星月夜に逢えたら

[hoshizukiyo ni aetara] 古都散策や仏像、文楽、DEAN FUJIOKAさんのことなどを・・・。 

7日遅れの福知山レポ

2008-10-12 | AINOSUKEさん

土曜日、TVの「週末の探検家」に愛之助さんが出演。
番組冒頭は9月の新派公演、南座前からの映像でしたね。
講演会でもその話題が出ました。

さて。かなり迷ったあげく、自分に課した禁をカンタンに破ってしまいます~。
1週間遅れのレポは、ほぼ自分の記録用ですね。
なので、これ1回だけよ~(笑)。


旅行文化講演会「歌舞伎役者 片岡愛之助」
日時:2008年10月5日(日)14:00  
会場:福知山市民会館


雨の日曜日。会場となった福知山市民会館は福知山城のすぐ近く。
この文化講演会は、JTBがお客さんへの日頃の感謝をこめて全国各地で催している
イベントで、今回はその313回目だそう。ずいぶん伝統ある催しなんですねー。
さすが旅行社主催の講演! と思ったのは、スライド上映付きだったこと♪
講師の愛之助さんは演台に原稿(メモ)を置き、1時間半立ったままの本格的な
講義スタイル。今までの秘蔵(?)写真に逐一ご本人がコメントしていくなんて、
とても貴重な講演だったと思います。
お話は自分が一般家庭から歌舞伎界に入った経緯のほか、歌舞伎の歴史、江戸歌
舞伎と上方歌舞伎について、歌舞伎の見方など、愛之助さん流の言葉で初心者にも
わかるように解説。最後まで笑いの絶えない楽しい時間となりました。



JTBの福知山支店長さんの挨拶の後、ダークスーツ姿の愛之助さんが登場。
片岡愛之助先生どうぞ、と呼ばれたことにさかんに照れながら、側におられる手
話担当の女性にも「先生よろしくお願いします」ときちんとご挨拶を。
実は私、その女性が手話で表現される「歌舞伎」という言葉にしばし見とれまし
た。両肘を張ったまま左右に開き、両掌をパッと広げて止める。つまりプチ見得
になっているんですね。誰が見てもよくわかる豊かな表現でした。

では、スライド上映の部分を中心に・・・。
PCのファイルから、最初に映し出されたのはモノクロ写真で「船のプロペラ」
愛之助さんが子供の頃に実家で造られていたものですね。
そもそも工場を創設されたおじい様は奄美大島のご出身だそう。
その工場を継いだのがお父様。幼い頃、堺から明石まで納品に向かうお父様の車
に乗せてもらった時のこと、目的地の手前で下ろされて待っていたら、迎えが来
ないまま暗くなってしまったとか。
「オヤジが僕のこと忘れて帰ってしまってたんですよー!」
なんていうエピソードに会場も爆笑でした。
(このあたりから演台が暗くなり、写真だけ見えて片岡先生は闇の中へと・・・。
残念!と思っていたら、数分後ピンスポットが愛之助さんに。あ~、ヨカッタ♪)

2枚目は、小学校時代の伊勢神宮参拝記念の集合写真
下手にある演台からトコトコと中央に歩き、これが私です、と指さす愛之助さん。
子供の頃は舞台出演のため休みがちで、友だちも少なかったかも、と話されてま
した。

その後、仕事の写真が続きます。
レポするつもりで見てないので相当ウロ覚えです。順序バラバラ、演目もかな~
り記憶がアヤシイ! 劇場と年代はわかるものだけ書きました。

●「女殺油地獄」与兵衛の妹・おかち
白っぽい着物で、ちょっと早乙女太一さん風のメイク(笑)。
たしか、お母さん役は竹三郎さん、とおっしゃってました。
●演目・役不明
全部忘れました! 青に白の格子柄の着物。可愛いです。(こちらがおかちかも?)
●「御所五蔵郎」の傾城逢州
目が大きく艶っぽくて美しいお顔に会場から声がもれ、どよめきがありました。
ご本人によれば、初めて大きなお役をもらったそう。高下駄をはいて歩くのが
難儀したとか、衣裳が重かったとかおっしゃってました。
●「流星」の織女
楽屋での写真。濃いめのメイクに高く結い上げた鬘。このまま女形として成熟
してたらスゴかったかも~と思わせる1枚。でも今の顔とは違う感じ・・・。
「去年NHKの番組でも踊ったんですけど、その流星の織り姫ですね」と、紹介。
後ろに押し隈があるのを見て「この隈取りは私のではありません」と。染五郎
さんの楽屋で撮った写真なのでどうやら染五郎さんのもののよう。
●「世界劇 眠り王」の月姫(2000年 両国国技館)
顔アップの写真ではなく、他の出演者と写っている舞台写真が数枚。
團十郎さんもご出演だったようです。
愛之助さんによれば、半分オペラで半分歌舞伎のような舞台だとか。一万人コン
サートというサブタイトルのついた出演者の多い舞台。(11日、BSで放送された
のと同じ。)
ここはどの劇場よりも屋根が高く、よりにもよってそこで宙乗りをすることに。
「それが最初で最後の宙乗りですね」
●「源氏物語」の夕顔(2000年 歌舞伎座)
新之助さんの光源氏と夕顔の舞台写真。儚気で、現在の愛之助さんの面影がある
お顔。「眠り王」の公演中に台本が届いたそうで、台詞がたくさんあるなと思っ
て見たら、ほとんどト書きだった!
「胸に手を入れられて悶える、とか、そんなんばっかりなんですよー」。
●ホリヒロシさんの人形劇「源氏物語」の光源氏
愛之助さんと人形(等身大)が並んだ舞台写真が数枚。
ホリヒロシさんが創られた人形と共演したもので、波乃久里子さんも出演されたそう。
(ホリさん自身も白頭巾を被って人形遣いとして舞台に立っている。)
「人形とのラブシーンですね。僕が人形を抱くのに手を回して、ふと見たら、向こうか
らホリさんも人形を抱いてることに気づきまして。三人で幕切れ、という写真ですね」。
●平成若衆歌舞伎
秀太郎さんが演出指導をした平成若衆歌舞伎の第1回から5回までの話と、「新・油地獄
大坂純情伝」の舞台写真が数枚。
「新・油地獄 大坂純情伝」
最初の1枚は、舞台に設けられた階段の上と下で、対立するグループ同士が向き合って
いる写真。「父がどうしてもやりたい構成がありまして。ウエストサイド・ストーリー
ですね。僕ら、一所懸命お稽古しまして、本番の登場シーンでジャジャンとみんな一斉
に振り返ったら、お客さんに大爆笑されまして」。この話、会場でも大笑いでした。
お母さん役、ということで秀太郎さんの写真も。
次が油屋の場面で、与兵衛(愛之助さん)とお吉(千壽郎さん)の写真。
お吉が畳の上で仰向けになり、顔をこちらに向けて倒れている。下手傍らには、与兵衛。
しまった、殺してしまった、というような悲壮感ある表情で立っている。
ここで愛之助さんが、ポソッとひとこと。
「お吉の胸がはだけすぎですね」。意表をつくコメントにみんな大笑い。
ふと写真を見ると、なるほど深いVゾーンに白い胸がくっきり(笑)。
「僕は間近で見てビックリしました。これでいいのかと」。
悲壮感ある表情はそのせいなのか~!!(笑)
次は立ち回り。戸板に乗っている与兵衛とそれを担いでいる若衆 → 戸板倒しで落ち
てゆく与兵衛 → その上で切腹 → 板の上で果てて仰向けになった与兵衛
舞台は見てませんが、連続写真だけでも凄絶さが伝わってくるようでした。
あ、若衆歌舞伎は今はお休みしてますが、またやりたいと思っています、とのこと。
●「操り三番叟」の操り人形、「奴道成寺」の白拍子花子(2008年 永楽館)
まだ記憶に新しい夏の舞台から数枚。
操り人形は「実は日によって少し隈取りを変えてました」と愛之助さん。私が覚えてい
るのは眉間に「永」の朱文字を書いていたことかな。
面白かったのは三番叟の帽子の話。
こけら落としの舞台では、劇場が「傾く」につながるため帽子が落ちるのは御法度だそ
うで、永楽館でも小さめの帽子をきつく被っていたので頭が苦しかったそう。
とにかく暑かったので、来年は10月にしますからという言葉に会場から拍手が!

もっと他にもあったと思いますが、覚えているのはこのくらい。
舞台写真ではないけれど、へえ~と感心したのが「週刊朝日」が企画した写真。
これは自分が演じたい役の写真に顔だけをハメこんで合成写真を作るというもの。
愛之助さんが選んだのは十三代目仁左衛門さんの「寺子屋」の松王丸。
十三代目の拵えと頭に、顔だけが愛之助さん。おお~!
「まだ顔がヘタクソですね」とコメントしてましたが、合成処理が上手だったせいか、
なかなかよく似合ってましたよ。

その他のエピソードとしては、「遊女夕霧」で帯を結ぶシーンでの話。
関東と関西では帯を回す手が左右逆で、物語は関東の設定のため、ふだんと違うやり方
を毎回舞台でするのは難しかったそうです。
いま名古屋で撮影中の「築城せよ!」では、ミニチュアサイズではなくて原寸大の城を
作っていて、石垣を昇り降りして筋肉痛になったとか。エキストラを募集しているので
どんどん来てください、とのことでした。
歌舞伎を楽しむには好きな役者を見つけるのが早道、と言った後、会場の空気を読み、
「あ、僕のことじゃないですよー」と慌てて否定し、またまた笑いが。

なごやかで楽しい講演の後、再び名古屋ロケにもどっていかれた愛之助さんでした。

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11 コメント

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わ~い (桜吹雪)
2008-10-12 12:57:22
久々の、正にゲリラ更新!
やっぱりムンパリさんの文章は読んでいて楽しいです♪
本当にその時の光景が目に浮かぶようですもの。
お忙しい中、素敵なレポありがとうございました。
返信する
ゲリラ歓迎 (どら猫)
2008-10-12 18:46:52
やっぱり福知山はいったんですね。楽しそうな催しで、臨場感ありますよぉ。
また、ゲリラ待ってます。
返信する
うふふ (スキップ)
2008-10-12 22:32:07
ムンパリさま
より詳しいレポ、ありがとうございます。
愛之助さんの気合入った、ほんとにおもしろい
内容の講演ですね。私も聴きたかったな。
レポを拝見していて、週間朝日のその合成写真特集、
見たな、と思い出しました。
でもごめんなさい。あれが愛之助さんだったなんて、
全く記憶にございませんでした。
「十三世の松王丸」はくっきり覚えているのですが(笑)。
返信する
長嶋みたいなお父さんですね~ (とみた)
2008-10-13 01:19:33
ちゃんとした講演のスタイルは貴重ですね。準備が大変だろうと思いますが。
おかちの時のお母さんは竹三郎さんでしたか。孝夫玉三郎の共演だったので見ました。周りの席から「この人が襲名なのよ」という声が聞こえたので愛之助さんの顔に注目しましたが、なんか四角い顔という印象でした。
返信する
皆様へ (ムンパリ)
2008-10-13 08:22:12
マイPCがブチッ!と音を立てて壊れてしまいました。
ウソッ!こんなときに・・・(涙)。
コメントのお返事が遅くなるかもしれませんが、
すこ~しお待ちくださいね!
返信する
桜吹雪さん、こんにちは! (ムンパリ)
2008-10-13 08:56:41
更新に気づいていただき、ありがとうございます。
ホントに楽しかったので、やっぱり残しておこうと思いました。
書きたいことを書いて、読んでほしい人に読んでいただく
のって、精神衛生上いいことですね(笑)。
愛之助さんの過去のお仕事で知らないことがまだまだたくさん
あることがわかりました、私。
次回は11月。演舞場のレポができれば♪と思います。
返信する
どら猫さん、こんにちは! (ムンパリ)
2008-10-13 08:57:05
えへへ。やっぱり行ってきました。
事前に演題を見て、どうかな~?と思っていましたが、
愛之助さんはお話上手で、聴衆を放っとかないんですね!
またこういう機会があれば、ぜひぜひお進めします(笑)
ゲリラ更新は、たぶん次は来月・・・の予定です。

返信する
スキップさん、こんにちは! (ムンパリ)
2008-10-13 08:58:08
スキップさんにコメントのお返事を書いているううちに、
こんな楽しいこと、もっと書き残しておきたい、
もっと伝えたい、と思ってしまいました(笑)。
スキップさんのおかげです。ありがとうございます。

で、週刊朝日ですけど。
たしかその中に染ちゃんもいたらしいのですが、そちらの
ご記憶は?(笑)
「十三世の松王丸」と当代の写真、よく似てますよねえ!

返信する
とみたさん、こんにちは! (ムンパリ)
2008-10-13 09:00:44
久々の更新に気づいていただけてウレシイです♪
今回は愛之助さん、原稿を見ながら一人で進めているのを見て、
写真のセレクトほか下準備には時間がかかっただろうなと
思いました。その成果はじゅうぶんありましたよ♪
おかちは襲名披露の舞台だったのですか!
聞きそびれてました(苦笑)。
とみたさん、その舞台をご覧になってたなんて羨ましいです。

> なんか四角い顔という印象でした。
あはは~♪ そんなものかもしれませんね。
愛之助さんのお顔って、若い頃と今とはずいぶん違って見えますね。
秀太郎さんとは微笑ましい親子だなあ~といつ見ても思います♪

返信する
アップされてる~ (ハヌル)
2008-10-13 09:21:30
ムンパリさん、福知山レポありがとうございます♪
聞き手がいるというようなものではなく違った趣向で
面白そうな講演会だったんですね!参加しなかったので知れて嬉しいです!
昔の役のお姿を拝見したかったなあ~。
でもホントに平成若衆歌舞伎はまたやっていただきたい。

余談ですが、今晩の「十津川警部」(TBS系21時)に秀太郎さんがご出演だそうですね♪
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