akikoの「活動」徒然記

活動弁士佐々木亜希子の身の周りの出来事やふと感じたこと

びわこバリアフリー映画祭

2009-02-22 | バリアフリー映画、福祉
20日から3日間、滋賀県大津市で開催されたアメニティー・ネットワーク・フォーラムにシアタートークのトークゲストとして行って参りました。
障害者の自立支援を様々な角度から考え、提言し、関係者が交流をはかるという全国大会で、今年も1500人以上の参加者が、朝から深夜までシンポジウムや分科会、交流会を行き来し、もの凄いエネルギーでした。(今年は橋下大阪府知事も来場し、熱弁を振るっていました)

フォーラムの一貫として開かれた「びわこアメニティーバリアフリー映画祭」会場では常に映画が上映されており、フォーラム参加者はいつでも入場が可能です。
今回上映されたのは『ぐるりのこと。』『花はどこへいった』『絵の中のぼくの村』『猫の恩返し』『THE CODE/暗号』の5作品。今年度の障害者自立支援調査研究プロジェクトで字幕と副音声を付けた作品で、私はすべての副音声ナレーションを担当させていただきました。今回は字幕も副音声も付いた状態での上映です。健常者には情報過多かなと思っていましたが、けっこう皆さん楽しんでいらしたようです。

20日の夜には、日本アカデミー賞で『ぐるりのこと。』の木村多江さんが主演女優賞を獲得。プロデューサーや制作スタッフ数人が大津に来ていましたので、懇親会は大盛り上がりとなりました。

21日には、「バリアフリー映画をスタンダードに」というテーマのシアタートークに、私もトークゲストとして出演。
目指すところは、視覚障害者、聴覚障害者も様々な映画作品を楽しめるよう、ハード面ソフト面両方のシステムをつくっていくことです。
現在、いくら観たいと思っても享受できる作品は限られています。また、公開と同時に観られる作品はほんのわずかで、DVD化を待つしかありません。そこまでして観なくてもいい、という障害者の方もたくさんいると思います。
まだまだ副音声のつけ方は試行錯誤なので、今回私が語った5作品はそれぞれの文体もトーンも違います。副音声台本を誰が主体となって書くかでも違います。少しでも、目の見えない方に豊かな作品の世界を味わってもらうために、入れる情報や文体、語り口調も皆で模索して作りました。大きかったのは、監督の存在です。
『絵の中のぼくの村』の東陽一監督、スタジオジブリ作品『猫の恩返し』の森田宏幸監督、今年公開の新作『THE CODE 暗号』の林海象監督。監督の「こうやって見せたい」「こういう意図のシーンなんだ」という意向が入ることで、副音声は副音声以上の意味と価値を得て、新たな作品に生まれ変わっている感があります。これは、監督たち自身も、この副音声作業に携わって驚かれ、発見して下さったことでもありました。
副音声で説明をすることに懐疑的な方もいらっしゃいます。監督たちもそうだったようですが、でもつけてみると、2度おいしい映画の楽しみ方が提供できることに気が付きます。子どもたちや知的障害を持つ人たちも、活弁的な副音声ナレーションがあることでよりわかりやすく楽しめているようです。

今回の副音声に関しては、視覚障害者で情報研究のエキスパートの方々にアドバイザーになっていただたのですが「映画が好きで観てきたけれど、こんなに自分がわかっていなかったんだ!こんなに豊かな世界が実は広がっていたんだ!」と新たな世界と出会った感激を熱く語って下さいました。視覚障害を持つ方が、副音声によって、映画作品をより理解し、感動し、味わって下さることがとても嬉しいですし、いい映画を、語りを媒体にして届けることができたら私自身も非常に幸せです。
私たちだって、映画から本当にたくさんの感動を得ています。スタジオジブリの作品を一度も観たことがない人は数少ないはずです。障害を持つ人も同じように楽しむチャンスはあってしかるべき。
費用のかかることではありますが、需要が増え(どちらが卵でにわとりかはわかりませんが)そうした視聴者も観客層として想定できるようになれば、制作段階から監督も字幕や副音声台本にも関わるのがスタンダードになっていくかもしれません。映画館上映でまず視覚聴覚障害者対応上映会を一度やって、作品のDVD化の際にもその素材を使う。映画館でリアルタイムで観たい人も観られるし、部屋で一人で観ることもできる。インターネットでの配信も行う。
もちろん、作品のテイストがそれぞれ違うように、副音声のスタイルも様々で当然。すべての映画が最初からバリアフリーを想定して作られたら、副音声ナレーションももっとバラエティに富んでくるはずです。

スタジオジブリのアニメ作品も今回が初挑戦。とても面白いものになっています。私も台本に四苦八苦しましたが、それ以上に森田監督が熱を入れて加筆してくださいました。収録まで立ち会っていただき、やり取りをしながらの制作過程がとても楽しかったです。皆さまに一度ご覧いただける機会があれば嬉しいです。

林海象監督の『THE CODE 暗号』は、5月公開です。一般公開より先にバリアフリー映画祭で字幕&副音声付で公開となりました。この副音声台本は玉井夕海さんが書き、私や監督やプロデューサーが少し手を入れるという形で収録。アクション小説を聞くようなスピード感あふれるものになっています。今回は林海象監督も舞台挨拶に来場し、ご自分の過去の作品全部に副音声をつけたいととても楽しんでいらっしゃいました。

視覚障害、聴覚障害を持つ方々と、フォーラム関係者と、監督たちと、今回の研究プロジェクトのメンバーと、いろいろ今後について話しながら、二日目も深夜遅くまで交流会は盛り上がったのでした。

ある障害も持った方は、それを補って余るだけの別の感覚や器官が発達しています。そうした方々の感性に触れ、気づかされることはとてもたくさんあります。視覚聴覚障害の福島智先生の頭脳明晰で感性豊かなこと!
障害や立場を越えて、相手を理解し、感動を共有し、コミュニケーションを図る、そうしたことを学べる場に携わらせていただき、出会いを頂いていることに感謝です。
様々な障害を持つ人もそうでない人も、みんなが映画を楽しめるように。世界が開かれていくといいなと思います。
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