ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

出雲JC文教委員会の皆さんと2回目の学習会を行いました

2014-04-27 16:28:35 | 対話型鑑賞
出雲JC文教委員会の皆さんと2回目の学習会を行いました


4月23日(水)に出雲JC文教委員会の皆さんと2回目の学習会を行いました。
出雲JC文教委員会の皆さんは5月例会での研修会を開催しようと企画中です。かねてから委員長と交流のある私は「対話型鑑賞」の意義について折に触れて語っていました。5月例会で「ヴィジュアル・シンキング」をテーマに研修会を企画し、実践しようと思い立たれた委員長は私に協力を要請、3月に続いて2回目の学習会となりました。
 前回は「対話型鑑賞」とは何かをまず体験してもらう学習会でした。そこで「対話型鑑賞」の面白さに気づかれた委員の皆さんは、出雲JC会員全員にこの体験をさせたいと感じてくださいました。そこで今回は5月例会での実践をイメージして本番(例会)に即したワークショップとしました。

メニューは
Ⅰ)ブラインド・トーク
Ⅱ)対話型鑑賞 3作品(3名の方がナビゲーターの練習ができるようにしました)
です。

Ⅰ)ブラインド・トークの作品は3月の京都造芸大のセミナーで使用した作品を造芸大から頂いて行うつもりでしたが、2作品目(熊谷守一)をパワポで解説中に誤って投影したので、差し替えてベン・シャーンの「解放」にしました。トーク中の様子は画像にもあるのでご覧ください。実践してみての感想は
「描かれているものを一つ一つを細かく説明されると、そのことについてはよくわかるけれど、それではなかなか全体像がつかめないので、全体と部分の説明の兼ね合いが大切。」「物の名前を言われてもそれぞれの思い浮かべるイメージは違う。くしと言われても、ブラシのようなものを思う人もいれば、櫛を思う人もいるので、名前に頼らず、もう少し詳細な説明が必要。」「説明を聞いていて、よくわからない時は、聞く(質問する)ことが大事。そうすると自分の欲しい情報を得ることができる。」などが出ました。これらの思いを共有しながら少し休憩をはさんで、いよいよナビの実践となりました。

Ⅱ)最初の作品は雪舟の「慧可断臂図」です。
 1作品目のナビ担当者には事前に作品をみてもらいました。しかし、この作品の背景にあるものをナビに事前に知らせるのには時間が足りないと感じ、「情報が無くてもナビはできるので、みる人たちと同じ立場でこの作品をみながらナビしてください。」とアドバイスし、対話型鑑賞は始まりました。

2作品目は「カラカラ帝」です。この作品を使って例会行事を行うといいと考えています。やる気のある会員の方が手を挙げられました。休憩時間に少し画像をみせてイメージトレーニングしてもらいました。ローマ時代の大理石彫刻で、この皇帝は母と弟を殺して皇帝の座についたこと。残忍な面もあるが勇猛で兵士からはとても慕われていたことを簡単に伝えました。でも、みた人が話すことに耳を傾けてナビをすればいいことを1作品目と同様に伝えました。

 3作品目は熊谷守一の「陽の死んだ日」です。本当はブラインドトークの2回目の作品用でしたが、間違ってスクリーンに映してしまいましたので、ナビ実践の3作品目に変更しました。これまでみてきた作品とは一変してマチエールのある激しい作品です。何が描かれているのかを判別するのも難しい作品です。しかし、本日3作品目なのでどのくらいの対話が展開されるのか、私にとっては参加者の皆さんの実力テストのようなイメージの作品となりました。

 3作品のナビはそれぞれ違う方が担当され、持ち時間はどれも20分弱、十分な対話はできませんが、より多くの方にナビの経験をしてもらうならこの方法しかないかなと考えました。ブラインド・トークと3作品の実践と振り返りを入れての2時間はあっという間に過ぎました。7時30分から始まって、気が付くと時計の針は10時になろうとしていました。

 3名の方のナビの腕前は、さすが日ごろから人の前に立つ役職にある方たちなのでとてもお上手で、初めてとは思えない進行でした。(前回の私のデモンストレーションもよかったということでしょうか???)また、みる側の方々も、普通に根拠に基づいて発言がされていて、その辺りも普段の仕事ぶりが垣間見えるというか、論理的な思考に基づいてお仕事をされているのだろうということが推察される発言でした。
 「なるほど。」という発話者の発言を受けとめ、「どこからそう思いますか?」と根拠を問い、沈黙が続くと二者択一の質問を投げかけるなど、ナビをなさっている方は無意識ではあるのだろうけれど、必死で会話を繋げようと奮闘している姿がみられました。そしてそれが的外れでないところが素晴らしいと思いました。
 パラフレーズもとても上手で、慧可断臂図で達磨大師が向かい合っている岩の向こうにまだ人が隠れているという発言に対して「この岩の向こうに隠れた第三者がいるということですね。」などと軽妙な言いかえをなさったり、カラカラ帝が彫像となって残っているので当時のトップクラスの地位にいた人ではないかという発言に対して「つまり当時の英雄ということですかね?」と誰もがイメージしやすい「英雄」という言葉にまとめたりと、どなたもびっくりするようなパラフレーズをされました。きっと仕事の上で様々な人と情報交換をする際にパラフレーズな場面がたくさんあるのではないかと推察しました。
 また、最後の作品は描かれているものを判別するのが困難な作品で「どこに顔があるのか分かりません。」という発言に対して、ナビが説明するのではなく、「顔」と発言した人にスクリーンに出てきてもらって説明をしてもらうように仕向けたのも素晴らしいナビぶりであると感心するばかりでした。(みるみるの会員も見習わないといけません!!)

 こうして3作品のナビは終了しましたが、ナビをされた3名の方は参加者から厳しい指摘を受けてもめげずに、うんうんとうなずきながら、「何でも言って!!何でも聞くよ!!」とおっしゃられ、笑いを誘っていました。その雰囲気からも、この文教委員会のメンバーの仲の良さが対話型鑑賞の実践にも出ていたと感じました。自分では真剣に考えたことでも話すと失笑を買いそうなことや突飛なことでも、受けとめてくれる仲間という安心感が話しやすさやナビのしやすさの要因になっていると感じました。そういう場が対話型鑑賞を行う上ではかなり重要なので、すでにその素地ができている所から出発しているので、ナビもスムーズだったのだろうと思いました。親和的な素地が大切と改めて感じました。
 また、「どこからそう思うか?」については皆さん、無意識に発言できていたように思います。でももう一歩踏み込んだ「そこからどう思うか?」まで言及するところまでいけませんでした。それは時間の関係もあったと思います。どの作品もあと10分話せたら、そこまでたどり着けたのではないかと思いますが、ナビも意識して「そこからどう思うか?」を促すことができたらよかったと思います。このことは、みるみるでも今後の課題だと感じていることです。

 こうして出雲JC文教委員会の皆さんとの2回目の学習会は終わりましたが、この後会場を居酒屋さんに移して反省会となりました。
 「脳をフル稼働させた。」という会員さんや「絵をみに行きたくなりました。」と語られる方。「美術館って敷居が高かったけど、こうやってみればいいとわかると、行きやすくなりますね。」と話してくださる方もおられて、ひそかに普及に役立っていると手応えを感じました。大人対象の実践なので鑑賞後に作品についての情報を伝えました。情報を知ることによる虚しさ(自分たちが会話したことは何だったのか。と、感じること)はないかと尋ねたところ、「別に感じない。」「話し合った後だからこそ、謎解きをされるような気持ちで、聞くことができる。」「これをしてもらえないと、ずっとモヤモヤが続く。」と話されました。情報を開示することについては是非があると思いますが、文教委員会の皆さんについては、有りなのかなと感じました。ここで私は失礼しましたが、皆さんは2次会もされたようで、そこでも絵の話が続き、影響は大きいと、委員長さんから翌日報告を受け、とてもうれしく感じました。ぜひ、5月例会で研修会が開催される運びとなることを祈っています。

 さて、最後に5月からのみるみる例会は浜田市世界こども美術館での企画展関連イベントに協力します。ご都合のつく方は、参加をお待ちしています!!浜田市内に眠っていた名作が一堂に会される展覧会となっています!!
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

京都造芸大でのセミナー、午後の部のレポートをお届けします

2014-04-16 21:10:31 | 対話型鑑賞
京都造芸大でのセミナー、午後の部のレポートをお届けします


みる・考える・話す・聴く 観賞によるコミュニケーション教育」 刊行記念セミナー参加報告 その2 正田 裕子

事例報告「学校現場での実践と評価について」 担当 春日美由紀  房野伸枝(島根県公立中学校 教諭)

○自己紹介から
 「Art Communication in Shimane  みるみるの会 」の名称の由来と所属メンバーの紹介および目的を紹介させていただきました。3年前の京都造形大学で行われた「連続セミナー VTS Visual Thinkingu Strategy(講師 MoMA教育部部長フィリップ・ヤノウィン氏・福のり子教授他)」に参加し、その後県内の公立小中学校教員をはじめとして、センター指導主事・県立美術館学芸員を含むメンバー9名で現場および美術館等で実践・検証を行い対話型観賞のスキルアップを図るグループであることを伝えました。

○現場の評価について
 まず、私たちの観賞評価の規準について明らかにしました。図工・美術の鑑賞の規準は、授業の「関心・意欲・態度」4項目と「鑑賞の能力」1項目で評価をしていること、そして「意・関・態」と「鑑賞の能力」については、教師側の授業観察および観賞実践後のワークシートの記述を評価し、鑑賞者それぞれの自己評価も加味していることを伝えました。

「関・意・態」・しっかり作品を見ていたか 
       ・みたことについて考えていたか
       ・みて気づいたことを発言したか
       ・友達の発言をしっかり聞いていたか
「観賞の能力」・発言およびワークシートの記述の内容
 
 評価の内容を確認したら、早速参加者の皆さんと共に資料集P21の「ヴァン・ゴッホの椅子」について評価基準を考えてみることにしました。
 まず最初に、この鑑賞をするにあたって、授業者(ナビゲーター)自身がこの作品の読みとりをする必要があることを説明しました。授業者が一鑑賞者として作品と対話をすることで、鑑賞者の発言が予想でき、また授業の組み立てや予想できなかった発言に対しても対処できる心構えができるからです。もちろん、授業者が予想した授業の組み立てはあくまでも例であることを心にとめておき、その作品のどのような部分からでも様々な見方・発言が出てきても良いように心構えを作っておくことが大切といえます。
5分間の時間を取り、参加者の皆さんに読みとりをしてもらいましたが、さすがこの鑑賞に関心を持たれる皆さんなので5分では時間が足りず延長しました。おのおの記述欄に多くの読みが書かれていました。読みとりの一例を提示しましたが、初めてこのスタイルで鑑賞した児童・生徒は参加者の皆さんの考えるところまで深く読みとり、文章記述することは難しいかもしれないことを確認したうえで、記述の内容に特化して評価をどのようにしていくのか皆さんと一緒に考えていくことにしました。
次に、私達の評価の実際の基準を提示しました。(ネタを文字として書く方が良いのか)
 そのうえで、P21の作品の生徒記述(一文ごとの抜粋)についてはこのように考えるという例をあげさせていただきました。

評価 評価のもととなるもの
C ① ファクト(事実)だけ、トゥルース(解釈)だけの記述
B ② トゥルース(解釈)にもとづいた、トゥルース(解釈)だけの記述
     ③ ファクト(事実) にもとづいたトゥルース(解釈)の記述
       特徴的な記述の例:「~だから」「~ので」
A ④ 複数のファクト(事実)にもとづいた、トゥルース(解釈)の記述

 その後、P19にある「解放(作者ベン・シャーン)」の実際の生徒の記述例を挙げ、それをどう評価するのか個人で考えていただいき、こちらの評価基準をもとに評価した例を提示しました。その後、その評価例と自分たちの意見を比較してグループ協議していただき、それを全体で共有しました。
 グループ分けは参加者の所属等を考慮せず、近くに座っている8名程度で「よかった・難しかった」などの感想、そして「どうやったら評価できるようになるのか」などの疑問や「もっとこうすれば良いのでは」などの提案などを中心にディスカッションしていただきました。
 
 全体共有の場から
・分け方は乱暴なのではないか。ですが、これを書いた子どもを知っているのは教員だし、この文章だけでなく、この子の顔を見て寄り添っていくという のが大事ではないか。
・記述の量が少なすぎてA評価はあげられない。単純に量的に少なすぎてどこまで深くつっこんで考えているのか分からない。根拠をもとに戦争の話に  なっているのだけれど、最後の解釈については飛躍しすぎていて本当に彼のものになっているのか疑問が残る。でも、対話の中での意見もあって、その 結果Aだというのはあるかもしれない。
・使用した生徒の記述で「ファクト」と評価されているものの中にも実はトゥルースっぽいのが見える。もしかしたら、トゥルースではないか?「ファク ト」と「トゥルース」が混ざっているとの意見があり、「焦げたように」「笑っていない」というのがそうではないか。分け方が、大雑把すぎるのでは ないかという意見もありましたが、根拠をもって思考するというやり方ではこういう評価の仕方になるかもしれない。やり方の一つであると考えられ  る。
・記述の量とかの話になってくると他の軸(ものさし)が必要となってくる。
 ・この書かれた記述を自分が実際評価するとなると難しい。5クラス3学年の500人からいるので、実際に事実と解釈で(評価を)やっていくのは難 しいのではないか。言語活動という観点からすると、中学1年生、中学2年生ならこれくらいまで根拠をあげた方がいいという目安があった方がいいの ではないか。
・「発言のしかた」とか「発言の内容の方向性」ということになると評価ではなくて、ナビのスキルの問題とも絡んでくるので、評価とは切り離して考え るべき問題ではないか。
・子どもの発達段階や地域性も考慮して、その上で「ファクト」と「トゥルース」に分けるのは、分かりやすい。
・「3人の子どもは最初遊んでいるんだというふうに思っていた」のが友達の会話を聞いて変わったという気づきがあったのが素晴らしい。この評価表に はのっていませんねと言う話もあがりました。 他の班でもあがっていたけれど、「ファクト」と「トゥルース」の線引きが難しい。途中で、この記  述を書いた生徒がどれだけの経験や時間をかけてこの文章を書いたのかが聞けて納得した。
・この鑑賞をしていく中で、自分に以外のもう一つの可能性を考えられているのか、人の意見を聞いて自分が変わるのを恐れていないか、という視点をも つことはすごく大事。・ この鑑賞を通して、思考の仕方を学び、それも評価していくことが大切。
・たくさんの人の意見を聞いていて、この鑑賞で客観性を持たせて評価をしていくことがどれだけ難しいか分かってきた。それを、授業者は自覚して評価 しく必要性がある。無自覚にやると恣意的な評価になる危険性がある。評価者は客観性をもちながら、評価をしていくことが大事である。
・評価について、複数で検証していくことはとても有効な手立てではないか。

○最後に…
 皆さんの意見を聞き、教育者として評価をしていくことがどれだけ難しいかを痛切に感じました。初めての鑑賞を終えた中学1年生の女子を紹介し、これだけこの鑑賞の可能性を感じてくれている生徒がいるので、評価は難しいのだけれど、やはりこの鑑賞をやっていこうと考えてもらえると嬉しいです。たくさんの先生方が、評価について一生懸命議論をしてくださるのは、それだけ目の前にいる生徒たちを客観的に正当に評価しようと腐心されている結果だと思いますので、今回提示した評価内容が参観者の評価の仕方を考えるきっかけになり、皆さん独自の評価方法につながっていけば嬉しいです。たくさんご協議くださりありがとうございました。

 その後、参加者一人一人が自分のコミュニケーションのあり方を振り返り、言語化してそれを全員で見て回りました。自分の聴き方・話し方を振り返るとともに、多くの方の学びから学ぶことができました。

○刊行セミナ-を終えて
 たくさんの方の意見を聞きながら、今の発言は何を考えながらの意見なのか、また前後のつながりも考えながら、この場では何が起こっているのか考えながら、一日のプログラムを終える頃には、頭の中は飽和状態に近いのですが、充実した一日になりました。
 最後に私たちのメンバーが言いましたが、一人一人の生徒を思うからこそ、多角的な意見が出たのだと思いました。このセミナーで参加者が求める内容が、多少異なりはしたものの、この対話型鑑賞に可能性を感じる者同士が意見を交換し合えた意味は、とても大きいと感じました。
 副読本の出版に併せてこのようなセミナーが開催され、年度末の慌ただしい時期にも関わらず、北は宮城から南は沖縄まで、日本各地から鑑賞教育に興味・関心を持ち、意欲的に参加してくださった皆さんとともに、今後も「対話」を中心にした鑑賞活動が教育界、美術界でますます盛んになることを願い、新年度もまた心新たに教育活動にまい進したいと思います。最後に、この副読本が再版される運びとなったという吉報をお伝えし、今回のセミナーの報告を終えたいと思います。ありがとうございました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

今年度の活動計画を話し合うために浜田市世界こども美術館へ行きました

2014-04-13 10:22:56 | 対話型鑑賞
今年度の活動計画を話し合うために浜田市世界こども美術館へ行きました


みるみるの会の平成26年度の活動計画をお知らせします

浜田市世界こども美術館での活動
「日本の中のはまだの美術」―感動とともに生きた人々― 展 協力活動
 5月31日14:00~(オープニングイベント) 対話型鑑賞のつどい(1)
 6月21日14:00~対話型鑑賞のつどい(2)
 7月12日14:00~ 対話型鑑賞のつどい(3)

 この美術展は浜田市内の小中学校や公民館に収蔵されている美術作品の悉皆調査結果を踏まえての美術展です。浜田市の美術界に貢献した作家の作品を一堂に会するものとなっています。この美術展の鑑賞活動に私たち「みるみるの会」が協力することになりました。会期中3回「対話型鑑賞」を展示作品で行います。
 皆さんどうぞ、ふるってご参加ください。よろしくお願いします。

夏季研修会
 8月19日 14:00~江津市立青陵中学校にて「ブラインドトーク」を中心に研修会
 8月20日 10::00~浜田市内の会場にて、鑑賞の「評価」に関する研修会

 今年度の夏季研修会は、江津市の先生方と一緒に学べたらと考えました。会員が江津市に異動しましたので、異動先の学校を会場に「図工」「美術」の先生方のみならず「国語」など「言語活動」に関心のある先生方と「ブラインドトーク」を体験するワークショップを開催し、体験をシェアできればと考えました。興味のある方はどなたでも参加できますので「みるみるの会」まで、ご一報ください。

9月~12月の活動
 9月20日 14:00~ 浜田市世界こども美術館
10月18日 14:00~ 浜田市世界こども美術館
11月15日 14:00~ 浜田市世界こども美術館
12月13日 14:00~ 浜田市世界こども美術館


 夏休み以降は浜田市世界こども美術館をフィールドに活動します。企画展の作品やコレクション室の作品を対象に「対話型鑑賞」を行います。ご都合のつく日にどうぞ一緒に作品について語り合いましょう。

平成27年1月~3月 
期日未定
島根県立石見美術館(益田市)にて 「みるみると見てみる?」 協力活動

 定例の活動になりつつありますが、今年度末も島根県立石見美術館と協力して「みるみると見てみる?」展を開催予定です。詳細が分かりましたらまたブログでお知らせしますので、興味のある方は、どうぞお越しください。お待ちしています。

追加(みるみるの会 会員関連活動)

 10月31日(金) 出雲市(旧平田市)会場 中国五県造形教育研究大会開催
 B鑑賞 授業者 出雲市立大社中学校主幹教諭 春日美由紀
     授業公開 出雲市立光中学校3年生
     授業会場 未定

 11月29日30日 島根県松江市 メイン会場 学び研全国集会開催

 今年度も会員の対話型鑑賞のナビゲーターとしてのスキルアップと対話型鑑賞の普及に努めます。皆様の温かいご支援とご協力をよろしくお願いいたします。

みるみるの会 連絡先 u-marine@i2-sp.net
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

中国五県造形教育研究大会へお越しください

2014-04-08 21:40:36 | 対話型鑑賞
中国五県造形教育研究大会へお越しください


 中国五県造形教育研究大会が10月31日に出雲市をメイン会場に開催されます。授業公開校と授業者がなかなか確定せず、1次案内では空欄となっていましたが、昨日7日に市内の美術科教員が一堂に会して授業者と授業公開が決定しました。

 小学校の図工と中学校の美術で授業を公開しますが、中学校ではA表現は出雲市立平田中学校で授業公開、授業者は錦織先生です。
 B鑑賞は授業公開場所は未定です。島根県立美術館または旧平田本陣美術館、出雲文化伝承館になるかもしれません。このあたりについては2次案内までには確定したいと思っています。授業者は私、出雲市立大社中学校 春日美由紀です。授業対象者は出雲市立光中学校3年生です。
 B鑑賞は「対話型鑑賞」を実践しようと考えています。作品も構想はあるのですが、実現するのかはこれからです。困難な場合は次の手を考えなくてはならないと思っています。
 昨年秋に山口で全国規模の造形教育研究大会が開催されたので、今回の大会に県外からの先生方がどのくらいお越しになってくださるのかは未知数ですが、せっかくお出でになられた皆様にとって多少なりとも話題性のある授業を公開したいと思っています。
 秋の出雲路は格別な趣がありますので、ご来県に併せ、平成の正遷宮を終えた出雲大社もご参拝いただければ幸いです。

 また、画像は国立新美術館内の画像です。前回「イメージの力」展について触れましたが、この民俗資料の展示については本当に趣向が凝らしてあります。「ぶらぶら美術館」で紹介された時の映像にまずびっくりしましたが、実際に出かけて展覧会をみると、もっと圧巻です。美術館の空間を存分に利用した展示で、最後の展示室は「ぶらぶら美術館」の案内人のおぎやはぎも語ったように「インスタレーション」のような「民具」の展示であり、「現代アート」とは何かを問われるようなものとなっています。
 そして、タイトルとなっている「イメージの力」ですが、地球各地で同時代的に同様なイメージを持ち、祈りや弔いを行っていたという現実を見せつけられ、人間の根源にあるものの共通性を感じると、国境や民族間の争いが無価値に思えてきます。そして、現代の人間の愚かさを痛感せずにはいられません。どうか皆様も一度足を運んでみてください。楽しめること請け合いです!!
 対話ができる友人と出かけると「ACOP症候群」が発症するかもしれませんが、それもまた一興です!!??
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

セミナーのレポートです!!

2014-04-01 12:17:43 | 対話型鑑賞
セミナーのレポートです!!


「みる・考える・話す・聴く 鑑賞によるコミュニケーション教育」刊行記念セミナー
参加報告(午前の部)
期日 2014年3月22日(土) 場所 京都造形芸術大学

レポーター 正田裕子(みるみるの会 会員)
○始まるまで…
 遠く北は宮城県から南は沖縄県よりこの鑑賞によるコミュニケーション教育に大きな可能性を感じる56名の皆さんとの出会いを心待ちにしていました。私たちの評価実践を全国の皆さんと共有する責任も感じ、少しばかり緊張もしながらも、前日より京都入りして最終準備を整えて当日を迎えました。
 日本文教出版の教育資料出版記念であるこのセミナーは、美術教育関係者はもとより、全国の美術館・博物館関係者及び一般企業の人材育成等に携わる方々が集まり、開会10分前には席も埋まり、参加者同士で情報交換するなど、始まる前から参加者の皆さんの熱気と期待の大きさが伝わってきました。 

○はじめに…
レクチャー「みる・考える・話す・聴く」
福のり子教授 (京都造形芸術大学 アートプロデユース学科長)

 熱い思いをもった多くの参加者へ歓迎の言葉で始まりました。そしてご自身が現在行っているACOPという「グループで芸術作品を観る」教育とは、具体的にどういった内容なのか簡単な説明と自己紹介がありました。
 その後早速、国立教育政策研究所教育課程研究センターが行ったアンケート「『図工・美術』は大切ですか?」、「『図工・美術』は身近な生活に役立っていますか?」同じく「『図工・美術』は将来の生活や社会に出て役立つと思いますか?」の問いに、「どちらかというとそう思わない・そう思わない」と答える児童・生徒が無視できない割合で存在していることを示し、それは今までの「図工・美術」教育では自分たちが将来生き抜くための力にはなっていないと子供たち自身が感じ、警告している状況であり、それを美術教育に携わる私たち関係者はどう受けとめていくのかが一番の課題であると指摘されました。あわせて指導要領の「理科」と「図工・美術」の目標の文言を比較し、今までの制作中心の感性・心情的理解ではやはり、児童・生徒が美術科に対して将来へ役立つ実感が持てずにいても不思議ではないと問題提起されました。続いて、「美術館や博物館へ作品を見に行きたいか?」と言う質問にも、55%以上の中学生が「どちらかと言えばを含め、行かない」と答えている実態があり、その数字は大人になっても変わらないことがアートプロデユース学科の博物館調査等で確認できることも示され、私たちは今日までの美術教育の在り方が抱える問題を大きく感じることになりました。しかも、美術館関係者は入館者減少の現実を目の前にして危機感を抱いているのに対して、文部科学省(美術・図工教育に携わる者と言ってもよいのでは)は危機感が薄いことも指摘されました。
 そんな中で、対話型鑑賞の中には「分からない課題にどう取り組んだらよいのか」、「どういうスキルを身につけられるのか」に対するヒントがあると示唆されました。
 鑑賞者の時代や住む場所によってアート作品の価値は変わっていきます。アート作品の価値づけは鑑賞者自身がおこなうので、作品を活かすも無駄なものにするのも鑑賞者次第であることを確かめました。そして、作品のよき鑑賞者になることがアート作品を理解することにつながるのではないかと思います。対話型鑑賞では鑑賞活動の際に鑑賞者の発言を整理し、つなげる役割が重要となります。この役割を受け持つ者をナビゲーターと呼びます。ナビゲーター(授業者)に求められる資質は、聞きたいことを聞きたいように受けとめるのではなく、鑑賞者の発言を鑑賞者の意図や思いに寄り添いながら、想像し、キャッチボールのように受けとめること。ナビゲーターも一鑑賞者として、参観者の発言と発言をつなげたり、応援の励ましをしたり、もう少し深く考えられるように「そそのかす」ことも大事な役目であると語られました。一方的な情報伝達は決して学びではなく、思いやりや想像力を持ちながら、意識をもって相互にコミュニケーションすることによって、自分の経験にしていくことができ、互いの学び合いにつながるということでした。
 また、その学び合いの中から、分からないからこそ興味が湧く、自主的に知ろうとする姿勢が生まれると聞かされ、これが活動の中で自然に起きるのが対話型鑑賞であり、対話型鑑賞の醍醐味であると感じました。
 最後に、この鑑賞は、他者が存在することで自分であり続けることができ、自分がいることで他者の存在が価値あるものであると感じられる場となる。そこに、疑問(?)と発見や驚き(!)があれば、教室や美術館は楽しい場になるはずだと。そんな場にするために教師は、ナビゲーション力とファシリテーション力とそそのかす(その気にさせる)力が必要である。と私たち参加者のやる気を奮い立たせる言葉で締めくくってくださいました。 

ワークショップ「目隠しをした人に言葉で絵を伝える」
北野 諒(京都造形大学 講師)伊達隆洋(京都造形大学 准教授)
 百聞は一見にしかず。映し出された作品を目隠しをしたペアの相手に伝えることの難しさを実感しました。
 様々な作品を自分でもみてきているのですが、みたこともない作品に戸惑い、気になったことから筋道を考えずに伝えてしまったので、相手に全体像を伝えることができませんでした。何が伝わって、何が伝わらなかったのか、そこに何が必要だったのかをペアの方と振り返りました。私たちは、全体像もしくは、全体の印象から細部の説明をしていった方が分かりやすいのではないかという反省をもとに二作品目をみました。聴く側に回ったのですが、全体の構図と何が描かれているのかということをもとに、描画のマチエールなども聴くことができました。相手の方は、以前にもこのワークショップの経験があるとのことでしたが、自分が不明な点を積極的に聴くことで、作品の大まかなイメージをつかむことができ、アイマスクを外した時も納得する作品でした。このワークショップでは、自分の話し癖、聴き癖を確認できました。そして、相手の言葉の奥にどんな思いがあるのか想像するのが大切だと感じました。また、限られた時間の中で目標に迫れるだけのスキルも身につけていく必要性を感じました。

○福先生の思いを聞くことができ、この鑑賞教育のすばらしさと深さを感じることができました。また、たくさんの関係者の方々がこの鑑賞教育に対して期待と可能性を感じていらっしゃることを実感しました。レクチャーやワークショップを通して、改めて他の人とつながる難しさや楽しさを感じ、鑑賞教育を通して人間教育にも関わることができる喜びを強く感じる午前中の活動となりました。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする