六根清浄、お山は晴天。 登って下って、どっこいしょ。

たまに書く、時々入力、気が向いたら、したためる。駄文満載、阪神裕平ことおやじぃ雅のアウトドア雑記帳。

お肌だったら、良かったんだが

2019-10-24 18:31:08 | Quiet~いぶし銀、渋めの山
震える足で、そろり、そろりと

藪神~戸隠神社~下権現堂山(897m)~上権現堂山(997.2m)~
手又沢〜中子沢~中家〜藪神【新潟県】


 
        

国境の長いトンネルを抜けると、
そこは真夏の雪国だった。

これは、東京がまだ何となく肌寒く、
今年は冷夏かなと思われた頃に出かけた
新潟の山歩きの話である。

“舞台”は権現堂山といい、
越後三山の見晴台的な存在の山。
高さも1000メートルに満たない、
一般には低山と呼ばれる場所だ。

素晴らしい景色をたっぷりと
拝ませていただきますかと、
出かけたまでは良かったのだが、
今回は予期せぬアクシデントに
見舞われてしまった。

あろうことか登山開始直後から、
熱中症となり、足がいうことをきかない。
いわゆる「つった」状態だ。

           


今考えると、
原因はあれもこれもと思い浮かぶ。

寒い東京にいたお陰で暑さに身体が順応していなかった、
寝不足だった、水分補給が足りなかった、
などなど、これらの要因が
柔道なら合わせ技一本とばかりに、
足のけいれんを招いたようだ。

したがって行動は、こんな
感じでと相成った。

ツル、ツル、ツル、足がつる。
スキンヘッドで頭ツルツルは
格好良しかもしれないが、
足ともなると、さあ困っただ。

最初のピークとなる下権現堂山までは
途中の水場で大休止。その後は、
騙し騙し、牛の歩みで一歩、一歩である。

           


ピークには先客がいらっしゃった。
話をするうちに、足の方はかなり
調子が戻ってきたようだ。

では先に進もう。
ピストンで戻る先客の方と別れ、
行動再開、めざすは上権現堂山だ。

ところが歩き出すと、
再び足に異変である。

ツル、ツル、ツル、足がつる。
お肌のツルツル、スベスベ感は
男だってウェルカムだが、
足の場合は、アイム・グッドで
ノー・サンキューのひと言。

ちょっと進む、痛みで立ち止まる、
しばらく待って痛みが消えたら、
また足を出す。

この繰り返しで、計画では
エスケープルートにしてある
分岐まで、とりあえず
行ってみることにする。

どうにか到着したので、
これからどうするか、
ひとり会議だ。

体調は良好、ただし足の具合は除く。
時間はある、天気は晴で日没もまだ先だ。
装備も万端、万が一のビバークも問題なし。

よって出た結論は予定通り、
前へ進めである。

では、いざ上権現堂山の頂へ。
と、歩き出したら、またつった。
これまでは片足づつ、太もも&ふくらはぎ
だったが、今度両足一度に
つってしまった。

ツル、ツル、ツル、足がつる。
麺類を味わう表現の喉越しツルツルは
腹がグウグウとも鳴るが、足がつるのは
グウの音も出ない、お手上げだ。

あと少し歩いても、この状態なら
また今度と、引き返すか。
行けるところまでと、思っていたら
再度おみ足は回復モードである。

     

よって、おっかなびっくり、
右足、左足を前に出して、
恐る恐る進む。そうこうしているうちに
上権現堂山に無事に到着した。

どっかと座り、かなり休む。
足も今のところは大丈夫。
それでは、この小康状態のうちに
下山しますか、そうしましょうと
歩き始めたら、また足がつった。

 

本日の行動は、ここからがハイライト。
素晴らしい景色の中を
下山するのだが、道は急降下である。

      

ツル、ツル、ツル、足がつる。
今から歩くルートは、雪道のツルツル同様、
足がつってもツルツル、スリップには要注意。

不幸中の幸い、怪我の功名か、
足のつったのが良かったわけではないが、
行動はいつも以上に慎重となり、さらに
足の痛さで度々立ち止まるので、
周囲の景色も、いつも以上にたっぷり
見ることができた。

足のつりは、かなり回復してきたが
それでも時折、強制停止を余儀なくされる。

まったく今日はまいったなと思っていたら、
予定のコースタイムより大幅な遅れではあるが、
ようやく登山道はおしまい、林道に出くわす。

ここから距離はまだあるが、危険度はほぼなしの
ロード歩き。あっちこっちでひと休みしながら
スタートでありゴールでもある藪神の駅へと向かう。

       

途中、ザックを椅子にぼんやりしていたら
犬の散歩の方と談笑する機会があった。
駅まで歩くと話をしたら「まだ結構ありますよ、
気をつけて」とエールも頂戴した。

「はい、頑張ります」と、
勢いよく立ち上がったら、また足がつった。

ようやくラストのコーナー、
ここを右に曲がれば、
駅も近くはないが、さほど遠い距離ではない。
そんな時、1台の車が後ろからやってきて、
少し先に止まった。

ツル、ツル、ツル、足がつる。
車のタイヤがツルツルも
足のツルツルも、百害あって一利なしですなと
たわけたことを思っていたら、
車のドライバーが、こちらに声を発している。

何だろうと、よく見ると
ドライバーはさっきの犬の散歩の方。
そして「駅まで乗っていきませんか」と、
おっしゃる。

えっ、わざわざ家に戻って、
車に乗ってここまで。これには、
感謝、感謝、新潟の方の優しさにひたすら
頭を垂れる足つりオヤジかなだ。

でも、どう見ても新車である。
この格好で乗っては汚れてご迷惑だし、
歩くのもあと少しなのでとお断りすると、
今度は「じゃあ差し入れ」と
飲み物などをいただいた。

最敬礼で頂戴し、車をお見送り。
本当にありがとうございますだ。

ツル、ツル、ツル、足がつる。
全行程で終始悩まされたが、
仕舞いはウルウルと、涙腺刺激の感動の出来事で、
足つる山行もどうにかこうにかフィニッシュである。

そして結びにひと言。
新潟で偶然出会った
犬の散歩の途中のレディー様、
その節のご親切に、
あらためて御礼申し上げます。



〜2019(令和元)年7月3日(水)
  天気晴朗なれど、足つりし。
   苦労たっぷり、でも感謝に感激の出来事もありと、
    想定・予定外のあれこれに遭遇しつつ歩く〜

珍名山にて、突然思い出すのは

2019-10-14 22:23:02 | Quiet~いぶし銀、渋めの山
出だしは「女房と畳は…」で、
おしまいは「女房と鍋釜は…」


甲津原~奥伊吹スキー場~ブンゲン(1259m)~
  ・1126~品又峠~奥伊吹スキー場~甲津原【滋賀県】




その時、ふと
今となっては時代錯誤で無礼千万、
このたわけ者がと
お叱りを受けるような
「女房と畳は“新しい”方が良い」なる
ことわざが頭に浮かんだ。

ここは滋賀県、
奥伊吹スキー場の駐車場。
今日は「ブンゲン」という
不思議な名前の
山の頂上をめざす。

そして“新しい”とは資料、
つまり最新の情報のことだ。

ブンゲンへのルート、
登山道の第一歩となる
入口は見つけにくい。

そんな記述が、事前に集めた
資料にはあった。ありがたいことに
資料には入口の目印についても
いくつか触れていた。

ところが実際に出かけてみると、
現地はスキー場の拡張工事の真っ最中で、
資料にあった目印は、ほぼなし。

いささか資料・情報が古かったようだ。

仕方がないので、
資料では建物の裏手から鞍部へと
あったので、地図と磁石をにらめっこ。
多分ここだなという場所へ
工事現場を横断して向かってみる。

やっぱりここでしたかである。
こういう時は
いわゆる“山勘”がはたらく。
これも技術は低いが、
登山歴だけは長いお陰かなと
思いつつ、それは出発だ。

最初は下り気味に、沢を2つまたぎ、
そして尾根に取りつく。

ここまでくれば、ひと安心。
顕著な尾根なので、
登りきれば、そこは
ブンゲンのテッペンだ。

資料には、
あまり歩かれてはいないと
あったが、
人が往来した道というのは、
意外と残っているもの。



ブンゲンへと続く道も同様で、
かなりしっかりとわかるものだった。

ただ道は両側からの草に覆われ、
また倒木もあり、
さらに高度をかせぐににつれ、
背丈以上の熊笹エリアが続き、
歩きにくいこと、この上なし。



これは資料と同じだった。

確か資料には、ブンゲンのピーク直前は
四つん這いになって進むともあったが、
確かにその通り。

いつしか姿勢は
和式トイレを使うかの如く、
加えて両手は熊笹を分けながらで
前へ進めとなる。

資料には、この状態は
ピーク直下まで続くとあったので
窮屈な姿勢は、もう少しキープか、
やれやれと思った矢先に、
突然熊笹はきれいに刈られ、
まさに“高速道路”のような道にぶつかった。

  

おっと、また資料とは違う状況だ。
でも、これは助かったである。

この高速道路をわずかに歩いた先が
ブンゲンの頂だった。

      

ここで大休止。たっぷり、
これでもかと休んで行動再開だ。

ブンゲンから先、予定している
・1126地点、品又峠経由の下山ルートは
ほぼスキー場のゲレンデ歩きとなる。

天気もまずまず、先を急ぐこともない。
途中で「あっ鹿だ、おっうり坊だ」と
走る皆々様にも出くわしたが、
こちらは、あくまでものんびり、
スローな行動に終始する。

それでも、やがてはゴールだ。
品又峠からはラストの下り、
雪のある季節ならリフトを降りて直滑降で、
一気に下までとなるはずだが、
今はまだ秋、草原モードのゲレンデを下る。

  

結構、急である。さっきは直滑降なんぞと
うそぶいたが、自身のスキーの技量なら
ボーゲン&キックターンで、
歩くようなスピードで下までかな。

そういえばスキーともずいぶんと
ご無沙汰だな。前回はいつ滑ったか何ぞと
回想しているうちに、
またことわざを思い出した。

今朝は、大変失礼なものだったが
今度は「女房と鍋釜は古いほど良し」。

ん、いかんいかん
女性と鍋釜を一緒くたんとは
これも「ムーン・ティアラ・アクション」などと、
月に代わっておしおきされそうか。

      


〜2019(令和元)年10月1日(火)予定は伊吹山だったが
   名前にひかれて急遽変更。ヤブをガサガサ後、
     スキーゲレンデをブラブラと歩く〜