菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

菓子道とは、惜しまぬことと見つけたり。    『ちょんまげぷりん』

2010年08月12日 00時00分18秒 | 映画(公開映画)
 
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第162回。



「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『ちょんまげぷりん』







江戸時代の侍が現代にタイムスリップしてきてしまうファンタジー・ドラマ。
しかも、その侍がお菓子作りに才能を発揮しはじめるところがフック。

ダブルフックな映画で、ごてごてな甘さになるところを、絶妙な抑えた演出とキャスト陣の好演がバランスよく舌の上で溶けていく。

たしかに宣伝にあるようにお菓子作りは話の軸ですが、そこは、描写は多いけど、肝じゃない。ひねりは、侍が家事にのめりこんでいくところ。
さすがに要領がよすぎる気はするし、現代の魔法にも似たものは、下手すりゃ現代人でもうまく使いこなせないのに、なじんでしまうのが面白さとまではいけてないのが少し惜しい。
ただ、その現代に侍のいる所在の不思議な館漢字は十分なほどの出来ているのは、m図かしいことを成し遂げた気持ち良さがある。
しかも、押しつけがましくない笑いに昇華されている。

動きや思考を省かずにきちんと描いていることから生まれるものだろう。
苗字のある女性を武家だと驚くことや、彼自身が抱えていた忸怩たる思いが物語の隠れた動機となって貫かれ、のちに明らかになる時の感じは胸に迫る。
とはいえ、セリフだけでもあるので、少々足りないといえば、足りない気もするが。

ケーキバトルの大げささとか、コミックなところの違和感はぬぐえないといえばぬぐえないけど。


しかし、錦戸亮のたたずまいが決まっているのが、支え。
それをおおき包み込むのがともさかりえと鈴木福の母子。
この自然さは、まさにこの物語を確実に隣の町の話にきちんと着地させる。
きっと彼女らとどこかですれちがっているような気にさせる。

ただ、そこに寄り添い過ぎて、物語のエンジンを止めてしまっているところも多々ある。
地蔵の話(探さない理由)は、途中でちゃんと描写しないともやもやが残る。
のちに解決されるとしてもだ。



好みは、時間を聞いた後、突然泣いている鈴木福のシーン。
電話に驚くシーンと、封建的発言を当然と吐く安兵衛のシーンもいい。


大作あふれる夏休み映画の中では、小品ゆえに拾い物をした気分。
べたながら、いい具合に解決していくストーリーに乗れる方には、心地よい観賞感をあじわえることでしょう。
時代劇好きな人は、意外に、突っ込みも合わせて、楽しめるはず。


あと、ラブストーリーがささやかなのも好感もてますわ。
観ん孔みんな恋愛にうつつを抜かしてるわけじゃないのですから。
だから、ラブストーリーの濃さがフィクションとして気持ちいいのに、恋愛要素を糖分を多めに入れる作品は、見習うべき。
あれは、甘さで舌がしびれます。



まぁ、イチゴ大福のほどの絶妙な発見とまではいってませんが、出来のいいカスタードクリームの入った大福のような珍品ながら落ち着いたお茶うけ的作品。















おまけ。
はじめて、錦糸町のTOHOシネマズにて鑑賞。
ちょっと小さいけど、複合ビルというか、ショッピングモールのなかにあるので、ザ・シネコンな感じ。
朝一の劇場は、夏休みということもあって、お子様づらのファミリーでいっぱい。
新しくなった楽天地にも、行ってみたいなぁ。





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