一燈照隅

日本が好きな日本人です

安倍首相訪中の舞台裏

2006年10月13日 | 時事問題
「予定調和外交」から脱皮
想定問答無視、聞き役に回らず
文書破棄も覚悟、譲歩引き出す

首相として5年ぶりの訪中を果たした安倍晋三首相。日本との関係修復を急ぐ中国は国賓級で首相を迎え入れ、8日の北京は歓迎ムード一色に染まったが、水面下ではギリギリの駆け引きが続いていた。北朝鮮問題などをめぐり、東アジア各国が外交戦略の転換を迫られる中、外務省が主導してきた「予定調和」の日本外交が終焉したことは間違いない。
(石橋文登)

◇幻のあいさつ
8日夕、温家宝首相主催の晩餐会の直前。胡錦濤国家主席らとの一連の会談を終え、人民大会堂内の一室でひと息ついていた首相の表情がサッと険しくなった。
外務省高官が「中国側の意向」として、あいさつの修正を求めてきたのだ。
「なぜ私のあいさつの内容を中国側が知っているんだ?」。首相の問いに高官は押し黙った。「こちらは温首相のあいさつを把握しているのか?」。答えはなかった。相手の機嫌を損なわないことを最重視してきた外務省の「外交術」がかいま見えた瞬間だった。
「それではあいさつはできないな…」。首相の一言に高官らは狼狽したが、首相は頑として譲らず、あいさつはキャンセルとなった。この夜、安倍、温両首相らが和やかに談笑する晩餐会の様子が世界に報じられたが、両国高官には居心地の悪い席だったようだ。

◇会談の心得
首相の訪中を2日後に控えた6日、麻生太郎外相は衆院予算委員会の最中、首相にそっと手書きのメモを差し入れた。「首脳会談の心得」。要点は①両手で握手をしない②お辞儀をしない③政府専用機のタラップは夫人と並んで降りる―の3つ。首相はニヤリと笑って軽く会釈し、メモを胸ポケットにしまった。
首相と麻生氏がもっとも懸念したのは、歴代政権のように「友好」の甘言につられ、中国側に「朝貢外交」を演出されることだった。
首相は握手の際、笑顔を見せたものの、視線は相手から一瞬も離さなかった。
さらに首相は一計を案じた。相手より長く話すこと。中国は古来官僚国家であり、文書をもっとも重視する。聞き役に回れば、書面上は「負け」ということになるからだ。
温首相は会談の冒頭から漢詩などを引用し、とうとうと話し始めた。首相はそれ以上に長い時間をかけて話を続け、特に歴史認識や靖国神社参拝に対する中国側の婉曲な批判への反論にはたっぷりと時間をかけた。
外務省が作った想定問答はほとんど無視され、会談時間は予定の1時間から30分もオーバーした。中国側が「日本人は聞き役で、うなずくだけだ」と考えて会談に臨んだならば、大きな計算ミスだったといえる。
首相は最後に、練りに練った「殺し文旬」を放った。
「過去の歴史の問題では、わが国60年の平和国家としての歩みに正当な評価を求めたい」。温首相から「評価している」、胡主席から「信じている」という言質を引き出したことは大きな成果だろう。

◇共同プレス発表
「耐え難きを耐え、忍び難きを忍び…」首相は訪中前、周囲にこうつぶやいた。訪中を指すのかどうかは分からないが、首相にとって、訪中は今後の政権運営をにらんだ大きな賭けだった。
それだけに首相は慎重姿勢を貫いた。中国側の招請は先月30日だったが、首相が決断したのは3日。しかし、正式発表の土壇場でもギリギリの攻防があった。
中国側が急遽、正式発表の際に「政治的障害を除去し」という言葉を使うよう求めてきたのだ。首相は会談延期をにおわせて拒否、最後は中国側が「除去」を「克服」に変えることで折れた。発表が4日午後にもつれ込んだのはこのためだ。
会談の文書化をめぐっても暗闘が続いた。中国側は文書に固執したが、首相は難色を示した。平成10年の小渕恵三首相と江沢民国家主席による「共同宣言」では、過去の責任と反省を示す「村山談話」が盛り込まれ、その後の対日批判に利用されたからだ。
中国側は訪中前日になって大幅に譲歩してきた。「歴史を鑑に」という常套旬は「双方は歴史を直視し」に変わった。日本側が主張する「未来志向」「東シナ海問題の協議」「北朝鮮への憂慮」も加えられた。
それでも首相は慎重だった。外務省側は会談前に「共同プレス発表」を交わすことを公表する考えだったが、中国へ向かう政府専用機内でその意向を聞かされた首相は「会談が終わるまでは絶対にダメだ」と譲らなかった。会談次第では、文書の破棄も念頭においていたようだ。
結果として、首脳会談は日中両国とも成果を強調できる形で終わった。だが、もしギリギリの攻防を回避していたら日本側に果実はあっただろうか。
会談後、中国の武大偉外務次官は日本の高官にこうささやいた。
「安倍首相が手ごわい相手だということは前々から分かっていましたよ」


今朝の産経新聞に、先日行われた安倍総理の訪中の舞台裏が書かれていました。
これを読んでも分かるように、今回の訪中を欲していたのは支那側です。

今まで訪中した首相の挨拶の内容も、支那に了解を取り付けていたのでしょう。まさに朝貢外交そのものです。支那は言いなりになる人間を持ち上げるが、腹の中では蔑んでいます。逆に主張をはっきりと言う人間には一目置きます。外務省のエリート官僚にはその事が分からないのでしょう。

麻生外務大臣も良いですね。安倍総裁に決まったとき、幹事長に麻生氏と言う人が多かったが、今の日本の状況を考えれば外務大臣が適任ではないだろうか。麻生氏が幹事長になっていたら外相は誰が居るだろうか。


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12 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
安倍首相の主張する外交だ (ponko)
2006-10-13 23:55:05
安倍首相の面目躍如といったところでしたね。

今までの首相がいかに朝貢外交であったかということが分かります。

来年の参院選に勝つためには中川ではなくて麻生氏だと安倍首相は考えていたのに、森その他の魑魅魍魎にやられたようです。

その時外相は誰になるか、麻生氏しか居ないのも事実です。
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Unknown (まさ)
2006-10-14 09:01:14
ponkoさん、

評論家の中にも幹事長と外相の兼任を言っていた人が居ますが、党の仕事と内閣の仕事の両立は不可能です。

体が二つ要ります。
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さすが! (J)
2006-10-14 13:45:55
この記事を読みながら、ニンマリしてしまいました。

とは言うものの、この先も厳しい攻防が待っています。

麻生さんは総裁選に負けても、きっと安倍さんの力になってくれると信じていました。

安倍さんも麻生さんも頑張ってくれると思います。
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Unknown (livertybell_2006)
2006-10-14 15:28:01
はじめまして、時々拝読させていただいています。外務省官僚は語学しか能のない語学屋なんでしょうか。こういう輩を売国奴と言うべきでしょう。外務省は日本に必要の無い役所です。
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Unknown (まさ)
2006-10-14 18:11:38
Jさん、

安倍・麻生のコンビは息が合ってますね。

力を発揮するのはこれからです。
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Unknown (まさ)
2006-10-14 18:24:48
livertybell_2006さん、

初めまして。

十把一絡げで必要無いは少し言いすぎでしょう。

外務省がないと外交が出来ませんし。

中には日本国のために自由の鐘を鳴らす人も居ますよ。





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外務省?たとえば。。 (人生の厄介息子)
2006-10-15 00:01:42
藪ちゃん(藪中さん)とか

大変なおかたですよ。。。



あなみとかまきたとかの魑魅魍魎とは全く違う人種ですね。



多分斉木さんもね。。
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Unknown (まさ)
2006-10-15 10:07:00
人生の厄介息子さん、

初めまして。

外務省にはチャイナスクールとかロシアスクールとか色々あるようですね。

とにかく日本国のために働いてくれる人が必要です。
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Unknown (fuzu-fuzu)
2006-10-15 23:10:02
話に割って入ります。やっぱりその時その時の人物がでてきますね。安倍総理の出現で、中韓の歴訪、丁度国連安保理の議長国で、北が核実験とは、何と良くできた組み合わせ。スケジュ―ルの通りです。この展開、安倍さん以外に考えられませんね。
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Unknown (まさ)
2006-10-16 09:54:13
fuzu-uzuさん、

小泉前総理も運が良かった。まだこれからですが、安倍総理の運は国政で良いかもしれませんね。

麻生外相とのコンビでいってほしいです。
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