天燈茶房 TENDANCAFE

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シンポジウム「宇宙の謎に挑む 日本の貢献」に参加しました

2009-11-13 | 宇宙
山口県下関市でのJAXAタウンミーティングに参加した翌日、今度は福岡市でのシンポジウムに参加しました。

平成21年11月8日(日)、潜伏していた小倉のネットカフェを早朝にチェックアウトして、
JRの特急「ハイパーサルーン」きらめき3号で博多に移動。

運転席がオープンで客席から前面展望が出来る。
でも、これは最後尾の自由席から後方を見てるんだけどね(笑)

博多駅到着後、ぶらぶら歩いて福岡市の繁華街「天神」へ。
シンポジウムが始まるのはお昼からなので、大型書店をハシゴして時間つぶし。
本屋に入り浸るのは久し振りなので楽しい。
午後1時頃、「ソラリアステージ」の西鉄ホールへ。

今日参加するのは、「先端加速器科学技術推進協議会」「先端基礎科学次世代加速器研究会」というちょっと空恐ろしいようなところ(失礼!)が主催して開催される先端加速器科学技術推進シンポジウム
「宇宙の謎に挑む 日本の貢献」です。

「先端加速器」と言っても、文系の僕には全然分からない分野。
ああ、そういえば以前、天燈茶房で「大型放射光施設SPring-8」という施設のゆるキャラ「エイトハカセ」を紹介したことがあったな、そうかあれも「先端加速器」の一つか。そうかそうか。

こんな感じで「先端加速器」の事に関しては全然知識のない僕ですが、今日のシンポジウムは「宇宙の謎に挑む」というキーワードで、さらに「日本の貢献」として、日本の基礎科学研究における取り組みが紹介されるということなので楽しみです。
そして何より、今日は僕たちが応援している小惑星探査機「はやぶさ」の川口淳一郎プロジェクトマネージャが登壇されて
『世界初への挑戦 小惑星探査機「はやぶさ」の旅』と題する講演を行われるとの事。
これは「はやぶさファン」としては聴き逃せません!
(今回のシンポジウムについては「人生ご縁となりゆきで」のすばるさんから情報提供頂きました。すばるさん、ありがとうございます。)

川口先生のみならず本日の登壇者の方々は宇宙科学の第一線で活躍されている先生方ばかり。これは期待大です!

13:30、福岡・佐賀両県知事の挨拶でシンポジウム開演。会場は学生・生徒さんも多く、ほぼ満員。

先ず登壇されたのは、東京大学数物連携宇宙研究機構長の村山斉先生。
『最先端の力で挑む、宇宙の謎』

村山先生、とにかくプレゼンが上手い!資料も話も面白い!
絶妙の語り口で、宇宙の基本的な解説から徐々に専門的な内容に話が高まっていきます。
太陽についての解説、
「太陽は1秒間に50億キログラム軽くなっています」ここからニュートリノへと話は展開。
暗黒物質についての総括的説明。
暗黒物質の象徴として「ダースベイダー」の顔が映し出された時には、場内爆笑!
更には海外での研究生活のこぼれ話として、
「バークレーにはノーベル賞受賞者専用の駐車場があって、24時間無料で駐車できる。以前、その日にノーベル賞を受賞したばかりの某先生が早速この駐車場にクルマを停めてたら違反切符を切られた。何故ならまだ授賞式が済んでいなかったから」
最後に
「宇宙は大きい。我々は探査機や宇宙船でそこへ行き、望遠鏡で観て、そして加速器で宇宙を作る!」
なるほど、加速器とは「ビッグバンの再現、やり直し」をして「宇宙を作ってる」ものなんですね!
宇宙の基本から専門的な内容まで、分かりやすくて楽しいお話でした。

続いて、国立天文台光赤外線研究部の柏川伸成先生。
『すばる望遠鏡が解き明かす宇宙』

古代のエジプトやインドで考えられていた、太陽が旅をしたり動物が天を支える宇宙モデルの紹介の後、
「古代の人々が宇宙を考えたことと、現代の我々の考えは同じもの。分かっていることに少しの想像力を加えて考えている。」
宇宙の大規模構造についての紹介と、すばる望遠鏡の次に造られる30m望遠鏡についての話。
この30m望遠鏡では、系外惑星の異星人探しも行われるということ。

世界天文年の紹介。
「一緒に宇宙を解き明かしましょう」

続いていよいよJAXA「はやぶさ」プロジェクトマネージャの川口淳一郎先生が登壇…となる筈だったのですが、
主催者側から
「川口先生は急な公務のため、本日は来場されません」とのアナウンスが!
ええ~!?そりゃ残念だなぁ!!

(…実はこの時、既に「はやぶさ」はイオンエンジン1基(スラスタD)が中和器の劣化による電圧上昇により自動停止するという事態に陥っていたのだ。川口先生も「はやぶさ」救出のための緊急運用の指揮を執られていたと思われる。だが僕がその事実を知るのは翌日の夜の事となる…)

結局、川口先生の講演に代わってDVD『小惑星探査機「はやぶさ」の挑戦』が上映されました。
僕としては「祈り」の方を上映して欲しかったなぁ~。シンポジウムなのに参加者が全員泣いてしまうという不測の事態になっただろうけど。

続いて最後の登壇者として、高エネルギー加速器研究機構の吉岡正和先生。
『ビッグバンを再現する究極の加速器』

「私は加速器でビッグバン直後の宇宙を造る人です」おお~!カッコいいですねぇ!

日本にはざっと1000台の加速器がある(そんなにあったんだ…)。そのうち基礎物理向けは10台くらい。医療用のものが多く、ガン治療に活用されている。
「加速器は身近な存在」
「『はやぶさ』のイオンエンジンも、実は加速器の一種である」えっ!?そうだったんだ!

映画「天使と悪魔」に登場するCERN(セルン:欧州原子核研究機構)の加速器の紹介。
(僕は「天使と悪魔」観てないので知らなかったけれど、反物質で世界を滅ぼすというストーリーなんですね。)
吉岡先生曰く「バッテリ駆動の瓶なんかに反物質を蓄えるなんて、とても無理!」

…以降、講演後半になると専門用語が頻出して、正直とてもついて行けなかったけれど、宇宙をこの手で造りだすという情熱にあふれたエネルギッシュなお話でした。
最後に
「リニアコライダーを我が国に建設しよう!」と呼びかけられて、講演終了。
ああ~、もうちょっと知識があったら吉岡先生のお話をもっと楽しめたんだろうなぁ~、残念!

ここから多磨六都科学館の高柳雄一館長をモデレーターに迎え、
パネルディスカッション:『宇宙はどこまで解明できるのか』
ここで凄いゲストが登場!

加速器をイメージしたというコスプレに身を包んだ「ライナ」さんです!
…日本の科学はなんだか凄いことになっているんだな。
まぁ僕もロケットや宇宙機にどっぷり感情移入したり、探査機や宇宙関連施設を「はやぶさ君」とか「臼田さん」とか呼んでるクチの1人なんだけど。

以降、ライナさんがマイク係りとして会場内を駆け回りながらの質疑応答となりました。
結構面白い質問も出たので幾つかピックアップ。

Q:先端加速器を使ったニュートリノビームによる兵器としての、戦争利用は考えられないか?
A:(先生方全員が)戦争利用は、我々科学者が断固阻止する!

Q:高校2年生。物理をやって、一体なんになるの?(先生方、思わず苦笑)
A:「森羅万象」を、宗教ではなく科学の言葉で知りたいからやっている。

Q:30m望遠鏡での系外惑星の異星人探しは、どのようなものになるのか(これは僕も気になっていた事です。質問した人、GJ!)
A:系外惑星の大気を分光して、生命の痕跡となる物質が含まれていないか調べる。

総括質疑。
村山先生「科学は人間臭いのが魅力」(「はやぶさ」の魅力と重なるなぁ。結局、そこに行き着くんだよね!)
「わからないから、おもしろい」

先端加速器科学技術推進協議会事務局長さんによる閉会の挨拶。
「今日は残念ながら、川口先生は出席されませんでしたが、帰ったら夜空を見上げて下さい。そこには『はやぶさ』がいます。『はやぶさ』のことを想う時、私は実家の鹿児島から上京するときに乗ったブルートレインを思い出します…ここで集まった皆さん、出会いを大事にしましょう!」
「はやぶさ」のことが出たと思ったら、ブルトレの「はやぶさ」の思い出話まで出てきてビックリ。しかし、僕もそうだけどやっぱり「はやぶさ」を寝台特急の思い出と重ね合わせている人って多いんだなぁ…
なかなかに感動した挨拶でした。

かくして、2日間に渡り宇宙科学に浸った楽しい週末は無事終了!
川口先生の講演が聴けなかったのは残念だけど、いずれまた後日に改めて「『はやぶさ』奇跡の生還までの奮闘秘話」というタイトルでお話を伺えればと思います。


最後に…
はやぶさ、目を覚まして!
川口先生、はやぶさチームの先生方、彼を宜しくお願いします!


天燈茶房亭主mitsuto1976 拝


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