天燈茶房 TENDANCAFE

さあ、皆さん どうぞこちらへ!いろんなタバコが取り揃えてあります。
どれからなりとおためしください

2013初夏・北欧バルト海紀行 #008:MEGASTAR in AHHAA -世界初!360度全天球プラネタリウム-

2013-05-19 | 博物館・美術館に行く

#007:Science Centre AHHAA -タルトゥ科学館「AHHAA」-からの続き

Science Centre AHHAA(タルトゥ科学館「アハー」)の建物を外から見ると、
ひときわ目を引くのが屋上に載った銀色の巨大な球体。

これこそ、世界初の360度全天球プラネタリウム の球体ドームです!

このドーム内には、日本のプラネタリウムクリエーター大平貴之氏の手掛けたスーパープラネタリウム「MEGASTAR」が据え付けられており、直径9.3mのボール状の球体内部全周に渡り実に数百万個もの星々を映し出します。
従来の常識を超えたスペックを持つ世界最強のプラネタリウム投影機が、これまた世界初の試みである球体ドームと融合して、プラネタリウムの常識を打ち砕く全く新しい姿に進化したのです!!

一切の常識にとらわれず何も恐れず、ただひたすら最先端を突き進む日本のプラネタリウム職人たちの熱い魂と、
新しい歴史を歩み始めた若い祖国の明日の為にも、誰もが科学する心の素晴らしさを感じて欲しいと願ったエストニアの人々の情熱が出会い、奇跡の融合を果たして生まれた、まだ誰も見たことのない未来の人工宇宙空間…

それがタルトゥ科学館「AHHAA」の360度全天球プラネタリウムです。

さぁ、投影開始時刻の午後4時5分前です。
誰も見たことがない人工の宇宙を観に行きましょう!



全天球プラネタリウムはAHHAAの最上階、4階にあります。
専用エレベーターで4階まで昇ると、そこにはまだ見ぬ宇宙空間へと続く白い通路と入口のドアが…

ドアの前で待つこと暫し。
午後4時きっかりにAHHAAのプラネタリアン氏が現れ、ドーム内の球体の宇宙空間へと招き入れてくれました。

これが、エストニア共和国タルトゥに出現した直径9.3mの人工宇宙、世界初の360度全天球プラネタリウムの内部です!!

ドームの中に一歩足を踏み入れた瞬間、「あっ!僕、浮いてる!!」 と感じました。
直径9.3mの球状空間の中に円周部から張り出すように透明な強化ガラスのフロアがあり、足下が透けて見えるのでまるで自分が球体の中に浮遊しているような感覚になるのです。


そしてマジョーラカラーの金色に輝くこれが、球体の中心に鎮座する全天球プラネタリウムの中枢。
大平技研(Ohira Tech Ltd)製の世界最高性能のプラネタリウム投影機、500万個の星空を映し出すスーパープラネタリウム
MEGASTAR-IIB(メガスター・ツー・ビー)AHHAA Science Centerカスタマイズ仕様

AHHAA全天球プラネタリウムではさらに、このMEGASTAR-IIBの下部に
220万個の星を映し出す能力を持つMEGASTAR-ZERO(メガスター・ゼロ)も設置されており、
2つのMEGASTARの合わせ技で球状プラネタリウムのドーム全球に星空を映し出します!

それに加えて、デジタル全天周映像を投影するUNIVIEW(ユニビュー)も備えられており、
高精細なデジタル映像を球体の全方位に映し出すことも出来るという究極のシステムが構築されているのです!


観客たちが席につくと、プラネタリアン氏がMEGASTARの前に立ち全天球プラネタリウムの解説をしてくれます。
球体ドーム内のフロアにはゆったりとした安楽椅子のような座席が14席だけ設置されており、スペースにとても余裕があるので、まるで私設の天文台の応接室に通されたような気分でリラックスしてプラネタリウムを楽しむことができます。
(それにしても、定員が僅か14名ではすぐに満席になってしまう訳ですよね。
必ず観たい場合は事前の予約を勧める記述がAHHAAの公式サイトにもありましたが、納得。)


挨拶して観客の顔を見渡したプラネタリアン氏、僕の顔を見ると
「今日はMEGASTARを観に外国のお客さんが来ているので、解説はエストニア語ではなく英語でやりましょうか… 
他のお客さん、よろしいですか?」
と断りを入れてくれました。なんて親切な心遣い!
プラネタリアンさん、他の観客の皆さん、僕への思いやりに感謝です!!

そして始まった、360度全天球プラネタリウムの世界。
いきなり、14席の座席はエストニア共和国上空の地球周回軌道上に投入されます。
UNIVIEW(ユニビュー)がISS(国際宇宙ステーション)からの実写映像と見紛うばかりの超高精細画像で高度450キロから見下ろす地球を映し出したのです。
観客からも思わずどよめきと歓声が入り混じった声があがります。
そして直径9.3mのドームは無限の奥行きを持つ宇宙空間へと変貌し、AHHAAは地球を離れ宇宙の大規模構造を巡る旅へと出るのです…

上映プログラム後半、いよいよ2つのMEGASTARに光が入り、数百万個の星空の全球投影が始まります。
軽いモーター音と共に動き始めたMEGASTARから、人の目の限界を軽く超える程の凄まじい星々の洪水が溢れだし、視界が全て、星空となっていくのです…!!
「ああ、身体が星空に包まれていく…これが全天球プラネタリウムか!!」

気が付くと、僕の身体にも無数の星々が映し出されています。MEGASTARから放たれた星の光は全球ドーム内面のみならず、観客の身体までも星空へと同化させてしまうのです。
全天球プラネタリウムの観客は、自らも星空の一部となり、星々の光に包まれるひと時を過ごすのです…


午後6時。
二度目のプラネタリウム入室で、僕の顔を見たプラネタリアン氏は一瞬「おや?」という顔をしましたが、
僕が「やぁ、こんにちは…全天球プラネタリウムがあまりに素晴らしいんで、また観せて下さいね。ああ、もちろん今度は解説はEesti(エストニア語)でいいですよ」と挨拶すると笑顔で再びドーム内に迎え入れてくれました。
そしてMEGASTARが映し出す、おうし座のM45プレアデス星団を「日本では“すばる”と呼ばれる星々です」 と僕のために解説してくれたのです。

二度目の上映後、プラネタリアン氏に感謝を伝えに行くと、
「このMEGASTARプラネタリウムは我々の誇りです。日本から観に来てくれてありがとう!」
と投影コンソールを見せて下さいました。

2つのMEGASTARとUNIVIEWを操作するのに、随分シンプルなシステム構成ですね。
こんな小さな机から、あの大宇宙を操作していたなんて驚きです。


「今日は本当に感動しました。ありがとう!また全天球プラネタリウムを観に来たいです。さようなら!」

エストニア共和国タルトゥに生まれた、奇跡の宇宙。
タルトゥ科学館「AHHAA」の360度全天球プラネタリウムで、僕もまた星空の一部になりました!!

そして、こんな素晴らしい宇宙を生み出したエストニアという国の文化と人々が、僕は好きになったのです。

#009:エストニア・タルトゥ街歩き 街外れの鉄道駅を見に行こうに続く


コメントを投稿