で、ロードショーでは、どうでしょう? 第1106回。
「なんか最近面白い映画観た?」
「ああ、観た観た。ここんトコで、面白かったのは・・・」
『家族はつらいよ2』
名匠・山田洋次監督が豪華キャストのアンサンブルで贈る痛快人情喜劇の第2弾。
人と人との絆がますます希薄になる世知辛い世の中とは対照的に、良くも悪くもますます濃密な三世代同居の大家族“平田家”に巻き起こる新たな大騒動の行方をコミカルに綴る。
物語。
東京の郊外に暮らす三世代同居の平田一家。
当主の周造が妻・富子との熟年離婚の危機を乗り越えてから数年。
趣味に出かけるのが楽しみの周造は車を乗り回すが、高齢者の事故を心配する家族が免許を返上させようと画策したことから、またもや平田家に一騒動が勃発してしまう。
そんな中、周造は、故郷・広島の高校時代の同級生・丸田と40年ぶりに偶然の再会を果たす。
かつてはモテモテのぼんぼんだった丸田だが、独り者でバイト暮らしのわびしげな姿を不憫に思い、友人の向井も誘い、即席の同窓会を開いて大いに盛り上がる。
原作は、山田洋次。
脚本は、山田洋次、平松恵美子。
出演。
橋爪功が、平田周造。
西村雅彦が、平田幸之助。
夏川結衣が、平田史枝。
中村鷹之資が、長男の平田謙一
丸山歩夢が、次男の平田信介。
中嶋朋子が、金井成子。
林家正蔵が、金井泰蔵
妻夫木聡が、平田庄太。
蒼井優が、平田憲子。
吉行和子が、平田富子。
風吹ジュン 小料理屋の女将・かよ
小林稔侍が、同級生の丸田吟平。
有薗芳記 同級生の向井。
劇団ひとりが、敏腕刑事。
藤山扇治郎が、新米巡査。
徳永ゆうきが、調子のいい鰻屋。
笑福亭鶴瓶が、火葬場の職員(特別出演)。
ほかに、オクダサトシ、広岡由里子、近藤公園、北山雅康、など。
スタッフ。
プロデューサーは、深澤宏、三好英明、ほか。
撮影は、近森眞史。
照明は、渡邊孝一。
美術は、倉田智子、小林久之。
編集は、石井巌。
録音は、岸田和美。
音楽は、久石譲。
父から車の免許を取り上げようとする平田家のドタバタを描く生活喜劇の第2作。2作目だけど5作目のようなツギハギ感。
固いセリフ、コント演出、近視的なカメラが見づらいが、豊かさが画面から漂い、安心してゆっくりなペースに付き合える。これが品が良いということか。
だが、死の匂いを笑うブラックユーモアには初期作のようなエネルギーもあるし、舌鋒は鈍ってもブレーキとアクセルは踏み間違えていない。
小林稔侍は『1』と別人設定なので注意。
蛇足なシーン、まとまりのない構成の凸凹が、ある意味では家族を感じさせなくもない増築作。
おまけ。
上映時間は、113分。
製作国は、日本。
映倫は、G。
キャッチコピーは、「その悲劇も、きっと明日は喜劇になる!」
それは、悲しいことであり、しょうがないことであり、笑うしかないことで、生きていくことだ。
時はいつも優しくて残酷。
ネタバレ。
免許返納の話だったはずが、最後は独居老人、孤独死で落として、結局、高齢者事故のことは忘れるオチは脚本の完成度としてはだいぶゆるい。
だが、老人向けの映画としては、答えを出さないという方向性がエンターテインメントとしたのだったのだろうか。
だって、観客が映画館に車で来てるかもしれないものね。
寄りの多いカメラが大画面では見づらいことも。
時折の主観カメラ、物を撮る画はなじまなさも。
棺の中の銀杏には大笑い。
あの炎の画には『母と暮らせば』を思い出したり。
山田洋次監督曰く「喜劇とは混沌である」、「着地点を決めないで飛び降りること」とも。
全くその通り。
そして、「一生懸命な人がコケること」とも言っている。
これはわからなくはないが、そうでもないシーンも多いし、スベッてることも多いので、自分でもコントロールしにくい要素なのだと思われる。
無縁社会をテーマにしているそうだが、免許を返せというのは縁があるからということなんだろうな。