で、ロードショーでは、どうでしょう? 第730回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『ジェームス・ブラウン 最高の魂を持つ男』
音楽の歴史を変えた革新的スタイルで多くのミュージシャンに影響を与え、今なお絶大な尊敬を集める天才ソウル・シンガー、ジェームス・ブラウンの波瀾万丈の人生を映画化した音楽伝記ドラマ。
製作陣にはザ・ローリング・ストーンズのミック・ジャガーも名を連ね、映画の実現を後押しした。
監督は『ヘルプ ~心がつなぐストーリー~』のテイト・テイラー。
物語。
アメリカ南部の貧しい家庭に生まれたJBことジェームス・ブラウン。
両親に恵まれず、荒んだ少年時代を送ったJBにとって、教会のゴスペル音楽だけが心の拠り所となる。
青年となり窃盗の罪で服役したJB。刑務所で、慰問に訪れたボビー・バードと出会い、以来2人は深い友情で結ばれていく。
バードと一緒にバンド活動を始めたJBはすぐにその才能を開花させ、大手レコード会社との契約を果たす。
やがて敏腕マネージャー、ベン・バートのサポートを得て、次々と新しいことに挑戦し、業界に革命をもたらしていく・・・。
原案は、スティーヴン・ベーグルマンとジェズ・バターワースとジョン=ヘンリー・バターワース。
脚本は、ジェズ・バターワースとジョン=ヘンリー・バターワース。
出演。
ジェームズ・ブラウンに、チャドウィック・ボーズマン。
あの濃い顔に寄せていて、逆に現実味を感じたり。
ボビー・バードに、ネルサン・エリス。
彼の存在がこの映画の肝。
ベン・バートに、ダン・エイクロイド。
『ブルース・ブラザース』シリーズで共演経験もある、ミュージシャンでもあるがゆえのセンスが生きています。
妻のスージー・ブラウンに、ヴィオラ・デイヴィス。
叔母のハニーに、オクタヴィア・スペンサー。
ほかに、クレイグ・ロビンソン、チカ・サンプター、ジル・スコット、レニー・ジェームズ、ブランドン・スミス、ニック・エヴァスマンなど。
製作は、ミック・ジャガーとブライアン・グレイザーとヴィクトリア・ピアマンとエリカ・ハギンズとテイト・テイラー 。
製作総指揮は、 ピーター・アフターマンとトリッシュ・ホフマンとジェズ・バターワースとジョン=ヘンリー・バターワースとジョン・ノリスとアンナ・カルプ。
撮影は、スティーヴン・ゴールドブラット。
時代ごとの雰囲気の出し方が素晴らしい。
プロダクションデザインは、マーク・リッカー。
衣装デザインは、シャレン・デイヴィス。
編集は、マイケル・マカスカー。
音楽は、トーマス・ニューマン。
音楽監修は、バド・カーとマーガレット・イェン。
多くの歌は、実際のジェームズブラウンのアーカイブから。
いくつかはチャドウィック・ボーズマンが歌っているそう。
ファンクのゴッドファーザー(ソウルのゴッドファーザーの方が通りがいいが)で稀代のエンターテイナーでショービジネスのイノベーターJBの半生を描く音楽伝記映画。
映画も、エンターテイメント満載で、音楽たっぷり、時間軸の入れ替え、第4の壁破り、負の面もド正面から描いてくれる2時間20分。
JBになりきったチャドウィック・ボーズマンは見事だが、右腕ボビー・バードを演じたネルサン・エリスの場面泥棒ぶりに胸を打たれる。
エピソード金太郎飴の土砂降りにびしょ濡れで前もよく見えなくなるけど、足がリズムを刻んじゃう乙作。
おまけ。
ちなみに副題の“魂”はソウルとルビが振られています。
原題は、『GET ON UP』。
これは、有名なJBの『セックスマシーン』の歌詞から取られたものだろう。
だが、この部分は実は、JBが歌っている部分ではない。
ボビー・バードのコーラスの部分の歌詞なのだ。
つまり、『sex machine』の歌詞を抜粋すればわかる。
Get up, (get on up)
Get up, (get on up)
Stay on the scene, (get on up), like a sex machine, (get on up)
この( )の部分がボビーの合いの手なのだ。
この映画は、語られ過ぎて、語り過ぎた天才の伝記であり、それを支えた右腕の伝記でもあるのだ。
上映時間は、139分。
製作国は、アメリカ/イギリス。
キャッチコピーは、「いまこそ感じて欲しい、魂(ソウル)の叫び――。」
ネタバレ。
だからこそ、最後、JBはボビーに向かって歌うのだ。