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JAXA内之浦宇宙空間観測所 特別公開2009!後編

2009-11-05 | 宇宙
写真:雨上がりの陽射しに輝くMロケット発射装置のランチャ

JAXA内之浦宇宙空間観測所 特別公開2009!前編からの続きです

大雨が降り続いているので内之浦宇宙空間観測所の各施設を見て回るのは断念し、腰を据えて特別公開一番のおすすめイベント、ミニ宇宙教室を受講。
「ミニ」などと称していますが、これは謙遜。実際はミニどころかJAXAの第一線の専門家が4人も登場、6回に渡ってここでしか聞けない充実した授業が行われるのです。

本日登壇される先生方は、
御存知宇宙研のイケメン天文学者こと阪本成一先生
次期固体ロケット「イプシロン」チームから福添森康先生
宇宙輸送ミッション本部の狭田晃司先生小谷勲先生という錚々たる顔ぶれ。
子供から大人まで楽しめる、そしてまさに宇宙ファンなら絶対受けたい授業、これは参加しないと大損!

先ずは第1回目の授業、
阪本先生の「ガリレオが見た宇宙、最新の望遠鏡や探査機が見た宇宙その1」

(阪本先生から直接許可を頂いて写真を掲載しています)



先ずは今年2009年が世界天文年であること、
ガリレオが望遠鏡で宇宙を見てから400年、アポロの有人月着陸から40年であり、日本の宇宙実験棟「きぼう」が完成した年でもあることの紹介。
ガリレオが作って使っていた望遠鏡は、とにかく視野が狭くて「5円玉の穴から見るより狭い範囲しか見えなかった」。
月を見ても、視野が狭すぎて月の全体像も見えない。そんな望遠鏡を使って、丹念に月面をスケッチしたガリレオ。そこにはクレーターがあった!
「教会が言うように、月はツルツルした完全な球体ではない!」という発見。

ガリレオは望遠鏡で木星も見た。そこには4つの小さな「衛星」があった!
ガリレオは望遠鏡で金星も見た。金星は満ち欠けしていて、見た目の大きさも変化した。
ガリレオは望遠鏡で太陽も見た。何と、彼は望遠鏡で直に太陽を覗き込んだのだ!おかげで目を傷めたが、黒点を発見した。「太陽には染みがあった。太陽もまた、完璧な世界ではなかった!」
ガリレオは望遠鏡で天の川も見た…

有名なガリレオの望遠鏡に関する話も、自身がガリレオのあとを引き継ぐ仕事をしておられるプロの天文学者である阪本先生から聞くと感慨深い。

そして望遠鏡の進化の話へ。
阪本先生が数年前まで赴任しておられた南半球はチリの満天の星空の写真を見せながら、
「これだけ星が多いと、勝手に星座も作れます。サカモト座も作れるよ」会場からは子供たちの笑い声。
そして「この星を、全部数えた人がいます!ハーシェルです」子供も大人も皆“ええーーー!?”とどよめきの声。
ここでハーシェルの考えた銀河の紹介。ハーシェルは星の見える数で銀河系の形を考えた。しかし夜空には星の見えない、暗い部分がある。
おかげでハーシェルの銀河系は、凹凸のあるいびつな形になってしまった。

「ところで、古代インカ人は夜空に星が多過ぎるので、星座を作るのを諦めました。その代わり、夜空の暗いところを星座にしたのです。まさに逆転の発想―糸川先生と同じですねぇ」
この宇宙の暗いところを、ハーシェルは「宇宙が曇っている」と考えた。
しかし今、宇宙にある望遠鏡である赤外線天文衛星「あかり」でこの暗いところを見ると、そこでは多くの星たちが生まれている…

続いて第2回目の授業は、
福添先生の「内之浦から宇宙へ行く」

(福添先生から直接許可を頂いて写真を掲載しています)

「いつもは(次期固体ロケットのプロジェクトマネージャである)森田泰弘リーダーが話すんだけど…」と前置きしてから、
ペンシルロケットに始まる宇宙研の固体燃料ロケットの歴史のおさらい。
日本初の人工衛星「おおすみ」打ち上げの際の無誘導ロケットの説明など。

「今、皆さんがいる場所(実験調整会議室)は、内之浦でロケットを打ち上げる時には毎日、朝礼と夕礼をやる場所なんですよ」
M-Vロケットは少々値が張って1発80億円、観測ロケットは1発2億円くらい(「今、スタッフに確認したら2億円くらいで間違いないそうです」とのこと)。

それから、「今、4年後に飛ばすことを目処に新しいロケットをつくっています」
次期固体ロケット「イプシロン」は2012年度中の打ち上げを目指して現在開発移行中。
福添先生、僕と同世代だし気さくで「高校の科学部の先輩」みたいな人でした。僕がバッグにつけている「はやぶさヘッドマークストラップ」にもしっかり反応して頂けたし。
(ちなみにこの回の授業から、去年の特別公開で知り合ったあゆさんと、北軽井沢観測所の管理人さんと合流。)

第3回目の授業は狭田先生の
「日本最大のロケットが宇宙に行くまで」

(狭田先生から直接許可を頂いて写真を掲載しています)

9月11日にHTV技術実証機を載せて打ち上げられたH-IIBロケット試験機の打ち上げ映像を見ながら、H-IIBとH-IIAの違うところ当てクイズ。
それから、具体的なH-IIBロケットの打ち上げ手順や種子島宇宙センターの紹介。
ロケットファン、H-IIBファンには堪らんお話でした。

ここで再び阪本先生登場。
第4回目の授業、「ガリレオが見た宇宙、最新の望遠鏡や探査機が見た宇宙その2」

先ずは先程の「その1」の内容をおさらいしてから、今年の「世界天文年」は本来、日本語に直訳すると「国際天文年」となるが、それでは「2国間の関係」というような意味となり参加国が限られると受け止められてしまうので敢えて「世界天文年」としたことの紹介。
「ガリレオが偉大なのは、現代の天文学者と全く同じことをやったということ。自分で望遠鏡も作ったし、正確なスケッチもした」
「天文学の最先端を国民の皆さんに伝えるということは、かつてガリレオがやっていたこと」

続いて、「月」のお話。
ちょっと怖い(?)月の模様の話。御馴染の「うさぎの餅つき」以外にも、月にはもう1つの模様がある、それは…
「夜遅くに帰る人は、満月の中に…見えるんですよ、顔が!ほら、女の人の横顔、怖いですよー!」
言われてみると確かに、満月の真ん中に不気味な女性の横顔らしき模様が!見えるような(笑)
「月はいつもこっちをずーっと見てるから、気持ちが悪い!」って、月はストーカー?
真夜中の満月はとても怖いよー!

月の公転周期と自転周期は27.32で、見事に一致している。これは、月と地球だけの関係なのかと思い、他の惑星と衛星についても調べてみると…
「なーんだ!みんな一致しているんです」
衛星は、常にこっちを向いている「下側」しか見えない。
そして地球から見えない月の「表側」は凸凹で荒れ放題。
「地球から見えない方はこんなに荒れてるんですよ。裏側は地表が厚くて、溶岩が染み出さなかったんですね。大体、人間でも裏表がある奴は大抵ロクな奴じゃないけど、月も裏表があってホントにいい加減な星です!」
ここで会場、大笑い。

月に行った探査機「かぐや」、
「“おきな”と“おうな”という子衛星を連れて行って、月の裏側に入った『かぐや』のデータを中継しました。現代のかぐや姫は、おじいさんとおばあさんを月に引き連れて行っちゃうんです。」
「“おきな”と“おうな”は『うちの娘は月の裏であんなことして遊んでる』って地球にチクッてます」
阪本先生、月探査に関してはジョークがどんどん飛び出します。

それから、「セレーネ2」構想や金星探査機「あかつき」、そして「はやぶさ」まで現在進行中の宇宙探査を一通り紹介。
「全ては地球の理解のために」
「宇宙(そと)に出てはじめてわかる地球(うち)」
ということをしっかり伝えて、阪本先生の宇宙教室は終了。

ここで少し休憩。
ようやく雨も上がったようで、M組立棟から外に出るとMロケット発射装置の駆動実演が始まっていました。



続いて、構内巡回バスに乗ってテレメータセンターへ。

残念ながら内部は公開されていませんが、34mパラボラアンテナをフェンス越しに見上げます。

コントロールセンターの内部を見学して(残念ながら今年から写真撮影禁止になっていました)、ミニ宇宙教室に戻って福添先生の2回目の授業。

そして本日最後のミニ宇宙教室、小谷先生の「宇宙って知ってますか?」

(宇宙服の中の小谷先生から直接許可を頂いて写真を掲載しています)

アストロノーツ姿での授業です。
宇宙についての基礎知識を中心とした内容で、この授業を最初の回に持ってきた方が良かったかも。
宇宙開発とは
「探究心のため」そして「社会のため」という言葉で、今年の内之浦宇宙空間観測所特別公開ミニ宇宙教室はすべて終了!
6回分、5時間近くに渡る、充実した授業。聴講生も子供から大人まで、実験調整会議室が全時間ほぼ満席になる盛況ぶりでした!

外に出てみると、やっと青空が出て陽も差してきました。
Mロケット発射装置前ではモデルロケットの打ち上げも行われていたようです。
ここで、「内之浦で会いましょう」コミュのメンバーの皆さんと合流。

もう今日の特別公開も終了間近。
Mロケット発射装置が閉められます。





「ああ~閉まっていく…」

あれ?こんな人もMロケット発射装置を見上げてる。



う~ん、シュールな光景だなぁ(笑)
ちなみにこのアストロノーツ、気さくに記念写真の撮影や握手にも応じてくれていました。
フレンドリーな宇宙飛行士です。

これにてJAXA内之浦宇宙空間観測所 特別公開2009、無事終了!
お疲れ様でした。


山の上の宇宙空間観測所から、ふもとの内之浦へと降りていきます。
その途中…


先程、フェンス越しに見上げた34mパラボラアンテナが尾根の向うに見えています。

これから年末にかけて「臼田さん」が改修工事に入る為、かわりにこの内之浦34mパラボラが地球帰還間近の「はやぶさ」との通信運用を受け持つらしいのですが、無事な地球帰還の為に大事な時期の運用をしっかりとこなして欲しいところ。
期待していますよ、「はやぶさ」のふるさと内之浦のパラボラさん!

そのまま鹿屋市内のファミレスに移動して、
あゆさん、ホームページ「ようこそ北軽井沢観測所へ」管理人さん、「内之浦で会いましょう」コミュのメンバーの皆さんと打ち上げ。
それにしてもクルマなのでお酒が飲めないのが残念です。お酒に強い阪本先生は今頃、内之浦スタッフの皆さんと盛大に酌み交わしておられるんだろうなぁ。

その阪本先生に今年も特別にお願い(おねだり?)して、頂いたのがこれ!

宇宙研・阪本成一教授のサイン入り次期固体ロケット「イプシロン」ノート!
宇宙教室の放課後(?)に書いて頂きました。
阪本先生、毎年毎年サインして頂いて本当にありがとうございます!


他にも、特別公開の会場のあちこちのブースやミニ宇宙教室でのクイズの賞品で、こんなにたくさんお土産を頂きましたよ。
本当に太っ腹!

という訳で、天候に恵まれなかった今年も思いっきり楽しめました。
来年は「はやぶさ帰還まつり」になっているといいなぁ~。また行くぞ!

(レポート終り)


2 コメント

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Good Job (bbsawa)
2009-11-06 20:23:48
こんばんは
遠いので無理ですが、毎回、興味深い内容ですね。
>宇宙服の中の小谷先生から直接許可を頂いて写真を掲載しています
が、写真と合わせて1番おもしろい。
返信する
JAXAの中の人も大変だ (天燈茶房亭主mitsuto1976)
2009-11-06 21:52:36
おばんです
内之浦レポート2009、お楽しみ頂けた様で嬉しいです。
内容的には基本中の基本、基礎の基礎という話なのですが、第一線の天文学者や“ロケット屋さん”たちから直接聞く話は興味深くエキサイティングです。

小谷先生には、ホントにヘルメット越しに顔を覗き込んで「あの~ネット公開OKですか?」と聞いてます(笑)
快くOKして下さいましたよ。
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