で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1098回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『バッド・バディ! 私とカレの暗殺デート』
『ピッチ・パーフェクト』、『マイレージ・マイライフ』のアナ・ケンドリックと、『月に囚われた男』、『コンフェッション』のサム・ロックウェル共演のアクション・ラブコメ。
『クロニクル』、『エージェント・ウルトラ』の脚本家マックス・ランディスの脚本を、『トカレフ』のパコ・カベサス監督で映画化。
物語。
男運の悪く、暴走気味なマーサは、失恋直後に出会ったフランシスと恋に落ちる。
フランクは凄腕の伝説的殺し屋だが、彼女に正直でありたいと「自分は殺し屋だ」と打ち明けるが、マーサはそれを冗談だと受け流す。
そんな時、フランクに新たな依頼が舞い込み、マーサもそれに巻き込まれていく。
脚本は、マックス・ランディス。
出演。
サム・ロックウェルが、伝説の殺し屋フランシス。
アクションのほとんどを自分でやっているので、踊る殺し屋の優雅さがコミカルさが抜群です。
アナ・ケンドリックが、マーサ。
歌って踊れてシリアスも出来る若きマルチなベテランが、はじけまくってます。
ティム・ロスが、元同僚のホッパー。
ティム・ロスが追跡者なら、その映画は見る価値ありです。
ジェームズ・ランソンが、ボン・ジャーティガン。
マイケル・エクランドが、相棒のジョニー・ムーン。
アンソン・マウントが、ボスのリチャード・カーティガン。
ケイティ・ネーラが、友人のソフィー。
RZAが、手下のショットガン・スティーブ。
スタッフ。
製作は、マイケル・A・ヘルファント、ブラッドリー・ギャロ、リック・ジェイコブズ、ローレンス・マティス。
製作総指揮は、ウィリアム・C・ギャロ、アレン・チャーチ、スティーヴン・エメリー、マックス・ランディス、アヴラム・ブッチ・カプラン、マーク・ロバーツ、P・ジェニファー・デイナ、ロス・ジェイコブソン、
シェルドン・ラビノヴィッツ。
撮影は、ダニエル・アラーニョ。
プロダクションデザインは、マラ・ルペール=シュループ。
衣装デザインは、ジュリアン・アン・クライナー。
いい感じにこのジャンルの笑いが分かってる。
編集は、トム・ウィルソン。
音楽は、アーロン・ジグマン。
音楽監修は、モーリーン・クロウ、デヴィッド・A・ヘルファント。
踊る殺し屋としては、もう一歩踏み込んでもらいたかったけど、及第点です。
失恋して、ちょい暴走気味なダメ男引きつけ女子が次に惚れられたのは凄腕の殺し屋で、ラブコメ・アクション。
日本ではふっきれアナ・ケンドリックだけ押しだが、実際はサム・ロックウェルの殺し屋とのダブル主役で、踊る殺し屋と恋に落ちたヒロインといった感じの二視点の物語。でも、日本人的保守性にはネタバレしていた方が楽しめるのかもなぁとは思わないでもないライト・ブラックな内容。それでも、宣伝の方向はもっと頭を捻れたと思う。
マックス・ランディスのオレっちの妄想映画シリーズ第二弾と呼びたい流作。
おまけ。
原題は、『MR. RIGHT』。
『正解の人』、つまり、『運命の人』ってとこですかね。
2015年の作品です。
邦題は、方向性としては悪くない感じ。
『悪い相棒』なので、どっちにもかかってるしね。
コメディは勝手にタイトルでシリーズ化するのが日本の慣習(『俺たち~』、『××ガイズ』、『××オ-バー』とか)ですが、『バディ』もしくは、『バディーズ』もその一つ。『デンジャラズ・バディ』とか『ノンストップ・バディ 俺たちには今日もない』とか『ドリンキング・バディーズ 飲み友以上、恋人未満の甘い方程式』なんてのがあります。
『私とカレの暗殺デート』という副題もコメディ感あって、まぁアリでしょう。
でも、問題は・・・(下記キャッチコピーのところで)。
上映時間は、95分。
製作国は、アメリカ。
映倫は、G。
キャッチコピーは、「手に入れたのは、理想のカレと暗殺能力!?」
これと、「殺(恋に✖して)せよ、乙女。」が難しいところ。短評でも書きましたが、実は、この部分は映画のと途中から出てくるサブストーリーなんですよ。
詳しくは下記のネタバレで。
これ、どうやら、『エージェント・ウルトラ』と同じ世界の話みたい。
つまり、マックス・ランディス・ユニバースの一本になる。
『クロニクル』も同じ世界だったりしてね。
ネタバレ。
これ、メインは男運の悪いネジぶっ飛んだ女が、最悪で最高の男を捕まえる話なわけですよ。本当に運命の相手を見つける真の愛についての話。(『エージェント・ウルトラ』もそういう話だった)
だから、日本での宣伝の方向は完全にネタバレなのよね。
途中で、このネタは示唆はされるから、ヒドいというほどではないけど、この内容を見に来たとしたら、ちょっと満足しきれない可能性は十分出てくる。
ただ、『水戸黄門』や『刑事コロンボ』、最近では、『チア☆ダン ~女子高生がチアダンスで全米制覇しちゃったホントの話~ 』的な最初にオチまで分かっても経過を楽しめる日本人的な嗜好ではアリっちゃアリなのかもしれませんんが。
そりゃ、サム・ロックウェルで押せとは言いませんし、あちらでも踊る殺し屋って題材のせいで、なかなか製作が進まなかったらしいし。
でも、映画の内容通り、<男運が悪い女の子が運命の人に出会ったと思ったら殺し屋だった>じゃ、ダメですかね?
それじゃ、ラブコメ要素強くて、男客が来ないですか?
殺人カップルものというジャンルがある(『ナチュラル・ボーン・キラーズ』、『カリフォルニア』、『ハネムーン・キラーズ』など)ので、ラブコメよりそっちにしたかったんですかね。
アメリカとかだと、<このジャンルだと思わせといて実は別ジャンル>な話法があって(『アンブレイカブル』、『グリーンマイル』など)、だからこその見た後の面白さ(逆にが科k利することもあるのも含めて面白さ)を狙ってるはずなのよね。
そこまでいかなくても、『メッセージ』のSF宇宙人ものであるけどヒューマンドラマとか、アメリカ青春ドラマ+宇宙人ものの『スーパー8』みたいなジャンル融合は定番の方法。
そりゃ、日本の客への宣伝は難しくなるのかもしれないけど、嘘子をうまく匂わせるのもエンターテインメントでしょうに。そういうのを繰り返してきたからモノ好きしか見なくなって、客層を狭めた部分はあると思う。
客を宣伝で騙すのは、そろそろ考えた方がいい時代が来たんだと思う。この情報化時代、そして、クレーム蔓延時代が来たんだから。
『ガーディアン・オブ・ギャラクシーvol.2』の改題『リミックス』がアメリカにまで直訴されたり、『バス男』が『ナポレオン・ダイナマイト』に直ったりしているのに。(戸田奈津子字幕も減ってきている印象)
え、炎上商法、ネガティブ・キャンペーンですか?
そうしなきゃ、埋もれますか。
ひっかからないで、流されていきますか?
そういう時代でもあるってことですか。
その胡散臭さがクセになって、グラインドハウスが生まれるかもしれないってことですか。
でもさ、映画、その作品を愛していること、ハートのある宣伝はどこかで通じると思うのよ。
『エージェント・ウルトラ』の予算が、約28,000,000ドルで、『バッド・バディ!』は約8,000,000ドルという感じらしい。
キャストもあるけど、予算的には約20,000,000ドルの差がある。
『エージェント・ウルトラ』は最初からバラしている内容だったからなぁ。
『エージェント・ウルトラ』がダメ男覚醒で、『バッド・バディ!』がダメ女覚醒で対になっていると考えたら、そこを伝えたくなってしまったのかもしれん。
ファンだけでは興行が成立しないのが今の日本映画界の洋画だから。