菱沼康介の、丸い卵も切りよで四角。

日々の悶々を、はらはらほろほろ。

揚げたてお芋の思い出。

2009年12月06日 00時09分24秒 | ブロぐ。
 
先日、ネットで、オランダのポテトフライ専門店の記事を読む。

【ポテト好きによるポテト好きのためのフライドポテト専門店】
http://getnews.jp/archives/39833



それを読んで思い出した話。

それは、今から、10年ちょっと前、学生時代。
仲間と行っていた地元のある居酒屋の思い出。


その店は、60近いおじさんが一人でやっているお世辞にはキレイとはいえなかった。
肉体労働者御用達って感じで、確実に女性だけなんて入れない雰囲気。
一人だから、料理は、出来たら、客がカウンターまでが取りに行く。
当然、値段も安い。
お酒は割る分量間違えたの?ってぐらい濃い。


で、そこのポテトフライが、自家製だった。
注文が入ってから、揚げる。
太めの、木材っぽい感じで、ところどころ茶色がかって、揚げたて。
これが、ひじょうに美味かった。
しかも、250円と安い。
もちろん、塩だけでもいけたのだが、熱々のポテトフライに、冷たいケチャップ(常時使う調味料ではないので、店内の酒用の冷蔵庫に入っていた)をかけて食う。
おじさんの腕もあるんだろうけど、推測するに、いろんな食材を同じ油で揚げることで、コク的なものが出ていたのではないだろうか?
 
学生で、金がないから、酒の肴に、だいたい、その美味いポテトフライばかりを頼む。
おいらたちが大きな声で頼むから、他の客もついつい頼む。
5,6人で3,4時間、毎回、おいらたちだけでも、20人前(5000円)は平らげて帰った。
ケチャップは、毎回、半分はなくなっていた。



それを続けること2ヶ月で、約12回ほど。
ある日、ポテトフライの値段が上がった。
300円から、50円アップ。
まぁ、量を食ってるし、自家製だとそれなりに手間かかるしね。
ドイツ人じゃないんだから、じゃが芋を大量に食いながら、酒飲むヤツらなんて想像してなかっただろうしね。
おいらたちは、しょうがない、といいながら、かわらず食い続けた。



その2ヵ月後。
ポテトフライの値段が、250円に戻っていた。
あれ?
今度は量でも減らしたのかしら?といつもどおりとりあえず人数分のポテトフライを頼む。
すると、出て来たのは、ジグザグに切れ込みの入った黄色いポテトフライ。
あれ?もしかして・・・。
そう、カット済みジャガイモを買って、揚げるだけにしてしまったのだ。
ぐむむむ。
味は、格段に落ちていた。
だが、これも自分たちが招いたことなのかもなぁ。
その日は、最初に頼んだ分のポテトフライを食べ終えて、店を後にした。


なんとなくあの店に行きづらくなり、別の店を開拓し、そちらにたむろうようになった。
心にあったのは、なんだよ料理人の誇りもないのか、という毒づき、と、おじさんに悪いことをしたなぁ、という申し訳ない気持ち、と。



あれから、10年以上経った今でも、地元の仲間と居酒屋で、ポテトフライを食べると、あの時のポテトフライの話が、時折、出る。
だいたい、締めくくる言葉は、「あれ美味かったよなぁ」、「もったいないことしたなぁ」、である。
 
思い出の補正がかかっているのかもしれないが。
あのポテトフライの味を、舌がなんとなく覚えている。

 
あの店はすでにない。
 
店のあった場所には、韓国系のスナックが入った。
店の名前は『ケンチャナヨ』。
韓国語で、“大丈夫”、“心配しないで”、“気にしないで”という意味だそうだ。


おいらたちが行かなくなってから、閉店までの数年、あのポテトフライの味は、あのままだったのかしら?
それとも、あの味に戻ったのかしら?
 


 

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