災害支援ボランティア 宮北会(みやきたかい)

東日本大震災後、岩手県宮古市・山田町で被災者との「顔の見える」交流活動を続けています

宮北会 新年に寄せて 

2019-01-01 00:43:26 | 挨拶・回想

 怒りを水に流してはならない!

 また新しい年を迎えます。

  昨年2018年は、6月大阪府北部地震、7月西日本豪雨、8月関西空港をはじめとした台風21号被害、さらに9月の北海道胆振東部地震と続く、自然現象を基にした大きな災害が多発した年として記憶されることになるに違いありません。しかしそうではなく、2018年は自然現象の被害の中でいかに人為的原因による被害、「人災」が大きかったことを象徴する年であったことを肝に銘じたいものです。

  6月の大阪府北部地震ではブロック塀倒壊で小学生を含めて犠牲者がでた。地震によるブロック塀倒壊の危険性は周知の事実で1978年仙台沖地震の被害者の半分以上がブロック塀倒壊の犠牲者でした。7月の西日本豪雨による犠牲者126人、そのうち岡山県倉敷市真備町の浸水被害犠牲者が61人で全犠牲者の半数が真備町に集中しているのです。この地域は洪水の常襲地帯で1972年には大被害を出しており、改修計画が作られたにも拘らず、地域住民の願いとは無関係に倉敷市、近隣自治体、岡山県、そして国の思惑の中で無駄な時間を費やしてやっと計画が着工したのが2017年。そして昨年の被害となったのです。北海道胆振東部地震による北海道全域の停電も「想定外」と言いながらも「想定内」のものでした。

  私達は余りにも簡単に「自然災害=天災」と言う言葉で、全ての責任を「天災」の名前の下で葬り去ってきた長い歴史があります。「福島原発事故」も「天災」だから仕方がない、そしてあの戦争さえも「天災」としてきたのではないでしょうか。今、目の前に起きた被害の現実とその責任への怒りを、けして水に流してはいけないのです。「自然災害」という言葉でごまかしてはならないのです。ごまかした瞬間に、被災者のことは消えていくのです。忘れ去られていくのです。

  2011311日の東日本大震災から8年になります。私には地震と津波という自然現象ではなく、その後の時間の中で生み出されている現実への怒りが強くあります。その怒りを絶対に忘れないためにも、これからも続くであろう被災者の皆さんの苦しみ。その喜びや悲しみと共に生きていきたいと思います。宮北会はそうした活動を今年も続けたいと思います。本年も宜しくお願いします。

 昨年12月初めに、改めて岩手県宮古市田老地区の現場を訪ねた、もう何度訪問したかもわからない。しかし、地域全滅の津波被災を拡大したのは、まぎれもなく「万里の長城と云われた巨大堤防」でした。最後に作ったもっとも新しく「安全」な堤防が作られたことで、それまで人が住まなかったところが開発されて地域最大の繁華街になっていた。誰もが「安全」だと思ったのでしょう。でもそれがひとたまりもなかった。今でもそこに残る津波被害遺構となった「たろう観光ホテル」を見ながら、三陸海岸全域に張り巡らされた高さ10mを超える巨大防潮堤の「万里の長城」から考えるのは同じことがまた繰り返されるのではないかという不安だけしかないのです。

 多くの方が犠牲となり、今でもその被害のために苦しい生活を余儀なくされている方々もおられます。どんな思いで新年を迎えるかと思うと、心が痛みます。せめて、穏やかな正月を迎えられることを願わずにはおれません。

宮北会代表  江藤 善章

 



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