水の丘交通公園

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鉄道用語・電車の制御装置の種類

2008-03-07 14:59:10 | 鉄道用語・解説
電車は架線や第三軌条から電気を採り、モーターを回して走る鉄道車両の
ことであるが、速度制御を行うため、電流を制御しなければならない。
一気に架線からの高圧電流がモーターに流れると、
モーターがパンクしてしまうため、段階的に電流が流れるように
しているのが、制御装置である。
当公園では「主制御装置」として紹介している。
今回はこれらの種類と簡単な仕組みを紹介する。

1・抵抗制御
・・・集電装置(パンタグラフなど)から採った電流を抵抗器に通して、
異なる抵抗値の抵抗器を組み合わせながら、直流モーターを加速させる方法。
最も、原始的であるが、オーソドックスな方法で、幅広く採用されている。
抵抗値の切り換えは、スイッチやカム軸と呼ばれる装置で行われ、
加速すれば加速するほど、抵抗値は少なくなる。
モーターで発生した磁界を利用して、主に高速域で弱め界磁制御を行う。
抵抗制御の長所としては構造が簡単で点検しやすいこととであるが、
エネルギーが熱として放出されること、電力回生ブレーキが使えない(モーター側
の回路で対処可能)こと、起動時の衝撃が大きいこと(制御スイッチやカム軸の
段数を増やすことで対処可能)などの欠点もある。
これらの欠点を解消する為、超多段制御器などが開発されたが、
構造的に複雑になってしまうため、あまり普及していない。

2・チョッパ制御(サイリスタ・電機子・四象現)
架線でとった電流を高速でスイッチングを繰り返すことによって
直流モーターを回す方法。
制御素子に半導体(サイリスタなど)を用いるため、加速時の熱損失が
ほぼ無くなり、電力回生ブレーキの常用が可能である。
加速時に「プー」という独自のノイズ音が入るのが特徴。
営団地下鉄千代田線の6000系電車で採用されたのを皮切りに
地下鉄用電車を中心に採用されたが、装置自体が、かなり高価であり
量産化された例は少ない。

3・界磁チョッパ制御
抵抗制御とチョッパ制御のハイブリッド版で、モーターに複巻電動機を採用し、
そこから出る分巻界磁電流をチョッパ方式で制御することによって
回生ブレーキを使用可能にするものである。
チョッパ加速領域では、モーター内に電流を滞留させる0アンペア制御が行われる
ことにより、加速・ブレーキの応答性が良く、一定の速度で走行させる支援装置である
定速度制御が可能である。
チョッパ装置については最低限の性能のものでいいのでコストも安い。
但し、起動時は抵抗制御なので、その分の熱損失やショックなどの欠点は
引き続き欠点として残るほか、回生ブレーキも電機子を使った
チョッパ制御と比較して、速度の高い状態で失効する場合がある、
使用する複巻電動機の整備周期が短く、電流の急な増減に弱い上、
保守の手間がかかるなどの弱点はある。
しかし、これらの弱点を加味しても安価で回生ブレーキが行えるということで
1970年代後半から90年代初頭にかけて大手私鉄の電車で多く採用されている。

4・界磁添加励磁制御
直巻電動機を使用しながら、界磁電流用の電源を別に設けて、
回生ブレーキを行うもので、界磁チョッパ制御の簡易版である。
補助電源から意図的に界磁制御を行うことによって、架線電圧に左右されずに
安定した回生ブレーキが可能であり、抵抗制御との共通部品の多さから
安価で改造することが可能であるなどの利点がある。
しかし、欠点についても、ほぼそのまま引き継いでいる。
国鉄が末期に製造した新型車である211系や205系で採用されたほか、
私鉄でも冷房改造車などで採用されている。

5・サイリスタ位相制御
交流用電車で主に使用されるものである。
交流で採った電流をサイリスタで直流に変換し、直流モーターを制御する方法。
接点がないため、メンテナンスの手間がかからないのと、電流を
直接制御できるので抵抗制御のような熱損失がない。
ただし、モーターについては整流子の整備が必要である。

6・VVVFインバーター制御
正式には「可変電圧可変周波数制御」で、「VVVF」とは、その英訳の
「Variable Voltage Variable Freqency」の
頭文字をとったものである。
直流で採った電流を三相交流に変換して交流モーターを制御するものである。
きめ細かな出力制御が可能で、起動時の衝撃が少なく、加速時のレールへの
粘着性も強いため、モーター付の車両の数を減らせる、回生ブレーキが
停止寸前まで使用可能、誘導電動機を使用するため、モーター自体の小型化と
メンテナンスの省力化が可能などの利点がある。
しかし、初期に採用されたものでは起動・加速時に発生する独自の騒音や
ノイズが発生しやすく、電信系の保安装置に悪影響を及ぼすことがあった。
現在では、これらを、ほぼ解決しているほか、京急2100形のように
敢えて音階をつけて特徴付けたものもある。
ちなみに、交流用電車などでは、一旦、直流に換えて、更に交流に切り換える
方法をとっている。


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