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京都で、お帰りなさい!『講演会 小惑星探査機「はやぶさ」―7年の旅を終えて』

2010-06-21 | 宇宙
はやぶさの地球帰還から1週間。
日本中がちょっとした「はやぶさブーム」に沸き立つような状況の中、京都で“お帰りなさい講演会”が開催されました。

今回の講演会では、元はやぶさプロジェクトサイエンティスト藤原顕先生が登場され、はやぶさの旅について語って下さるとのこと。
これは聴きのがせない、貴重なお話を伺うチャンス!という訳で内之浦での帰還出迎えの翌週は、京都に行ってきました。

平成22年6月19日

場所は、京都市青少年科学センター
昨年9月、はやぶさ地球帰還プレイベントが開催された思い出の場所です。




講演会は午後2時からですが、1時間前に会場に到着すると既に受付待ちの行列が出来ています。
やはり衝撃的な地球帰還直後ということもあって、はやぶさへの注目度が高くなっているようですね。
ちなみに今回は参加申し込みが早々に定員に達してしまったようで、満員御礼。キャンセル待ちの方まで出るという異例の盛況ぶり。
「この熱気が持続されて、はやぶさプロジェクト以外の宇宙科学にも向けば凄いことになるんだがなぁ…」等と考えつつ会場へ入ります。
※但し残念なことに、今回は会場内の撮影は報道関係者以外一切禁止となっていました。

会場内で、猫と惑星系bbsawaさんに声を掛けられます。
bbsawaさんとはネット上では長いお付き合いですが実際にお会いするのは初めてなのですが、「はやぶさTシャツを着ていたのですぐ分かった」とのこと(笑)
その後、活字の海で、アップップMOLTAさん御一家とも合流。MOLTAさんとは先週の内之浦出迎えから、1週間ぶりの再会です。
さながらオフ会のような和気藹々の気分で、講演開始です。

藤原先生の研究室に所属されていた小野瀬直美さんの手によるおかえりなさいHAYABUSAイラストの掲げられた会場、
登場された藤原先生は先ずオーストラリア・ウーメラ砂漠のハイウェイの写真を出されて「水曜日までオーストラリアにいました」。
6月13日のはやぶさ帰還は、現地ウーメラで見届けられたとのこと。
「(はやぶさの)開発から運用、そして最期まで見届けました」
北西から流れる、「彼」の最期の輝きである流れ星を見届けられたそうです。

それから、小惑星についての基礎的な説明。
エロス・ガスプラ・マチルダ・イダなどの小惑星の写真を見ながら
「(小惑星は)丸くない」
「太陽系の化石である」ということ。
「はやぶさのターゲット天体であるイトカワはハワイ大の2.2m望遠鏡で地上観測された」

続いて「はやぶさとは?」の基礎的説明。
工学実証機である!」ということ。
(天燈茶房亭主注釈:イトカワのサンプルを採りに行くのが目的の小惑星探査機に非ず!ということですね。
ここはサンプル採取の可否とミッション自体の成功を絡めてかなり誤解を招く点なのでしっかり説明されていたと思います。)


1994~95年度の予算成立から2003年の打ち上げまでの流れ、
機体の構造説明、
イオンエンジンの原理、
飛行軌道、等の説明に続いて、
イトカワと京都駅ビルとの大きさ比較。
(天燈茶房亭主注釈:吉川先生や阪本先生がGoogle Map上にイトカワを転がして説明されることが多いのに対して、写真同士の比較でした。)

イトカワの「地名」については
「(観測成功お祝いの打ち上げで?)関係者が酔っ払って付けた」とユーモラスに説明。

次いで、イトカワの地表について。
「イトカワの地表の石は、地球上では絶対に見られないものである」
「実験室内で、秒速4~5キロで打ちつけて壊すとああいう岩になる」とのこと。
(さすがサイエンスが御専門の藤原先生、この分野の説明は詳しくて面白く、興味深い!)

「イトカワの内部の密度は1.9(水が1.0)で、スカスカである」
(この説明には、はやぶさファンにはお馴染みのあの「斬鉄剣シーン(命名:吉川先生)」の映像が欲しかったですね(笑))

はやぶさ帰還については、
ウーメラ砂漠の場所・地形説明と、
「パラシュートは丸いものではなく、十字傘」ということは今回初めて聴いたと思う。
また「サンプルへの悪影響が出るので、熱くなった熱シールドを脱ぎ捨てて着陸する」とのこと。

「今後について」。
「はやぶさ2をC型の小惑星へ送る」
「内部の有機物をしらべる」

最後に
若い皆さんに
チャレンジしよう!
あきらめないで!

という力強いメッセージとともに、約1時間の藤原顕先生のお話でした!

その後、お待ちかねの質疑応答。
早速挙手したら、いきなり最初に当てられてしまった。
天燈茶房亭主mitsuto1976の質問:
「先ずは、はやぶさ帰還おめでとうございます。
さて、本日の盛況な会場内を見ても判りますが、はやぶさが見事に帰還を果たしたことで我々国民の宇宙科学に対する関心・興味が高まり、まさに燃え上がろうとする勢いとなっていると思います。
この関心・興味の炎を絶やすことなく、次の世代へと受け継いでいくにはどうすればよいか。
藤原先生としてはどうお考えになられますでしょうか?」

(※この質問は、Twitter宇宙クラスタのgalileo_falconさんからの意見を基にしました。galileoさん、協力ありがとうございました。)

藤原先生の御回答:
「国民に広くわかりやすくお知らせすることが大事だと思う。
研究者も、そのことを一生懸命にやらないといけない。」

成程、そうですね!
僕も微力ながら、この天燈茶房を通じてそのことのお手伝いが出来ればと思います。
藤原先生、ありがとうございました!!

それ以外に、会場から出た質疑応答として
「Q:何故、オーストラリアに帰還したのですか?
北半球から打ち上げた宇宙機は南半球にしか帰還出来ないと聞いたのですが、それと関係があるのですか?」

「A:北半球から打ち上げたら南半球にしか帰還出来ないということは無い。
当初想定していたターゲットの小惑星だと、アメリカのユタ州に帰還することになっていた。
今回はイトカワの軌道の関係で、南半球にしか降りられなかったのでオーストラリアに帰還した。」


「Q:何故、通信なしの完全自律制御にしなかったのですか?」
「A:これは難しい。途中で探査機の足が痛くなったりして、なかなか上手くいかなくて…」(会場爆笑)

他に「現地に行って分かったこと、カメラによる地形の情報などは大きな成果」などが興味深かったです。

最後に、NASAの撮影した「はやぶさの流れ星」動画を全員で鑑賞して、
『講演会 小惑星探査機「はやぶさ」―7年の旅を終えて』は無事終了。

その後、藤原先生のもとに挨拶に伺って、さっき聞けなかったことを伺ってみました。
「先生、はやぶさの最期の流れ星を御覧になった訳ですが、その時どんなことを感じられましたか?」
「そうですね…無心、です」
…先生、ありがとうございました!

藤原先生には御無理を言って、なんとサインまで頂いてしまいました。
藤原先生、本当にありがとうございました!

bbsawaさん、MOLTAさん御一家もお疲れ様でした。また宇宙科学関連のイベントでご一緒しましょう。
それから、僕のTwitterでのつぶやきを見て会場に駆けつけてくれたというtohka383さん、声をかけてくれてありがとうございました。
楽しい京都での講演会でした。

天燈茶房京都支部(京都府下在住の妹夫婦宅)に帰ってTwitterのTLをチェックすると、
はやぶさの弟の宇宙帆船イカロス君から妹のDCAM1ちゃん(分離カメラ)が無事に分離して撮影を行っていました。
彼の、はやぶさの意志は、しっかりと次世代へと伝えられている。そして彼らは自由に(ちょっと悪ノリですらあるw)会話さえしている…
Twitterでの宇宙兄弟の微笑ましくて少しせつないやりとりに胸が熱くなる、そんな、彼の帰還後最初の週末でした。


4 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
広く分かりやすく (bbsawa)
2010-06-22 10:10:57
おはようございます。
遅番なので、家から書き込んでおります。
講演会で一般の人の疑問点の傾向が分かってきたので、自分の疑問点も含めて想定問答集を作成中です。
ブログなので、広くは無理でも分かりやすくには接近可能かと。
我ブログは、ついて来れる人だけついて来れれば良い作りなので、必要な時は軌道修正します。
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我々ファンも、自分達に出来ることで協力を (天燈茶房亭主mitsuto1976)
2010-06-22 23:49:03
bbsawaさん、おばんです

>自分の疑問点も含めて想定問答集を作成中です
おお!面白そうですね。

自分に出来る範囲で、みんなに「宇宙の楽しさ」を伝える“入り口”になれれば…と思っています。
返信する
貴重なミッション (iina)
2010-07-12 11:06:52
タイムリーな講演会を聴講できたとは、貴重な体験でしたね。

種子島で打ち上げたロケットがことごとく失敗していたのに、何時の間に
こんな奇跡とまで呼ばれるミッションを成功させたことの方が驚きでした。
今回の目的と対象とした小惑星の性質を知るにつれ日本のプロジェクトの
したたかさに胸を打たれます。
真に、感動をありがとうという気持ちです。
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iinaさん、こんばんは (天燈茶房亭主mitsuto1976)
2010-07-12 22:17:00
>種子島で打ち上げたロケットがことごとく失敗していたのに、何時の間に

いやいや、種子島のNASDAもことごとくとまでは失敗してませんよ流石にw
宇宙研もM-Vの4号機で一度打ち上げ失敗した後の仕切り直し打ちでしたから、きっと「はやぶさ」の5号機の打ち上げは想像を絶する緊張だったでしょうね。
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