菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

名前を呼んでしまう。 『紅い服の少女 第一章 神隠し』

2022年10月15日 00時00分58秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第2124回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 

 


『紅い服の少女 第一章 神隠し』

 

 

ある失踪から連鎖していく神隠しと紅い服の少女をラジオDJが追うホラー。

1990年代の台湾で、実際の怪奇事件から生まれた都市伝説<紅い服の少女>をベースにしたホラー。

今作の大ヒットから台湾ホラーの火がついた。

 

主演は、『台北セブンラブ』のアン・シュー、『よい子の殺人犯』のホアン・ハー。

 

監督は、チェン・ウェイハオ。
2015年製作の本作で長編デビューを飾り、その後も『目撃者 闇の中の瞳』や『The Soul:繋がれる魂』などのヒット作を連発し、台湾を代表するヒットメイカーとなった。

 

 

物語。

不動産屋に勤務し、祖母と2人で暮らすジーウェイ。5年付き合っている恋人のラジオDJのイージュンと結婚したいと思っている。
ある日、祖母の友人リンがハイキング中に失踪する。
祖母は友人を心配するが、今度は祖母が失踪してしまう。
祖母を心配するジーウェイは、リンのカメラを手に入れる。そのカメラにはハイキングする老人たちについてくる謎の<紅い服の少女>の姿が映っていた。
ジーウェイが相談すると、これは人を惑わす魔物「魔神仔(モーシンナア)」による神隠しではないかと言われる。

脚本:チエン・シーケン

 

 

出演。

アン・シュー (シェン・イージュン)
ホアン・ハー (ホー・ジーウェイ)

リウ・インシャン (ホー・ウェン・シュー・ファン/祖母)
チェン・ボーチュウ (クン/管理人)
リン・イーチェン 

 

 

スタッフ。

撮影:チェン・コーチン
プロダクション・デザイン:Chung-Hsien Lin

編集:カオ・ミンシェン

音楽:リー・ロキッド

 

 

『紅い服の少女 第一章 神隠し』を鑑賞。
2015年台湾、連鎖する神隠しと謎の紅い服の少女をラジオDJが追うホラー。
実際の怪奇事件から生まれた都市伝説<紅い服の少女>をベースにしている。
ホラーのサブジャンルで言えば、家ホラーで森ホラー。
今作の大ヒットから台湾ホラーの火がついた。そのヒットからの遡り公開で、『紅い服の少女 第二章 真実』と同時公開となっている。
監督のチェン・ウェイハオは、2015年の本作で長編デビュー。その後『目撃者 闇の中の瞳』や『The Soul:繋がれる魂』などのヒット作を連発し、台湾を代表するヒットメイカーとなった。脚本のチエン・シーケンも『返校 言葉が消えた日』、『ゾンビ・プレジデント』などヒットを連発している。
台湾は死者のことを娯楽的に描くのが非常に反発があるようで、ゆえに今作はそこに切り込んだ、ある意味でタブーに取り組んだパイオニア的な作品でもある。なので、企画時点では低予算でソフトな表現の押さえていると子rもあるが、生理的な表現では国際的にも十分戦えるレベル。虫が苦手な人は失神級だと思われる。
Jホラーやアジアンホラーや西洋ホラーの研究をこのような形で取り入れたのも、表現への挑戦となっている。それが5年を経て、台湾ホラーに火をつけたのだから。
確かにCGの粗さやドラマの薄さや怖がらせ方や表現の既視感はある。だが、これも台湾の若い観客のために、シンプルな驚かしと直接的な対象と有名な都市伝説で現実とのリンクで興味を引き、複雑な構成で物語をつかませない(これは他のチエン・シーケン作品でも用いられている。清水崇脚本の影響もあるのかしら?)ことでストレートな描写批判を躱すなど、意識無意識に組み込んで、提案している。ここには今のJホラーも学ぶべきとこがいくつもある。
『台北セブンラブ』のアン・シュー、『よい子の殺人犯』のホアン・ハーは、内容のリアリティに奉仕している。なにより、祖母を演じるリウ・インシャンら先輩方の存在感がたまらない。こういったいい顔を揃えることの意味。
当時は本国でヒットしても日本では厳しいかもと見送られたのも分からないでもないが、今の台湾ホラーの発展から遡って観る喜びがある。
かつての韓国ホラーのような発掘する楽しみもありますよ。
同じ森ホラーの『樹海村』と見比べているのも一興かと。
映画技術の質では邦画を凌駕している台湾映画界なので、撮影も美術も申し分ありません。音の使い方もいいしね。
紅い色の使いにも注目。黒に赤は伝統の表現だもの。継承を感じます。
内面の精神性と物理性で怖がらせようとしたのは、その後の『The Soul』でも引き継がれている。
罪悪感があなたを森へ深く誘う土作。


 

 

 

おまけ。

原題は、『紅衣小女孩』。
『紅い服の少女』。

英語題は、『THE TAG-ALONG』。
『平行鬼ごっこ』。

 

2015年の作品。

 


製作国:台湾
上映時間:93分


配給:オソレゾーン、台湾映画社

 

 

映画『紅い服の少女 第一章 神隠し/第二章 真実』公式サイト

紅い服の少女 第一章 神隠し の映画情報 - Yahoo!映画

紅い服の少女 第一章 神隠し2枚目の写真・画像|cinemacafe.net

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ややネタバレ。

映画製作総責任者であるハンク・ツェンのインタビューから読み解くと、この映画の見え方は変わる。
中国文化では、死と幽霊を取り巻くタブーが多い。死者への敬意が強く、それについて話すだけで、不運や悪霊を引き寄せると言い伝えられてもいる。創作物で扱うことも難しい。それは高齢者や伝統、文化に対し、不敬、非礼や無作法にもとられる可能性がある。
ゆえに、現在のヒットしている台湾ホラーも幽霊や死者ではなく、呪い、土着の神、魑魅魍魎、ゾンビ(キョンシー)、病気を扱うことがほとんどである。(今作の以前のものも病気系や呪いや風習の題材が多い)
香港ホラーがタブーが少なかったので、気づきにくかった。
そこに、Jホラーやアジアンホラーの研究を取り込み、台湾ならではのホラーを生み出している。

そのこともあり、今作はタブーに挑んだと言ってはいるが、高い予算を獲得できず、表現には非常に気をつかい、やや腰の引けたところを感じるかもしれない。未熟さではあるが、ようやくハイハイから歩き始めた赤ん坊なのだ。
だからこそ、この作品をヒットさせ、台湾ホラーの道を拓いたことは特筆に値する。
それが、2020年には上質なホラー作品を連発している。
Jホラーの凋落が、いかに手を抜いていることの現れか。

 

愛する人の名前を呼んでしまうことが、交代して、救われることを知っていたのか。
それは、この物語の恐怖を広げる。
知らなかったとしても、その事実に気づくことで罪悪感という恐怖を描いている。
この心情による恐怖の部分が邦画のホラーで今薄い部分。
『リング』のビデオを見せてしまったことやあの子供を救うためのラストにはそれがあったのだ。

 

 

 

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