菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

ジャンルの皮をかぶった原点。  『ヴィジット』

2015年10月30日 00時01分48秒 | 映画(公開映画)

で、ロードショーでは、どうでしょう? 第790回。


「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」

 

 

 




『ヴィジット』

 

 

 

 

 

田舎の祖父母のもとに預けられ、1週間をそこで過ごすことになった15歳と13歳の姉弟が、予想だにしなかった戦慄の恐怖に襲われるさまを描く。

M・ナイト・シャマランが監督・脚本で贈る全米大ヒット・ホラー・サスペンス。

 

 

物語。

15歳のベッカと13歳のタイラーはシングルマザーに育てられている、仲の良い姉弟。

母は若いときに実家を飛び出して以来、両親つまり姉弟の祖父母とは音信不通となっていた。

だが、ある日、ネットで調べて娘の所在を見つけた祖父母から、連絡があった。

娘は拒否するが、祖父母はせめて、孫である姉弟に会いたいと申し出てくる。

姉弟に休暇を利用して遊びに来て欲しいと。

ちょうどカメラに夢中のベッカは、この機会に母親と家族の物語をドキュメンタリーにしようと考え、その申し出を受ける。

こうして姉弟だけでペンシルバニアの祖父母と1週間を過ごすことに。

だが、初めて会った祖父母はどこか様子がおかしくて・・・。

 

 

 

 

出演。

オリヴィア・デヨングが、レベッカ(姉)。劇中では、略称のベッカで統一。

彼女の強引さがこの映画を牽引します。

 

エド・オクセンボウルドが、タイラー(弟)。劇中では、Tとも呼ばれます。

 

ディアナ・ダナガンが、祖母。

ある意味、リアルモンスター。

こういう役は見た目よりもはるかに難しいんです。

 

ピーター・マクロビーが、祖父。

 

この二人から、『壁の中に誰かがいる』の夫婦役のエヴェレット・マッギルとウェンディ・ロビーを思い出したわ。

 

キャスリン・ハーンが、ママ。

隠し味です。

 

 

 

 

 

製作は、ジェイソン・ブラム、マーク・ビエンストック、M・ナイト・シャマラン。

製作総指揮は、スティーヴン・シュナイダー、アシュウィン・ラジャン。

M・ナイト・シャマランは自分の会社でも出資してるそうで、半分自主映画というか自信作みたいですよ。

 

   

撮影は、マリス・アルベルチ。

POVなので、キャストも撮影してる感じがするのですが、どうなのかしら?

 

 

音楽監修は、スーザン・ジェイコブス。

 

 

 

 

 

 

 
初めて会う祖父母の家に泊まる姉弟が味わう恐怖の1週間をPOVスタイルで描くサスペンス。
M・ナイト・シャマランが自分の庭に帰ってきた新作。
小品ながらのこだわりに乗っかって、不穏な空気と張られた伏線を味わえば、やってくるどんでん返しのデザート。
ちょっとした雑さもこだわりの一つという作りにノリツッコミを楽しむ好作。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

おまけ。

原題は、『THE VISIT』。

『訪問』ですね。

 

 

上映時間は、94分。

製作国は、アメリカ。

 

 

 

キャッチコピーは、「あなたは絶対に、“その約束”を破ることになる――。」

 

 

 

 

 

 

 

 

ややネタバレ 

キャッチコピーですが、えーと、約束、特に関係ないです。

約束ないわけではないので、嘘ではないんですが、そして、書いてあるとおり、破るんですが、それで、破ったからって、何もないんですが。

この映画の売りは、そこじゃないんです。

で、それは客を制限するので、隠してるんですが、プロデューサーのジェイソン・ブラムの得意な技が映画の中心になっています。

それはPOVスタイルであること。

 

まぁ、これ、アメリカでも近い宣伝なので、なんとも言いづらいですが。

 

 

タイラーがやる、驚いたときに歌姫の名前を叫ぶのは、『40歳の童貞男』のネタですね。

スティーブ・カレルが脱毛するときに「ケリー・クラークソン」と叫んでおりますが、別にそういう設定とかではないので、品のいいい主人公が汚い言葉を叫ばないために考えた対策。

それを、汚い言葉を言うと怒られるタイラーがそれをやったということでしょうか。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ネタバレ。

その隠されたPOVスタイルは、劇中人物が作っているドキュメンタリー映画であるというスタイル。

モキュメンタリーでもある。

素人で少女の作という伏線を活かしているわけです。

最初からモキュメンタリーであると明かさず、後半でそれが明かされるってのは珍しいです。

手前味噌ですが、おいらの自主映画『つづく』は近いコンセプトで制作しており、カメラのスタイルも『眼~まなこ~』も同じだったり。

でも、それを合わせたのが技ありというところですね。

そこら辺の徹底が初期シャマラン節なので、まさに原点復帰という感じ。

 

そして、『アンブレイカブル』などに顕著なんですが、シャマランは1シーン1カットを多く取り入れるのが特徴だったので、POVのスタイルはその延長線上にあるわけです。

大作になってきて、徐々に減ってきたので、これも原点復帰と言えます。

 

 

 

でも、床下の追いかけっこは、ジェームズ・ワン風味よね。

ソックリのシーンが、『デッド・サイレンス』にあったもの。

あそこでモンスターものかとミスリーディングさせている感アリ。

 

 

 

いままでのシャマランの、オリジナルのチャレンジ、または古典からのオマージュのみするのを捨て、面白いと思ったものはなんでも取り込む貪欲さがあります。

パクリにならないギリギリの上手さがシャマランのセンスのききどころ。

『レディ・イン・ザ・ウォーター』は宮崎駿へのオマージュだったそうだけど、どこがという感じだもの。

水を利用するのは、黒澤明、宮崎駿だけでなく、アンドレイ・タルコフスキー。

これはスピルバーグ先生もうまく取り入れています。

あのsカウ品がシャマラン作品の分かれ目と言われているので、あれこそシャマラン濃度が濃すぎたせいでもあるかも。

そういう意味では、今作はシャマラン濃度がいい具合に薄まっていつつも確実にシャマラン・ジュースだと分かる濃度なのです。

 

子供の色彩と世界の色彩のバランスなんかもね。

  

 

そういえば、今回、M・ナイト・ シャマラン出てた?

母の彼氏役かお父さん役で出るつもりもあったそうだけど。

 

 

 

 

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