EuroCity111 Praha
←14:Planetarium プラハは幾千幾万の星と共にからの続き
後ろ髪を引かれる思いで、旧市街からプラハ中央駅に戻って来ました。
時刻はお昼前、11:29にプラハ中央駅を発車するEC(ユーロシティ:ヨーロッパ国際急行)111列車、
その名も「Praha(プラハ)」号に乗って出発です。
この列車の終点、ワルシャワまで乗車します。
チェコ鉄道所有の客車で編成された「プラハ」号が、プラハ中央駅の大ドームに覆われたプラットホームに入線して来ました。
機関車の次位が僕の乗る1等車、その次には嬉しいことに食堂車も連結されています。
その後方に何輌かの2等車が連なるという、割りとシンプルな編成のようです。
「プラハ」号の先頭に立つ機関車の顔を見に行きました。
チェコ鉄道の電気機関車が連結されていますが、昨日ここまで乗ってきた「ハンガリア」号の機関車より近代的なデザインです。
なかなかスマートな流線型で、いかにも速く走りそうですね!
そしてこれが「プラハ」号の1等車の車内。
相部屋コンパートメントではなく、日本のJRの新幹線や特急と同じ開放型のオープンサロンです。
JR九州の在来線特急のグリーン車と同じく横3列の座席ですが、
日本のJR在来線より幅の広いヨーロッパ標準軌の線路に載っている車輌なので車体の寸法も広く、実にゆったりとしています。
通路も車椅子でも楽に通り抜けられそうですね。
「プラハ」号は定刻になると静かにプラハ中央駅を発車。暫く車窓左手には、プラハの街並みが見えています。
プラハとの別れを惜しんでいると、航空会社のCA風のお洒落な制服を着こなした女性車掌が颯爽と巡回してきて車内検札。
今日は乗車前にヨーロピアンイーストパスにしっかり日付を入れてあります。「ハンガリア」号と同じ失敗は繰り返しません(笑)
「プラハ」号ではウェルカムドリンクも振舞われました。
恐らく本場のチェコビールも提供されたのでしょうが、今日も断酒の誓いを厳守して紅茶を頂きます。
パック詰めではなく、生のレモン果実をカットしたものが添えられていたのが嬉しいですね。
お昼の紅茶を楽しんでいると、車窓にはボヘミアの田園風景が広がっていました。
やがてポーランドとの国境が近づいてくると、辺りは雪景色に…
「プラハ」号はプラハからワルシャワまでを約8時間で走破します。
チェコとポーランドの首都どうしを結ぶ国際列車ですが首都間直結の高速速達ビジネス特急という訳ではなく、
途中経由する地方都市にも停まり地方間の輸送も担う地域密着型のダイヤ設定のようです。
のどかな田園地帯を車窓に眺めて走る「プラハ」号、1等車の車内も空いていて、静かでのんびりとした昼下がりです。
ゆったりとした1等車の座席でくつろぎながら景色を楽しんだり、読書をしたり、ポータブルオーディオで音楽を聴いたり
(この列車の車内で聴くのはやっぱりスメタナの交響詩「わが祖国」第2曲“モルダウ”でしょう!ベタですが、実に心に染み入ってきます)、
リラックスして過ごします。
お腹が空いたら、隣の食堂車に出かけて遅い午後の食事も楽しめます。
忙しない世間とは暫く離れて、何もせずにのんびりとした車内の時間を過ごす。
実に素晴らしい、これぞ鉄道旅行の醍醐味です。
乗客は暢気に何もしないことを愉しんでいますが、列車を牽引する機関車は一生懸命走り続けています。
チェコは歴史ある工業国ですが、チェコの国産電気機関車もシーメンス社等の西ヨーロッパの大手メーカー製のものに負けない、
優秀な性能を持つ出来の良い機関車のようです。
時には時速200キロ近くもの速度を出して、国際列車「プラハ」号を力強くエスコートします。
列車は快調に走り続け、チェコを東西に横断してモラヴィア地方に入りました。
そしてプラハから3時間あまりで国境の駅Bohumínに到着。
ここでチェコ鉄道の機関車は切り離され、代わってポーランド国鉄の機関車が先頭に立ちます。
機関車交換で30分程停車してから、「プラハ」号は陽が傾きかけたBohumín駅をポーランドへと向かって発車します。
ポーランド国内へと入ると、間もなく日が沈み車窓は夜の闇の中に。
これが2012年最後に見る太陽の光です。
色々なことがあった今年も、中欧の大地の地平線の彼方に消えて行きます。
…そう言えば、去年の大晦日にも僕はポーランドにいて、EC179列車「Alois Negrelli」号というプラハ行きの列車に乗っていたんだっけ。
(→遙かなり、ペーネミュンデ 2011-2012東ドイツ・ポーランド紀行 6、プラハ行き国際列車)
そして、初めてプラハを訪れたのも何年か前の確か大晦日の日だった。
ひょっとしたら僕には、知らず知らずに年の変わり目には中欧あたりに行きたくなる妙な性癖?があるのかも。
「プラハ」号は夜のポーランドを駆け抜け、途中でやや遅れましたが無事にワルシャワ中央駅に到着しました。
「プラハ」号はワルシャワ中央駅からさらに走り続け、少し離れたワルシャワ東駅が終着駅となります。
折角なので終着駅まで付き合いたい気もしますが、もう夜の20時を回っているし、今夜の旅はこれまでとして列車を降ります。
ワルシャワ中央駅の近くのホテルにチェックインして、大晦日の夜を過ごすことにしましょう。
…でもその前に、ちょっとだけ「プラハ」号の旅を振り返りましょう。
この列車には素敵な食堂車が連結されていて、先程そこで風情のある車上の昼食を食べてきたのです。
→16:restauracni vuz プラハ号の食堂車に続く
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