ART COMMUNICATION IN SHIMANE みるみるの会の活動報告

島根の美術教育関係者が集まって立ち上げた対話型鑑賞の普及に努める「みるみるの会」の活動情報をお知らせするブログです。

須田悦弘氏の制作風景を垣間見ました

2013-09-20 22:04:40 | 対話型鑑賞
「一木一草に神をみる 自然と美術」展がグラントワ・島根県立石見美術館で11月4日まで開催されています。その関連プログラムとして、9月14日に<須田悦弘 「草」をつくる>という、公開制作がありました。

 須田悦弘さんといえば、木彫で本物そっくりの草花を制作する作風で知られています。小さな小さな雑草を、展示室の隅っこや壁にひっそりと展示したり、まるで空中に浮いているかのごとく花を出現させたり、インスタレーションとしてもとても興味深い作品を発表しています。
 本校でも授業で使っている、中学校「美術資料」の表紙を飾っていたので、ぜひ本物をみたい!しかも、作家の制作を目の当たりにできるなんて、絶好の機会!と、朝10:30にグラントワへと駆けつけたのでした。

 グラントワのロビーには、みるみる会員の美術館学芸員・廣田さんもいて、今、美術館の外で撮ってきたばかりという雑草の画像プリントを準備し、さあ、これから木彫スタート、というところでした。見学者は入れ替わりながらも、常時7・8名というところだったでしょうか。

 須田さんはとっても気さくな方で、「どうぞ近くで見てください」「質問があれば、作りながらお答えしますよ」と、ニコニコしながらしょり、しょり…と数種の彫刻刀でホウの木片を削っていきます。なんと!「写真もOK]とのことで、ダメもとでビデオカメラを持参していた私は、大喜びで制作の様子を撮影させていただきました。(^○^)/「美術の時間に、生徒に見せてもいいですか?」と聞くと、「あ、いいですよ~」と寛大なお言葉が。本当にありがとうございます!

須田さんの何とも和やかなムードに気をよくした見学者たち。「こんなに細いのに、折れたりしないんですか?」「手を切ったりしませんか?」「肩、凝りませんか?」「話題の3Dプリンターでも、精巧にできますが、なぜ、あえて木彫を?」「そこにどんな意味が?」などなど、好き勝手に質問しながら手元でどんどん出来上がっていく作品を見つめていました。それらに飾らない言葉で誠実に答えてくださる須田さん。あんなに薄く細い精密な作品作りは、さぞ息をつめてするのだろうと思いきや、会話しながら笑いも交えてサクサク作ってしまうのでした。作品だけでなく、作者の魅力にもはまってしまう見学者たち…。

そうこうしているうちに40分程度で、雑草の芯と葉っぱが一枚できてしまいました!まさに神業。そして、なんと、なんと、恐ろしいことに「さわっていいですよ~」と、手に取らせてくださったのでした!ひゃ~!(*_*;ラッキー!薄さは葉っぱのそれと同じ。葉っぱを一枚ずつ作っておいて、最後に「アロンアルファ」でくっつけたのですが、その継ぎ目は全くわかりませんでした。
最後に、岩絵の具で彩色し、乾くのを待って、展示室にすでにある雑草の作品に付け加えました。そこまで見届け、17:30に終了。最後は思わずみんなで拍手~終始あたたかいムードで、一つの作品の初めから完成まで見学できるなんて、本当に幸せな一日でした。
今も、(思わず見逃しそうなくらい自然に)須田さんの雑草は石見美術館の展示室に生えて(・・・)います。ぜひ、見てみてください!
また、この展覧会、彫刻、絵画、写真、版画、多岐にわたるジャンルと自然を様々な切り口で見せてくれ、とても見ごたえがあります。ぜひ島根県益田市グラントワ・石見美術館へ足を運んでください。
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