六根清浄、お山は晴天。 登って下って、どっこいしょ。

たまに書く、時々入力、気が向いたら、したためる。駄文満載、阪神裕平ことおやじぃ雅のアウトドア雑記帳。

都区内の渓谷発、北へ

2023-07-18 17:16:37 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(七)
“カンパチ”を“サカナ”に 
  
【等々力渓谷~玉川野毛山公園~八幡山~
   塚山公園~高井戸中学(アンネのバラ)、
      そして天狗湯へ/東京都】

では第一問
「絶品、味自慢の店が軒を連ねるグルメな東京の道は?」
続いて第二問
「同じく東京の道で、土地勘のないドライバーが多く出没するのは?」

唐突に、ずいぶんと昔に出題され、
答えに窮したなぞなぞを思い出した。

ただ今、東京は「東京都道311号環状八号線」
通称「環八・カンパチ」を北上中にひと休みと
沿道の公園にてぼんやりとしている。

何でまた、そんな場所にいるのか。
理由は「銭湯登山」。

ここ数日、頭働かずで仕事の進捗状況が
はかばかしくない。だったら下手な考えは何とやら。
脳のかわりに身体でも動かしますかと、
歩いている途中である。

コースは、急な思いつきだったので近場、
東京都区内で唯一の渓谷である
「等々力渓谷」から、看板ネコがいるという
西荻窪の銭湯「天狗湯」まで。
朝から日がな一日、ほぼカンパチを北へ、
テクテク・ウォークだ。

時間はお昼、少し前。
懐かしのなぞなぞが浮かんだのは
腹が減ったこともあるが、
やはり食べ物を連想させる場所柄か。
カンパチといえば、サカナのカンパチは、
確か出世魚ではなかったけかな。

すると、さっきの東京の道なぞなぞ二題に続く
第三問に「東京で偉くなる人が通う道は?」
答えは「カンパチ」。これはどうかな。

妙で変なことを考えているなと
自身で呆れながらも
さらに深掘り。

ちょっと待て。本当にカンパチは出世魚だっけか。

記憶が曖昧なので愛用のタブレットで調べてみると、
イエス、ノー、両方の説があった。

どっちもあるなら、イエスにしておきますかである。

以上で、カンパチなる名称がきっかけとなった
なぞなぞ没頭タイムはひとまず。
続いては、ここまで歩いてきた感想も少々。

等々力渓谷は、こじんまりながらも
緑は豊か。うっそうよりも、
こんもりといった言葉の似合う
雰囲気のなかで心もなごむ。
             
その後、等々力渓谷のお隣に位置する
「玉川野毛山公園」内にある
前方後円墳にも立ち寄り、
銭湯登山というからにはと
頂上まで往復、ひと登り降りだ。
ちなみに所要時間は往復1分弱なり。
   
またカンパチを車ではなく徒歩で進むと、
意外と「砧」「芦花」に
「桜丘すみれば自然庭園」など、
大小の公園や緑を愛でるスポット多し。

お陰で、ちょっと拝見と寄り道も少なからずで、
危惧していた単調さとは無縁だった。

時計をみやると、おっとこんな時間かである。
ではひと休み、いやかなり休みも
これくらいにして、
そろそろ腰を上げて先へ進みますか。

昼食の予定は、京王線の「八幡山」駅前にある
荻野屋でお弁当購入、求める一品は、
もちろん人気駅弁メニューの「峠の釜めし」だ。
     
購入したら、ちょいとカンパチを離れて
縄文遺跡もある「塚山公園」でランチタイム。

その後は、あのアンネ・フランクにちなむバラを
育てている「高井戸中学」にて、
花でも愛でながら平和について考えみる。
   
   
          
考え疲れたら、また身体を動かして。
再びカンパチへと戻り、一路「天狗湯」へ。

では行動再開。まずは「いざ、峠の釜めし」である。

ここで蛇足で、つけたし。
いらんお世話かもしないが、
念のためなぞなぞの答えも
記しておきましょうか。

第一問の答え。
各店で美味を味わった食後の感想は「おぉ旨え」。
で「青梅街道」。

第二問の答え。
ドライバー、車を走らせながら不安げにひと言。
「この道で、いいのかしら」。
で「井の頭通り」。
 
〜歩いたのは4月。そんなポカポカ季節の話を、
外の気温は平熱以上、ウルトラ暑い、汗ダラダラの1日に記す〜

♣︎「天狗湯」プチ スペック♣︎
東京都杉並区西荻南/15時45分~22時45分/火&金・定休
      

ある寒い寒い、さむ〜ぃ1日に

2023-07-06 17:33:27 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(六)
場所柄、よもやヨーデルかと
耳をすませば 
     
【野上~長瀞アルプス~宝登山~長瀞。
      そして熊谷駅前の桜湯へ/埼玉県】

最近の天気予報に登場する文言は、強烈な響きを持つものも増えたが、
明日の予報も、聞くだけで身震いが止まらずとインパクト大。

何と史上最強の寒波の影響で、兎にも角にも
ヒエヒエ、ガタガタ、ブルブルの1日になるという。

こたつで丸くなるのが得策かと思えたが、
ここは天邪鬼の身。

だったらとことん身体を冷やした後に、
あったかいお風呂でもと考えて、いそいそとパッキングである。

当日は、寒さで目が覚める。その後電車を乗り継ぎ
着いたところは秩父鉄道の「野上」駅。

予定は、この駅からご当地アルプスのひとつ
「長瀞アルプス」と宝登山を歩き、締めくくりは
熊谷駅の駅前にある銭湯「桜湯」へ。
じっとしていると寒いので、さあ出発だ。

何ゆえアルプスと名乗るのか、理由はと歩きながら
探してみたが、これだといったものはなかったような。
逆に和風、気持ちの良い里山歩きである。
   

       

         
ただ途中から何か声がする。

よもや誰かのSOSか。立ち止まってみる。
どうも違うようだ。動物、熊の雄叫びか。
この寒空にまさかである。では何だろう。
ひょっとしてアルプスらしくヨーデルか。
いやいや、さすがにそれもないだろう。

声は、宝登山に近づくにつれ大きくなり、
はっきりとしてきた。どうやら人の声。
それも子どもの歓声のようだ。

地図を見ると宝登山ピークを少し下った場所には
動物園があり、どうやら声の主は
動物とたわむれる子どものたちのようだ。

そういえは人が集団で
発する声を聞くのも何だか久しぶりだ。

疫病蔓延の影響で、
長らく続く無言社会だったせいか、
妙に懐かしい。
また疫病ショックも、
そろそろおしまいと
宣言しているかのようでもあった。

さすがは子どもは風の子、
寒さなんかノープロブレムか。

大昔子どもだった我が身も、
その声を聞いて何だが元気が
出てきましたぞである。

さて肝心の登山は、寒さもあってか
アルプスイメージにひたることなく、
あっという間に駆け抜けてしまった。

よって銭湯の開業時間は、まだかなり間がある。

そこで麓の神社で大・大休止に、
長瀞といえば、やっぱり川かと
プチ観光で長瀞駅の周辺をほっつき歩く。

頃合いをみて、
本日のゴールとする熊谷駅の駅前銭湯へと
向かうことにする。

「桜湯」は、正真正銘駅の前で、
すぐに見つかった。

佇まいはこじんまりとはしているが、
雰囲気は学生時代に利用してした
番台ありの銭湯で、
まさにリトル昭和ワールドである。

さっそくかけ湯後、湯船へとしたいところだが、
元来の猫舌ならぬ“猫肌”で、熱いお湯は
カラキシだめ。

その上、今日の寒さもあるので、
身体は冷え切っている。
そのため、しばらくは辛抱と、
洗い場にて待てである。

身体に頭を2度洗い、
そろそろ身体も入浴OKモードに
なってまいりました。

それでは定番の親父ギャグ、
「熊谷なのにニューヨーク」。
さあて肩までつかりますか。

♣︎「桜湯」プチ スペック♣︎
埼玉県熊谷市筑波/15時30分~22時30分/月・定休
  

〜超暑の7月のある日、
  遅ればせながらつづった2023年・極寒1月の行動の思い出。
   書けば多少は涼やかな気分になるかと思ったが、
    全く変わらず。そりゃそうだとペンを置く〜


続“干支”セトラ

2021-11-11 11:46:01 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(五)
「牛にひかれて」2話
【長野県、群馬県】


●2話目「牛に魅かれて」ウロウロと
倉賀野~高崎(群馬県)

疫病騒ぎは100年に1度は発生するそうだが、
そんな話は、つい最近まで知らぬ存ぜぬの身。

そんなこんなで、
えらいこっちゃと、あたふた過ごす
2年目の夏も暑い。気温に湿度は
あいも変わらず毎度のごとくである。

仕事は、少しづつ以前の状態に
戻りつつあるものの、
自営というのが玉にキズ。

収入の関しては、耐え難きを耐え
忍び難きを忍びの状態が続く。

それでも仕事の合間には、
極力人との接触は避けつつ、
ちょっとだけアウトドアへ。

前回は、変な疑問に
自分なりの答えを出すために
長野へと出かけた。

そして長野から帰ると
またしても、あるフレーズというか
今度は地名が気になり出した。

それが「高崎」。

どうも長野を歩いた際にメインとなった
国道18号の起点が高崎だったため、
行動中に「高崎から○キロ」なる表示と
定期的に接していたことに起因しているようだ。

そこで、とりあえず地図を見てみる。
すると「牛街道」という場所を
発見してしまった。

何でも牛街道とは、江戸時代における
物流の一大拠点だった川の港「倉賀野河岸」から
物資を運ぶルート。牛を使っていたために、
そんな名称が付いたという。

現在は、単なるマチナカの道だそうだが、
牛という文字が、おいでおいでと
手招きしているようだ。

「引かれて」に続くは「魅かれて」か。
いいじゃないですか、これも何かのお導き。
事前にインターネットで入手した
観光案内地図には、周囲には古墳も点在していた。
おまけに高崎にも、趣ある銭湯もあるようだ。
それではお邪魔しますか。

行程は、牛街道を含め倉賀野散策経由、
めざすは高崎の銭湯としてみた。

JR「倉賀野」駅を出て、
まずは倉賀野河岸跡へ。令和の今は、
何もない河原だが、
ここは瞼でも閉じて空想力、
往時の賑わいに思いを馳せる。
ただし長時間は禁物。

               


       

変な人が目をつぶって立っていると、
不審者に間違われかねないので
早目に切り上げる。

お次は倉賀野河岸を背に、
牛街道へ。現在はいわゆる路地であり
すぐに表通りの中山道にぶつかり
おしまいとなるが、ここでも空想力。
すると牛の姿や声が‥。
見え、聞こえたことにしておこう。

中山道に出たら、行きつ戻りつ
江戸の風情を感じさせる場所を巡り、
今度はいきなり時代を逆行で、古墳も見学。

     

   


中山道には日除けにもなる
並木が欲しいところとぼやきを交え、
江戸に古墳と、随分と隔たりのある
時間旅行を続けるうちに
着いたところは、JR「高崎」駅。

残すは銭湯で、ああ極楽体験のみ。
高崎名物の焼きまんじゅうを食いつつ
銭湯の場所を確認して、それでは出発だ。

それにしても、今日は同じデザインの自転車を
やたらと出会う。

よく見ると高崎には「高チャリ」と呼ばれる
無料の自転車貸し出しサービスがあるようで、
さっきから見かける自転車が、それらしい。

ならば私めも銭湯へはまたがってと、
心が動いたがイヤイヤせっかくの歩き旅、
ここは我慢で、キープ歩行モードでまいりますか。

ただ何度なく自転車を見ていたら
もしかしたら自分の前世は
ママチャリだったのかもしれない。
ふとそんな気がした。

理由は自転車は、常に走っていなければならず
立ち止まったらすってんころりん。
このあたりは、いつもバタつき動き回る
普段の暮らしぶりとよく似ている。
また仕事ぶりも、毎度毎度の土俵際で崖っぷち、
いってみれば自転車操業状態だ。

おっと柄にもなく悲観的、
これも夏の暑さのせいかもしれない。

さあさあ自虐チックで、後ろ向きの発想はそのへんで。
それに前世がママチャリならバックはできぬはず。
だったら前へ進め、汗を流しにと銭湯へ急げである。


(追記)
銭湯は城址の先にあり、名称は「浅草湯」。
外観も内装も純和風で、これぞ銭湯という
佇まいのお風呂である。

ちなみに、こちらの銭湯も長野で浸かった
「亀の湯」と同じく、100年以上も前から
営業中だそうだ。

〜2021(令和3)年11月、遅過ぎの感は否めないが、とりあえずアップ。
  今回もタイトルの「振り出しは山登り」はノー登山で偽りあり。
    そして牛街道の隣には馬街道もあり。では今度の訪問は5年後か。
      まあ随分と気の長い話だことである〜

“干支”セトラ

2021-11-09 02:06:48 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(四)
「牛にひかれて」2話
【長野県、群馬県】

●1話目「牛に引かれて善光寺」を、少しトレースしてみる
滋野~姨捨~善光寺(長野県)

            

とりあえず仕事は、先方に提出した。
後は、直しを待つだけ。

そんな夏の昼下がり
突然、あるフレーズが頭の中を駆け巡った。

同時に、フレーズの内容について
常々はてさてと引っ掛かると感じていたことも
付かず離れず、フレーズの後ろを追いかける。

フレーズは「牛に引かれて善光寺参り」。
今年の干支にもちなむ、有名な一文だ。

そして、はてさて引っ掛かるのは移動の距離で、
自分自身に置き換えたらという点である。

この一文、細かい展開や意味はさておき
発祥というか、登場人物であるお婆さんが
牛を追いかけ始めたスタートは小諸市。

小諸は、大学時代に所属していた
クラブが所有する山小屋を訪ねた際の帰り道に、
よく隣駅「滋野」を利用するため
何度となく通過している場所である。

そんな小諸から牛に引かれしお婆さん、
着いた先、ゴールは長野市の善光寺である。

小諸と長野・善光寺間の距離は
フルマラソン以上の長丁場。
これはフィクションの世界の話であり、
まあよろしいのではとなる部類のことではある。
が、お婆さんの健脚ぶりには、天晴れのひと言だ。

そして天晴れついでに、頭をもたげて来たのは
では、お婆さんならぬお爺さん、
つまり自分の老体ならどんなもんなのか。

もしも1日かけて歩いた場合、
善光寺までは多分無理だが、
ではどのあたりで、ギブアップとなるのか。

以上のような、他人から見れば
実にたわいもない、だが自分自身にとっては
大問題といったことが
2021年の夏、頭の中ではんすう状態となる。

こうなると、何も手につかず。
解決策はひとつだけ、やってみること。
ということで、ルートをチェック。

よくよく調べてみると、途中には日本三大車窓の
絶景に数えられる「姨捨(おばすて)」や、
善光寺の近所には渋めの銭湯もあるようだ。

ではパッキングである。

今回の行動、想定は大学時代のクラブの山小屋へ出かけた
帰り道に「牛に引かれて」としてみた。

したがってスタート地点も、毎度東京へ帰る時に使う
「滋野」駅。時間も、利用することの多い夕方としてみた。

また日程は夕方発なので、途中で野宿1泊、
1泊2日で、ゴー長野&善光寺である。

バスにて東京を昼に立つ。
滋野駅には16時半過ぎに着。
軽く体操をして、沈む夕陽を追いかける形で
西へ、西へと歩き出す。

途中で、宿場に古墳など寄り道も結構あって、
「信濃国分寺」駅に着が19時を少々回った頃。
駅前で、寝るには格好のベンチも発見。


では今日はここまで、今夜は夏の夜空でも
見ながらグッドナイトである。

翌日も天気は晴天。
朝は山での行動の基本でもある
早立ちと6時には出たものの、
これまで同じく、寺にコンビニ、それ以外と
道草に回り道もかなりあり。


それでも9時半過ぎには
温泉街「戸倉」の駅までやって来た。

少しのつもりだったが、
たっぷり休んで、ここからはひと登り。
大汗かいて、もうバテバテと弱音を吐きつつ
やっとの思いで姨捨の駅へたどり着く。
到着時間は12時少々。

さっそく駅のホームへ。
なるほど景色は素晴らしい。
でも夜景も必見のようだ。

      

ここで耳にしたのが、
悪魔のささやきというか、
自らの弱気の虫の声。こんな内容だった。

せっかくだから、どう夜景も拝んだら。
長野の善光寺へは姨捨駅から
電車に乗っても行けるんだし。

ここで根性ありなら、
そんな声何ぞは無視、耳も貸さずにだが
根っからの軟弱の身。たちまち身も心も
お散歩、お昼寝モードとなる。


お陰で、横長で独特の夜景の美しさを
じっくりと堪能。そして電車に乗って
ゴールの長野へ。

予定では夜の新幹線で帰京だったが
肝心の善光寺参りはまだ、それに銭湯にも
お邪魔していない。

とりあえず仕事も一段落状態だ。
よし、今日は長野にお泊まり、
東京へは明日帰るといたしましょうか。

小諸発でもなく、あっさりリタイアと
自慢できる結果ではなかったが
漠然ながらも牛に引かれての雰囲気は
掴めたような気がする。

とりあえず、すっきりである。
ではお宿でも探しますかな。無ければ
得意のステーションビバークでもいいかな。


(追記)
夜は結局青天井、駅前の広場で
寝てしまった。

目覚めた翌日は、少々遅めの朝食と
長野名物「牛乳パン」をほおばり、
食後は長野駅から歩いて善光寺へ。

参拝後は、あの小原庄助さんは朝だが、
私めは昼。これなら身上(しんしょう)を
潰すこともなかろうと、銭湯へも。

銭湯の名称は「亀の湯」。
創業は大正中期というから、
もう100年オーバー営業中のお風呂である。

          

時代を感じつつ、ではニューヨーク、いや入浴だ。
しばらく令和のバタバタを忘れて
ハダカ天国、風もないのに
ぶぅらぶらタイムを過ごす。

これで身体もさっぱり。
では今度こそ、そろそろ先方からの
直しなど、仕事も待つ東京へ戻りますか。


〜2021(令和3)年11月、今頃夏の話をアップ。
  おまけにタイトルには「振り出しは山登り」とあるが、
    行動中に頂は踏まず。このあたりは、まあ良しとしますか〜


浸(つ)かる前に浸(ひた)る

2021-05-05 23:39:41 | THE GOAL IS A PUBLIC BATH〜それ行け、銭湯登山!
振り出しは山登り、上りはひとっぷろ(参)
都内あちこち、銭湯へと向かう道すがら
立川市、荒川区、そして千代田区の「梅の湯」にて【東京都】


2020(令和2)年・夏、
ウイルスは暑さに弱いといわれていたが、
一向にそんな気配はない。

これではさすがに、登山と称しても
地方へ出かけるのは、はばかられる。

では、どこか近場、都内に
面白そうな場所はないかと
インターネットや書物を見ていたら、
どうにも気になる銭湯の情報に出会った。

それが都内にある3つの「梅の湯」だ。

最近は「銭湯登山」と勝手に銘打ち足を運ぶ身、
そこで、いささかこじつけ気味ではあるが
山、もしくは山らしき地点を起点に
各梅の湯がゴールとなる3つのコースをこさえてみた。

本格的な登山とは違い、コース上に危険箇所は皆無。
よって道中は、いろいろと思いも頭をよぎり、
ひとりニヤけたり、つぶやいたりすることもしばしば。

ウイルス対策用のマスクをしていなければ、
かなり変なおっさん、いやジィさんである。

それはともかく、夏の1日、
正確には日を分けて3日間、では出発進行。


●1日目。思い出すのは「きっかけ」だった。
~京王線・平山城址公園駅から
          多摩動物公園の裏を通って立川の「梅の湯」へ~
コースは日野市のウォーキングマップにある
「かたらいの路」がベースとなる。

普通の山道であれば、耳にするのは鳥のさえずりや風の音。
一方、このルートは動物園に沿ってとなるため、
動物の雄叫びをBGMに歩く道だ。


         

声が遠ざかると、そこは高幡不動尊。ここでひと休み。
実はこの周辺は、卒業した母校が近所だったこともあり
大昔の学生時代は、夜な夜な居酒屋で飲んで、
酔って千鳥足ウォーク、幾度となく、
ふらふらと徘徊した場所でもある。

当時は、大層立派な道と原っぱばかり。
せっかく上京したのに、随分と田舎だなと驚きつつ
学校へと通ったものだが、今日はその都会化ぶりにびっくりだ。

変わったな、懐かしいなとぼんやりしていたら、
いきなり登山を始めたきっかけを思い出した。

山との出会いは、大学で入ったクラブからだった。
当時、目標としていたキャンパスライフは、
高校が男子校だったこともあり、
願わくば女子もわんさかの
サークルにでも入り、華やいだ雰囲気。
が、現実に待ち受けていたのは、
山登りクラブの勧誘だった。

最初は「いや結構」と断ったものの、2度3度と会ううちに
「まあ立ち話も何だから一緒に食事でも」となり、
いつの間にやら新入部員となってしまった。

どこか渡世人のような一宿一飯の恩義が、
山とつき合うきっかけだった。だが同じ時期に入部したのは、
高校時代は山岳部出身で国体にも参加したとやら、
趣味でアルプスを登っていたなど猛者ばかり。

片やこちらは、体力も根性もないズブの素人である。
そのため合宿も先輩方と一緒に登った個人的な山登りでも、
とにかく足を引っ張ってしまった。これは引き際が肝心である。

しかし「辞めます」といい出せないうちに、
次の合宿が始まる。あっという間に上級生にもなる。
そして気がつけば卒業だ。

社会へ出たら、なぜかアウトドアが趣味の人と
仕事をする機会が多く、
週末は学生時代以上にせっせと山登りである。
そうなると、いつしか山も趣味となり
そして今でも、山へ出かけている。

何ごとも塞翁が馬ですかな。おっと、休み過ぎたかな。
それでは行動再開、ゴー立川の「梅の湯」だ。

●お風呂ガイド「梅の湯(立川市)」
お風呂でいい気分、出たらコーヒー牛乳でもかたわらに、
読書三昧。こちらの「梅の湯」は銭湯であり、マンガ図書
 館でもある。よって長居必至、湯冷めに注意、かも。



●2日目。時間は昼時、頭に去来したのは「食べること」。
 ~十条富士塚より飛鳥山を経由して荒川区の「梅の湯」へと~

今回の出発地点は、都内に点在する富士山を模した富士塚のひとつで
JR東十条駅にも近い「十条富士塚」となる。

出かけてみると工事中で“入山禁止”となっていた。
出鼻を挫かれた格好だが、ここは山登りの鉄則でもある
心と体力に余裕を持った行動だ。
ガツガツしないでまた今度。先へと進もう。

次なる目的地は、未公認ながらも
東京都の最低山を主張する「飛鳥山(25.4m)」だ。

         

飛鳥山に着いたのはちょうど昼時。
立派な山名表示の前で大休止していたら、腹減ったである。
ランチは何を食べようかと一考していたら、
山を始めてからの胃袋の歴史も思い出された。

大学で山のクラブに入るまでは、
成人男子とすれば、かなり小食な部類だった。

ところ入部したクラブには、不思議な伝統というのか
食後のもうお腹いっぱいというタイミングで
下級生にはデザートとして飯ごうが一人1個あてがわれる。

中身は、当たり前だが銀シャリである。
飯ごう1個で炊けるご飯は大体4合。
まるまるではないが、程よく詰まっている。

これが「飯ごう整理」。目的は中身のご飯を平らげること。
さすが昨今はなくなったようだが
あれば、理不尽だ、何とかハラスメントだと、
非難されること間違いなしの儀式だ。

しかし人間の身体は凄いのひと言。
最初は全く食べることができないが、しばらくすると
胃は鍛えられたのか、飯ごうを空っぽにすることができる
アイアンストマックへとバージョンアップするのである。

そうなると困るのは懐具合。3度の食事で
強靭な胃袋を満足させるためには、
食費の大幅アップを余儀なくされる。したがって
財布はいつも超軽量薄型、中身なしの空っぽ状態だ。

加えて食事中は会話なし、黙々と食べる。
コロナ禍の今は、これも感染対策には良しだが、
やはり食事は、適度な会話も味の引き立て役。
さらに食べる速度も速いので、
人とご馳走さまのタイミングも合わなくなった。

社会へ出て、月日とともに食事中は話も楽しむし、
ゆっくりも食べるようにはなった。
ただ量は引き続きで、いい歳こいてよく食べる。
“燃費の悪い”ボディは、そのままだ。

泣く子と地頭、そして鳴く腹には勝てぬもの。
では仕方ない、美味を求めて行動再開。
食後は、めざせ「梅の湯」である。

●お風呂ガイド「梅の湯(荒川区)」
スタイリッシュな雰囲気漂う銭湯で、心と身体の垢を落と
してリフレッシュ。そうそうこちらの梅の湯には土産に好
 適、自宅でも極楽気分をと「オリジナル入浴剤」もある。
  
     


●3日目。用具眺めて、思い出すのは「嗚呼痒い」。
~柳森神社の富士塚跡、ペンキ絵発祥の地、専門店を巡り、
              ゴールは千代田区の「梅の湯」~
皮切りは、千代田区で唯一残るとされる富士塚跡だ。
場所はJR「秋葉原」駅にも近い柳森神社の境内で、
あるのは案内板とわずかな石積みのみ。

ここは想像力を駆使して。目の前には低くそびえる
スモール富士山があると思って。
登ったつもりでヤッホ~、そして無事下山だ。

                

お次は、関東の銭湯の浴室壁面では定番
「富士山のペンキ絵」発祥の地である「キカイ湯」跡へ。

こちらも案内プレートのみ。よって再度、想像力にご登場願って
バーチャル入浴。湯舟から富士山の絵を見たつもりになり、
無事におしまい。

  

想像力で頭を使った後は、リアルさを求めて神保町へ。
神保町といえば本の街であり、
スポーツ・山道具の店が軒を並べるエリアであることは、
どなたもご存じの通り。

そこで近頃の装備について勉強というのか、
冷やかしに歩いてみることにする。
店舗に入り、まずはと手に取ったのが雨具だった。
ん、雨具といえば。ここで痒い体験を思い出す。

日本の山を泊まりがけで歩けば、雨に見舞われ、1日中雨具着用で
行動することも珍しくない。登山を始めてしばらくは、特に装備は
持参していれば良しとのスタンスだったので、雨具の具合も今ひとつ。

そんな雨具を身につけると、閉口したのは蒸れだった。
上半身はまだ我慢できるが下半身、特にパンツ、
いや昨今はアンダーウェアと称したほうが良いのか、
とにかく股間を覆う1枚が濡れると、途端に気持ちが沈んでくる。

日帰りなら気持ちだけだが、長期の山行ともなると
私の場合は、物理的な困ったも発生してくる。
原因は、恥ずかしいので難しい表現を使って「股部白癬」。
症状は猛烈に痒くなるのである。

対策として、雨具と下着は蒸れにくい一品を探し求めた。
そして薬もあれこれ数多く試してみた。
そして、巡り逢ったのが漢方の一品だ。

中国・後漢時代の名医の名前を拝したこのお薬、
彼の地ではポピュラーな水虫治療薬だそうだが、
それなら股ぐらにも効くだろうと塗りまくった。

体質に合っていたのか、これが効果てきめん。
装備との相乗効果で、痒い地獄からはついに脱出である。

おっと雨具から飛んだビロウ話になってしまった。
おまけに、すでに完治したはずなのに、股間にも痒みが‥。

ここは、そろそろウィンドーショッピングは切り上げて、
今日の行動のフィニッシュの地である「梅の湯」へと急ごう。

●お風呂ガイド「梅の湯(千代田区)」
マンションの1階部にあり、聞くところによると、こちら
は皇居を走る方々の秘密基地的存在とか。今日はランでは
ないが良湯満喫「お風呂、いただきます」だ。

日本各地に同名ながら趣の異なる名峰として駒ヶ岳がある。
そして東京の街には、浸かって満足、素敵な時間を過ごせる
同名の山ならぬ銭湯「梅の湯」が点在しているようだ。


~ブログにアップしたと思っていたら忘れていた。
    そこで今頃、2020(令和2)年の夏の歩きを記す〜