪:「EXPO'70」に見るロゴの変更事例

2015-08-18 23:22:28 | 東京五輪2020
(最終更新:8月19日 1:25)

「戦争法案」の国会審議が止まっている間、当ブログもどうしても佐野氏の方に話題が奪われがちである。(笑)

ベルギー側の提訴に“逆ギレ”して、頑なに佐野氏デザインの「五輪エンブレム」の保守に回るJOC(日本オリンピック委員会)だが、ここまで世論が高まる中、何故これほどに固執し、融通が利かないのか。
単純かつ明快な話し、それは中枢部の誰一人としてその責任を取りたがらないからである。
一方では、確固たる主導権を握り采配を揮(ふる)える人間が不在であるということが言える。結局のところそれぞれが保身に回り、それこそ既得権益やら利権やら、我が身大事さで波風を立てたくない腹がある。
エンブレムの変更責任は誰が取るのか。戦々恐々とし、ついては極度に及び腰だ。


今から45年前、大阪で万国博覧会が開かれたが、そのときのシンボルマーク。実は、間際で変更になった経緯がある。

「東京五輪エンブレムもまだ間に合う? 発表会見直前にひっくり返った大阪万博シンボルマーク」(ブログ「無職の分際で言いたい放題」)

半世紀前にあったシンボルマークを巡るドタバタ
>45年前の大阪万博のシンボルマーク決定には記者会見直前で決まっていたシンボルマークをボツにして再コンペするというドタバタがありました。

>今回の五輪エンブレム騒動の当初、佐野研二郎氏のデザインを擁護する形で「素人は黙ってろ」「デザイナーなら良さがわかるよ」的な評価をいくつか目にしました。こういう人達には石坂泰三氏の言葉を贈りたい。



《日本万国博覧会 シンボルマーク》
大阪万博の公式なシンボルマークは、日本の国花である桜をかたどったもので、デザインは大高猛。当初は西島伊三雄デザインの、鉄アレイ状の上に丸を描いた形で、東西世界の融合などを表しているとの説明だったが、シンボルマーク発表の記者会見の直前に万博協会会長の石坂泰三が「これでは日本が世界の上にあぐらをかいている」と激怒し、一蹴した(その日の会見は中止)。その後改めてデザインが行われ、桜をイメージしたマークとなった。「五つの花びらは五大州すなわち世界を、中央の丸は日本のシンボル日の丸を、周囲の白い部分は発展への余裕と伸びようとする意図を表している」と説明された。なお、日本館はこのシンボルマークを模って建設された。
Wikipediaより


左:当初のシンボルマーク 右:正式決定されたシンボルマーク

万博もまた国家規模の公共事業である。その、もう決まりかけていたシンボルマークを間際に思い切って変更したというのだ。
当時の石坂泰三万博協会会長はそれだけ主導権を発揮し、かつそれなりの気概があったということである。
まぁもっとも、当初のものは当時においてもそもそもが古めかしく(苦笑)、いずれ結果的に変更は大正解だ。


ことの顛末はこちらの記事に詳しい。
「大阪万博のあのシンボルマーク「桜」決定までのひと騒動「大阪万博1970 デザインプロジェクト」」(エキサイトレビュー 2015年4月29日)

>大阪万博のシンボルマークが決まるまでには、ひと騒動があったという。このときシンボルマークはグラフィックデザイナー15名と2団体を指名してのコンペで選定され、一旦は西島伊三雄のデザイン案に決定した。それは、上部に一つの円、下部には左右二つの円がくっついて配置されているというものだった。下の二つの円は、東西世界や対立する人間同士が手を取り合う様子を示し、そこから生まれる次世代の平和な世界を上部の円で表現したという。「人類の進歩と調和」という大阪万博のテーマを踏まえたものであり、また上部の円には、日本で開かれることの意義を示す日の丸という意味も込められていた。

>だが、これに日本万国博覧会協会の会長・石坂泰三から横槍が入る。石坂は東芝社長などを歴任し、さらに経団連会長を12年にわたって務め「財界総理」などと呼ばれた人物だ。石坂の言い分は「上の円が日の丸に見え、日本が威張っているとの批判を受けるかもしれない」「インテリだけがわかるようなものではだめで、大衆性がないといけない」というものだった。

>結局、石坂の強い反対から万博シンボルマークは再度コンペを行なって、あらためて決めることになった。このとき選ばれたのが、大高猛による桜の花をモチーフ(5つの花びらで五大陸を、中央の円で日の丸=日本を表現)とした例のマークだ。



このように、決してやってできないことではないのである。今、「東京五輪」において、それをやろうとする人間が居ないのが問題なのだ。
実に不甲斐なく、情けなく、まことに腹立たしい。

 * * * * *

さて、佐野研二郎氏は今日も引き続き新たな話題を提供してくれている。

佐野研二郎氏の妻 トートバッグ問題と五輪エンブレムは無関係と強調 東スポWeb 8月18日

東京五輪のエンブレムやサントリービールのキャンペーン用トートバッグのデザイン盗用疑惑の渦中にあるデザイナー・佐野研二郎氏(43)が18日、京都市内で講演会を行ったが、疑惑については口を閉ざした。

 出席者によると五輪エンブレムの審査委員を務めた永井一正氏らとの講演だったが、佐野氏は何も話すことはなかったという。

 また、佐野氏は無言だったが、代わりに妻の恵子氏が取材に対応した。

 サントリーのトートバッグでは30種類のうち8種類について第三者のデザインをトレースしたことを認め、取り下げた。しかし、この1件と五輪エンブレムの問題は無関係だと強調し、エンブレムを取り下げることは考えていないという。

 恵子氏は「佐野研二郎は応募した応募者であって、何ら自分で決定権がない。佐野研二郎が取り下げる立場なんですか? トートバッグとエンブレムの件と、どういうつながりがあるんですか?」と報道陣に逆質問。

 続けて「トートバッグの件については法的なことを待たずして取り下げた。それが誠意だと思って。それで『あなた、不祥事を起こしていますよね。エンブレムの資格あるんですか』と言われれば、それは結びつけ。トートバッグとエンブレム制作のプロセス上、何か関連があるんですか」とまくし立てた。

 さらに「普段の仕事で、佐野の確認なしに最終形として納品するということはないようにしてました。この件(トートバッグ)に関しては、それが漏れていた」とし、トートバッグ以外には問題がないことも明言。

「過去にさかのぼって調べるのは勇気のあること。ここで次、出てしまったら謝っても通用しない。大丈夫なものしか世に送り出していないという自負もあったが、こういうミス(トレース)が起きてしまった。もう出てくることはないと思います」と言い切った。

 また、同じく佐野氏がデザインした名古屋市の東山動植物園のシンボルマークが、中米コスタリカの国立博物館のマークに似ているとの指摘があった。

 恵子氏は「比較している、元の(デザインをした)方から『私のとあなたの似てますね』というような問い合わせはない。こちらとしても模倣したという認識は全くない」と“パクリ”ではないことを強調した。


旦那が旦那なら嫁も嫁? 昨今の事態も、佐野氏が置かれている状況も、よく呑み込めていないのか理解していないのか、まるで臆面の無い態度に、解って言っているのだとしたら猛々しいとしか言わざるを得ない。既にもう自棄になっているのだろうか。

相前後して、
「名古屋の東山動植物園マークも類似の指摘 佐野氏デザインで調査」(産経ニュース 8月18日)

>2020年東京五輪の公式エンブレム制作者、佐野研二郎氏(43)がデザインした東山動植物園(名古屋市)のシンボルマークが、中米コスタリカの国立博物館のマークに似ているとの指摘があり、同園がマークを提案した企業に事実関係の調査を依頼したことが18日、分かった。

>今月、植物の顔がコスタリカの国立博物館のマークと似ていると外部から指摘があった。博物館のマークは水色で、中心から広がった6本の線の先に小さな円が付き、全体が大きな円で囲まれている。回転させると同園の植物の顔にほぼ重なる。

>同園は両者が似ているかどうか判断できないとした上で「事実関係を早急に確認してもらいたい」としている。



左:コスタリカ国立博物館のロゴ 右:佐野氏デザインの東山動植物園ロゴ


上述、東スポの記事にもある通りだが、
「佐野研二郎氏「東山動植物園」ロゴマークの模倣否定」(スポーツ報知 8月18日)

>2020年東京五輪公式エンブレムの制作者佐野研二郎氏(43)がデザインした東山動植物園(名古屋市)のシンボルマークが、中米コスタリカの国立博物館のマークと類似していると指摘された問題で、佐野氏の事務所の広報担当者が18日、京都市内で共同通信などの取材に応じ、マークの模倣を否定した。


「広報担当者」とは佐野氏の奥さんのことだろう。
だが、口先で否定したところで、果たして真実はまだわからない。
で、一方で気になるのが、佐野氏出席による京都市内での講演会。
なるほど、ご本人、お元気そうで何よりではあるが(笑)、今、この渦中において何が行なわれたのか。

それがこれ。
「京都dddギャラリー」


↑クリックで拡大

■講演 1
日時:2015年8月18日(火) 14:00-16:00
出演:永井一正、木田安彦、山下裕二、佐野研二郎
会場:京都国立近代美術館 1F ホワイエ
   〒606-8344 京都市左京区岡崎円勝寺町
共催:京都国立近代美術館
入場無料、要予約、定員150名

世界最大規模の総合印刷会社である、大日本印刷㈱(DNP)主催によるものだ。
150人を前にして何の話をしたのか、あるいは何も喋らなかったのか、残念ながら私の手元にはまだその情報が無い。


そして今日更に、

「市が佐野氏デザインのロゴ調査 建設中の「おおたBITO」」(上毛新聞ニュース 8月18日)

>東武太田駅北口に建設中の「おおたBITO 太田市美術館・図書館」のロゴについて、2020年東京五輪公式エンブレムをデザインした佐野研二郎氏が担当していたことから、市はロゴに模倣などの問題がないか調査する。ロゴはアルファベットの「BITO」を使ってデザインされており、模倣などの可能性は低いが、「念のため」に調査する。調査は外部の弁理士ら専門家に委託する…

太田市HP ⇒「おおたBITO 太田市美術館・図書館施設概要について」

そして、半日もしないうちに、
「【多摩美大の誇り】盗用教授・佐野研二郎がデザインした太田市美術館・図書館ロゴの盗用元が判明」(8月18日)


佐野研二郎デザイン


Logo for Dot Textile design firm
All works c Josh Divine 2013.


改めてNet民のその機動力に驚くが、これもちょっと言い逃れができないレベルだろうか。


やれやれ、さてさて、叩けばまだまだ埃が出る状態ということか。まったく留まるところを知らない。
それにしても、予め決まっていたこととは言え、先の京都の講演会でしゃあしゃあと出てくるあたり、些かその神経を疑わざるを得ないが、ならば堂々と会見を開くなり、本人の口からきちんと説明して、態度をはっきりと示してはどうだろう。
物事、放置するのが一番の悪化の原因になる。大人なら解りそうなものである。

さて、一体いつがピリオドなのか。この調子なら、収まるどころか、すったもんだはこの先もまだまだ続きそうだ。




《関連記事》
「地に堕ちた有名デザイナー」
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」
「サントリー、佐野デザイン取り下げ」
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。

東京五輪:地に堕ちた有名デザイナー

2015-08-17 23:38:06 | 東京五輪2020
五輪エンブレムをデザインした佐野研二郎氏の「パクリ問題」は炎上どころか、留まるところなく延焼し続けている。

それにしても、まぁ次々に出てくるものである。こうとなったらNet民の執念は凄まじいものがある。
どこから見つけてくるのかと感心しきりだが、それが相乗効果を生み、一般商業誌までもが“発掘”に躍起だ。
「徹底糾弾」と言ってしまえばそれまでだが、これが「正義」なのか、ただその点は果たしてどうなのかと思わなくもない。
つまり、根拠が曖昧で確たる証拠が無いのにもかかわらず断定的に捉えてみたり、あるいは本質を逸脱した部分で誹謗中傷に発展するのはいかがなものかというところである。
だが、冷静に見ても、ここまで事実が明らかになれば、もう逃れる術は無いだろう。

サントリーのトートバッグの件は、テレビ、新聞など一般メディアで取り上げられ、周知されることとなったが、先週15日以来、新たに発覚、浮上した件。



「Tシャツも“コピペ”? 佐野研二郎氏を襲った「新たな疑惑」」(日刊ゲンダイ 8月15日)

>Tシャツは英国のロックグループ「ローリング・ストーンズ」の意匠をあしらったもので、キャンペーン名は「ザ・ローリング・ストーンズ OFFICIAL T―SHIRTS」。佐野氏は数種類のデザインを手掛けたが、そのひとつにフランスのギタリスト、ビレリ・ラグレーンに似た写真が使われているのだ。ラグレーンはジプシージャズの第一人者である。

>写真①はラグレーンが34年前にリリースしたアルバム「Bireli Swing ’81」の裏ジャケットの写真。写真②はTシャツの裏側のうなじ部分。写真の周囲に文字を配置している。

>「音楽関係者の間で“似ている”と話題になってます。Tシャツの写真は裏ジャケ写真の左右を反転させた“逆版”に見える。もしラグレーンの写真だったら、ストーンズのTシャツになぜジプシージャズの奏者を使ったのか理解に苦しみます」(音楽ディレクター)

>問題のTシャツはいまもネット上で販売され、「業界で知らない人はいないであろう超有名アートディレクターの佐野研二郎氏がデザインした」と紹介されている。



大々的には取り上げられていないが、「東山動植物園」のロゴも極めて怪しい。

「佐野研二郎氏の東山動植物園ロゴが、コスタリカ国立博物館のトレースかどうか検証してみる…」(Toshiaki Kanda 8月15日)


左:コスタリカ国立博物館のロゴ 右:佐野氏デザインの東山動植物園ロゴ


「【驚愕】佐野研二郎にまた新たに見つかった6つのパクリ」(netgeek(ネットギーク) 8月16日)

サントリーのトートバッグにしても、更にまだ怪しいものが存在するようである。
一方、ここに掲示されている“5.サントリーの「ゼロの頂点(佐野研二郎デザイン)」”、“6.ベネッセの3歳児向け教材「ほっぷ」の8月号(佐野研二郎デザイン)”は、モチーフのパクリである。




左:「ほっぷ」の8月号表紙、佐野研二郎デザイン 右:海外デザイナー、Lim Heng Swee氏の作品

素材のトレースという稚拙な手法は一目瞭然で判り易いが、モチーフの盗用は厄介である。

例えばデザイン業務において、クライアントからの要望で、わざわざサンプルを示され「こんなイメージで」、「この色合いで」、あるいは極端なところ「これと同じに」という指定はある。だがそれを安請け合いしてしまってプロと言えるのかどうか。
「わかった」としたところで、更にクライアントを説得し、双方が納得し得る仕事をするのが本来のはずだ。一方で、ひとつにはモラルの問題もある。「まぁいいか」は、様々な意味で自分を貶めることになる。意固地であれ頑固であれ、こだわりを持ち続けることがアーティストたるあり方ではないかと思う。まして、名の通ったデザイナーならむしろ主導権をもって臨めるはずである。

また、デザイナーと称する方のブログやツイートを見れば、異口同音に「発想はゼロベースではない」、「(他の作品を)参考にすることはある」、「(他の作品に)影響されることはある」などと述べていて、これはむしろ当然のこと。
そこに着想を得て、後はいかに自分なりに料理し発展させるか、それが腕の見せ所であり、プロとしてのテクニックや才能だ。
ただ、佐野研二郎氏の場合、実に安易過ぎる嫌いがある。これではデザイン学校の学生の課題レベルであり、到底プロの仕事とは思えない。

創作は模倣から始まる。
それは誰もが否定するところではない。絵画にしろ、彫刻にしろ、音楽にしろ、文学にしろ、それを志す人間の出発点とも言えるだろう。
そしてそれらは、いわゆる「習作」としてはアリだ。そうしたことを経て腕を磨いて行くものである。
だがひとたび、それが金銭を生む「仕事」となればどうだろう。それを乗り越えて「産みの苦しみ」の上にあって初めて「オリジナル作品」が出来上がるのだと言えるのではないだろうか。
いみじくも、佐野氏にモチーフを盗用されたとするデザイナーの俣野温子氏が言った、「佐野さんの認識は少しご自身に甘いようにも思えます」は、まさに的を射た指摘である。そして、こうしてみれば佐野氏のデザインの才能さえ極めて疑わしいと言える。


「パクリ問題」は最早佐野氏本人に留まらず、盗用・盗作疑惑は彼の周辺デザイナーにまで及んでいる。
また、これを機に、一部のデザイン業界の体質のあり方さえ取り沙汰されてもいる。
ここにおいてもすっぱり登用を断ち切って、「東京五輪」はゼロから仕切りなおすべきだろう。


「東京五輪エンブレムだけじゃない…盗用疑惑の佐野氏 国会で追及も」(東スポ 8月15日)

>サントリーホールディングスの広報担当者は「12日に連絡がありました。取り下げの理由は聞いていません。盗用が理由かどうかも分かりません。こちらから聞くこともないです」と話す。
>ずいぶんと人ごとのようだが、そもそも同社が佐野氏のデザインを望んだわけではないという。
>「夏のキャンペーンを代理店に発注し、上がってきた企画がこれでした。(盗用疑惑が出てからは)代理店を通じて事実確認をしていました。私たちでは大丈夫かどうかの判断はできませんから」(広報担当者)

>疑惑はネット上だけでは終わらない。野党関係者は「国会では新国立競技場の話を中心にやってきましたが、そろそろエンブレムの話題もやらざるを得ない」と指摘。佐野氏が国会デビューする日も近いか。



「東京五輪」という国家的大事業。むしろ佐野氏の意思の及ばないところでコトが運んでいるところがある。
サントリーのトートバッグデザインは、「五輪エンブレムデザイナー」としての“ステイタス”に乗じたキャンペーンであったということもあるだろう。何しろ仕掛けたのは「電通」である。
また、この先更に問題が拡大すれば、佐野研二郎氏の国会参考人招致も現実味を帯びてくるのかもしれない。


「東京五輪エンブレム:スポンサーは早期決着要望」(沖縄タイムス/共同通信 8月15日)

>ベルギーの劇場ロゴのデザイナー側が、2020年東京五輪の公式エンブレムの使用差し止めを求める訴えを起こした問題で、国内のスポンサー企業からは早期の決着を求める声が上がる。宣伝活動などでのエンブレム使用は継続する方向だ。

>スポンサーである大手メーカーの幹部は「早く白黒をつけてとしか言いようがない。スポンサー企業として『白』だと信じている」と語った。

>国内最高位スポンサー「ゴールドパートナー」の三井不動産は「エンブレムは使い続ける」(広報担当者)と反応。別のスポンサー企業も「振り回されることなく、名刺やパンフレットへの印刷といった準備を進めていく」(幹部)と話した。

>ゴールドパートナーのアシックスは「組織委員会の意向に沿ってやっていく予定だ」(グローバル広報室)とコメントした。世界最高位スポンサーのパナソニックは「コメントする立場にない」としている。



スタートしてしまった以上、そのように段取りを組み、既に決して少なくはないだろう金銭も発生してしまっている。
今更変更してほしくないのはスポンサーの本音だ。もうエンブレムのデザインの良し悪しなどは関係がない。そこにあるのは「決まったことはやる」という姿勢だけである。


「五輪ロゴ盗作問題「売名でしょ?」指摘にベルギー激怒! もみ消しの裏にうごめく大手広告代理店の闇」(日刊サイゾー 8月14日)

>電話取材に応じたリエージュ劇場の関係者を怒らせたのは、7月31日放送のTBS系『ひるおび!』に出演した八代英輝弁護士の見解だ。同劇場のロゴマークが五輪エンブレムと酷似していたことで抗議したベルギー側に対し「炎上ビジネスに見えなくもないですよね」としたもの。同番組に出演したコメンテーターの面々は一様に同じ見解で、共演者のタレント、デーモン閣下も追従。ベルギーの劇場を「有名なの?」とちゃかした。また、スポーツライターの玉木正之氏に至っては「おかげでベルギーの劇場も有名になった」と言いだす始末で、まるで意図的に意見をそろえているかのようだった。

>ただ、この問題は日増しに佐野氏への批判が大きくなっている。当初、大会組織委員会の役員も「国際的な商標登録の手続きを経ているので、このまま使用する方向」と明言していたが、佐野氏には別の盗作疑惑が続々発覚。現在では「エンブレムに問題がなくても、もしも作者が盗用の常習者だとなってしまったら、話は変わる」と、白紙撤回も示唆するようになっている。

>ただ、前出役員は「問題は、このプロジェクトにはメディアと連動した大手広告代理店の利権が深く絡んでいるので、そこの折り合いをつけるのは新国立競技場並みに骨が折れる作業」だという。

>その詳細は語ってもらえなかったが、これは佐野氏の出身母体である広告代理店・博報堂のことと思われる。エンブレムの選定については審査委員に永井一正氏、長嶋りかこ氏ら、博報堂にゆかりのある面々による身内選考であったという見方がされており、あるテレビプロデューサーからは「八代弁護士の発言も、これでしょ」と関連付ける。

>「実は今回の問題が最初に浮上したとき、博報堂の人間から『盗作疑惑はシロだから、疑わしく取り上げないように。騒げば、同じデザイナーが手掛けた企業広告に悪影響が出てくる』という非公式の通達があった。盗作疑惑を追及すればCMスポンサーの機嫌を損ねる話になるからやめておけ、ということだったんだけど、『ひるおび!』はそれに服従しちゃったんじゃないかな」(同)

>何しろ東京五輪は巨大国家プロジェクトで、関連事業に群がる企業が後を絶たず、今回のエンブレムも配送業のヤマトホールディングスのロゴと組み合わせるなどして、企業タイアップが走り出してしまっている。企業も広告代理店も、そこをスポンサーにするテレビも、盗作騒動は都合の悪い話だ。ただ、いずれにせよ世間の反発は膨れるばかりで、テレビコメンテーターの抵抗ぐらいでその流れを止められるとも思えないが……。



「佐野氏教授務める多摩美大、サントリー模倣問題で事情確認へ」(スポーツ報知 8月17日)

>2020年東京五輪公式エンブレムを制作したデザイナーの佐野研二郎氏(43)の出身校で、現在教授を務める多摩美大(東京都世田谷区)が、サントリーのキャンペーン商品にデザインの模倣があった件について近日中にも佐野氏に事情を確認する予定であることが17日、分かった。

>同大は先週まで夏季休業。その間に、サントリーの模倣問題が浮上したことから、報道されてい以上のことは把握できていないという。同大の総務課によると、佐野氏とはまだ連絡が取れてはいないが「エンブレムの問題に関しては、東京五輪組織委員会での会見の通りで問題はないと思いますが、サントリーの件については、改めて事情を聞くことになると思います」と明かした。



「<東京五輪>エンブレム提訴で大会組織委が非難声明」(毎日新聞 8月17日)

>ベルギーの劇場ロゴのデザイナーらが2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムの使用差し止めなどを求める訴えを起こしたことを受け、大会組織委員会は17日、「我々の詳細な説明に耳を傾けようともせず、自らの主張を対外発信し続けたうえ、提訴する道を選んだ態度は公共団体としての振る舞いとしては受け入れがたい」と、非難する声明を公表した。

>組織委はアートディレクターの佐野研二郎さんがデザインしたエンブレムを「独自の創作行為に基づく完全にオリジナルな作品」としたうえで「大会の価値やメッセージを包含し、1964年(東京五輪)のエンブレムとの結びつきも示した作品」と改めて正当性を主張した。国際オリンピック委員会(IOC)も「エンブレムは大会のメッセージを反映させたオリジナルな作品。この議論は終わりにすべきだ」との見解を示している。



佐野氏の多摩美における進退問題は必然の流れであろうが、しかし、それにしてもJOCは何と素っ頓狂なことを言っているのだろうか。まさにこれこそが「既得権益」「利権」の象徴である。「耳を傾けない」とはどの口が言うのか! 恥を知らぬ醜悪さだ。
我が身大事さ、不祥事を起こしても辞めない議員とか、あるいは支持率が下がっても、何があろうと「違憲」とされている「戦争法案」を強行しようとしているどこぞの国の総理大臣の、まんまコピペである。

ここでも国民の声は無視されている。
法的に問題ないなら全て問題無しとする官僚主義。スポンサーや経済団体の言いなりの構造が改めて明らかになる。
殆どの人が不快に思い、撤回・白紙を要求しているのにも関わらずである。この先わだかまりを抱えたまま「東京五輪」を推進できるというのだろうか。歓迎され、成功に導けるというのだろうか。果ては、失敗したところで誰も責任を取ろうとしないのだろう。意識の錯誤も甚だしい。もうこの国にモラルは無い。


一方、「説明会見」との噂もあったが、今現在、佐野研二郎氏の新たな動きはない。もう彼の意思だけではどうこうできないところまで事態は及んでいるのかもしれないが、さて、どうするつもりなのだろうか。




《関連記事》
「エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】」
「サントリー、佐野デザイン取り下げ」
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。

東京五輪:エンブレムは固持・佐野研二郎氏【釈明文】

2015-08-15 09:50:02 | 東京五輪2020
●TOPページからのエントリーがやや重くなっています。ご了承ください。

昨晩、佐野研二郎氏の経営会社、MR_DESIGNのホームページに謝罪文ならぬ「釈明文」が掲載された。

以下全文

 今回取り下げた8点のトートバックのデザインについては、MR_DESIGNのアートディレクターである私、佐野研二郎の管理のもと、制作業務をサポートする複数のデザイナーと共同で制作いたしました。そして、誠に遺憾ではありますが、その制作過程において、アートディレクターとしての管理不行き届きによる問題があったと判断したため、今回の取り下げという措置をお願いした次第です。

 今回のトートバックの企画では、まずは私の方で、ビーチやトラベルという方向性で夏を連想させる複数のコンセプトを打ちたてました。次に、そのコンセプトに従って各デザイナーにデザインや素材を作成してもらい、私の指示に基づいてラフデザインを含めて、約60個のデザインをレイアウトする作業を行ってもらいました。その一連の過程においてスタッフの者から特に報告がなかったこともあり、私としては渡されたデザインが第三者のデザインをトレースしていたものとは想像すらしていませんでした。しかし、その後ご指摘を受け、社内で改めて事実関係を調査した結果、デザインの一部に関して第三者のデザインをトレースしていたことが判明いたしました。

 第三者のデザインを利用した点については、現在、著作権法に精通した弁護士の法的見解を確認しているところですが、そもそも法的問題以前に、第三者のものと思われれるデザインをトレースし、そのまま使用するということ自体が、デザイナーとして決してあってはならないことです。また、使用に関して許諾の得られた第三者のデザインであったとしても、トレースして使用するということは、私のデザイナーとしてのポリシーに反するものです。

 何ら言い訳にはなりませんが、今回の事態は、社内での連絡体制が上手く機能しておらず、私自身のプロとしての甘さ、そしてスタッフ教育が不十分だったことに起因するものと認識しております。当然のことながら、代表である私自身としても然るべき責任は痛感しており、このような結果を招いてしまったことを厳しく受け止めております。今後は著作権法に精通した弁護士等の専門家を交えてスタッフに対する教育を充実させると共に、再発防止策として、制作過程におけるチェック項目を書面化するなどして、同様のトラブル発生の防止に努めて参りたいと考えております。

 また、過去の作品につきましても、問題があるというインターネット上のご指摘がございますが、その制作過程において、法的・道徳的に何ら問題となる点は確認されておらず、また権利を主張される方から問い合わせを受けたという事実もございません。お取引先の方々、そして権利等を主張される方からご連絡等があった場合には、引き続き誠実に対応させていただくつもりです。

 なお、東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムについて、模倣は一切ないと断言していたことに関しましては、先日の会見のとおり、何も変わりはございません。東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムはMR_DESIGNで応募したものではなく、私が個人で応募したものです。今回の案件とは制作過程を含めて全く異なるものであり、デザインを共同で制作してくれたスタッフもおりません。

 今まで関わった仕事はすべて、デザイナーとして全力を尽くして取り組んでまいりました。このような形で、応募されたお客さま、クライアントさま、そして関係者の皆さまには多大なご迷惑とご心配をおかけしたことを、大変申し訳なく思っております。今回頂戴したご批判を忘れることなく、デザイナーとしての今後の仕事、そして作品を通じて、皆様のご期待に全力をあげて応えていく所存です。

2015年8月14日 佐野研二郎


↑クリックで拡大。MR_DESIGN、HPより。

私見ではあるが、このような状況の場合、本来ならばまず冒頭で多方面に迷惑を及ぼしたことを詫びる文言があって然るべきなのではないだろうか。
残念ながら、「謝罪」と受け取れる部分は「大変申し訳なく思っております」とする最後の一文だけである。
またこの文面は、広く一般に向けたものではなく、その性質は対クライアント、対業者向けであり、いわゆる「ビジネス書式」の範囲を逸脱してはいない。いみじくも「何ら言い訳にはなりませんが」とはしているが、その実、文字通り言い訳に終始し、怠慢を晒し、そして依然としてこの文面からは誠意を汲み取ることはできない。むしろ事実のみを正直に記載し、素直に謝罪することが肝要ではないだろうか。
更に「東京五輪エンブレム」に関し、執拗なまでに固持している点は、そこに第三者による意図的な指示や操作が及んでいるだろうことを示唆している。
これでは却って顰蹙を買うだけである。これを読み、尚釈然とせず、引き続き疑義を抱く人は多いのではないだろうか。


「佐野氏デザインの五輪エンブレムに都知事「今の立場踏襲したい」」(FNNニュース 8月14日)



>佐野氏は5日、「わたしはアートディレクター、デザイナーとして、ものをパクるということをしたことは一切ありません」と話していた。
>一方で似ているとされる複数のデザインにはある、共通点があった。
>世界中のロゴデザインなどが投稿される「Pinterest」というSNSサイトに、ビーチの看板や泳ぐ女性のデザインが以前から掲載されていた。
>さらに、このサイトには、あのベルギーのリエージュ劇場のロゴも投稿されていた。
>この点について先日の会見で佐野氏は「Pinterestは見ていない」と答えていた。
>しかし、似ているデザインが相次いで指摘される事態に、街からは、オリンピックエンブレムへの影響を懸念する声も聞かれた。

>一方で、舛添都知事は、14日午後5時ごろ、「(エンブレムを使っていくという)決定が、IOC(国際オリンピック委員会)ないし、組織委員会で覆されないかぎり、今のままであるかぎりは、今の立場を踏襲したいと思う」と語った。


ここで更に明らかになったのは、佐野氏本人、あるいは少なくとも彼の会社のスタッフが、デザイン投稿サイト「Pinterest(ピンタレスト)」を閲覧していたことに何の疑いの余地も無いという事実である。これでもう「Pinterestは見ていない」との言い訳は成り立たなくなった。

一方の舛添都知事の、兢々とした様子はどうだろう。ここに、まるで都知事としての主体性を窺うことは出来ない。


佐野研二郎作品にオリジナル作者がコメント(テレビ朝日 モーニングバード 8月13日)


番組では、サントリー・トートバッグの黒猫デザイン(No.25)について、そのデザインのモチーフにしたのであろうとされている俣野温子氏のデザインを取り上げ、俣野氏を取材し、氏のコメントを紹介すると共に、デザイン分析を行なって疑問を投げかけている。
番組では語られていないが、更に、件のトートバッグでは、俣野氏のデザインブランド名である「LA MERISE」を「Please let me rest. Merci」ともじって表示している。そのあたり、やはり「確信的」と言えるのではないだろうか。


「佐野氏デザイン賞品取り下げ 五輪エンブレム問題も「世論はもたない」」(スポーツ報知 8月14日)

>佐野氏は2020年東京五輪公式エンブレムを手がけたが、ベルギーのリエージュ劇場のロゴに似ているとしてロゴデザイナー側が使用差し止めを求めている。騒動を受け、五輪関係者は「商標権上の問題はないとしても著作権上の問題は残る」と指摘。五輪エンブレムについて「世論はもたない。取り下げも検討すべきだ」と話した。


「<東京五輪>エンブレムの使用差し止め ベルギー側が提訴」(毎日新聞 8月14日)

>【ブリュッセル斎藤義彦】2020年東京五輪・パラリンピックの公式エンブレムがベルギーのリエージュ劇場のロゴと似ていると指摘された問題で、劇場とデザイナー側は14日、国際オリンピック委員会(IOC)に対して、エンブレム使用の差し止めと、使用された場合に1回につき5万ユーロ(約690万円)を支払うよう求めてリエージュの民事裁判所に提訴した。弁護士は「著作権が侵害された」と主張している。

>弁護士によると、先月31日付でIOCに対して使用差し止めを求める文書を送ったが拒否する回答が来たため提訴した。弁護士は公式スポンサーなどがエンブレムを使用した場合でも「違反ごとに」5万ユーロを支払うことをIOCに求めたが「金銭獲得が目的ではない」としている。ネット上で模倣されたと主張した。訴訟手続きは9月22日に開始される。

>IOCは大会組織委員会と連名で「完全にオリジナルな作品」との認識を示した書簡を劇場とデザイナー側に送ったことを明らかにした。組織委は「訴状内容を見て対応を協議する」とコメントした。


劇場側の弁護士はAlain Berenboom氏、ドビ氏側の弁護士はフィリップ・モタール(Philippe Mottard)氏。(Wikipediaより)
ちなみに、Alain Berenboom氏は実力、経歴共に優秀で、名実共に当地ではかなり著名な人物のようである。

 * * * * *

以下参考に、Netで拾った「相関図」。
取り敢えずデザインの流れの範囲に関しては一目瞭然だが、更に探ればその根はもっと深い。この先、この裏に果たしてどんな人物や組織が絡んでいるのか・・・。







更に、JSC(日本スポーツ振興センター)河野一郎理事長の右腕とされる佐野総一郎氏はまた、佐野研二郎氏の親戚であるらしい。


「電通の純利益75%増 4~6月、「東京五輪」関連の収入増」(日本経済新聞 8月11日)

>電通が11日発表した2015年4~6月期の連結決算(国際会計基準=IFRS)は、純利益が前年同期比75%増の68億円だった(IFRSベースでの比較)。国内で東京五輪関連のスポンサー収入が好調だった。海外は広告事業が拡大した。

ちょっと古いが、参考に。


 * * * * *

「東京五輪エンブレム」に関しては更に今後の動きに注目だが、ついては「白紙撤回」の声は尚一層高まるのではないだろうか。

とにかく「オリンピック」は国家的規模の一大公共事業である。
まさに巨大利権の巣窟であり、癒着、談合、出来レースは当たり前。大物政治家・関係団体・大手建設業界・大手企業・大手広告業界は既得権益にまみれてズブズブだ。
この体質はなかなか変えようがないが、せめて国民の声にもっと耳を傾けて、きっちりと仕切り直してこのグダグダを解消し、国民が、世界が歓迎する大会にしてほしいものである。

・・・いや、そう言ってしまうこと、それさえも単なるキレイゴトか。
ここまで“ケチ”のついた東京五輪。何度も言うが、個人的にはいっそのこと全てを白紙撤回しオリンピックそのものを辞退したほうが良い。そう思っている。




《関連記事》
「サントリー、佐野デザイン取り下げ」
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。

東京五輪:サントリー、佐野デザイン取り下げ

2015-08-14 10:51:32 | 東京五輪2020
昨日、サントリービールの「プレゼントキャンペーン」において、賞品のトートバッグのデザインに疑惑が生じていた問題で、サントリーと佐野研二郎氏がそれぞれコメントを発表、一部の賞品取り下げを発表し、ついて、NHKが地上波にてそのニュースを報道をした。(同夜、ニュース23ほかでも。)

これもいわゆる「Netのチカラ」だろう。まさに、Net住人の大歓声が聞こえてくるようである。これで事態は大きく動いたと言える。

もっとも、ここまで“火だるま”になれば、一般マスメディアもいよいよ馬耳東風では済まされない。
まだ「各社一斉」とはならないが、それも今後の動向次第だ。

「佐野氏デザインバッグ 酷似指摘で取り扱い中止」(NHK 8月13日)

>大手ビールメーカー「サントリービール」では、発売しているノンアルコールビールの購入者を対象に佐野さんがデザインしたバッグをプレゼントするキャンペーンを先月から行っています。
>バッグのデザインは当初30種類用意されましたが、このうち複数のデザインがインターネット上で、ほかの作品のデザインなどによく似ていると指摘されたほか、メーカーにも同様の指摘が寄せられていました。
>サントリービールによりますと、こうした状況を受けて佐野さんから申し出があり、デザインした30種類のバッグのうち8種類のバッグの取り扱いを中止することを、13日に決めたということです。
>佐野さんは、先月発表された2020年の東京オリンピック・パラリンピックのエンブレムをデザインしましたが、ベルギーのグラフィックデザイナーが2年前に作った劇場のロゴマークと極めて似ているとして、デザイナー側はIOC=国際オリンピック委員会などに使用の差し止めを求める文書を送っています。
>これに対して、佐野さんは今月5日に会見を開いて、「盗用だと指摘を受け大変驚いているが、全くの事実無根だ」と否定しています。

>■佐野氏の事務所コメント
>今回、一部のデザインの取り下げを申し出たことについて、佐野さんの事務所はホームページで、「ネット上などにおいて著作権に関する問題があるのではというご指摘が出ており、多数の方々にご心配をおかけしてしまっている状況がございます。このような状況を受けまして、いくつかのデザインについて取り下げをお願い致しました。これらのデザインについては、いずれも身近にあるアイデアや素材をモチーフにしたものではありますが、現在、専門家を交えて事実関係等の調査・検討を開始しております」とコメントしています。
>また、NHKの取材に対して事務所の広報担当者は「指摘があったバッグのデザインについては事務所が受注した仕事で、佐野がほかのスタッフとともに手がけたものでした。指摘されたデザインのうち、制作プロセスにおいて懸念を拭えないものについて調査を進めていて、取り下げを依頼した」と説明しています。



↑クリックで拡大(サントリー・ホームページより)

取り下げられた賞品は8点だが、Net上での指摘は10数点に及んでいる。
取り下げにおける具体的かつ明確な「原因」や「理由」は示されていないが、だがいずれ、これで佐野研二郎氏側は瑕疵を認めたことになる。

しかし一方、佐野氏の会社「MR_DESIGN」のホームページに掲載された文書を見れば、言い訳と共に保身に回るようなニュアンスで、一方的かつ、そこに「お詫びの文言」といったものは一切無い。そうして残念ながら謙虚さも、謝罪の姿勢も見出すことができない。


↑クリックで拡大(MR_DESIGN・ホームページより)

何故なのか、これは「日刊ゲンダイ」の記事を読めば頷けるだろうか。



──釈明会見以降も相次ぐ盗用疑惑の報道をどう見ていますか。
「事実と違うことが報じられていて、本当に残念です。佐野は人のデザインを模倣するスタンスで仕事をしていません」

──佐野氏が手掛けたサントリーのプレゼントキャンペーン用のトートバッグのデザインが、米国サイトにアップされたものと酷似している。盗作ではありませんか?
「確かにトートバッグのデザインを監修したのは佐野です。しかし、細かい実務を担っていたのは何人かの"部下"です。その部下たちの話を聞いた上でないと、返答はできません。今は事務所が夏季休暇に入っているので、調査にもう少し時間がかかります。そもそも、ゼロベースからデザインを作り出すことは一般的ではありません。あくまで一般論ですが、どこかで見たデザインから無意識に着想を得ることは、珍しいことではありません


つまり、「落ち度」はあくまでも「スタッフにある」というスタンスだ。まぁどこそこにありがちな話ではある。
しかし、サントリーのキャンペーンでは「佐野研二郎デザイン」と明確に佐野氏のデザインであることを銘打っていて、実際がどうあれ、この責任は佐野氏に帰属するのは明らかだ。他人の所為にして逃れることなどは出来ない。

また、NHKのニュースでもあったように、「専門家を交えて事実関係等の調査・検討を開始している」とは何を意味するのか。確かに弁明の材料を整えるのには相応の時間も必要だろう。

そして、「ゼロベースからデザインを作り出すことは一般的ではない」「どこかで見たデザインから無意識に着想を得ることは珍しいことではない」。
それは制作に携わったことのある人間からすれば、むしろ“常識”と捉えられることではある。要はその後の料理の腕前だ。
だがこの場合、言い換えれば「模倣もあり得る」、「他のデザインに依拠することもある」ということを自ら告白しているのに他ならないのであって、強いては、かの「五輪エンブレム」もその上で制作されたことを、何ら否定しないことにも繋がってくる。

ともあれ、サントリーが思い切ってキャンペーン中止にしなかったのは何故か。
佐野氏の会社の文面に見られる、どこか他人事で投げやりで横柄で、事の重大さを把握していないのではないかとさえ思わせるものは何なのか。
そもそも本人が語らずにカミさんに代弁させるあたり、既に真摯な対応とは言えないだろう。礼儀を知らず、却って火に油を注いだ結果になりはしまいか。

一事が万事とはよく言ったもので、こうしたことの一言一句、一挙一動、一挙手一投足が全体にも及び、姿勢そのものを現していると言えなくはない。ある意味、驕りが招いた結果で、もう失墜は免れようがない。終わりの始まりなのか、後は時間の問題だ。


さて一方、それでもまたここで佐野氏を擁護する記事が上がった。

「衆愚に流されず東京五輪エンブレム現行案を堂々と採用すべき」(Livedoor NEWS 8月13日)

大部分は、まるでJOC(日本オリンピック委員会)が言いそうなことをそっくりトレースしてくどくどと述べているに過ぎない。
だからどうなんだというところだが、この期に及んでまだこんなことを言っているのかと、ただ気の毒に思えて仕方がない。

後半、
>「このエンブレム自体への好き・嫌い」は個々人で当然あるでしょう。ただ、「好き・嫌い」あるいは「五輪そのものへの賛成・反対」によって、「似ているかどうか」あるいは「パクりかどうか」についての判断を下すのは筋違いです。ましてや、佐野氏の真摯な説明に耳を傾けることも理解することもなく、思い込みや個人的感情に基づいて批判の大声を上げるのは衆愚とも言える行為です。理は東京五輪エンブレム側にあり、何ら恥じることなく、堂々と、このエンブレムを採用して問題ないのです。
>「どこの誰ともわからないデザイナーが作った、どこの何かもわからない劇場の、商標登録もされていないロゴマークが、東京五輪エンブレムと一部分において似通っていた」というだけの事例を、さも大問題かのようにしているのは日本の衆愚です。組織委員会には衆愚に流されることなく、毅然とした態度で事態の収拾に臨んでもらいたいところ。
>私は、現行エンブレムの採用に、積極的に賛成します。
>個人的には好きなデザインではないですが、現状の「パクり疑惑」に同調することのほうが、もっと恥ずかしいからです。


もちろんいろいろな考えや意見があって当然であり結構なことである。しかし、こと関してこれには呆れた。援護しているつもりで大衆の心を逆撫でをしていることに気がつかないのか、それこそなんと愚かな物言いであろうか。

Netの大多数の声を「衆愚」と切り捨てる。
では、「衆愚」を「大衆の声」とするならば、「大衆」が望むことは「愚か」だということになるのか。

否、「大衆」が望んでこそ、「大衆」が求めてこそのオリンピックではないのだろうか。全てを包括し、その上での大衆の「好き・嫌い」は極めて重要な要素である。「大衆」に支持されない、受け入れられない行事など、国民の金を勝手に使う莫大な無駄遣いの上にある、極一部の人間による単なるマスターベーションにしか過ぎない。
どうか、上のような哀れな考えは捨ててほしいと思う。


ところで、Netのうわさ(?)によれば、ベルギー・リエージュ劇場のロゴをデザインしたオリビエ・ドビ氏が立てる弁護士はタダモノではないとか?
原告がドビ氏になるのかリエージュ劇場になるのか定かではないが、いずれ、ベルギーの王族絡みだという話しも。

オリビエ・ドビ氏が極めて常識人であるとして、さて、状況を鑑み、国家的組織を相手に訴訟を起こすなどと安易に考えるのかどうか。
そう思えば、彼にはそれなりの背景があり、勝算を見越しているからこそのことだというふうにも言えるのではないのか。それだけ根拠がある故での強気であることもまた間違いはないだろう。
であれば、その勝敗はさておき、訴訟になればそれだけで「東京五輪エンブレム」に不名誉な傷がつくことだけは確かだ。世界報道も避けられず、ともすれば、場合により国際問題にまで発展しかねない、その可能性すら内包している。

このサントリーの一件で、もう「疑惑」だけでは済まなくなり、少なからず信頼を損なった佐野研二郎氏。
その佐野研二郎氏のデザインした「東京五輪エンブレム」を使い続けることのリスク。国は、JOCは、東京都は、今一度目の前にある現実を目を見開いてよく見て、そしてよく考えることだと思う。このまま行けば無限大に無駄を生むことになる。



《関連記事》
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。

東京五輪:今度は音楽・拡大する盗作疑惑

2015-08-13 19:16:42 | 東京五輪2020
●動画数の影響でTOPページからのエントリーがやや重くなっています。ご了承ください。また、同じ動画が上下ダブっている場合は、一度ページを更新(F5)してみてください。

東京五輪のエンブレムデザインの盗作・盗用疑惑問題が世間を騒がせているが、それに端を発し、五輪エンブレムをデザインした佐野研二郎氏の、他の作品における、いわゆる「パクリ」問題が拡大を見せ、まさに今、Net上はその話題でたけなわである。

一方、その陰に隠れてあまり話題には上がってこないが、エンブレムに留まらず、ここ2~3日前から今度は「東京五輪エンブレム紹介テーマ曲」についての盗作・盗用疑惑が持ち上がってきている。

まずは以下の楽曲を聴き比べていただきたい。

東京2020オリンピック・パラリンピック競技大会 エンブレム紹介 (2分20秒版)


Jonathan Boulet - Youre A Animal(2010/12/07)



いかがだろうか。

上の「東京五輪エンブレム紹介テーマ曲」を作曲したのは五十嵐文武氏。
五十嵐氏はその名を「Eager Lush(イーガー・ラッシュ)」あるいはローマ字の「Fumitake Igarashi」として広告業界をはじめ、有名ミュージシャンと共に活躍するアメリカ在住のアーティストである。
「Eager Lush」(Wikipedia)
「Fumitake Igarashi」(ホームページ/作品集等)

五十嵐氏は、NTT、NEC、トヨタ、日産、コカコーラ、ソニー、イエローハット等のCM音楽を担当。彼のクライアントは、「博報堂」より、主に「電通」系である。
「株式会社電通」といえば、「博報堂」と双璧を成す日本最大の広告代理店だ。

下の楽曲「You're a Animal(あなたは動物)」はオーストラリア・シドニー出身のミュージシャン、ジョナサン・ボーレット氏(2010年時、21歳)によるもの。
ギルロイ・カソリック大学卒、スケート・ボードの達人?
(当該曲のYouTubeでの公開日は2010年となっているが、2012年に再リリース?)
「JONATHAN BOULET」(ディスクユニオン)


さて、ここでも少し腑に落ちないことが・・・。
当の五十嵐氏、アメーバブログでブログを書いていたのだが、8月3日に「2020東京オリンピックエンブレム紹介の音楽を担当させて頂きました。」という記事を上げ、その後記事は「アメンバー限定記事」となり、更にその後ブログを退会したようで、現在ブログのURLは残っていない。
※アメンバー限定記事:ブログの執筆者が登録許可認定した読者のみ閲覧できる記事。



アメブロ当該記事のキャッシュ


もっとも、音楽の世界での「盗用・盗作騒ぎ」は日常茶飯事のようにある。特にアレンジ云々言えば切りがなく、逆に、世の中似たようなものばかりである。
聞くところによれば、○音の内○音が一致すればとか、○小節が同じ音階であれば盗作と認定するというようなこともあるらしいのだが、果たしてこの場合はどうなのだろうか。
聴く限りでは、まぁ全体の印象はそっくりである。

《ソース》
「【速報】五輪エンブレム紹介動画にもパクリ疑惑 音楽が海外の曲と酷似」(アルファルファモザイク 8月10日)
「【パクリンピック】東京五輪エンブレム紹介テーマソングも”盗作”か【動画】」(気ままに備忘録 and TIPS 8月11日)


2020年の東京五輪。
新国立競技場の問題にはじまって、エンブレムの酷似問題、ついてのデザイナーの「パクリ疑惑」問題。そして音楽・・・と、どうにも暗澹たるものがある。最初からこれでは先が思い遣られ、実に幸先が悪い。

もっとも、オリンピックほどの大事業はもとより政治色が強く、更に近年、商業主義、プロ化に移行してからはまさに政治、企業共に利権の巣窟となっている。
国民の祭典、世界のスポーツの祭典とは名ばかりで、その裏で癒着、談合、出来レースは当たり前、大物政治家・大手建設業界・大手企業・大手広告業界はズブズブで、それぞれの思惑が蠢き、そもそもここに「健全」という言葉は存在しない。

だが、そうした中でも出来るだけ国民の意に沿った大会にしてもらいたいものだと、そう願うばかりである。

 * * * * *

余談だが、パクリ問題ついでにこれ。

China's 2022 Winter Olympics Official Song FULL 2015/08/04


Let It Go Chinese Mandarin Version 随它吧



上は2022年・中国冬季オリンピックのテーマ曲。
そしてご存知、ディズニー映画「アナと雪の女王」の挿入曲「Let It Go」。(敢えて中国語バージョンで)

中国のパクリは最早“お家芸”であり、今更誰も驚きはしないが、改めてこの“徹底ぶり”には呆れるというより、頭が下がる思いである。(笑)

 * * * * *

さて、東京五輪においても「いずこも同じ」としてしまうのか、せめて東京五輪はそれこそ『パクリンピック』の汚名を着せられぬよう、国の責任においてしっかりと管理・運営してほしいものだ。
それが出来ぬというなら、グダグダを続けるより、いっそのこと全て白紙撤回しオリンピックそのものを辞退したらどうだろう。そのほうが余程国民のためになると、そう思う。



《関連記事》
「エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏」
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。

東京五輪:エンブレム 混迷続く・追い詰められる佐野氏

2015-08-11 06:52:12 | 東京五輪2020
佐野研二郎氏のデザインによる「東京五輪」のエンブレムが、ベルギーのリエージュ劇場のロゴに酷似している、あるいはスペイン・バルセロナのデザイン事務所「ヘイ・スタジオ」による、東日本大震災の際、寄付を募るために作られた壁紙アプリ「WALL FOR JAPAN」に収録されたデザインに、色彩、造形が似ている、果てはサッカー「Jリーグ」のロゴにまで似ているとされた件。
去る8月5日に佐野氏本人が「説明会見」を行い、JOC(日本オリンピック委員会)が「問題無い」としたものの、その後問題は収束することなく相変わらず物議を醸している。


左上:佐野氏デザインによる東京五輪のエンブレム。右上:ベルギーのリエージュ劇場のロゴ。
左下:スペイン「ヘイ・スタジオ」によるデザイン。右下:サッカー「Jリーグ」のロゴ


見れば、それぞれに共通する造形要素は、基本的に水平・垂直の直線と大小の正円であることがわかる。色も基本は黒と赤だ。
デザイナー視点によれば、「単純な造形は似る」としている。だがそうだろうか、まして色彩まで?

さておき、スペインのデザイン事務所「ヘイ・スタジオ」は「たまたま一致したのではないかと思うが、仮に私たちのデザインが何らかの影響を与えていたとするなら光栄なことだ」と寛容な姿勢を示す一方、ベルギー・リエージュ劇場のロゴをデザインしたオリビエ・ドビ氏は、過日JOC(日本オリンピック委員会)にエンブレムの使用停止を求める書簡を送付し、8日以内に同意しなければ法的措置をとるとしており、訴訟をも辞さない構えだ。

そんな中、Net上では大変な騒ぎになっている。
「盗作・盗用疑惑」に端を発し、最早「五輪エンブレム」云々から話題は逸れ、佐野研二郎氏の一連のデザイン作品に対して、やれ盗作だ盗用だということに話は広がっている。そこには様々な憶測が飛び交い、まさに炎上状態だ。
それらは、「佐野研二郎」「東京五輪 エンブレム」のキーワードで検索すればすぐに表示され、専ら「○○速報」や「2ちゃんねるまとめサイト」などで画像と共に確認することができる。
今や「間違い探しゲーム」の様相を呈し、まぁどこから見つけてくるのかと感心するほど「盗用の元」とされる素材が掲示され、佐野氏の作品との類似性が次々に指摘されているという状態である。特に今は「サントリー」のキャンペーンでの「トートバッグプレゼント」におけるトートバッグのデザインに注目が集まり、30種類あるバッグの10数種類において、デザイン素材がオリジナルではないという指摘がなされている。

日々内容は更新されているようだが、以下、佐野氏の一部のデザインが「盗作」あるいは他からの「盗用」とする例を示し、画像比較したサイト例。
※サイト名は“いかにも”のものがあるが(苦笑)、この話題に特化してみればそれなりに情報量は多い。
「正しい歴史認識、国益重視の外交、核武装の実現【Yahoo!ブログ 】」
「Present the France Trip」
「にわか日報」
「かけだし鬼女の 今が日本の一大事! ~よければ一緒に凸しよう!~」

こちらはサントリーのトートバッグプレゼントページ
「オールフリー 絶対もらえる!夏は昼からトートバッグ プレゼントキャンペーン」

私の経験上、キャンペーンツールのデザイン等で、制作側において「著作権フリー」の素材を使うことは多い。とは言え当然、使用許諾の条件をクリアしていることが前提となるが、この場合はどうなのだろう。素材の出所如何とも言える。
いずれにせよ、果たしてこれらを針小棒大と捉えるかどうか、「重箱の隅」と見るかどうかはそれぞれ個人の判断だろう。
だが、それにしても・・・である。いろいろな意味で、う~んと唸って、思わず腕組みをしてしまうような状態だ。

しかし中で1点、これだけはどうかと首を傾げざるを得ないものがあった。


左:カルバン・クラインのリストウォッチ(K9423107) 右:佐野デザイン kuro obi(クロオビ)

これはまるで中国の“劣化コピー”のようである。これだけは直感的に何か「確信的」な気がした。
文字盤の左右が透明か否(「kuro obi」の方はミラー?)、針の大小、ベルトの取り付け方法の差異などがあるにせよ、全体シェイプは同一である。


さて、お話は「東京五輪エンブレム」に戻って。
まず、佐野氏本人が「依拠」を認めない限りにおいて、客観的に「東京五輪エンブレム」が「リエージュ劇場のロゴ」の盗作・盗用であることの証明も、また、盗作・盗用ではないことの証明も出来ない。また、JOC側は8月5日の記者会見で、更にその後の報道でも「法的に問題無い」としている。

では実際にどうなのか。

「東京オリンピック エンブレム(ロゴ)著作権・商標権問題のまとめ 」
>裁判所でしっかり争った場合には、著作権侵害等が認められる可能性はかなり低いと思われます。

「東京五輪エンブレム「劇場ロゴ」そっくり問題 「知的財産権」侵害の可能性は低い?」(弁護士ドットコム)
>オリンピックのエンブレムが劇場ロゴの知的財産権を侵害している可能性は低いと思われます。

例えば、「偶然に似たとしても、先に公表し使用実績がある側に優先権がある」というような話もある。だが、実際には何とも言えないところだろうか。
ちなみに、著作権に関して、「著作権は、著作者による明示的な主張・宣言がなくとも自動的に発生する」という国際的に著作物を保護する条約、「ベルヌ条約」がある。

「ベルヌ条約」(コトバンク)
「文学的及び美術的著作物の保護に関するベルヌ条約」(Wikipedia)

だが、先日も書いたが、法的に問題が無いとしても「道義的」にどうなのかという問題は残る。

“既にあったもの”に「似ている」のには間違いなく、それは事実であり、ゆえに問題になっているのだ。
ここまで騒ぎが拡大し、そうしていわゆる「ケチがついた」ものを、国民並びに世界の祭典のシンボルとして喜んで受け入れられるのかという「感情論」にもそれは及ぶ。

デザイナーなど業界を中心に佐野氏を擁護する側からも、この際やり直したほうが良いという意見は出ているようだ。
Netでは、デザインの良し悪し、好き嫌いをも通り越してこれを忌み嫌い、それらが増幅して、ともすれば妬みや憎悪さえも渦巻いているかのよう見える。


一方、そもそも何故このデザインに決まったのかというその経緯にも触れないわけにはいかないだろう。

ついてはこれも様々な憶測を呼んでいる。
下記はNetで拾ったものの範囲であるが、

■博報堂コンペティション
『Schweiz 日本 Japan スイス』展
2015年6月19日(金)~7月5日(日)会場:東京都 乃木坂 Calm & Punk Gallery
出展作家:佐野研二郎、長嶋りかこら12組

■2015東京オリンピックエンブレム選考
受賞者:佐野研二郎
選考委員:永井一正、浅葉克己、長嶋りかこ (まだ34歳で佐野の元部下)

■2014毎日デザイン賞選考(2015.3.4)
受賞者:長嶋りかこ
調査委員:浅葉克己、佐野研二郎、ほか

あくまでも「憶測」の域を出ないが、大手広告代理店「博報堂」を主軸に、関わる人脈のみで回り持ちをしているようにも思えなくはない。
言わば「出来レース」、あるいは「談合」というものである。(ここでは言及しないが、例えば永井一正氏の子息と佐野氏は共に多摩美大教授の職に就いた等々、更に調べるとその関係性がよくわかる。)


「画家の横尾忠則氏 東京五輪のエンブレム盗作疑惑で審査員の責任を指摘」(livedoor NEWS 8月10日)

>6日、画家の横尾忠則氏が自身のTwitterで、東京オリンピックのエンブレム盗作疑惑について、審査員側の責任を指摘した。

>デザイナーの佐野研二郎氏は、記者会見で「ベルギーのデザインを知らなかった」と断言する一方、ドビ氏は国際オリンピック連盟(IOC)に、エンブレムの使用差し止めの訴えを起こす構えをみせているという。また、日本国内でも、佐野氏のデザインを厳しく批判する声が沸き起こっている。

>ところが、横尾氏はそうした議論から一線を画した持論を展開する。横尾氏は、審査段階でリエージュ劇場の存在に気付いていたなら、佐野氏のデザインはきっと「選外になったはずだ」と主張してみせた。

>その上で横尾氏は、「調査の網の目からこぼれたための入賞だと考えると応募者に責任はない」「むしろ選んだ審査員側にある。審査員の説明が必要ではないだろうか」などと、審査員の責任を指摘したのだ。


果たして、ズブズブ、なぁなぁの体質というものがここにあったのだろうか。まぁどんな業界でも「カネ」と「コネ」は付きものではあるけれど、それは程度問題でもある。(ちなみに、サントリーは昔から「博報堂」との繋がりが深い。)

「東京五輪エンブレム」の選考に関しては、104点の応募作品の中から選ばれたという。
佐野氏以外の入選2作品(原研哉氏、葛西薫氏)は公表されておらず、どのような方法で審査を行なったのか、その過程の詳細も明らかにはされてはいない。


「東京五輪エンブレム盗作疑惑の佐野研二郎氏に長野五輪のデザイナーが苦言」(livedoorNEWS 8月7日)

>先月27日、デザイナーの篠塚正典氏が自身のブログ上で、佐野研二郎氏の手がけた東京五輪のエンブレムに苦言を呈した。

>篠塚氏は、1998年に開催した長野冬季オリンピックのシンボルマークをデザインしたことで有名である。東京オリンピック開催決定当時も篠塚氏は「ほんとうにうれしいです」と喜びをあらわにし、当時のプレゼンテーションを絶賛していた。

>ところが篠崎氏にとって、佐野氏が先月24日に発表した五輪エンブレムは、事前に期待していたものと少し違っていたようだ。篠塚氏は「巷では『好き』、『嫌い』がハッキリ分かれているよう」であるとしたうえで、自身としても「少しデザインする側の『押しつけ』が感じられると思います」と、言葉を選びつつ指摘している。

>記事末尾で篠塚氏は、オリンピックに関しては「ワクワク・ドキドキ!」「躍動感」「国際性」「みんなで一緒に盛り上がれる」ことが直感的に伝わるデザインでなければならないとし、「プロのデザイナーがやったんだからこれでいいんだ」という「押しつけ」であってはならないことを改めて訴えている。


▼こちらが当該ブログ。
「TOKYO2020 エンブレム」(篠塚正典のDesign blog 7月27日)


本件に関しては、更に腑に落ちない点がいくつかある。
前にも書いたが、佐野氏のTwitter、Facebookについて、佐野氏は「(騒動前の)5月で閉じた。仕事でバタバタしていたのと、普段から見てしまうので、一度距離を置いてみようと思った」と会見で述べていたが、昨年末にはデザインが決定、佐野氏がTwitter、Facebookを閉じる以前に内部的には結果が判明していたことになる。果たしてそれとは無関係であったのかどうか。

氏の経営するデザイン会社「Mr. Design」のホームページは未だ下の画面が掲示されたままである。しかも、文書であるにもかかわらず、テキストではなく画像での表示で、意図してテキスト検索から逃れているように思える。
彼自身に非が無いのであれば、堂々とHPにその旨の説明を載せアピールしたらどうなのだろう。もっとも、こうなってしまった現状においては仕方がないとも言えるのか。




これだけの騒ぎになり、おそらくオリンピック組織委員会、東京都、サントリーにはさぞ苦情や問い合わせが殺到していることだろう。当事者達がこの状況を知らないはずはない。だが、この事態を何故一般マスメディアが報道しないのだろうか。これも、「電通」と共にメディアを牛耳っている「博報堂」が、それこそ報道自粛要請をしているからではないのか。そう思うのも、あながち“勘繰り”とは言えまい。


新国立競技場は世論を受けて白紙見直しになったが、「東京五輪エンブレム」も、もうその時期に来ているのではないのか。
しかし、例えば舛添都知事は元から「審美眼」というものがまるでなく、森喜朗東京オリンピック・パラリンピック競技大会組織委員会会長に至っては“雲上人”で世情知らずだ。そんな彼らは「法的に問題が無い」とするのを、そのまま「“全て”問題無い」としてただ進めるだけである。JOCも博報堂も一蓮托生でスポンサーありき、世論には目を耳を塞ぐ。果たしてそれでいいのか。

一方、今頃佐野研二郎氏はどうしているだろう。ご本人はさぞ心労に耐え難いことだろう。
この場合一番良いのは、彼自身が撤回、辞退することである。何に執着してしがみついているのか、何の圧力があるのかは知らないが、どの道デザイナー生命はこうなった以上もう先が知れている。どこかの誰かみたいに、佐野氏の場合、「東京五輪エンブレム」の虜になって呪縛にかけられているのだろうか。目覚めるなら今だと思う。


来たる5年後の「東京オリンピック」への国民の関心は高い。

東京五輪世論調査 「関心ある」は8割、長野五輪を大きく上回る(FNNニュース 15/08/09)


>東京オリンピック・パラリンピックに関する内閣府の世論調査で、8割以上の人が「東京オリンピックに関心がある」と答えた。
>この調査は6月、全国の20歳以上の男女あわせて3,000人を対象に行われたもので、「東京オリンピックに関心がある」と回答した人は、全体の81.9%に達し、長野オリンピックの際の53.4%を大きく上回った。
>一方、「ボランティアとして参加したい」と回答したのは22.7%にとどまり、こちらは長野オリンピックの30.2%を下回る結果となった。
>「オリンピックを通じて、日本の何を世界に伝えたいか」との質問では、「安全・安心な社会」に次いで、「おもてなしの心などの日本的価値観」が、多く選ばれている。



目先の利権に囚われていないで、国民が歓迎するなら、それに伴って必然的に潤うものだと心得、JOC、博報堂、政府は国民の声を聞き、ぜひ善処してほしい。




《関連記事》
「“釈明”にならない便宜的会見」
「エンブレムの行方」
「エンブレム 類似に関する考察」
「今度はエンブレム」


※記事内でリンクしたサイト、貼り付けた動画は時間経過と共に削除、更新される場合があります。ご了承ください。