菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

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カー、ガン、スパイとアクション映画に愛をこめて  『パリより愛をこめて』

2010年05月25日 00時00分46秒 | 映画(公開映画)
 
で、ロードショーでは、どうでしょう? 第141回。



「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」







『パリより愛をこめて』








快作『96時間』のリュック・ベッソン(製作・原案)とピエール・モレル(監督)のチームの新作アクション映画。

タイトルはもちろん、『007 ロシアより愛をこめて』より。
もちろん原題がすでに『from paris with love』ですもの。
007はイギリスのMI6の諜報部員ですが、こちらはアメリカのCIAになっています。
でも、フランス製なので、パリが舞台。
んで、『パリより~』なのです。

007との違いは、主人公が二人のバディものになっていること。
ジョナサン・リース・マイヤーズが扮するは小粋なヒゲが小物臭を漂わせる、本格スパイに憧れる新米の諜報部員。
その相棒になるのは、有能すぎてトラブルメイカーの諜報部員ワックス。



この映画は、まさに愛がてんこ盛り。
その対象は女性よりも、車と銃とアクション、そして、映画に向けられてんのよ。
そもそもタイトルもそうだけどさ。
大小の映画ネタがちりばめまくりです。
『007』、『パルプ・フィクション』、『ベスト・キッド』、『スタートレック』、『非情の罠』、ジャッキー・チェン作品、ジョン・ウー作品などのネタが盛り込まれています。
そこらへんは見て自分で発見してもらってのお楽しみにしてもらいたいのだけど、一応、一個だけ。

それは、テレビシリーズだからか、プログラムの解説からも外れていたネタ。
諜報部員ワックスが愛銃を見せるときに「ミー&ミセス・ワックス」と紹介するのだけど、この銃への愛情は、ダーティ・ハリーをからかったアメリカのコメディTVドラマ『俺がハマーだ!』のネタ(だと思うんだけど、西部劇とかに元ネタあるのかな?)。
ハマーが自分の銃にマギーと名をつけて、恋人として扱うのだ。
今作では、銃と結婚しているというとこまで発展させている。

リュック・ベッソン印のアクションの主役には大別される3パターンがある。
1、体技に優れた俳優を起用したパターン。
YAMAKASI、ジェイソン・ステイサム、ジェット・リー、シリル・ラファエリ。
2、女優を起用したパターン。
アンヌ・パリロー、ミラ・ジョボビッチ、ルイーズ・ブルゴワン(新作『アデル』のヒロイン)。
3、演技巧者を起用するパターン。
ジャン・レノ、クリストファー・ランバート、リーアム・ニーソン、ジョン・トラボルタ、ジョナサン・リース・マイヤーズ。

評論やプログラムなどで、イケメンでないおっさん俳優がリュック・ベッソンの方式と書いてあるものもあるが、その分析は片手落ちだと思う。
そもそも、アクション映画の主役で、イケメンであることは2番手3番手の重要さだったからだ。
それに、トラボルタをさしていってるのもおいが、主役は二人で、もう片方の主役ジョナサン・リース・マイヤーズは演技巧者でいわゆるイケメンである。


この二人の演技合戦こそが、実はこの映画の面白さなのだ。
アクションは適度にタイミングよくるつべおと市で来るが、その合間に合間にさしはさまれるシーンに持ちこめれたユーモアこそが持ち味なのだ。


といって、アクションに手抜きどころか、激しさ、新しさを持ち込み、アドレナリンを噴出させるのを忘れないのが素晴らしいのよ。
もちろん、そのためには、ちょっとはみ出しちゃうのも、ジャンル理解の高さからというもの。
ピエール・モレルの独特の緩急、サスペンスの挟み込み方の上手さがぐいぐいのめりこませるのよ。


上の階の相棒ワックスがやってる銃撃戦の音だけを聞かせ、降ってくる敵を見て、恐る恐る新米ジョームズが階段を上って行くシーンなどは、もういぶし銀の技だ。

実際、スパイ・アクションて感じのシーンは少ないけどね。
おいらとしては、最初の方の新米諜報部員シーンをもっと見たかったりして。

大味なところもBな魅力なんです。
クライマックスも意外とあっさりですしね。
でも、キャラクターモノとして、ぐっさりささるようにつくってくれてるから、のれるのよね。
まぁ、それはすなわち、そのまま弱点でもあるのだけど。


けどね、大笑いしながら、痛みを忘れて、B級アクションの面白さを堪能するのに、これほどうってつけの作品はなかなか出会えませんぜ。
シャレは効いてるけど、決してオシャレでしゃないのが、ポイント。
粋というより、いい気味って感じ。









おまけ、その1。
映画ネタの解説をさらっと。
『パルプ・フィクション』は、ロイヤル・ウィズ・チーズのネタをトラボルタ自身が。
ジョン・ウー作品のスローモーション・アクションのネタをトラボルタ自身が。
『ベストキッド』の特訓シーンから「WAX・ON/WAX・OFF」。
『非情の罠』は、マネキン工場でのアクション。
ジャッキー・チェン作品は『デッドヒート』のパチンコ店のアクション。
その他いろいろあるでしょう。
『ベストキッド』や『スタートレック』ネタなど、映画内でも説明しているものもありますけど。






おまけ、その2。
愛の意味が、ホモセクシャルな感じにもとれるのも、愛嬌。
なにしろ、銃は本来、男根のメタファで、それと結婚してる男の話ですから。
中で、『007 ロシアより愛をこめて』の主題歌を歌うマットモンローの歌が流れるのだけど、その歌詞は意訳すると、「私とあなたは一蓮托生」。
男のスパイ同士が車内でそれを聴くというジョークもある。
ある意味、『パイプより愛をこめて』とか『パパより愛をこめて』というとこなのよね。
男同士の友情が、空港(パリ)で生まれるのも、『カサブランカ』のネタかも。

そうそう、『96時間』も、パパより愛をこめて』でしたな。
そういうシリーズなのかしら?
じゃ、次は『パパより愛をこめて』シリーズ第三弾で、パパとママの夫婦アクションになるのではないかしら?
と予想したりして。





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